「
黄金の剣は姿を変え、殺意を漲らせた美しき三叉槍に姿を変える。
人ならざる者が地面を突くと、不壊の黄金に凹地が開いた。
散る、
まるで意志を持ったように連なり、巨大な破壊の巨槍と成る。
「お前は遊びでどうにかなる人間ではなさそうだ」
黄金郷の主は静かに言った。
「最強の七崩賢、黄金郷のマハトが、全力を持って相手取ろう」
「めでたいね」
五条悟の左腕がすべて再生する。
「全力を出せば勝てると思ってる頭が」
「行くぞ」
魔力が爆ぜた。
黄金郷に影響が与えられる。
この世でこれを御せるのは、黄金郷のマハトただ一人のみ。
その命令に従って、世界で最も綺羅びやかな都は駆動する。
地面が形を変える。
突き出る黄金の地層が、岩峰林の如き鋭い岩山を形作った。
それは頭上のはるか上にまで伸びる。
(地形変化……瞬間移動封じか)
五条悟を最速たらしめる瞬間移動。それは直線距離に物体が存在しない時にしか使えない。
木々なら青で事前になぎ倒せばいい。しかし、相手は不壊、黄金の柱。
これにより五条悟は長距離での瞬間移動を封じられた。
より立体的な距離を確保するため、五条悟は飛ぶ。
それぞれの最強を冠する三人が、自然に舞台を宙へ移す。
それぞれが持つは人の摂理を嘲笑う力。
しかしどれもが、自らには生まれた時からの
人知を越えた魔のモノと、人知を越えた最強による、決戦が開始する。
「術式反転――――――――」
手を構える五条悟。
一瞬の動きをマハトは察知した。
岩柱から、黄金の枝を五条悟へ伸ばす。
一本一本が防御魔法を紙屑のように吹き飛ばす黄金の寄せ集め。
五条悟の脳裏にチラつく、先ほどの展延。
『赫』の発動を中断する。
上へ、瞬間移動をした。
衝撃波。
つい先程までいた場所に、黄金の枝が衝突する。
破片が散り、キラキラと輝いた。
「蒼」
速攻の蒼に切り替える。ポポポポっと蒼い球が空に現れる。
明確な指向性を持ってマハトへと向かった。
しかし明白。術式順転『蒼』は、防御魔法を打ち破れない。
「知ってるよ」
五条悟は、マハトへ接近していた。
「ぶん殴りゃいいんだろ―――――――!!」
最強の拳。
防御魔法程度がそれを受け止められるはずもなく音を立てて割れる。
そこへ。
――――――術式順転
マハトの体躯へむけて。静かに最大出力を込めて。
幾星霜の時を生きたマハトにとっても未知の、異なる世界からやって来た、最強の呪いが襲いかかる。
「蒼」
理を捻じ曲げる収縮の力が全身を包んだ。地面へ衝突する。
しかしそんなものなど些細に感じられるほどに、押しつぶしの力が強かった。
「………………!!」
数百年を生きてきた強固な肉体が軋む。
「頑丈だね!」
蒼い虚空に飲み込まれていて、体はまだ形を保っている。
通常の蒼ですら両面宿儺の腹部を削り取り、最大出力に至っては式神
しかし耐えている。
よってさらに五条悟は術式の行使を続ける。未だ行なったことのない、さらなる威力の高みへ。
『自らの全力を以て』
それが、五条悟にとってどれだけの贅沢か。
自らをより高いところへ導く相手。それは人生の珠玉。だから、遠慮なく満身の力を向けられる。
蒼い力を更に研ぎ澄ます。
顎吐を一発で破壊した時のそれ以上のものを。
黄金の柱が動いた。マハトがなんらかの動きを見せた。
五条悟へ向けて破片が飛ぶが、無限によって留められる。
しかし蓄積するように、張り付くように、破片の散布が重ねられる。
途端、五条悟の全身を包み込むように、黄金がぐにゃりと形を変えた。
「!!」
とっさに全方位への蒼を行使する。
形成しかけの黄金の膜たちは吹き飛ばされた。
(不壊の黄金……包み込まれれば積みか!)
五条悟は瞬時の離脱を決断した。
無下限とて、現時点では不壊の物体は対応ができない。
しかしその回避により、一瞬、蒼への意識が中断されていた。
マハトは防御魔法を構築。緩んだ蒼を吹き飛ばす。
姿を表したマハトの体は、五体満足だった。
「マジか」
さすがに数多の裂傷がある。しかし、その程度。
マハトは三叉槍を五条悟へ向ける。極太の黄金槍が五本作られた。
不壊の上に展延を纏ったそれらが、五条悟に向いていた。
「いいね」
空気がヒリつく。
数百年生き研ぎ澄まされた、マハトの魔法。
更に彼によって構築された、展延の魔法。
それを纏っているのは、黄金の質量を持つ巨大な槍。
概念的に不可侵の無限を、力技で押し通そうとする魂胆。
裂けんばかりに、最強の口端は上がった。
「来いよ」
槍が、胎動した。
五条悟は無限を広げる。
――――衝突。
「――――――――!!」
衝撃。
空気を割かんばかりの威力。
風圧でマハトの髪が逆立つ。
無下限と展延が衝突する、鈍い音。
ゴリゴリと空間は飲み込み合う。
ものすごい速度で無限が持っていかれる。
五本の槍に纏わる展延の密度が尋常ではない。
「……!!」
目をかっぴらいて最強は笑う。
「驚いたな」
マハトは感嘆する。
五条悟は両手を外へ広げていた。
無限ごと押しつぶされそうな感触がする。
存在としての圧倒的な重さ。不壊の黄金の感触が無限越しにもあまりにも重く感じられる。
落花の情や簡易領域のような小手先は通用すらしないだろう。
領域を展開せずとも必中必殺の最高峰の呪い、名の通り万物を黄金に変える魔法。
急速に無限が広がる。
ただでさえ動かぬ黄金の都に、更に不動が強制される。
それはマハト自身にも届き、展延との押し合いを始め、さらに不可侵の半径が際限なく広がってゆく。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ――――――――
その瞬間に五条悟は、無限を解いた。
「――――――ハハッ」
五本の槍。
五条悟の体感時間が引き延ばされる。
それでもあまりにも速い速度で槍が遅い来る。
一瞬でも蒼の行使が遅ければ。そう考えると、背筋が楽しげにゾクリとした。
下方向への瞬間移動と同時に身をひねる。
次の瞬間には五条悟の脚が地に着いていた。
ボトリと、遠くに右腕が落ちた。
そこには黄金の破片が突き刺さり、無残に断面がちぎれていた。
「ほんのちょっと掠っただけでこれかよ」
腕が、再び再生を始めていた。
「驚いた。避られるのか」
黄金郷のマハトは真剣な眼差しで五条悟を見る。
「避けるとも。僕は最強だし最速だから」
五条悟は黄金の左腕を握った。
蒼と同時に跳躍し黄金腕を振り抜く。
甲高い音が鳴った。
黄金の三叉槍が黄金の腕を受け止める。
そこに最強同士の目と目が合う。
それは自らの技を極限まで高めた者同士の視線。
彼らのみに分かる確信が、今、目で交わされている。
五条悟はもちろん、マハトも微笑んでいた。
戦いへの愉悦を、強者たちは確かに共有している。
その瞬間。
「
魔法を回復させたソリテールの声が響いた。
まばたきの間に、黒い空間が三者を包む。
戦いのボルテージが、また上昇した。
「楽しいね」
五条悟は掌印を結び、笑顔で言った。
もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)
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五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
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上二つをいい感じにバランス取った話
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好きにやっていいよ
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そんなことよりプリン食べたい