深夜、海上上空約250M。一夏達と交戦し、蒼月を撃墜した福音は、移動することなく蹲るように膝を抱え、揺り籠のような光に包まれていた。瞬間、風裂くレール砲の一撃が福音を襲った。
「初弾命中!交戦を開始するぞ!」
「了解ですわ!」
「碧くんの、仇…………!!!」
───────────────
遡ること1時間前。少女達は、花月荘を抜け出し浜辺に集合していた。
「許さない、許さない、許さない許さない許さないユルサナイユルサナイ……………!」
「……ボクも同じ気持ちだよ。絶対に、墜とさなきゃ。」
簪とシャルロットが、それぞれ碧天とラファールをその身に纏う。
「……あんた達ほどじゃないけどさ。あたしだってあいつとは結構仲良い方だと思ってたのよ。だから、友達の仇は、取るわ。」
機能増幅パッケージ『山嵐』を
「わたくしの幼なじみを殺した罪、贖っていただかなくては、困りますわね。」
強襲用パッケージ『ストライク・ガンナー』を装着したセシリアも水平線を見つめる。
「……奴は、命を捨ててまで私達を救ってくれた。ならば、奴のやり残したことは、私達で片をつけてやろう。それが、手向けというものだ。」
砲撃戦パッケージ『パンツァー・カノニーア』を追加したラウラは、目を伏せる。
「福音の居場所は私の黒兎隊が保有する衛星で確認している。どうやら、あの場所から動いていないらしい。
──発進するぞ!」
「……碧。」
「碧くん。」
「「見ていてね。」」
少女達は飛び立った。友の、幼なじみの、想い人の仇討ちのために。
───────────────
「熱源反応5!織斑先生!これは……!」
「あの馬鹿どもめ……!通信は!戻らせろ!」
「ダメです、あちらから通信遮断されています!」
ぎり、と千冬は唇を噛む。
「おのれ…帰ってきたら覚悟しておけよ、小娘ども……!」
───────────────
海中で、目を覚ます。生命維持装置はなんとか正常に動作していた。ボロボロになった機体は、しかしそれでも主の意志に応えるように唸りをあげる。まだ生きているスラスターを全力で吹かし、暗く冷たい海を駆け抜ける。絶対に戻ると約束したのだから。彼女達のもとへ、あの場所へ。そして。
アナタ達に、会いに行こう。
───────────────
「くるぞ!」
福音の攻撃を機体を翻して回避。しかしその先にもビットが待ち受けていた。
「危ない!」
「すまない、助かった!」
「気にしないで!」
はっきり言って、劣勢だ。それでも、彼女達は戦い続けている。
「掃射がくる!」
簪の声に、皆一様に機体を飛ばす。360°に展開されるレーザーの弾幕を、隙間を縫うように身を翻す。
そして……。
「今だ、一斉掃射!」
セシリアがビットを、鈴が衝撃砲を、シャルロットがバズーカを、簪が春雷と山嵐を、ラウラがレール砲を掃射する。掃射の後隙に全火力を叩き込まれ、福音は落下していく。
「……っはは、どうよ!」
鈴が肩で息をしながら勝ち誇ったのもつかの間。瞬間、福音が光を纏った。
「!?これって、
光が収まり、そこにいたのは。
背から光の翼をはためかせた、天使のようなISだった。
「これが、福音の
ラウラがそう呟くや否や、福音は超高速でシュヴァルツェア・レーゲンに接近、足を掴み海面目掛けて投げつける。
「こんのぉー!!!」
「待って、鈴!!」
シャルロットが警告するも、既に時遅し。鈴が振り上げた青龍刀は片手で受け止められ、逆に光弾の反撃をもらい海へと墜落していった。
「これが、
「あの性能、異常ですわね!」
セシリアがスターライトを構えたその瞬間、福音は彼女に接近しスターライトを圧し折った。そして、光弾を至近距離で撃ち込まれ墜ちていく。
「セシリアまで………!」
「うぁぁぁぁぁぁ!!!」
簪が、夢現を構えて吶喊する。しかし、鈴と同じく受け止められ、反撃をもらって海へと真っ逆さま。
「簪!!ッ!?」
そして、福音の魔の手がシャルロットへ近づいたその瞬間。
海中から放たれた赤黒く禍々しいエネルギーが福音を飲み込んだ。
───────────────
夜が、明けていく。巻き上げられた水が降り注ぎ、雨となって、暁降ちの空に照らされて虹がかかっていく。そして、その下にいたのは。
白い騎士のような、
心Ding dong Ding dong望んだ未来へ
そしてあなたに会いに 行こう
「あ、お…………?」
そこにいたのは、ISを纏った碧。しかし、機体は蒼月ではない。白い機体色にネイビーのアクセントが入り、赤い翼と同じくネイビーの大砲が
「言っただろ、絶対に戻るって。」
「──うん、うんっ!」
「──力を貸してくれ、『ペンデュラム』!!」
イェス・ユア・マジェスティ。彼女には、そんな声が聞こえた気がした。
この風どこから吹いてきたの
消えず瞬いた
「はぁぁぁぁぁっ!!」
彼は、手に持った紅い剣『MVS』で福音へ斬り掛かる。出力は互角で、鍔迫り合い。接射された光弾を回避し、腕からスラッシュハーケンを射出。福音の胴に絡め、そのまま投げ飛ばす。しかし福音もただでは転ばない。光弾ではなく、極太のレーザーを発射した。
碧は、避けることもなく言い放つ。
「『リボルバー・チェンジ』!!」
腕部装甲が拡張領域に収納され、非固定浮遊部位が回転。赤いパーツが肩に装着され、同色の腕部装甲が再装着される。
「『エア・アームズ』、『V-マキシマム』!」
ペンデュラムを中心に、翠玉色のエネルギーフィールドが展開、レーザーへと突っ込んだ。
揺れる遠い灯り
瞳の揺らぎに合わせて 何度も
あの日 世界 震わせた心の叫びは
風を起こし イマを運んできた
「碧っ…………!!」
しかし、シャルロットの予想に反して、彼はレーザーの嵐を掻き分け、福音へと体当たり。大きくダメージを与え、福音が仰け反った。
静寂をそっとかわすように
「これで、決める!『リボルバー・チェンジ』!」
再び非固定浮遊部位が回転。今度は、大砲のついた装甲が装着。腰サイドの砲塔も起動し、エネルギーが集まっていく。
「La,la,la………!」
歌うように福音もまた、エネルギーを集わせていく。そして。
「『ボルテクス・ブラスト』──!!」
「La────!!!」
淡青のレーザーと、赤黒のビームがぶつかり合った。
鐘はDing dong Ding dong夜明けを告げ
復活の時 闇切り開いて
「オォォォォォォォッ!!!」
「La,lalala───!!!」
心Ding dong Ding dong望んだ未来へ
あの日 約束の場所へと そして──
「碧、いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
アナタに会いにゆこう
───────────────
碧の放ったボルテクス・ブラスト。それは、福音のレーザーを打ち破って、そして。SEの枯渇した
「……いけない!」
突如彼は急降下。その向かう先には、爆炎のなかからコアを掴んだまま落下する、1人の女性だった。
「碧、その人って………。」
「福音の搭乗者だろう。保護しないと。」
彼は、ボロボロのISスーツを纏う彼女を左腕で横抱きに。こういう時、IS特有の長い四肢が役に立つ。ほぅ、と安堵の息をついた瞬間、横合いから抱きつかれた。
「……碧の馬鹿ぁ…………。」
「…………ごめん。」
「死んだかと思ったじゃん……馬鹿ぁ………。」
「………………ごめん。」
彼女の頭を撫でようとして…右腕部装甲を拡張領域に収納した。……こういう時、IS特有の長い四肢は不便である。腕部装甲をしまった彼は、ぽんぽん、と優しく彼女を撫でる。まるで、幼子をあやすように。
「ボク達がどれだけ心配したと思ってんのさぁ………。」
「…ごめん。…でも、今はこの人を連れて帰ろう。」
彼は腕を離し、左腕に収まっている少女を見た。
「………うん。そうだね。簪と一緒に、あとでいっぱい、構ってもらうから。」
「わ、私も!?」
「……お手柔らかにお願いね。」
「それは碧の誠意次第、かな♪」
───────────────
「それで?無断出撃への罰の準備はいいか?」
尚、花月荘に戻ったシャルロット達(碧は除く)を待っていたのは、千冬のクソ長説教だった………。
使用楽曲コード:242-7585-9
というわけで福音撃破!そしてぇ〜………碧君
途中でFlowさんの『PENDULUM』の歌詞を入れていたの、お気づきでしょうか。あんなにデカデカと気づくもへったくれもないだろって?それはそう。
私ですね、仮面ライダーとかで強化フォーム出てきた時に主題歌流れる演出が死ぬほど好きなんですよ……!なんとか再現できないかなーと足りない頭をフル回転させて摩擦熱で燃やし尽くすくらい回した結果今回みたいな力技に行き着きました。ちなみにプロット段階から決まっていたことです。
楽曲コードってこれでよかったのかな。
───────────────
次回予告!
1.もうちょっとだけ続くぞ、臨海学校!
2.新たなる刺客、その名もナターシャ!
3.明かされる秘密!
次回、IS─OVER THE SKY─
第14話『