蟻ですが、なにか?   作:夢幻人.

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楽しんでいただければ幸いです!


vs火龍

 

叡智や混沌のスキルを得た後も私達は中層で狩りを続けていた。もはやその辺の鰻なんて相手にならないくらいには強くなっていた。

その最中で蜘蛛子ちゃんは叡智と魔法を、私は混沌を試しました。

 

結論から言うと混沌はかなりやばいスキルでした。

やろうと思えばどんな力でも創り出せちゃうんですよね。もちろん強力な力程、必要な力の量が多くなってきますがスキルの獲得なんかしなくてもこれで事足りてしまうのは相当にやばいだろう。

 

そんな混沌が加護系スキルと組み合わせると更にやばくなります。

まず、混沌の説明にあった『自身の所有する力』には自身のスキルやMPの他に加護により操作可能状態となった力も含まれるので私自身は完全にノーリスクで力を蓄えられるのだ。

そうして蓄えた力を取り出して加護系スキルで自身の武器として扱えば擬似的に魔法使いになれるのだ。近距離だけでなく遠距離も強くなった今の私に隙なんてない!……多分。

 

ただ一つ問題があるとすれば混沌のスキルを使うたびに禁忌の熟練度が上がっていく事ですね。おかげでレベルが3になってしまった。10になったらどうなるのでしょうか……

 

まぁ兎にも角にも、しばらくは蓄えに専念する事にしました。蓄えを使うのはいざという時で良い。後は並列意思に混沌と加護系スキルをそれぞれ担当してもらいましょう。制御は頼みますよ、2人の私。

 

『これで終わりですね』

 

そして現在、蜘蛛子ちゃんと一緒に火竜と戦闘中。もう終わったんですけどね。

 

《経験値が一定に達しました。個体、ビア・レットがLV12からLV15になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

 

それから天の声よりスキルレベルアップの報告をされるが長いので無視無視。

 

この戦いで蜘蛛子ちゃんが称号である『恐怖を齎す者』を獲得したため、周囲の魔物が逃げてしまうようになってしまった。これではレベル上げが出来ない。

 

『そういえば、あーちゃんもその称号持ってたよね?なのに魔物が逃げなかったのは何で?』

 

『ああ、それは隠蔽のスキルを持ってるからですね』

 

隠蔽——隠密のように気配を消したりは出来ないが、スキルの効果などの力を隠す事が出来るスキル。非常に便利。

 

『スキルか〜。それ私も取った方が良いのかなぁ……』

 

『いや、私のそばから離れなければ私の隠蔽で隠せると思いますよ』

 

『じゃあお願い。あまりスキルポイントを消費したくないからね』

 

『任せて』

 

そうして中層を歩いていると進行方向に大きな縦穴を見つけました。

そしてその穴の上方から恐怖を感じる程の大きな気配が降りてきた。

 

やばい……これは、今の私達じゃ勝てない……!

気配が近づいてくる。うまく呼吸が出来ない。

 

私と蜘蛛子ちゃんは急いで近くの岩陰に身を潜める。

すると気配の正体が姿を現した。その正体は蜘蛛。非常に巨大な蜘蛛でした。もはや怪物という言葉がピッタリなくらいの迫力がある。

 

そんな怪物に喧嘩を売った勇者がいた。火龍である。仲間を引き連れて勇敢にも巨大蜘蛛に立ち向かっていった。

そして一撃で全て返り討ちに。巨大蜘蛛が放ったその一撃により、岩陰に隠れていた私達もその余波で吹き飛ばされました。

 

縦穴の場所に戻るとそこには巨大なクレーターが出来上がっており、そのクレーターにマグマが流れ込んでいました。そんなマグマの中から先程の火龍が姿を現した。

 

相当なダメージを負っているようですがあれで動くんですね……ってあれ?なんかこっち見てません?火龍から明らかな殺意を向けられているような気が……

 

そんなことを思っていると火龍が私達に向けて攻撃してきた。

 

『なんでぇ!?』

 

私達何も悪くありませんよねぇ!!八つ当たりか?八つ当たりなのか?理不尽だ!!

こうなったら、目にもの見せてやる……そんな弱った体で私達に喧嘩売ったこと後悔しやがれ!

 

『蜘蛛子ちゃん!私が突っ込む。遠距離から援護お願い!』

 

『分かった!』

 

私は『変幻の加護』で火龍のいるマグマ溜まりに足場を作り、火龍との距離を詰める。

それを黙って見ている火龍ではない。火龍が私に対して猛攻を仕掛けてくるが蜘蛛子ちゃんの魔法が邪魔になっているおかげで回避しながら近づく事が出来た。

 

『喰らえ……!』

 

私は火龍の懐に飛び込んで体当たりをぶちかます。私の鋭利な体が突き刺さり、火龍に傷がつく。

 

グガァアアア!!

 

その瞬間、火龍が雄叫びをあげて突き刺さった私を空中へ払いのける。

しまった……ステータスを防御に——

 

火龍は尻尾で空中にいる私を叩きつけ、私は遥か遠くの壁まで吹き飛ばされる。

 

『あ、危なかった……相手が弱ってるからって甘く見てちゃダメですね』

 

私の防御が高いとはいえ、流石にステータス3000以上の攻撃は相当なダメージになる。ステ振りが間に合わなかったらきっとすぐには立ち上がれなかったでしょうね。

 

『追撃が来ない……蜘蛛子ちゃんが相手してるって事か』

 

早く戻らないと……!今度は本気でやりますか!

『魔闘法』『気闘法』『竜力』『瞬速』——よし、行くぞ!

 

 

******

 

 

蜘蛛視点

 

あーちゃんが吹っ飛ばされると今度は火龍の矛先がこちらに向いた。

あーちゃんなら今の攻撃は問題なく耐えられる筈——ていうか問題なのは私の方じゃないか、これ……

 

すると火龍が火球を吐き出して攻撃してくる。私はそれを全力で回避。

命中と確率大補正のコンボのせいで、軽く避けるということもできない。しかもこれを一撃でも受けたら消し炭になりかねない威力をしている。

 

今はあーちゃんが戻ってくるまで何としてでも耐えないとね……!

『思考加速』と『予見』を駆使して私は回避に専念した。

 

火龍は火球を吐くと同時に、距離を詰めてきていた。火球を目眩ましにしての本命の攻撃が来る。その蛇のように長い体をしならせ、巨大な尻尾を叩きつけてくる。

これもギリギリで回避したが、火龍が纏っている火炎が擦りHPが僅かに削れた。

 

私の心に僅かに焦りが生じ始める。このままじゃいずれ死ぬ——そんな考えが頭をよぎったその瞬間、何かが物凄いスピードで火龍の脇腹に突撃して火龍が倒れた。

 

『蜘蛛子ちゃん、無事?』

 

その正体はあーちゃんだった。やはり、仲間がいるというのは心強い。安心感が段違いだ。

 

『平気平気。それよりも戻って来るのちょっと遅いんじゃない?』

 

『思っていた以上に遠くに吹き飛ばされてたみたいでですね……』

 

そんな会話をしていると、火龍が起き上がってきた。明らかに先程よりも警戒されている。さっきのあーちゃんの攻撃が相当効いたのだろう。相手の体力は残り700程。この700を削り切るのは大変そうだ。

 

 

******

 

 

蟻視点

 

僅かにHPが削れてしまったみたいですが、蜘蛛子ちゃんが無事で何よりだ。

それにしても、火龍の警戒度を引き上げちゃったみたいなんですよね。これではさっきみたく近づくのも困難かもしれない。うーん……どうしたものか。

 

『あーちゃん、少し時間稼ぎしてくれないかな。可能なら隙を作ってくれると嬉しい』

 

ふむ、どうやら蜘蛛子ちゃんには火龍を倒す手立てがあるようですね。あーもしかしてあれかな?深淵魔法ってやつ。

 

『ああ、それは全然いいけど……別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』

 

『お願いだから今のこの状況でその言葉は止めてくれないかなぁ!心臓に悪いよ!』

 

『あはは、ごめんごめん。死ぬ気は全くないから安心して』

 

そんな冗談を交えつつ、私達は火龍に引導を渡しに行く。

 

『それじゃあ任せたよ!』

 

『任された!』

 

さあ、決着をつけましょうか!

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