ブウの目前に浮かぶ謎の眼球ひとつ。
硬直して動きが止まっていたのはほんの一瞬のことで、何を思ったのか目の前のソレをブウは大口を開け躊躇なくバクリと飲み込んだ。
そして次の瞬間には、その額に内側から"第三の目"が顔を出す。
妖しい輝きを放つソレから溢れんばかりのエネルギーが滲み出し、ブウの身体は再び変質を遂げた。
獣のようなつんざく雄叫びと共に、衝撃波が辺りを駆け抜け見る者全てへ襲い来る。
それはかつてどの世界にも歴史にも存在しなかった、"大魔王ブウ"とも呼べる新たな脅威がこの世に誕生した瞬間であった。
―――所変わって、地球から遠く離れた界王神界にて。
「あ、あれは・・・!!まさか、"魔のサードアイ"!?何故地球に・・・!!」
戦いの様子を水晶玉を通して見守っていたキビト界王神は、変貌したブウとその額にある"眼"を見て慄いた声を上げていた。
「サードアイ?どこかで聞いたような気がするのう」
「かつては大魔界を統べる大魔王の力の源とされていた、とんでもなく強力な秘宝です。ダーブラの父親の代に逸失して以来、ずっと行方知れずだと聞いていたのですが・・・」
はて、と首を傾げる老界王神に答えるキビト界王神の表情は硬く冷や汗が止まらない。
「・・・そんなものが、どうしてあんなところにあるんじゃ?」
「わかりませんよ!魔界と関わりのない地球の人間がサードアイのことを知っているとは思えませんし、バビディの一味の誰かかと・・・いえ、それよりも。ブウはかつて大魔界で生み出されたとされる魔人です。ああいった魔法アイテムとの親和性も高いでしょう」
「・・・マズいんじゃないのか?そりゃあ」
「不味いどころの話じゃないです・・・。果てしなく強大な魔力を齎すとされるアレを、よりによって魔人ブウが手に入れるなんて・・・!その脅威は如何ほどのものになるか、想像もつきません」
少なくとも、復活直後の魔人ブウですら手に余る有様だった自分たちにはもはや到底対処仕切れない事態となっている。
宇宙の秩序を保つ神という立場でありながら何も出来ないという不甲斐なさを恥じつつも、今はあの場にいるサイヤ人達に任せるしかない。
サードアイの対処法すら見当もつかない以上は助言のひとつさえも与えることが出来ず、ここでただ奇跡を祈ることしか出来なかった。
邪悪なオーラを身に纏い、巨大化した魔人ブウ―――もとい、大魔王ブウ。
その額のサードアイが齎す無尽蔵ともいえる力に対し、ブロリーをはじめとするサイヤ人達の"超サイヤ人4"という形態は絶望的に相性が悪かった。
現状持てる最大の力を出せるために全員がこの形態を採ってはいるが、元々は短期決戦用であるこの超サイヤ人4というのは少々運用方法が特殊なのだ。
それまでの過去の超サイヤ人の形態の数々とは違い、この姿で消費した力は通常の方法で回復することが出来ない。
対して今のブウは元々強力だった再生力に加わり、サードアイの力によって無限ともいえる復活能力を得ていた。
つまりは継戦能力がケタ違いであり、持続力に乏しい超サイヤ人4で相手をするのはそもそもが不向きと言える。
しかし、ここまで強化されたブウに対抗するには持てる限りの戦闘力を発揮出来なければ戦線を維持することすらも難しい。
サイヤ人側にとれる選択肢は少なかった。
ブウはギヒャヒャと喧ましく耳障りな笑い声を上げながら、その再生力に負けず劣らずの凶悪な威力に任せた光線を辺りへ撒き散らす。
三人のうち最も矢面に立っていたブロリーは、襲い来る攻撃を捌きながらも流石に内心焦りを感じ始めていた。
ブロリー自身もどちらかといえば長期戦に向いた特性は持っているものの、超サイヤ人4の消耗の激しさに加えてそもそもコンディションが万全ではない。
前日まで極限状態で動き続けていたあと、夜のうちにとった僅かな休息だけでは十分な回復とはいえないままに此の戦場へ来た。
・・・せめて仙豆のひとつでもあれば話は変わったかもしれないが、無いもの強請りをしても仕方がない。
刻々と情勢が悪化していく中、ブロリーは手の内にあった切り札の"もう一方"へ手を出そうを試みた。
襲い来る攻撃の合間にタイミングを縫って集中し、やがて纏う気が一瞬膨大に膨れ上がり変質する。
しかし重なった数々の悪条件に加えてまだ使い慣れていなかった手法であったことが災いし、気を練り上げ切る前にブウの横槍に妨害され纏った気はブロリーの意図したかたちへは成らずに霧散してしまった。
―――この姿のままでは、やはり上手く噛み合わん。
轟音を上げて降ってきたブウの巨大な拳を受け止め弾きながら、ままならない歯痒さに舌打ちを零す。
ほとんど乱戦に近い中で辺りへ目をやれば悟空とベジータも各々で善戦しつつあるようだが、刻一刻と損耗し続けているのは同じだろう。
対するブウは、ヒルデガーンの能力を失った今は攻撃こそ当たるものの大したダメージになっている様子はない。その上、額のサードアイが輝きを放つその度にまるでリセットが掛かったかのように元通りに復活する有様だ。
このままでは、サイヤ人達の側が先に力尽きるのは火を見るよりも明らか。
・・・そして、そこからさほど多くの時間が掛かることもなく遂に情勢が崩れ始めた。
三人のうちやはり一番ブウからの敵視が高かったらしいブロリーを狙って集中的に襲い来る猛攻を受けきれず、一瞬の中継ぎを狙われ高密度の凶悪なエネルギーボールをぶつけられたブロリーは衝撃を殺しきれずに岩場を粉砕しながら墜落した。
「ッぐ・・・・・、」
ごぼりと血を吐き捨て、立ち上がろうとしたその膝が再び崩れ落ちる。
乱れた息すら整わず、見ればいつしか変身も解けて元の姿へと戻っていた。
体力などとうの昔に底を突いていた中、ほとんど気力だけで保っていたようなものなのだ。
視界が揺れる。四肢に力が入らない。
―――流石のブロリーも、いよいよ限界を迎えつつあった。
そして最も前線で攻撃を受け抑えていたブロリーがその場からいなくなったことにより、ブウによる本格的な無差別攻撃が始まった。
墜ちたブロリーを一瞬追おうとした悟空へ、ブロリーばかりを狙うブウに腹を立て絶えず攻撃を加え続けていたベジータへ、一層激しさを増した光線の嵐がブウの全身から放たれ襲い掛かる。
傍に居た二人のみならず周囲へも降り注ぎそこかしこの大地が抉れていく中、地上から戦況を見ていた悟飯は焦った声を上げた。
「ま、まずい・・・!!」
悟空から預けられた、気を失ったままの弟悟天。そしてトランクスとタピオン、ミノシア。
地面に寝かせたその面々を見下ろし、悟飯は傍で同じく呆然と空を見ていたサタンへと向き直る。
「サタンさん、すみませんがこの子達をお願いできますか。・・・ボクも、行かないと」
「えっ!?・・・わ、わかった」
驚いた声は上げつつも頷いたサタンへ「よろしくお願いします」と会釈だけ残し、青年は空へと飛び立って行った。
「お気をつけて!」と声を掛けるミノシアと共にそれを見送るサタンは、再び空で荒れ狂うブウを見やる。
常人の視力しかないサタンの目にも、巨大化し妙な禍々しいオーラを纏うその姿は地上からハッキリと見て取れた。
かつての魔人ブウの面影を残すソレは、絶えず雄叫びを上げながら周囲全てを滅ぼさんと暴れ続けている。
どんどん激しさを増すその攻撃の余波を受け、辺りの地はどんどんと崩れ行き視界の端では遠くの山すらも砕かれた。
まるで、この世の終わりのような光景だ。
つい先日の"星降りの夜"も相当なものだったが、まるであの災害を生き残ったこの地球に対しトドメでも刺そうとしているかのような。
「・・・ッ、」
―――ふと、『自分は一体何をしているんだろうか』という思いが脳裏に過った。
相手は化け物だ。人間である自分に何かが出来る訳がない。
しかし、かといって。何も出来ないままここで指をくわえて皆が死んでいくのを見ていていいのか?
名も知らぬ者たちが今も戦っている。
なのに"チャンピオン"である自分は、こんな場所で隠れたまま何の力にもなれないまま。
相反する感情がせめぎ合い、サタンは危険の満ちるこの場から逃げ出せずにいた。
爪が食い込むほど握った拳がわなわなと震え、奥歯がギリリと鳴る。
その足元には、尾を垂らした子犬が寄り添っていた。まるで、サタンを気遣っているかのように。
するとその時、一際大きいブウの雄叫びと共に幾人もの悲鳴が辺りへ響き渡った。
「・・・はっ」
見れば先ほど飛んで行った青年を含めた戦士たちが爆発と共に弾き飛ばされ、ブウの攻撃は激しさを増す一方だ。
そしてその場の人間だけでは抑えきれず、ブウは飛び回りながら地表の意図的な破壊すらも始めている。
遂に暴れ回るその攻撃の一端が、ついにサタン達のいる場所にまでも及び始めた。
ブウの攻撃が迫る。
我が身の安全を優先するならば今すぐにでも逃げ出すべきだ。
だが視界に映る、気を失ったまま横たわる子供達。
―――気付けばサタンは、その前へ立ち塞がるように駆け出していた。
「も、もうやめろーーーっ!!」
サタンは少年の姿に見覚えがあった。
つい先日の武道会の少年の部で優勝し、エキシビジョンの試合では一撃で自分を吹き飛ばしたあの子供だ。
恐らくは例の規格外の連中の仲間内だと思われる、自分よりもよっぽど強い力を持つ者なのだと解っている。
・・・だが、それでも。
目の前で危機に晒される『子供』を、『大人』の自分が守らなくてどうするのだ。
恐怖に膝は震えていても、顔のあちこちからだだ漏れになっている汁でみっともなく汚れていても、それでもサタンは前に出た。
「・・・・・ッッ!!?」
襲い来るであろう衝撃に身構えてギュッと目を閉じていたサタンは、いつまで経っても訪れないそれに恐る恐る瞼を開く。
見るとこちらへ向かっていたブウはまるで戸惑うようにして、顔を顰めながら頭を抱えていた。
「・・・ブ、ブウ・・・・・?」
「ぐ・・・、ぐギギ・・・・・・」
呆然としながらポツリと呟けば、ブウの苦し気な呻き声が大きくなる。
そして急に、何かをペッと口から吐き出した。
地面にバウンドしながら墜ちたソレは、サタンの記憶に色濃いあの丸々とした"魔人ブウ"だ。
「えっ?!・・・・・ブ、ブウ!?」
死んだようにぐったりと動かないそれにサタンが気を取られているうちに、宙に残ったほうのブウは荒い息を吐いていたが再びギヒヒと禍々しい笑みをその顔に浮かべる。
「ひ、ひィィ!!?」
"善のブウ"をその体内から追い出し、躊躇をなくした大魔王ブウは今度こそその攻撃の矛先をサタン達へ向けようとした。
・・・が、その矢先に復帰してきたらしい悟空たちサイヤ人が横手から思いっきりブウの巨体を蹴り飛ばす。
「だりゃあああぁぁぁ!!!」
「おっちゃん、あぶねえから下がってろって!!」
衝撃に一度吹っ飛んだブウはしかし額のサードアイを光らせ、大して堪えた様子は無い。
そして乱入してきたサイヤ人へ気をとられ、再び空のほうへと向かって行った。
ぽつんとその場に取り残されたサタンは暫しポカンとした顔をしていたが、ふいに足元でキャンと吠えた子犬の声にハッと我に返る。
そして慌てて気を失ったまま転がっていたほうのブウを引き摺り、同じく残っていたミノシアの手を借りながら横たわっている子供達を含め皆をまだ崩れ残っていた岩場の陰へ戦いから隠すようにして避難させた。
「・・・ありがとうな、ワン公」
一息ついたサタンは子犬の頭を撫で、辺りへ視線を巡らせる。
そしてその中で、『あるもの』が目に入った。
空での戦いは続き、まだ轟音が響いている。
自分は戦力にはなれない。
・・・しかし、それでも。
ほんの僅かな逡巡の後、意を決したようにサタンは立ち上がってその場から駆け出した。
―――薄暗い空間の中、自分の浅い呼吸だけが響いている。
積もった瓦礫の下で時折途切れそうになる意識を繋ぎ留めながら、ブロリーはまだ辛うじて生き延びていた。
「―――・・・・・、」
何か、聞こえた気がする。
それが何かを確かめるより前に、覆いかぶさっていた岩が急に消え失せて光が差し込んだ。
「・・・・・?」
瞼を開こうとしたそのとき、投げ出していた腕がふわりと急に持ち上がる。
「ふんぐぎぎぎ・・・!!」
何やら聞こえてきた奇声のほうへ視線を向けると、そこには見覚えのある男が自分の肢体を支えながら立とうとしていた。
「・・・お前・・・・・」
「あ、アンタ、見かけによらず意外と重いんだな・・・!!」
ブロリーの腕を肩へ担ぎ、瓦礫の中から引っ張り出そうとしていたサタンは意識が戻ったことを知るやそんなことを口走る。
「・・・こんな所で、何をしている・・・?死ぬぞ・・・・・」
そして無意識に口角を僅かに上げたブロリーもまた、ぽつりとそんなことを口にした。
この男がこんな鉄火場の真ん中から逃げずにいたことも意外であったが、何よりもこうして再び言葉を交わす機会が訪れたこと自体に対して何とも不思議な心持ちがする。
「かも、しれんな・・・!それ、でもォっ!!」
話しながらサタンは渾身の力を籠めてついに岩の下からブロリーを引き摺り出し、どさりと腰を下ろすとぜはぜは荒い息を吐きながら弱々しくもニンマリと笑った。
「・・・俺ひとりだけが何もせずには、いられんかった」
「・・・・・・」
一旦助け出されはしたものの、ブロリーは相変わらずの満身創痍。
碌に動けもしない身でこれ以上どうするべきかと迷うブロリーの目の前に、サタンは懐から小袋を取り出すとその中に入っていた"あるもの"を差し出した。
「コレを、アンタに」
サタンの手の中にある"それ"を見たブロリーは思わず目を見張る。
それはかつて、サタンがブウの家から逃がされる間際に手渡されたもの。
ブロリーにとっても幾度も見覚えのあった、一粒の豆。
仙豆だ。
「"あの子"から預かっていたものだ。『必要だと思った時に使ってくれ』と。・・・きっと、今なんだろう」
「・・・・・!」
ブロリーは、武道会での出来事から現存していた仙豆を全てシロが保有していたことを知っている。
詳細は解らずとも、その言葉ひとつである程度の事情は察した。
―――――すれ違いながら、さ迷いながらも、まだその"
ここでこうしてサタンと再び出会ったこと自体も、もしかするとアイツの導きによるものだったのかもしれない。
差し出された仙豆を、ブロリーは迷うことなく即座に口へ放り込んだ。
飲み下せば、途端にそれまでの気怠さは吹き飛び一気に元通りへ―――むしろそれまでを超える勢いで、凄まじく膨大な量の気が溢れだす。
「うぉぉおおおおおおおアアア!!!」
「どわぁぁあ!!?」
衝撃にひっくり返ったサタンの見る先で、ブロリーのその身体は眩い輝きと共に姿を変えた。
およそ3メートルを超えるほどの背丈と大きく肥大した筋肉、そして長く腰まで伸びた金緑の髪。
まるで周囲の世界から一瞬色が凝縮したような不可思議な現象を目の当たりしつつ、サタンは別人のように人相の変わった目の前の男を呆然と見上げる。
気というものの存在を認識していないサタンからしても、絶えず迸るスパークとその純然たる輝きに常軌を逸した存在であることは十二分に見て取れた。
「は、はは・・・・・とんでもないな、やっぱりアンタ達は」
そんな言葉と共に乾いた笑いを零すサタンを、ブロリーは一度だけ振り返る。
「・・・あまりチョロチョロと動き回るな。死ぬぞ」
前が見えているのか怪しい、ほとんど白目を剝いているようなその眼で暫しサタンを見た後。
ぽつりとそれだけを言い残し、ブロリーはドンと再び迸った衝撃と共に空へと飛び立って行った。
超サイヤ人4の力は通常の方法では回復出来ない。
それは瞬時に気力体力ともに全快させることの出来る仙豆であっても同様である。
結果ブロリーは戦線へ復帰するにあたり、先刻までの超サイヤ人4ではなく彼独自の形態である"伝説の超サイヤ人3"を選択した。
かつてバビディを葬った際に憤怒の激情と共に至った力。
ブロリーの辿る進化形態である伝説の超サイヤ人は、悟空たちの超化に対しおよそ一段階以上強力な戦闘力を誇る。
今のブロリーの伝説の超サイヤ人3であれば、通常の超サイヤ人4と比べても大して遜色はない。
―――それに加え、形態を切り替えたのにはもうひとつ明確な理由があった。
「おっ、ブロリー!やっぱり生きてたか!」
金緑の輝きと共に戦場へと舞い戻ったブロリーの姿を見て、悟空が表情を明るくする。
しかし流石に、その声には疲れの色が滲んでいた。
変わらず暴れ狂うブウに対し、何とか喰らい付いていた悟空もベジータも先刻までのブロリーと同じく限界が近い。
今は悟飯がブウの目を引いているが、代わるがわる相手をする度に消耗していくばかりでジリ貧という状況には変わりなかった。
「・・・そろそろ、あの"目"をどうにかせんと・・・いずれにせよ全員がくたばることになるぞ・・・・・!」
「そりゃあ解ってんだけどよ・・・・・」
いい加減うんざりしたようなベジータがそう吐き捨てると、そんなことは百も承知とでも言いたげな反応を各々が溢した。
ブウにあの"第三の目"が付いている限りは、いくら打ちのめそうとも無限に復活してくる。
まずはアレをどうにかしなければ勝機は無い。
しかし、その方法がわからないのだ。
「心当たりが全く無いわけでもないんだがな・・・それにしてもヤツをある程度の時間抑えておく必要があるだろう」
「・・・ならば、それはオレがやる」
ベジータの言葉に、ブロリーが呟くように答える。
悟空は一瞬目を丸くしたが、ベジータはフンと鼻を鳴らし不敵な笑みを向けた。
「・・・大した自信だ。目算があるなら任せるぞ、しくじったら承知せんからな」
「それはこちらの台詞だ。さっさと行け、クズが」
悪態をつく二人に対し喧嘩すんなよと悟空が苦笑いしているのを余所に、ベジータは一旦その場を離脱する。
それを見やった後、ブロリーは悟空のほうへ指示を出した。
「カカロット、一分足らずでいい。もう少しだけ奴の注意を引いておけ」
「わかった。・・・もしかしておめぇ、"アレ"やる気か?無茶すんなよ」
「お前に言われる筋合いはない」
数年前の出来事を思い出し、どの口が言っているのかと苦言を呈したときには既に悟空もブウのほうへと向かっている。
「・・・・・・・」
意識を切り替え、ブロリーは自らの身体の内側へと向けて気を集中した。
先ほどは不発に終わったものの、今のこの状態ならば充分に可能だとブロリー自身は予測している。
・・・この地球で、ブロリーが暮らし始めて以降の7年間。
自ら意図的に鍛え続けた末に習得した『気の緻密操作』。
持ち前の『常人離れした肉体強度』。
そして、本来ならばあり得なかったであろう『悟空と共に修行を重ねた日々』。
この三つが揃った結果、ブロリーにとあるひとつの"技"を体得させた。
強力な切り札となり得るそれにここまで一切手をつけなかったのは、その技そのものにもデメリットがあることも一因ではあったのだが。
―――そもそも、ブロリーの性に合わないのだ。
"
ブロリーの纏う気が膨れ上がると共に、金緑だったソレに赤い色が混じり一気に塗り替わる。
閉じていた眼を見開き、解放すると共にその名を呟いた。
「―――『界王拳』」
IF設定の醍醐味を詰め込めるだけ詰め込んだようなやりたい放題( ˙꒳˙ )もうちっとだけ続くんじゃ。