ヒロぜバブ   作:規律式足

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 昔から気になっていたんですが、
 ヴィランのコスチュームってどうやって入手してるんでしょう?
 暴走族とかカラーギャングとかもですが、そういう仕事してくれる業者さんが居るのだろうか?
 手作りだとしたら、完成度高えなオイ。



第10話

 

 平和の象徴を殺せ。

 

 リーダーらしき手だらけ男の空気を震わせるような強い意志。

 ゾゾゾと黒いもやから現れるヴィランの群れ。

 

「先生、侵入者センサーは!」

 

「もちろんありますが・・・・・・!」

 

 ヒーロー育成学校に入り込んでくるという正気とは思えない所業を前に、それぞれ思考を巡らせる。

 

「現れたのがここだけか学校全体か」

 

 轟焦凍の分析。  

 ヒーロー育成学校に襲撃するという馬鹿げた所業であはあるが、それを成功させるだけの周到な準備。

 単なる馬鹿の目立ちたいだけの短絡的な行動ではない、何らかの目的ある画策された奇襲である。

 

「13号避難開始!

 学校に電話試せ!」

 

 イレイザーヘッドの指示が飛ぶ。

 センサー対策がされている以上は電波系個性による妨害の可能性もある、ゆえにこちらも同じ系統の上鳴電気の個性で連絡を試みる。

 

「なあ先生?」

 

「どうした男鹿」

 

 話しかけてきた男鹿辰巳にふざけた発言は許さないとジロリと睨みつけるイレイザーヘッド。

 

「センサーは反応しなくて電話は通じないから、同じ敷地内のヒーロー達も異変に気づけない、だよな?」

 

「? ああ」

 

 この非常時に何を言ってんだコイツはとイレイザーヘッドが額に青筋浮かべながら首を傾げると、

 

「ようは、何かあったか知れ渡れば良いんだよな?」

 

「それはそうですが」

 

 13号がコクリと頷けば、男鹿辰巳は良いこと思いついたとニヤリと、まるで悪魔のような笑みを浮かべる。

 

「なんで今その顔?」

 

「まるでヴィランみてえな面」

 

「嫌な予感が」

 

 ガシり。

 すると男鹿辰巳は幼馴染の爆豪勝己の頭を掴んで緑谷出久へと投げ渡す。

 

「緑谷!!」

 

 その瞬間、

 

「(たっくんがこの状況でさっきの質問をして僕にかっちゃんを投げ渡そうとしている。たっくんは揺らぐことなき完膚なき馬鹿だけどこと戦闘と危機的状況では最適解を導き出すことができる。そこを踏まえさらにたっくんが大のジャンプ好きで特にド〇ゴンボ〇ルを愛読していることを加えて思い至る発想は)

 了解!!

 麗日さん!!」

 

 幼馴染である緑谷出久は全てを察した。

 

「へ?あ、ハイ!!」

 

「オイ待てテメェら、もしかして」

 

 麗日お茶子。

 彼女のその個性と緑谷出久に投げ渡されたことから爆豪勝己も何をされるか、何をすべきなのか察してしまった。

 己がどうなるのかも。

 

「(ワン・フォー・オールフルカウル!!)かっちゃんに無重力を使って!!

 そしてえっ!!」

 

 タッチ。

 麗日お茶子の個性【無重力】。

 それは触れたモノにかかっている引力を無効化する。即ちタッチされた爆豪勝己は重力の枷から外れ重量が消失したも同然の状態になる。

 そんな爆豪勝己を、緑谷出久はオールマイトから受け継いだヒーロー科実技試験の巨大ロボすら余裕で粉砕する超パワー個性ワン・フォー・オールで上空へと思い切りぶん投げるっ!!

 

「かっちゃんよ、飛んで混ざれ!!」

 

「戻ったら覚えてろテメェらああああアアア嗚呼あアアアっっっ!!つーか天井にぶち当たるわボケェェ゙ェ゙ェ゙ぶっ壊れろ!!」

 

「「ついうっかり」」

 

 叫びながら飛んでゆく爆豪勝己。

 自分が何を求められ何をするのが最善か、緑谷出久のセリフの元ネタから察した彼は、迫る天井を破壊し突き抜け、そこからさらに自らの爆破液を濃縮し異変があったことを周囲が気づくように上空で大爆発した。

 

 BOOOOOOM!!!!

 

「「汚え花火だ」」

 

「幼馴染なんだよなお前ら」

 

「意図は分かるけど酷くね?」

 

「これで学校内のセンサーも反応し、他の職員も異変に気づく。合理的な良い判断だお前ら」

 

 つい元ネタのセリフを呟いた二人に、知っている者も知らない者もドン引きするが、合理主義のイレイザーヘッドはよくやったと褒める。

 学校までは約三キロ。

 異変があったと気づき連絡しても繋がらないとなればすぐさま駆けつけてくるだろう。

 

「手段は外道ですけどね。というか彼は大丈夫でしょうか?」

 

 麗日お茶子の個性が効いてるうちは落下死の危険性はない。

 また爆豪勝己ならばその爆破ですぐに戻ってくるだろう(男鹿辰巳からすればあの程度の高さなら死なないだろと認識、魔界でのドタバタの悪影響である)。

 

「さぁて、あとは応援くるまで殴ってれば解決だ」

 

 喧嘩だ喧嘩だと男鹿辰巳は掌を合わせるが、

 

「俺がやる。お前らは爆豪回収したら避難していろ」

 

 ゴーグルを下ろしたイレイザーヘッドが、首に巻いた捕縛布を解き伸ばしながらヴィランの集団へと飛び込んで行った。

 

「イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛、正面戦闘は・・・・・・」

 

 ヒーローオタクである緑谷出久の事前知識からの懸念の声は、

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

 力強いその言葉と圧倒的実力で黙らされる。

 

「やるなオイ。

 俺も戦いてえ(うずうず)」

 

 捕縛布を手足の如く使いこなすオリジナル体術。鍛えぬかれた戦闘力、身体能力は下手な異形型をもものともしない。

 動きの合間に個性を抹消し、その隙をついて手玉に取る。

 パワー系ではない、技巧派の戦闘スタイルである。

 

「すごい、多対一こそ先生の得意分野だったんだ」

 

「さばけちゃいるが、戦闘不能にできてねえのが問題だ。やっぱ俺がめり込ませてくるわ」

 

「君達、早く避難を!!」

 

 分析する緑谷出久と、それでも戦おうとする男鹿辰巳。

 そんな二人を学級委員長である飯田天哉が促していた。

 

「させませんよ」

 

 しかしその避難は進む先に飛んでいた黒いモヤのヴィランに妨害される。

 

「初めまして、我々はヴィラン連合。

 僭越ながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、

 平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

 その発言に一同の思考は停止する。

 あまりにも過ぎる大言。

 あの無敵のヒーローを殺すという発想すらできない暴言。

 しかしその言葉は、実現可能だと言う自負により確かな説得力があった。

 

「私の役目はこれ。

 皆さんを散らして、嬲り殺す」

 

 大きく広げられるモヤ。

 闇の如きそれが転移ゲートであることは明白。

 13号が対処しようにも、救助専門で戦闘経験が少ないかつ、殺傷力の高い個性である彼女の行動は一手遅れてしまう。

 

「させねえよ」

 

 バチッ

 その爆ぜる音は緑谷出久のワン・フォー・オールでも上鳴電気の帯電でもない。

 

「魔王の咆哮(ゼブルブラスト)」

 

 右拳に纏った魔力が閃き、転移のモヤを散らしヴィランを吹き飛ばす。

 

「強制転移はアランドロンで慣れてんだよ」

 

 伊達に魔界は見ていない。  

 中学生活三年、彼が空間転移した回数は数え切れずその数だけトラブルに巻き込まれてきた。

 転移の予兆はもはや肌で分かるのだ。

 

「この・・・・・・・・・〈BOOOM!!〉ぐはぁッ」

 

 態勢を立て直そうとする黒モヤヴィランに追い打ちをかけるように上空から爆豪勝己が爆ぜ降りる。

 

「辰巳ィィ、デクゥ゙ゥ、覚悟できてんだなテメェら」

 

「ご苦労」

 

「ダ!!」

 

「さすが、かっちゃん!!」

 

「よし殺す」

 

「「「どっちがヴィランだよ」」」

 

 ところどころ焦げた爆豪勝己はその形相もあり、ヴィランよりヴィランな顔であった。

 

「転移のヤツがいんなら避難は無駄。

 目の前の連中めり込ませて切り抜けんぞ」

 

「アイ!」

 

「戦闘の時だけ頭が回るよなお前」

 

「了解たっくん」

 

「・・・・・・仕方ないですね。無理はしないでください!!」

 

 ここまでくれば13号は生徒を静止することを諦めざる得なくなった。

 

「さぁ、蹂躙だ」

 

 





 補足・説明。

 今話はヴィラン連合襲撃です。
 男鹿辰巳君が悪ノリしてドラゴンボールネタに走ります。
 黒霧の転移失敗。
 男鹿辰巳君が強制転移慣れしてますから無理でした。


 オマケ。

 爆豪勝己が上空で大爆発したその時。

「(ワクワク)」

「巨大猿化しないから」

 尻尾の個性持つ道着姿の少年・尾白猿夫は男鹿辰巳から期待の眼差しを向けられていたそうな。



 あ、ヤベえ。
 ウソの災害や事故ルームって天井ついてましたっけ?(汗)。
 なので手直ししました。
 ごめんなさい爆豪勝己君。

 

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