この小説のほぼレギュラーメンバーとして登場し続けてきたドンファンでしたが、今回が恐らく最後の出演となります。
困ったときに出せば何とかなる便利さから何度も頼らせてもらいましたが、それももう終わり。ここまでの感謝の気持ちを込めて、お別れをしようと思います。
そして1つお知らせ、前回もそうだったんですが書き忘れてたのでこちらでお伝えします。
血鬼の能力うんぬんは妄想パッチワーク100%で作られてますので、「そういう捉え方もあるよね」って見ていただければと……
企業戦士の基本のキ
始業前に職場環境とメンタルを整えて多少の仕事を押し付けられた程度では崩れないよう下準備を行う。どうせ全て無に帰すけど、コーヒー飲みつつ辛い現実から目を反らすべし。
企業戦士の基本のホ
事前に立てた予想や準備が役立つことは殆ど無い、常に柔軟かつ臨機応変に対応できるよう心だけでも余裕をもっておかねばならない。
処理しきれないという名目で渡される面倒だから押し付けられた仕事たち、我らに拒否権は無い。
企業戦死の基本のン
終業時刻を過ぎてからが本当の始業時刻、寿命は燃料、火種はカフェイン、人間性を薪に焚べよ。全てが終われば酒を鎮静剤代わりに処方する、生と過労死の狭間で悶え苦しみ喘ぎましょう。
ちなみに運が良ければ日の出を拝めます、オフィスの窓から。
……やあ、現実逃避しようとしたら余計に苦しくなってきた私だよ、今は無様に床ペロリストになってます。
正確には床ペロっていうか土ペロなんだけど、細かいことはどうでもよろしい、今の私は疲れ果てて動けないんだパトラッシュ。
「いくらなんでも弱すぎるだろ、お前」
「そ、そんなこと……いわれ……ハヒュ……」
ご覧の通り、精も根も尽き果ててミイラ一歩手前になっております。何故そんなことになってしまったのかと言いますと、時は少し遡り────
武器良し、覚悟良し!我、これより人生初の戦いへと突入ス!
武器の扱いを教えるなら実践形式が一番だということで、突如開催された1級フィクサーとの一騎討ち。苦心しつつも武器を作って喜んでた後に追い討ちのハッピーを叩き込まれ、私の心と脳は既にオーバーフローを起こしています。
都市のフィクサー、それも1級という強者と相対して武器を構えるというプロムンのファンなら誰もが羨むであろう最高のシチュエーション、その空気を実際に体感できるなんて夢にも思わなかった。
そんな夢が現実となった今、我が闘志は限界を超えて熱く燃えたぎっているっ!!
「準備は良いか?」
「はい、いつでも!」
「よし、それなら……始めようか」
滾る私とは対照的に、戦いの火蓋は静かに切られた。前世含め、これが私の人生初の戦闘となる。爆ぜそうなくらいの熱を抱いたまま全力で駆け出し、武器を大きく振りかぶって………
───ズシャァァァッ!
顔を地面に擦り付けた。
───と、いうわけです。余りにも情けなくて涙が出てくるね……
気持ちだけなら無敵モードだった私だけど、気持ちが強ければ実際に強くなれるのかと言えば全くそんなことは無くてですね。
無理して武器を振ろうとしてバランスを崩し、勇んで走ってはヘッドスライディングし続ける奇っ怪な生物となって終わりでした。
一応この後は何とか立ち上がってブリーフケースで殴りかかろうとはしたんだけど、何度やっても全て回避されるわその度に勢い余って転びまくるわで、気付けば自傷ダメージで瀕死になってたよね。
いやぁ、まさか自分がこんなにポンコツだったとは思わなかったよ。1発くらいは当てる気でいたんだけど、このままだと多分1発当てる前にあの世へ昇天することになる気がする。
というか、こんな有り様で都市を生き抜くことなんてできるんだろうか、仮にフィクサーになれたとしても子犬にすら負けそうなんですけど。
「ちょっと動いた程度でこうなるんじゃ接近戦は厳禁だな…… 体力が無さすぎるし、いちいち転んで自滅するんじゃ話にならない」
「はぇ、はぅ、げ、ゲホッ……まだ、やれま……」
「そんな死に体で言われてもな……」
死んだ虫みたいにひっくり返って手足をピクピクさせるズタボロの幼女ですよろしくお願いします。
というか私ってこんなに貧弱極まってたっけ?日々の過酷な労苦のおかげで多少は鍛えられてたし、大量の書類を持ち運んでたから腕力もそこそこあったんだけど……
こんなんじゃ午前中の1時間分の仕事すら乗りきれない、まさか血を飲んでないせいで既に衰弱が……
………いや違う、身体が幼女になったから体力も幼女基準に引き下げられてるだけだ。そりゃそうだよ、こんな華奢なロリ娘が走り回りながらバッグ振り回してたら速攻でノックダウンするわ!
どうすんの、これどうすんのマジで、戦えるかどうか以前に戦うことができてないんだけど。血鬼なのに何でこんなに貧弱なんだっ!
何とかして最低限戦えるようにならなきゃマズいけど、この絶望的なスペックを誇る身体の何をどうすれば戦闘に耐え得る水準になるんだ……?
使う武器を他のものに……したところで、疲れてブリーフケースすら持てなくなってる小枝のような腕じゃ扱えるわけがないから却下。
手足を義肢に変えるとか……は怖いから嫌だし、そんなことして血鬼の能力が使えなくなったら困るからこれも却下。
なら他には……… あっ、そうだ強化施術!これならクソザコナメクジの私でも強くなれるかもしれない!
「ふう……ドンファンさん、強化施術を受けたらここからでも強くなれるでしょうか?」
「強くなれるとは思うが、血鬼がそういうのを受けさせて貰えるとは思えないな」
「血鬼ってことを隠せば……」
「隠そうとしても検査で確実にバレるだろうな、諦めた方がいい」
「そ、そんなぁ……」
終わってる、本当に終わってるよ、血鬼である利点が血で武器を作れる以外に1つも無い、ただ死亡率引き上げてるだけのデバフでしかないよ。
施術で強くなれないなら自前の能力でどうにかする以外に無さそうだけど、血の操作でどう強くなればいいんだ……?
全身に纏ってパワードスーツみたいにするとかは動けなくてデカイ的になりそうだから駄目だろうし、じゃあ逆に体内の血を固めて筋肉もどきにすれば偽りのマッスルに……っていうのも駄目、シンプルに死ぬ。
なら固めるのではなく、めっちゃ早く流してみるのはどうだろうか?某麦わら帽子の海賊がやってたギアセカンドみたいに全身の血をギュンギュンさせて、身体能力を超強化すれば………
………なんか、コレならいけそうじゃない?
「あ、あの、ドンファンさん」
「何だ?動けないから運んでくれとでも言うつもりか?」
「いえ、そうじゃなくて……試したいことがあるので、もう少しだけ付き合ってくれませんか?」
「試したいこと……?まあ、構わんが」
よし、ドンファンからの承諾もとれたし早速始めることとしよう、善は急げと言うからね。
こういうのは生鮮食品と同じく鮮度が大事、思い立った直後の勢いのままに動くのが一番なのだ。
そんなわけで重たい身体をヨイショと起こしていざ挑戦、武器を作る時と同じように体内の血を操るところまでは同じだけど、今度は集めるのではなく元の進行方向へ加速させていく。
一気にやると血が全身から爆ぜそうで怖いから、慎重にちびちびと速度を上げる。きたねぇ花火になって絶命なんて嫌だからね、命大事にやってくよ。
血流を加速させてから暫くして、全身が均一な暖かさを感じ始めた。最初は軽いランニングを終えた後と同じくらいだったけど、次第に温度が高まってきて最終的にはキツめのサウナに入ってるのと同じくらい、明確に
どこかで血が詰まったりするんじゃないかと心配だったけど、この感じを見るにどうやら上手くいっているらしい。
ただ、その、今やってるのって疲労困憊な身体を無理矢理フル稼働させてるようなもんだから……
「ふう……ふう…… 結構、キツ………」
頭がめっちゃくらくらするし、軽い酸欠って感じの苦しさがあるし、常にエグい熱量が発生し続けてるから割と余裕が無い。
自分を追い込むのには慣れてるからまだ耐えれそうではあるけど、ぶっ倒れる前に止めといて現段階でどの程度の変化が起きてるか試しておこう……
「……ふう、お待たせしました」
「微妙に苦しそうだったけど、何をしてたんだ?」
「血の流れを早くしてみました、施術を受けられないなら自前で強化施術っぽいことすれば良いかなって」
「お前、とんでもないことを思い付きでやってないか……?そんな事をしたら心臓が破裂して、目も当てられない死に方をしそうだけど」
「大丈夫そうなところで止めたので、そんなことにはならない……はずです。流石は血鬼というか、これくらいなら平気みたいなので」
「それなら良いんだけど、戦ってる最中に爆発して肉片になるとかはやめてくれよ?」
「え、縁起でもないこと言わないでくださいよ!想像しちゃったじゃないですかっ!」
割と洒落にならないジョークを挟みつつも互いに位置につき、ドンファンとの第二回戦がスタート。
同じ過ちを繰り返さぬよう、今度は姿勢を低くして重心を安定させたので転倒対策もバッチリ。 私は失敗から学ぶ女なのだ、故にあんな醜態を晒すことはもうないっ!
では見せてもらおうか、能力によって強化されたこの身体の性能とやらを!
「では、行き……」
あれ、何か足がめり込n
「 マ゜ァ ア ア ァ ァ ! ? 」
違和感に気付きはしたけど時既に遅し、信じられないパワーを発揮した右足によって私の身体はFLY AWAY、華麗にバレルロールを決めながらドンファンの方へとかっ飛んだ。
「はっ!?な、なん───」
高速回転する視界の中、一瞬だけ驚愕に染まったドンファンの顔が見えたような気がする。ごめんよドンファン、私も何が何だかわからないんだ。
ただ走ろうとしただけなのに、何故にサイコクラッシャー発動してしまったんや。そして何となく察したけど、これまた土ペロするやつでしょ、ほらもう地面が直ぐそこに………
「ぶぇっ!!?へぐっ、んぶぅ!?」
左肩から接地して跳ね飛び、背中でワンクッション挟んでからのローリング着地。
全身で大地を余すことなく体感、汚い悲鳴も合わさってもの凄く無様ですありがとうございました。
「……生きてるか?」
「1%くらい……」
「なら平気そうだな」
平気じゃないよ死にかけだよ、ずっと脳内にポケモンの瀕死BGMが再生されてるよ。
そしてさっきのサイコクラッシャー現象は何が原因だったんだ、危うく盛大な自殺をかますところだったし、一歩踏み出して「なんか足からの感触が変だな?」って思った瞬間アレだから、何がどうなってたのかさっぱりわからん。
「すみません、さっきの私どうなってたんですか」
「土を派手に撒き散らしながら飛んできたし、危うく衝突するところだった。避けられはしたが、ちょっと危なかったな」
「そ、そんな速くなってたんですか……」
「元の速さと比べると倍以上にはなってたな、それなりに良い施術と同程度か、ちょっと下ってぐらいか?」
えーっと、つまり血を爆速で流したら脚力がとんでもない事になって、蹴る力が強すぎて地面粉砕しちゃって、そのせいでバランス崩して変にズレたからああなったってこと?
とんでもねぇぜ血鬼パワー、私みたいな幼女でもちょっと熱いのを我慢すればお手軽に超人並みの身体能力を得られるなんて。
しかもこれに眷属と驚異的な再生能力まで加わってくるんだから、そりゃ専門のフィクサーが出てくるくらい警戒されますわ。
「いっ、たた……もうちょっと……慣れるまで……」
「まだやるのか?一旦休んだほうが良い気がするけど」
「こういうのは……感覚を忘れないうちにやるのが良いので………すぅ……はぁ………」
案ずるな、限界を攻めるのは慣れてるんだ。というわけで第三回戦スタンバイ、何故かドン引きしてるドンファンを余所に落ち着いて深呼吸をしておきまして、ぶっ飛んだショックで元に戻ってた血流さんも再加速しまして、これにて準備完了です。
ドンファンの方もいつでもOKっぽいし、それじゃあ……今度こそはっ!
「───ふッ!」
開戦の挨拶は省略し、直ぐ様飛び出す。土を砕かないように軽く踏み出したつもりだったけど、これでも視界がブレブレになるくらい速い。
こんな速度で動いてる最中に武器を振れば即転倒からの御陀仏コースになりそうなので、振るのではなく横へと付き出したまま、当て逃げするような感じで……!
「速度を活かす発想は悪くはない、けど……」
当たる、勢いを乗せて真っ直ぐにドンファンへと向かう攻撃を見ながら私はそう思った。これだけの速さなら、もしかしたら………そう淡い期待を抱いたけど、それは直後にあっさりと否定された。
「分かりやす過ぎるな、それじゃあ」
攻撃が当たる寸前、身体を半歩だけずらす最小限の動きで回避される。避けられることを考えていなかった私の身体はドンファンの後ろへと飛んでいき、壁に衝突しそうになって慌てて両足でブレーキをかけて停止した。
「単調な動きじゃいつまで経っても当たらないぞ、どうすれば予測しづらいか、どうすれば対処を困難にできるかを考えろ」
……そりゃそうか、素人の考え付くようなことに1級フィクサーが対応できないわけがない、この程度の攻撃じゃ簡単に避けられるか。
でもだからって他に方法が思い浮かぶわけでもないし、何度も攻撃して糸口を探るしかない。
「まだっ、てやぁぁ!!」
武器を構え直して攻撃再開、何度も反復して攻撃を繰り返すものの、やっぱり同じように対処される。蛇行しながら走ったり、回り込んだり、目の前で急停止したりと思い付く限りの工夫もしたけど結果は変わらなかった。
「脚の速さに頼った動きが通じるのは格下だけだ、攻撃を当てたいなら俺の予想を越えてみろ」
「はあ、はぁ……わかって、ます……」
あの速さでもドンファンにはしっかり見られている、だから全力で走り回っても翻弄することは難しい、というか無理だ。
しかも戦闘経験豊富なあちらに対して、私は今日戦い始めたばかりのペーペーのド素人、あらゆる面で圧倒的な差があることは考えるまでもない。
ゲーム的に例えるならドンファンが都市の星クラスなのに対して、私は良くても都市伝説程度。基礎ステータスの時点で圧倒的な差をつけられてるし、技の性能も大敗している。
そんな絶望的な実力差を覆せるものがあるとすれば、それはきっとドンファンですら対応できない初見殺しのようなもの……
そう、例えばさっきのサイコクラッシャー現象みたいに………
───避けられはしたが、ちょっと危なかったな
───当てたいなら、俺の予想を越えてみろ
…………これだっ、私の唯一の勝ち筋は!!
「ドンファンさん、先に言っておきたいことがあります」
「……なんだ?」
私のブリーフケースは形だけは完全再現できている、動かないけどファスナーは付いてるし、取っ手の金具までそっくりそのまま作れている。
そしてこれは武器ではなく収納用具、であるならその内側は当然
残念ながら開閉まではできないけど、これは血で作られた物、血鬼の能力で何かを入れるための穴くらいは開けられる。
「今から私がやることを………」
側面に手を当てて小さな穴を開け、そこから血を流し込む。充分な量が入ったら準備完了、後はブリーフケースに詰め込んだ血液に私のイメージを注ぎ込み、大振りに構えて───
「理不尽だからって、怒らないでくださいね!」
受けてみろ、即興で考えた私の必殺技っ!
「……っ!?うおぉぉぉ!!?」
ブリーフケースを横に振ると同時に底面を突き破って現れたのは、異様に長い1本の棒。
並大抵の攻撃なら避けられるし、私の全速力でもドンファンの反応速度を越えられない。ならば避ける余地を物理的に潰せる攻撃範囲でもって、更にそれを前触れ無く出せば良いという力業にも程がある滅茶苦茶な攻撃。
けど、その効果は大きかった。本来なら当たるはずのない位置からの攻撃にはさしものドンファンも不意を突かれたらしく、武器で辛うじて防いではいたものの、受け止めきれずにその場から大きく後退させることができた。
欲を言えば武器を手放させたかったけど、体勢を大きく崩している今が絶好のチャンス。今のうちに追撃を………
「うぐっ!?」
……しようとして踏み出した瞬間、全身に信じられないくらいの激痛が走った。耐え難い痛みに立っていられなくなり、私はブリーフケースの重みに引かれるように地面へと倒れ込んだ。
身体を動かそうとする度にズキンと鋭い痛みに襲われるせいで起き上がることもできず、倒れたまま痛みに震えることしかできない。
もしかして、色々やりすぎた反動が一気に爆発しちゃった……?2連続の身体強化に武器の変形と能力を使ってやりたい放題やっちゃったし、いくら何でも無茶だったのかもしれない。
「お、おい、どうした!?」
「からだ……全部、痛くて……」
もう復帰していたらしいドンファンが駆け寄ってきて、私の側で屈み込んで二の腕や太ももに手を当てている。
触診してくれてるっぽいけど、触られた刺激でも結構痛むのですが………
「あ、の……痛い、です」
「今どうなってるか見てるから、少し我慢してろ」
痛いと言っても止めてくれず、かといって文句を言えるわけもないのでされるがまま。そうしていること十数秒……… ようやくドンファンは手を離してくれた。
「軽く触ってみたが、全身の筋肉が痙攣を起こしてるな、無理に動きすぎたせいで限界を迎えたって感じだろう」
「能力、使いすぎたのかな……」
「それはわからない、俺は血鬼に特別詳しいわけでもないから。とにかく今は身体を休ませるべきだな」
もう、この身体は本当に脆いというか柔いというか…… 血鬼だから同年代の肉体よりは頑丈なのかもしれないけど、ちょっと戦ったくらいでこうなるんじゃ殆ど頼りにならないよ。
こんな有り様じゃ続きをやるのは無理だろうし、回復を待つにしてもいつ復活できるかもわからないし、ドンファンにはもう帰ってもらった方が良さそうかなぁ。
「わかりました…… ドンファンさん、今日はありがとうございました」
「どうした、急にお礼なんか言って」
「これ以上迷惑をかけるのは申し訳ないので、ここまでにしようかなって…… もう、充分お世話になりましたから」
動けるようになるまではここで寝て待つとして、その後は武器の素振りでもして自主練してようかな。今日はもう能力を使わない方が良さげだし……
「改めて、ありがとうござい───ふぇ?」
ん?ドンファンさん、何故私の身体を持ち上げてるんです?
「なに、してるんですか……?」
「土の上で寝るつもりか?ソファで休んでた方が治りも早くなるだろ」
「だ、大丈夫ですよ、血鬼の身体なら直ぐ治ると思いますし」
「倒れた子供を放置して帰るほど俺は外道じゃない、最後にそれくらいはしてやるよ」
「………ありがとうございます」
あんな卑怯全開の初見殺しを食らわされたのに、よくそこまで優しくできるね、助かるから良いけどさ……
それにしても、身体全然動いてくれないな……能力使えば強くなれるのは良いけど、直ぐに耐久限界を迎えてこうなるんじゃマトモに戦うのは無理だろうし、この辺は追々対策を考えておかないといけない。
ああいう奇策ばっかりに頼ってちゃいけないし、そういう事しなくても大丈夫なように特訓は必須かなぁ……
そういえば、ドンファン的にはあの技はどうだったんだろうか。ノリと勢いで技名まで付けちゃったけど、あれも弱かったって言われたら正直へこむ。 ちょっと怖いけど気になるし、聞いてみるか……
「……さっきの技、どうでしたか?これなら当てられるかなって考えてみたんですけど………」
「ああ、最後のアレか。良かったと思うぞ」
「ほ、本当ですか?」
「本当だ、見事にしてやられたよ」
おお……まさかそんなストレートに褒めてもらえるとは……… なんか、こう、色々難癖つけられるかなぁと思ってたから………
「えへへっ」
すごく、嬉しいな。
その後、ドンファンは私をソファに寝かせてから家を出ていった。帰り際にいくら血鬼でも限界はあるから今日は安静にしておけって言われたし、色々終わったせいか、どっと疲れが押し寄せてきて眠気も凄まじいし、このままひと眠りしちゃおうかな。
「……ドンファンとはもうお別れかぁ」
ふと、私が都市で目覚めた日の事を思い出した。あの時は状況が読み込めなくてドンファンをコスプレイヤー扱いしたり、持ってる武器にガチビビりしたりしてたっけ。
あの時は、まさかここまで頻繁に会うことになるなんて思わなかったな。
「ずっと……お世話になりっぱなしだったなぁ」
都市に来て最初に出会ったのがドンファンで良かったって心から思う、お陰で色んな問題を解決できたし、今日も最後まで私を助けてくれたから。
無事フィクサーとして大成できたら、恩返しとしてドンファンにご飯でも奢ってあげようかな、それくらいで返しきれる恩じゃないけど、ちょっとは返しておかなきゃね。
「ふぁ……もう、寝よ……」
目が覚めたら、今後どうするかを改めて考え直さないとね…… バイト先の諸々の事とか、フィクサーの事とか、放っておけないものが沢山あるし。
今日は心配事も、出来ることも増えた1日だった。安定とは程遠いけど少しずつ磐石な地盤を作れてはいる気がするし、これからも地道に頑張っていこう。
明日もまた、どうにか乗り越えていけますように
さらばドンファン、ありがとうドンファン
前回の後書きで予告した通り、9月半ば……をちょっと過ぎての投稿となってしまいました。
あっちこっちに大迷走、非常用の妄想パッチワークさんも常在職員みたいになってるし、いつの間にかこの作品自体もブラック企業みたいになってきてる気がする。
………と、そんな話しは置いておきまして、ちょっと前に出したアンケートについてお離しさせていただこうと思います。
まず、アンケートに答えてくださった皆様、ありがとうございました!
まさか30人以上の方が答えてくれるとは思わず、途中から少しビビってしまいましたが……おかげでやるかどうか決めることができました。
短編をどこに挟むかはまだ未定ですが、2話ぶんの構想は決められてるのでチマチマ仕上げていくつもりです!
何もかもが無計画の番外編、アリかナシか
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アリ
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ナシ