「
黄金の剣が姿を変える。
殺意を漲らせた美しき三叉槍が、その手に握られていた。
マハトが地面を穂先で突くと、不壊の黄金に凹地が穿たれた。
破片は意志を持ったように連なり、巨大な破壊の巨槍を形成した。
「お前は遊びでどうにかなる人間ではなさそうだ」
黄金郷の主は静かに言った。
「最強の七崩賢、黄金郷のマハトが全力を持って相手取ろう」
「めでたいね」
五条悟の左腕がすべて再生した。
「全力を出せば勝てると思ってる頭が随分と」
「行くぞ」
マハトの魔力が爆ぜた。
黄金郷に魔法影響が与えられる。
その命令に従って、世界で最も綺羅びやかな都は駆動する。
地面がグラグラと揺れた。
地面から黄金の尖塔が突出し、それがいくつも飛び出す。
それは頭上のはるか上にまで伸びて止まった。
(地形変化……瞬間移動封じか)
瞬間移動は進行方向に物体が存在しない時にしか使えない。
普通なら蒼で事前になぎ倒せばいいがこれは不壊の黄金。
「よし」
五条悟は飛翔した。
魔族はそれを追う。
本来、飛翔は人間には叶わぬ力。
しかしここにいる誰もが、それを当たり前の者として身に宿していた。
人知を越えた魔族と、人知を越えた最強による、決戦が開始した。
「術式反転――――――――」
五条悟は、飛ぶのを止めた。
その指を、追随する魔族へ向ける。
「赫」
波動が二人を叩きつけた。
青い防御魔法が散る。
数本の岩の柱が動き、五条悟へ枝を伸ばす。
「蒼」
瞬間移動での回避。
不壊の枝は足元で衝突した。
(溜めがデカいとやられるな)
速攻の蒼に切り替え。
ポポポポっと蒼い球を展開し、マハトへ向けて放つ。
完璧なタイミングで、マハトは防御魔法を展開した。
蒼は、防御魔法を貫けない。
「知ってるよ」
五条悟は、マハトへ接近していた。
今の蒼は接近のためのブラフ。
「ぶん殴りゃいいんだろ」
マハトの剣を拳が叩く。
――――――出力全開
「蒼」
幾星霜の時を生きたマハトの体。
異なる世界からやって来た、未知なる現象が襲いかかる。
「――――!!」
内側へひしゃげそうな感覚。
マハトの腹でボールほどの大きさで展開した蒼は極小の空間への収縮を強制する。
マハトと蒼の球は地面へ打ち付けられ、噴煙を上げる。
「………………!!」
その衝撃が些細なものと思えるほどに、肉体が軋んだ。
「頑丈だね」
蒼い虚空に飲み込まれていながら、体はまだ形を保っている。
通常の蒼ですら両面宿儺の腹部を削り取り、最大出力に至っては式神
しかし耐えている。
ならば、もっと。
術式へ並のように呪力を流し込む。
自らの全力を以て相手取ることが、五条悟にとってどれだけの贅沢か。
それはつまり、自らをより高いところへ導く相手。
遠慮なく満身の力を込められる相手。
蒼い力を更に研ぎ澄ます。
顎吐を一発で破壊した以上のものを。
黄金の柱が動いた。
五条悟へ向けて破片が飛ばされ、無限によって留められる。
しかし蓄積するように、張り付くように、破片の散布が続く。
途端、五条悟の全身を包み込むように、ぐにゃりと形を変えた。
「!」
とっさに全方位への蒼で黄金の膜を吹き飛ばす。
(包まれれば詰みだ)
不壊の黄金に封じられれば逃げられない。
離脱、より高いところへ飛ぶ。
それにより、マハトへの意識がブレることとなった。
青い防御魔法が、蒼を包み込む。
術式そのものが散らされた。
「マジか」
さすがに数多の裂傷がある。しかし、その程度。
だが五体満足。
すっ、とマハトは槍の穂先を五条悟へ向ける。
マハトの周りに、五本の黄金の尖槍が形作られた。
不壊の上に、展延がまとわれている。
「いいね」
空気がヒリつく。
数百年生き研ぎ澄まされた、マハトの魔法が力技をやろうとしている。
「止められるのならば押し通ろう」
裂けんばかりに、最強の口端は上がった。
「来いよ」
槍が、胎動した。
五条悟は無限を広げる。
――――無限と黄金が衝突した。
「――――――――!!」
無限を割かんばかりの威力。
風圧でマハトの髪が逆立った。
無下限と展延が衝突する鈍い音がゴリゴリと鳴り響く。
ものすごい速度で無限が剥がされる。
(さっきより更に出力が上がっている!)
五条悟は両手を外へ広げていた。
(無限ごと押しつぶされそうだ)
圧倒的な重さ。
急速に無限が広がる。
ただでさえ動かぬ黄金の都に、更に不動が強制される。
それはマハト自身にも届き、展延との押し合いを始め、さらに際限なく広がってゆく。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ――――――――
その瞬間に五条悟は、無限を解いた。
「――――――ハハッ」
五本の槍の先。
体感時間が引き延ばされる。
一瞬でも蒼の行使が遅ければと考えると、背筋が楽しげにゾクリする。
下方向への瞬間移動と同時に身をひねった。
次の瞬間には五条悟の脚が地に着いている。
回避成功。
そう思った時、ボトリと遠くに右腕が落ちた。
そこには黄金の破片が突き刺さり、無残に断面がちぎれている。
(ほんのちょっとかすっただけなんだけどな)
「驚いた。避けられるのか」
黄金郷のマハトは真剣な眼差しで見た。
「三十年モノだぜ。高くつくぞ」
五条悟は左腕で黄金の左腕を握った。
甲高い音が鳴った。
黄金の三叉槍が黄金の腕の振り抜きを受け止める。
最強同士の目と目が合った。
自らの技を極限まで高めた者同士の視線。
五条悟はもちろん、マハトも微笑んでいた。
戦いへの愉悦を、強者たちは確かに共有している。
マハトの剣と五条悟の腕が幾度か交差する。
そして、そこに割り込む影。
「
魔法を回復させたソリテールの声が響いた。
まばたきの間に、黒い空間が三者を包む。
戦いのボルテージがまた上昇した。
「楽しいね」
五条悟は掌印を結び、笑顔で言った。
もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)
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五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
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上二つをいい感じにバランス取った話
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そんなことよりプリン食べたい