(本来生得術式と展延は同時には使えない……なぜなら自分の体を中心に発動する生得術式には纏っている展延が邪魔になるから。
僕がやってるのも片手に展延をまとったりするだけだ。
でもこいつは始めっから黄金にだけ展延を纏わせて攻撃してくる。
ビビるくらいに厄介だな。実質的に術式を無効化されて殴られてるみてーなもん)
五条悟は掌印に集中し、
が、相手は至高の魔族二体。どうしても押し返されてしまう。
脳がチリチリする。限界まで術式を行使しても拮抗が難しい感触だった。
五条悟は現状の維持を諦めた。
掌印を結び、領域の範囲を狭める。
「頑張ってね、ヘルファ」
宿儺がやったように、閉じない領域の外縁を狭め、術式効果を底上げする。
無量空処の威力が跳ね上がり、押し合いが拮抗した。
ソリテールは感嘆した。
「恐ろしいわね。まだ出力が上がる」
「蒼」
五条悟は一分も相手に構わない。
術式を込めた腕で、ぐいっと後ろに引っ張る。
ソリテールは動揺した。
(体が引っ張られている)
強力な蒼。
(抵抗しなければ)
ソリテールは飛行魔法を駆動した。
しかし、五条悟はより蒼の出力を高めるだけだった。
「恥ずかしがんなよ」
(抵抗――――しきれない、なら)
ソリテールは剣を創造した。魔力によって形作られた十二本の剣。
それを一斉に五条悟へ飛ばす。
「効かねえって」
無限に阻まれ、剣は五条悟の前で停止する。
ブーンと低い音がした。それは、五条悟の振り上げた拳に蒼がまとわれる音。
ソリテールの端正な腹部を、遠慮なくぶん殴る。
「!」
今度は五条悟が動揺する番だった。
(硬い)
ソリテールが地面を二転三転する。
しかし、手応えが弱かった。
それは、まるでバカでかい水槽をノックしたかのような感触。
「魔力で防御したのか」
「けほっ、強烈ね」
ソリテールは咳込んだ。
しかし大して聞いている様子がない。
乙骨優太でさえ、食らって嘔吐をしたのだ。
乙骨優太に比肩する魔力量。
素の肉体的強度からすれば、それ以上の可能性もある。
五条悟は思考する。
フリーレンにも、マハトにも、魔法を発動するときには「タイムラグ」があった。この眼の前のソリテールにさえ。
しかし、魔力の操作に至っては、ソリテールはそれがない。
フリーレンや他の魔法使いには見たことがない挙動。
そもそもこの世界の魔法使いは、魔力操作の肉弾戦を想定していない。例えば、ゾルトラークに当たればどれだけ肉体を鍛えていても意味がない。
しかしこのソリテールは、魔力操作による防御を、実戦レベルにまで鍛え上げている。
これまで「魔法の隙」さえ付けば勝つことができ、五条悟は一強だった。
ソリテールはそんな中で、魔力操作では五条悟と同じ土俵に立てる、初めての魔法使い。
自らに比肩する可能性――――五条悟の口角とギアが上がる。
五条悟は掌印を結んだ。
詠唱とともに、術式に呪力を流し込む。
「
蒼い太陽は膨大な出力を解き放つ。
ソリテールとマハトは、体が意に反して吸い込まれそうになる感覚を覚えた。
飛行魔法を呼吸のように扱う魔族ですら、抵抗が厳しくなるほどの吸引力。
かつての戦いで食らった、フリーレンの『
そのイメージが、五条悟に新しい解釈を与える。
「吸い込まれたら、出てこれるかな」
「……!」
二人の魔族は、飛行魔法を全開に抵抗を始めた。
✕
「黄金郷が広がってる……!」
「サトルの領域が閉じたんだ」
ヘルファの悲鳴のような訴えは、逃げ惑う人々の足音にかき消されそうだった。
持つものも持たず、取るものとりあえず、街の人々は外へと走り惑っている。
地面には光の矢印が出現し、人々の避難を誘導していた。
ヘルファが聖典に手をやると、人々に急げというイメージが共有される。
「いそいで、いそいで……! なんであんなに早く結界が……!」
「おそらく私たちがここに来るずっと前から、すでに解析が始まっていたんだ」
フリーレンが言う。
彼女はすでに、マハトの記憶の解析を放棄していた。
手には杖が握られ、すぐにでも魔法の行使ができるようになっていた。
「あの魔族の大量発生は囮だ。もしサトルが結界の近くにいる状態で解析を始めれば、すぐに殺される。だから魔族まで作って遠ざけた。狡猾で、臆病な魔族だ」
フリーレンはピクリと瞼を揺らす。
魔力探知に二つの膨大な魔力の塊がやって来た。
「こっちに来てる。一つはマハトのものだ」
「えっ!? マハトはあそこでサトルと戦ってるんじゃ」
「…………分からない。ただ、人造の魔族はそういうことだったのかもしれない」
「大魔族を作ったってこと……!?」
フリーレンは飛行魔法を行使した。
ふわりと体が宙に浮かび上がる。
「デンケンは既に動いている。私は行くよ。ヘルファはこのまま避難誘導。ヒルフトとシュタルクに参戦するよう伝えて」
「わ、分かりました」
ヘルファが魔法でどこかにいる二人へ連絡する。
すぐに元気な返事が返ってきて、数十秒も待たず走って来た。
「ついに始まったか……」
斧を握るシュタルクは頬に汗を垂らしていた。
隣りにいるヒルフトは、杖にロングソードを投影した。
「予定が大きく狂ったが……やるしかないだろう。相手はそれだけの魔族ということだ」
そういうヒルフトは、体中の筋肉が意に反して震え出していることを必死に無視しようとしていた。
あの時戦った針と熱線の魔族。
死にそうになりながら戦ったあの魔族とも比べ物にならないほどの相手が、今やってきている。
「行くよ、皆」
フリーレンは飛行魔法を用いて飛び上がる。
「ああ」
ヒルフトはシュタルクの手を持ち上げ、飛翔した。
その上空に、デンケンがすでに待機している。
フリーレンが呼ぶ。
「デンケン!」
「分かっている。マハトともう一人の大魔族がいる」
デンケンは先導して飛んでいく。
そのはるか向こうに、点のようにしか見えない人影がある。
魔力探知には、巨大な岩山のようにしか見えない。
「一体誰のイタズラなんだろうね」
千年を生きるエルフにとって、驚きという感情は最早少ない。
しかしこればかりは、動揺せざるを得ない。
「マハト」
「フリーレンさま」
間違いはない。
少し前に、結界の中で出会ったマハトと変わらない。
しかし、その左腕には支配の石環がない。
フリーレンは思考する。
(外したのか? いや、五条悟と戦っているのが本体か)
それを遮るように、マハトは続ける。
「それにデンケンさま。私はこの地を離れ、どこか遠いところでやり直すことに致しました。ですから、邪魔者となる者は、なるべく減らしておきたいのです」
その右手に、黄金の長剣が握られている。
フリーレンは言い放った。
「お前に次をやるわけには行かない」
「もちろんそう言うと思っていました。
デンケンが口を開く。
「フリーレン、記憶の解析はどうなった」
「ごめん、間に合わなかった。ディーアゴルゼを解析するにはまだ時間が要る」
「……そうか」
デンケンの落胆の感情を、最早フリーレンは見逃さなかった。
殺すしかない。
そしてそうなれば、城塞都市ヴァイセはもう戻らない。
そもそも勝てるかすら賭けの勝負。
生きて勝たなければ、この先ディーアゴルゼを改めて解析することもできない。
フリーレンは、全身に相手を殺すための魔力を解放させた。
「戦うしかない」
理解のための会話も、デンケンがこれまで積み上げてきたマハトとの対話も。
結局この瞬間に、全て無に帰す。
「
「
「
それぞれの殺す意思が交わった。
もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)
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五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
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フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
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上二つをいい感じにバランス取った話
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好きにやっていいよ
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そんなことよりプリン食べたい