心優しき戦争男inダンジョン   作:鮭ノ神

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に、日間ランキング73位!?
まさかランキングに載ることが出来るとは……皆様のおかげですよ本当に…
これからも頑張って投稿するぞ!


三者三様の胸中

───同日、夜、豊穣の女主人にて。

 

 

モンスターと戦っていた際の、正義超人『ウォーズマン』としての姿から、ベルとの修行やダンジョンに潜る際の姿である『クロエ・ボルコフ』としての姿へと姿を変えたウォーズマン。

 

彼が、ついさっきまでベルの大立ち回りが繰り広げられていた場所へと向かうと、そこには倒れているヘスティアを抱えているベル・クラネルがいた。

 

なんとか二人で慎重に運び、豊穣の女主人の二階の一室を一時的に借りてそこでヘスティアを寝かせたものの、先程までの戦いの疲れもあってか力尽きるようにベルは床へと崩れ落ちてしまった。

 

「ん……あれ、ここは?」

 

「起きたか」

 

床に泥のように眠ってしまったベルをヘスティアの隣のベッドで寝かせ、暫くしていると、先にヘスティアが目を覚ました。

 

「ってモンスターは!?」

 

「落ち着け、俺は何もしていない。…おそらくだが、ベルが倒したんだろうさ」

 

「……そっか、やったんだねベル君」

 

ヘスティアは隣で眠るベルを優しげな目で見つめ、頭を優しく撫でた。

 

「それで、このナイフは何なんだ?こんな上等な物は見た事がないが…」

 

「えっと、それはね……」

 

ヘスティアは全て隠さずにそのナイフについて話した。

友人であるヘファイストス・ファミリアの主神ヘファイストスに三日三晩何も食わずに頼み続けたこと、そのナイフを作ってもらう為に目が飛び出るほどの高額な借金をしたこと、持ち主と共に成長する唯一無二のベル・クラネルの為だけの一振であるということ……

 

それを話し終えた後、ウォーズマンは納得した様子で頷いた。

 

「なるほど、道理で……」

 

「それにしても、君は───」

 

ヘスティアが何かを言おうとしたその時

 

「う……んあれ、ここどこ!?」

 

ベルがやっと目を覚ました。

最初は寝起き故か少しボーッとしていたものの、隣のヘスティアを見て、状況を何となく理解出来たのか、慌てだした。

 

 

 

 

「そういえば神様、この武器一体どうしたんですか?」

 

落ち着いたベルがヘスティアに尋ねると、ヘスティアはウォーズマンに不安そうに見られながらもそのナイフについて語った。

 

それを聞いていたベルは、自分がとてつもないものを持っていることを実感してしまった。

 

「そんな…ヘファイストス・ファミリアの武器はすごい高価なのに…僕なんかには…」

 

「強くなりたいんだろ?」

 

「………ッ!」

 

「言ったじゃないか、僕は誰よりも君を応援し続けるって。……だって、僕は君のことが好きなんだもの」

 

その言葉にベルは涙を流し、顔をぐちゃぐちゃにした。

 

「いつだって頼ってくれよ、僕は君の神様なんだぜ?」

 

「神様ぁーーー!!」

 

ヘスティアが満面の笑みでそう返すと、ベルは泣きながら、子供のようにその小さな体へと縋り着いた。

 

 

その様子を、ウォーズマンは何処か懐かしく…何処か寂しいような様子で静かに眺めていた………

 

 

 


 

 

 

ロキ・ファミリアの本拠『黄昏の館』、ティオナの自室

 

 

ベッドに寝転がりながらティオナは今日のことを思い出していた。

 

あの自分たちがまるで歯の立たなかった謎のモンスターを容易く葬り去った謎の男。冷酷で残酷、だが強く…なにより、かっこよかった。

 

「ふふっ…えへへ〜…」

 

ティオナは思わずグネグネと身体を捩らせる。

それもそのはず、ティオナ・ヒュリテにとっても、また彼女の種族であるアマゾネスにとってもあの男は魅力的だったからだ。

 

強く、恵まれた体躯を持ち、なんとも言えぬ魅力を持った雄…

あの男は殆どのアマゾネスが望んでいる全ての条件を兼ね備えていた。

 

「……ちょっとティオナ、その動き見てて気持ち悪いからやめなさい」

 

「え〜?だって〜」

 

「あの昼間の男のことでしょ、どうせ。……まぁ、団長にははるか遠く及ばないけど、いい男ではあったわね…なんか悔しいけど」

 

部屋に入ってきたティオネは自身の最愛の人(団長)をトップにしつつもその男を"いい男"であると評価した。ロキ・ファミリアの団員ならば、絶対に聞くはずのない発言である。

 

「それよりほら、さっさと起きなさい。今回の騒ぎについての報告会よ、その前にレフィーヤも連れてこなくちゃ」

 

「はーい」

 

「……そういえばあの子も、かなり荒れてたわね…」

 

ティオナを訪ねる前に見た「違うチギャウ!!」といいながら壁に頭を叩きつけるレフィーヤを思い出したティオネは少しだけ、憂鬱そうなため息を吐いた。

 

 

 


 

 

 

「───むぅんっ!!」

 

 

ダンジョン37階層、【白宮殿】

第一級冒険者ですら単独で挑めば容易く肉塊になるであろうそこに、一人の猪人がいた。

 

 

(…まだだ、まだ足りぬ)

 

 

四方八方から襲いかかるモンスターの大群を蹴散らしながら、どこか焦っているような様子を見せているのは、フレイヤ・ファミリア団長のオッタルである。

 

ひたすらにモンスターを蹴散らす彼の脳内には昼間の出来事が鮮明に浮かんでいた。

 

 

あの赤い無機質な眼光、あの佇まい、圧倒的強者の空気……

まるで、あれはまるで───

 

 

 

(ザルド……っ!!)

 

 

 

───かつての高い高い、分厚すぎる(暴食のザルド)だった。

だが、あれはとうの昔、暗黒期に自らが倒し、乗り越え…克服したはずであった。

 

しかし、結果はどうだ。

指先すらも動かせず、またあの時のようになってしまったではないか。

 

Lv7、都市最強という驕り、怠慢、油断、慢心……

 

全てがツケとして自分に一気に降り注いできた気分だった。

 

「ウォォォォォオ!!!」

 

だがオッタルは進み続ける、乗り越え続ける。

それだけが、彼のできる事なのだから……

 

 

 

 




ちなみにウォーズマンとフレイヤのあのシーンの考えていることを表すとこんな感じ

ウォーズマン(おそらくこの騒動の犯人!一旦捕縛して治安維持の場で話を聞こう)
フレイヤ(普通にまずいわね、これ以上は虚勢が持たないわ)
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