史上最強のドラゴンポケモンになったけど弱すぎるので竜の心を知る娘に養われます   作:秋塚翔

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サンヨウのレストラン経営、シッポウの博物館兼用、ライモンのジェットコースター施設といい、「街の機能も担っているポケモンジム」ってあり方はとてもリアル指向で好き。


森のリベンジマッチ

「いや情けないところを見せたね。恥ずかしい限りだよ」

 

 あっはっはっは、と恥を吹き飛ばす豪胆さで笑うアロエ。

 

 ヤグルマの森を後にした俺たちは、シッポウシティにあるカフェ『ソーコ』で一息吐いていた。

 アロエの奢りで注文したサイコソーダに旅での喉の渇きが潤う。

 アコーディオン弾きの奏でる音がこの街のBGMを思い起こさせてくれるぜ……

 

「それで、さっきのバオッキーたちって一体なんだったの? アロエさん」

 

 ジュースを味わうのもそこそこ、アイリスが早速本題を切り出す。

 神妙な顔になり、アロエは語り出した。

 

「ああ。あれは最近ヤグルマの森でデカい顔している流れ者の三匹でね。自分よりも強い相手がいないのを良いことに、この辺りで好き放題やってるのさ。森を荒らすのはもちろん、そこを通行する人たちを襲って食料を奪ったり、このシッポウシティまで来ては暴れることもある厄介な野生ポケモンなんだよ」

 

 西部劇のならず者かよ。近くの町とか支配するヤツ。

 

「見過ごせずシッポウ周辺のトレーナーがなんとか対処しようとしたんだけど、これが見てもらった通りの厄介ぶりでねえ。三匹の息合ったコンビネーションで何人も返り討ちに遭っているんだ。それで今日あたしが挑みに行ったんだが……まさかこの齢で野生のポケモンにやられるなんてね。油断してしまったよ」

 

 苦笑混じりに言うアロエ。

 これがただの害獣被害なら前世でもあった話だが、実力のあるジムリーダーでも押し負けるのはただごとじゃないだろうな。直接戦ってないけど、(俺はともかく)ジムで活躍する一線級の姐さんらが後れ取ったのは驚きだ。

 

 冗談抜きで、このまま止められなきゃもっと被害が広がるだろう。

 

「分かった! じゃあ今度はアイリスもちゃんと手を貸すよ!」

「そりゃありがたいが……いいのかい?」

「もっちろん! これも修行のイッカンです! それに、アロエさんの力になりたいもん!」

 

 と、アイリスがまっすぐ言い放つ。正義感の強い子で誇らしいよ(保護者面)

 

「嬉しいことを言ってくれるねえ。よし、それならお言葉に甘えようか! ――連中がこの時間にうろつく場所は把握してるんだ。これからもう一度リベンジと行こうかね!」

「おーっ!」

 

 ナチュラルボーンママ強い。もうやるんか。

 しかしまあ、部外者ながらこっちも黙ってられないわ。オヤブンならまだしも、ちょっと腕が立つジェネリック御三家(イッシュ三猿)にナメられたままじゃ、アイリスの手持ちポケモンとしても面目がない。

 ボールの中で姐さん方も同じくリベンジに燃えてる気配。

 心が一つになったとこで。十分回復した俺たちは森へと舞い戻る――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いた。

 再びやって来たヤグルマの森。倒木が自然のまま橋や道となる空間にて。

 先ほど遭遇し取り逃がしたバオッキー、ヒヤッキー、ヤナッキーのならず者三野猿が倒木の一つに固まり、我が物顔で寛いでいた。周囲にはぞんざいに食い荒らした木の実や、街中や通行人から奪ったらしい食料のゴミが散らばっている。まさにならず者たちの巣って感じ。

 サンヨウのトライアルトライアングルが見たら、同じポケモン使う身として俺たち以上に許しがたいんじゃなかろうか。

 

「――バキャっ!?」

 

 ふと、まずバオッキーがこちらの接近に気付いた。

 それに続く形で、ヒヤッキーとヤナッキーも臨戦態勢を取ってくる。

 

「悪いが今度こそ懲らしめさせてもらうよ! ハーデリア!」

「人に迷惑かけちゃダメなんだから! オノンド、クリムガン!」

 

 アロエはハーデリア、アイリスは俺を脇に置いてオノンドとクリムガン姐さんを繰り出す。

 トリプルバトルの形態。BWといえば新規追加のこのバトルルールだよな。

 勇んで来た俺は外されたが、これは仕方なし。しっかり覚悟して人と共に挑むならそうなる。

 

「ハーデリア、とっしんだよ!」

「オノンド、りゅうのまい! クリムガンはつじぎりで注意を引いて!」

 

 それぞれの指示にそれぞれのポケモンが応える。

 

「バキャア!」「ヒキャっ」「ヤキャっ」

 

 対して三野猿はバオッキーからの号令で、また堂に入った陣形を組む。

 ついさっきの○ェットストリーム○タック風ではなく、今度のは互いに適切な距離を保ったフォーメーション。そのまま三匹もそれぞれの技を繰り出して対抗してくる。

 

 ジムリーダー二人に、そのポケモンたち。およそ野生のポケモンには厳しすぎる相手のはずなのだが、三野猿はそんなこと気にも留めず、いっそ果敢に攻め入って来た。

 

 戦況をトレーナー側で見守る俺は、それで気付く。三野猿のフォーメーション。一見して個々に戦っているようだが、お互い絶妙な距離感を維持し、仲間が危なくなれば即座にそちらに割り入って支援し、逆に好機と見てもすぐに結集して連携攻撃を仕掛けていた。

 妙に考えられたコンビネーション戦法。マジでこいつら根っからの野生か……?

 

「バウ……っ」

「っ、ハーデリア!」

 

 その三野猿の攻撃によってアロエのハーデリアが力尽きる。

 生まれる三対二の構図。そこを見逃さないとばかり、バオッキーらはオノンド姐さんたちに畳みかけてきた。

 ヒヤッキーが猛烈な冷気を漂わせる――『ふぶき』だと!? まずい!

 

ヒュラ(姐さん)ッ!」

 

 考えるより先に体が動く。

 姐さんたちに浴びせ掛けられる『ふぶき』を、俺が一人で受け止める!

 

「ヒュラ!? 大丈夫!?」

「……ヒュラララ」

 

 タイプ的に問題ないと思ったが、まあまあな威力によろめく。我慢して無事を示した。

 思わず場に出ちまった。こうなると戦わざるを得ないけど……ぶっちゃけ、アロエとアイリスでこうも手こずる相手に俺が出てどうにかできる気はしないんだが。潔く交代されるか?

 

 でも、その間を狙って姐さんたちが倒されでもしたらますますマズいな……

 こうなれば、とにかくやるしかねえ!

 

「バキャアッ!!」

 

 って!?

 意気込む俺の前にヒヤッキーとスイッチして出てきたのはバオッキー。

 口から『かえんほうしゃ』を吐いて俺を狙い撃ちしてきた!

 

 ちょっ、待て待て待てェ!?

 ガチで弱点突くじゃん! やっぱ元は誰かのポケモンだったろお前ら!?

 

「グアウッ!」

 

 体の氷が蒸発しそうな火炎が迫る寸前、クリムガン姐さんが身を挺してそれを庇ってくれた。

 守りに来た分際で反対に守られて申し訳ないぜ……!

 

「グァッ!」

 

 オノンド姐さんが『ドラゴンクロー』を揮う。

 対する三野猿、軽い身のこなしでその狙いを乱すように立ち回り、技を空振りさせる。

 

 ならばと俺とクリムガン姐さんが日頃の稽古を活かし、息を合わせて攻勢に。姐さんの『つじぎり』でお返しと相手を攪乱し、そこに意識が向いたところを俺が渾身の『ドラゴンテール』を繰り出した。

 ヤナッキーがそれを受け、場外へと弾き飛ばされていく――が、

 

「――バキャっ!」

「ヤキャ!」

 

 なんと、バオッキーが吹き飛ぶヤナッキーの手を素早く掴み取り、強引に引き戻した。

 野生のポケモンならこれで決着のはずが、それにより戦闘の場に戻るヤナッキー。

 

 とんでもねえ協力プレイだ。ならず者なのが惜しいくらいだぞ……

 

「ヒキャァ……!」

 

 またヒヤッキーから冷え冷えする空気が発せられる。

 二度目の『ふぶき』。姐さんたちは当然だが、もう一回身代わりで受けたら俺でも厳しくなる一撃が準備されようとしていた。

 く、どうする。俺の戦闘不能覚悟で受け止めるしかないか?

 考えている時間はない。思い立ったままに、前に出ようとする俺。

 

 その時だ。

 

 

 

「――ヤルッキッ!!」

 

 

 

 ザンッ!!

 

「っヒキャ!?!?!?」

 

 鋭い声と空を切る音と共に、ヒヤッキーに横やりを入れる影が飛び行ってきた。

 それに驚いたヒヤッキーが技の準備を中断させる。

 

「ヤルッキ……!」

 

 三野猿と対立するように向かい合う影――ポケモン。

 

「あれは……ヤルキモノ?」

 

 アロエが目を見張ってそいつの姿を見やる。

 いや、()()()()と言うべきか。

 

「ヤルッキ!」

「ギイィ!」

 

 突如現れた一つのポケモンの影。

 しかしそれは、二匹のポケモンであって。

 

 三野猿に文字通りやる気を漲らせるヤルキモノと、

 それに抱えられる形で、同じく臨戦態勢を取るフシデの姿があった。




なんか人気投票ネタで有名なイッシュ三猿のポジキャンっぽいけど、別にイッシュ三猿には思い入れないのでそういう気はまったくないです。サンヨウジムでは大助かりじゃありましたが。むしろバトルサブウェイで滝登り怯み連発してきたの許さんぞヒヤッキー…!感。

突如参戦、謎のヤルキモノ&フシデ。
実は他作品クロスだったり。このハーメルンで長く交流ある放仮ごdzさんの作品「懐刀のコマタナさん」の蛮族コンビ(非公式名)がそうなる以前の姿という形。ちょっとしたコラボってことで。

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