星の白金(ひかり)で断つ運命   作:クルセイダース

10 / 10
(久しぶりの投稿だというのに)貴様(たち)ッ! 見ているなッ!


入試試験

 

この10ヶ月間、起きたことはかなり濃密だっただろう。

まず爆破の少年が加わり、少年と共に清掃。

2ヶ月後、少年がオンオフに慣れたので全身に纏わせることに成功。

フルカウルと名付けた状態になることで少年の機動力を解決。

少年は全身に纏うことに疑問を抱いていたが、腕だけ強化したところで当たらなければ意味が無い。オールマイトは常にどうしてるか、と伝えたところで自分で『オールマイトだって一発一発に発動してる訳では無い』と答えを出していた。

俺が出すのはあくまでヒントや助言程度にしてある。そうでなければ少年が成長しないからだ。

最初は5%、10%と5ずつ上げていき、フルカウルを全身に纏わせても問題ないように安全圏からやらせた。

 

爆破の少年も俺とオールマイトがいる前だと個性を使用した組手が出来るため、少年のフルカウルに対抗し得る技術を身につけていた。

“溜めて撃つ”はエンデヴァーの指導のため、それを発展させたのだろう。クラスターと名付けていた。

ツートンカラーの少年はエンデヴァーに任せてるのであまり何もしてやれてないが、関わりはしている。向こうは向こうで炎と氷を共存させた技を身につけたらしい。これは昔から偏るより両方のレベルを合わせた方が制御しやすいと伝えていたのもあるかもしれない。

合体に関しては何も言ってないのだが……ただメドローアが何故か頭に浮かんでしまった。

あと推薦は1位で通過したらしい。

褒めて欲しそうだったので頭を撫でた。

 

それから少年単体だとオールマイトの師匠の一人というグラントリノという老人と知り合いになったり、少年が一緒にご老人と鯛焼きを食べたり組み手したり。

俺のことを知っているのか親しげにされつつ懐かしい目で見られたり。大半の指導が俺なのもあってオールマイトが叱られてペコペコ頭を下げてる姿に呆れたり。

 

他にはオールマイトのサイドキックだったサー・ナイトアイと少年が最初は揉めたけど仲良くなったりなど濃密な10ヶ月だっただろう。

ぶっちゃけオールマイトのことを語る二人を見て俺とプラチナはドン引きしていた。流石に本人より知ってるのは怖い。

メガネのサラリーマンに関しては鍛えたのが俺ということを知ったからか、俺のことは素直に認めてくれたようだ。

もし未だに3割も使えてないようだったら後継者として認めていなかった、とはメガネのサラリーマンの言葉だった。

個性が個性なのでまるでエピタフみたいだなとは思ったが。

そんなこんなで俺の秘密を知るものも増えた。

それと透過の個性を持つ少年とはよく会うことがあった。メガネのサラリーマンのところでインターン中だからだろう。2年生だが、少年が入学する頃には3年生だ。

あまりにパワーが不足しているので殴り方を教えた。

 

とまあ、そんな日々があったが10ヶ月という日々は長くも短く。

2月26日。

いよいよ少年の人生が決まる、雄英高校の入試試験。

と言っても今の少年ならば心配する必要はないだろう。

俺とプラチナの力も既に扱えるようになっているからだ。

正直もっと時間が掛かるかと思っていたのだが、少年の精神力が高まってるのか既にスペックは変わらないレベルに至っている。

用もなく分離することはないだろう。

それに長年憑依した甲斐もあり、ようやく“切り札”も使えるようになっているからな。

と言っても可能時間的に果たして使えると言っていいか分からないが……俺は動けても少年が動けるかと言われたら無理だろう。

どちらにせよ、まさかOFAもあって俺達も居る中で合格出来ないなど有り得ないはずだ。

むしろそんなことあったら失望どころか半殺しでは済まないレベルになるだろう。そもそもその場合、今回の雄英に合格出来る者は居ないと思う。

プロヒーロー資格を持つ俺の力を使える中学生が入学出来なければ意味不明としか言えない。

だからこそ合格は問題ない。ないが、どうせならば首席になって欲しいものである。

 

「とっとと行くぞ、出久!」

「待ってよかっちゃん!」

 

爆破の少年も気合いが入っているようだ。

少年に負けない、という強い信念を感じられる。

実際に雄英の入試でトップに立つということは一時的に頂点に位置するという意味合いだ。

全てではないが、結果が全てになる。

周囲を見渡せば緊張した面持ちて校門を潜るものも多く、少年もまた校門潜る――

 

「あっ」

「あ?」

 

前に、躓いていた。

このままでは激突してしまうため、瞬時に動こうとするが、手を伸ばしている姿が見えたので何もしないことにした。

すると少年の体が浮く。

 

「私の“個性”! ごめんね。勝手に、でも、転んじゃったら縁起悪いもんね」

「うん、ありがとう。助かったよ!」

「ううん私がやりたくてやったから! でも緊張するよねぇ、お互い、頑張ろうね!」

「そうだね、お互いがんばろう!」

 

先に歩いていく姿を見送ると、爆破の少年が冷めた目で見ていた。

俺もまたため息を吐いていた。

なぜなら。

 

(じょ、女子と喋っちゃったーーーーーー!!)

 

こんな心の声が聞こえたからだ。

少年は確かに“無個性”で頑張り続け、その頑張りは評価されている。女子とたまに話す程度はあった。

しかしあくまで知り合い程度の関係でしかなく、彼女がいるわけでもない。

唯一話していたのは長女――轟冬美くらいだが、歳があまりに離れてるため、同年代としてカウントすることもできない。

どっちかと言うと先生と会話する生徒くらいの差がある。

つまり、爆破の少年の言葉を借りると少年は生来のクソナードというわけだ。

だがまあ、昔と違ってちゃんと喋れているのは中学でも女子と関わりがあったからだと思う。

元人間とはいえスタンドとして長く居すぎた影響か恋愛感情など全く分からないが、少年は嫌われてはいなかっただろう。

チョコとか普通に貰っていたし。

 

「いい加減行くぞ、クソデク!!」

「久しぶりに言われた!! そこまで酷かった!?」

「完全にクソナードだったわ! テメーの体格だと余計にキメェ!!」

「ひどい!! スターさんどう思う!?」

「あっ!? テメェ!」

『悪いが、今回は味方になってやれないな。俺も同感だ』

「……ハッ!」

「うわぁああー!!」

 

勝ち誇った顔をする爆破の少年を見て、少年は走り去ってしまった。

俺は範囲外に行かれたのでそのまま体内へ戻って行ったが、俺は味方になってくれると思っていたらしい。

まぁ少年がまともに長く話したのって、轟家の長女を除けばあの時の金髪の少女――渡我被身子くらいだったのだ。そこまで女性慣れしてないのは仕方がないだろう。

本体は本体で別の意味で女性が苦手ではあったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明がある会場に辿り着くと、それはもう人の密度が半端なかった。

流石は雄英高校ヒーロー科。全国同科中最も人気で最も難しくその倍率は例年300を超える。

オールマイトを筆頭とした現トップヒーロー達の出身校でもあり、それゆえ偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件とすら言われるらしい。

初耳だったが、ヒーロー科のある高校どころか小・中すら通ってない俺はどうなのだろうか。

 

ちなみに受験者番号通りの席であるため、同校の少年と爆破の少年は隣だった。

雄英の講師は皆プロヒーローであり、少年がうるさいが説明してくれた。

ラジオ番組でも有名なボイスヒーロー、プレゼント・マイクというヒーローが説明してくれるらしい。

出だしが思い切り滑っていたが、皆緊張してるからだろうか。流石に実は人気がないとは思えない。

しかし滑っておいてハイテンションなのはある意味凄いと思う。

 

そして試験の内容をまとめると、こうだ。

 

制限時間以内に仮想(ヴィラン)を行動不能にしていくポイント形式。

“倒す”や“壊す”のではなく、“行動不能”ということから恐らくロボを停止させるボタンのようなものも備え付けられているのだろう。

しかしこれでは戦闘に特化した個性があまりに有利すぎてどうかとは思う。相手が無機物なら無機物に無力な個性を持ってる者も中に入るだろう。

その辺は特に考えてないのだろうか。それともその場合でもどう戦うのかを見ているのか。

 

試験会場もうまくバラけており、同じ学校同士で協力できないようになっている。

実際に少年と爆破の少年は連番だが、会場が別々だ。

 

仮想(ヴィラン)は4種記載されており、1P、2P、3Pの順でだんだんと硬く強くなっていくらしい。

脆い1Pを狙うかポイントの大きい3Pを狙うかどちらかの選択を取るかはその人次第だろう。

しかし数が無数にあるとは思えないため、時間との勝負になる。後半に行けば行くに連れて体力面も落ちるが、数も少なくなっていく。

途中で真面目そうなメガネを掛けた男が手を挙げて質問をしていた。

記載されているのは4種だというのに、記載には3種しかないからだ。

どうやらそれはお邪魔キャラで倒してもポイントにならないから放置推奨らしい。

しかしわざわざ設置するということは放置するとポイントの獲得の邪魔になるということ。

それどころか下手すれば受験者が危ないかもしれない。

その時はぶちのめした方がいいと思うが……まぁ、少年次第か。命に関わるものだったら俺が勝手に裁くとしよう。

 

『かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った。真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と。“Plus Ultra(さらに向こうへ)。それでは皆、良い受難を!』

 

そんな言葉共に締めくくられ、試験会場へと皆向かっていく。

さて、あとは少年次第か。

操作権を譲って指示があるまでは大人しくすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

バスに揺られて僕らは試験会場にやってきた。

かっちゃんとは分かれることになったけど、スケールの大きさに驚かされる。

試験会場は街の一区画を丸々詰めこんだような巨大施設だ。

これだけ広い上、こんな施設が何百人ではなく、何万という数が同時に受けられるほど複数あるのだから最高峰のヒーロー科と言われるのも納得できる。

試験に向けて準備体操をしていると、続々と人がやってくる。中には個性に合わせた装備や武器を持ってたり、自信満々な人や好戦的な笑みを浮かべる者、緊張する者などそれぞれ。

その中で校門前で助けてくれた女の人がいる事に気づいた。

深呼吸したり、手に人を書いて飲んだりと集中している。

さっきのお礼もしたいし、声を掛けよう。

ちょっと話した程度だけど、一人でいるよりは緊張も解れるかも。

そう思って歩き出すと、肩を掴まれた。

 

「待ちたまえ、その女子は精神統一を図っているんじゃないか? まさか君は妨害目的で受験しているわけではないだろうな?」

「えっ!? い、いやそんなつもりじゃなくて。さっき助けられてね、お礼を言えてないからそれを伝えたかったのと落ち着かせようと思って」

「む、そうだったのか。しかし今は大事な試験の直前だ、余計なお節介になりかねん。その行為が善意のものだとしても集中力を切らしてしまうかもしれない。それは妨害行為と見られる可能性もある」

 

納得はされたけど止められてしまった。

確かに集中の仕方なんて人それぞれだ。僕が乱してしまうのは良くないか。

人になルーティンというものがある。

それに下手に何か言って争いになってもメリットがないため、僕も大人しく頷いた。

 

「確かにそうかも。終わってから伝えるとするよ、ありがとう」

「いや、俺の方こそ余計なお世話を焼いてしまってすまない。君の行為はヒーローとしては間違っちゃいない」

 

頭を軽く下げたかと思えば、今度は褒められた。

融通が効きづらいだけで、真面目なだけなのかな。

そして。

 

『はいスタート!!』

 

ワン・フォ・オール・フルカウル――8%!!

同時に。

僕は個性を全身に纏って駆け出していた。

人が多い中で出力をあまり大きくしすぎたら他の受験者の妨害になってしまう。

そのため抑えたけれど、僕が1番前みたいだ。

建物を壊しながら出現する仮想敵。

 

『標的補足。死ネェ!!』

「かっちゃんみたいなこと言ってるっ!! 物騒すぎじゃないかなあ、雄英ッ!!」

 

あまりの口の悪さには驚いたけど、スターさんの拳を知ってる僕からすれば全然怖くもない。

地面を蹴って加速しながら貫く。

 

――思ってたより脆い! これなら周りに人が居たとして、出力をあまり大きくしなくてもいける……!

 

着地した僕は音につられて次々と襲いかかってくる仮想敵に目を向ける。

 

『オマエガ兄弟ヲ殺シタ!』

『跪ケ人類!!』

『俺ガナンバーワンダ!!』

『今マデ一体何人壊シテキタ!』

『オマエノ血ハナニイロダー!』

『コノキタナラシイ阿呆ガァーーッ!』

『ヤロウオブクラッシャー!』

『アンダドゥーレハ、アカマジャナカッタンデェ――』

 

波状攻撃を仕掛けてくる仮想敵に対し、一体一体狙わず腕を伸ばして構える。

そして20%まで引き上げたデコピンで斜線上の仮想敵を吹き飛ばし、後続を見ると先程のメガネを掛けた男の人が1番先頭だった。

見た感じ加速系かな。

この辺りは譲って、僕は移動することにした。

 

ビルとビルの間を蹴って屋上へ登り、跳躍しながら探っていく。

“眼”に関しては星の白金(スタープラチナ)の力を借りてるため、仮想敵の位置を教えてもらうことで索敵は問題ない。

僕が移動した理由は単純で、OFAの力を発揮するなら周囲に人が居ると抑えなくてはいけなくなる。

逆に誰も居なければ8%どころか風圧が発生する15%以上の出力を出せるため、僕は高速で駆けながら仮想敵を撃破していった。

倒すだけではなく、危うそうな人を見ればデラウェアを駆使して援護程度で済ませ、逆に怪我人が居たら仮想敵を吹き飛ばして戦闘不能にしてから抱えて安全な場所に避難させる。

こんなことしてる余裕があるのか、とか目撃された人に変な目で見られるけれど気にしない。

僕はヒーローになるために雄英高校に入ろうとしている。

だけどヒーローなら、オールマイトなら、スターさんたちなら()()()()()に対して、無視することなんてしない。

助けて勝つ、それが目指すべきヒーロー像なんだ。

 

そうやって人を救いながら次々とポイントを稼いでいた、その時。

突如として建物が崩壊し、轟音が響く。

ズシン、ズシンといった重量感のある何かが接近してくるのを感じる。

そうやってついに、ビル群の隙間から姿を現す巨大ロボ。

 

「あれがブレゼントマイクが言ってた、0P」

 

想像以上に巨体だ。

一歩歩くごとに瓦礫を生み、辺りに被害を撒き散らす巨大ロボ。

それを見た受験生たちは一目散に逃走していた。

逃げるのが得策だ。

倒すメリットはない。

このまま離れて、ポイントを稼ぐべきだ。

だけど。

ワン・フォー・オール・フルカウル30%!!

 

St. Louis(セントルイス)――SMASH(スマッシュ)!」

 

片足に貯めたワン・フォー・オールで空気を蹴り、逃げるのに遅れていた人たちの元へ落ちてきた瓦礫を吹き飛ばす。

 

「早く逃げて! 一塊になって逃げると危ないから何人か固まって逃げて! バラバラになって逃げるとかえって危ない!」

 

だからといって誰かが時間を稼がなければ誰かが危なくなる!

これは自己犠牲じゃないッ! 道を切り拓くための時間稼ぎッ!

 

しかし声を上げたのはいいけど、全然収まってない。

混乱が起きてるせいでうまくいってないんだ。

 

「皆、落ち着きたまえー!! 雄英を志す者としてこの程度で慌てていていいのか!? 数人で固まって動けば他の(ヴィラン)の対処も出来るはずだ! 一度冷静になって行動するんだ!」

 

遠くまで届くような声量ときっぱりとした声。動きが機敏としてるけれど、それが他の人たちを冷静にさせたようにも見える。

あれは。

 

「眼鏡の人!」

「飯田天哉だ! ありがとう、君のお陰で俺も何をすべきか分かった! 避難誘導は心得ている。俺も手伝おう!」

「ありがとう、助かるよ! 僕は緑谷出久!」

 

僕一人じゃ普通に声を上げるだけでは解決しそうになかったけど、飯田くんが手伝ってくれたお陰で呼び掛けもより聞こえるようになり、そうしていくうちに周囲も落ち着きを取り戻して仮想(ヴィラン)を倒して避難していく。

あたりから人が居なくなったけど、逃げ遅れてる人もいるかもしれない。

その人を探すためにも先にあの0P(ヴィラン)を何とかしないと。

そう思った、ところで。

 

「いったぁ……」

 

微かに聞こえた声に反応して周囲を探る。

逃げ遅れた人? 巻き込まれた?

どこだ!?

 

(少年、0P(ヴィラン)の足元のあの瓦礫の下を見ろ)

 

内側から聞こえてきた声の場所を見ると、0P(ヴィラン)の足元には先程僕を助けてくれた女の人がいた。

苦しそうな顔。いつから? 暴れた時から? 逃げられないのか。足が埋まってる。誰も気づけなかったのか。

何をすべきだ? 決まってるだろ!!

 

0P(ヴィラン)が僕たちに気づいたのかこちらに向かってくる。

このままでは彼女が危ない。

怪我じゃ済まなくなる――そんな“最悪”が浮かんだ瞬間、僕は一も二もなく走り出した。

 

「待つんだ緑谷君! 何をする気だ!? 危険だ!!」

 

後ろで飯田君が声を張り上げるが気にせず走る。

危険だからといって動かないなんてヒーローと呼べない。

ここは雄英だ。これは試験だ。

試験中に死者が出るなんてまずない……と思う。危機管理には細心の注意を払っているはずだ。

それでもこの世界に“絶対”なんて存在しない。

大怪我に発展して後遺症が残ったりするかもしれない。

何よりも――()()()()()()()していた彼女に手を伸ばさなければ誰が彼女のヒーローになってやれるんだ!!

 

「大丈夫!?」

 

フルカウルを纏ってるのもあり、瞬時に辿り着くと声をかける。

 

「え……な、なんできたん!? 危ないよ!?」

「助けを求める人を助けるのがヒーローだから! すぐに退かすから待ってて!」

 

挟んでいた瓦礫を退かしたあと、彼女を抱えて離脱する。

なんでか慌ててたような気がしてたけど、気にしてる場合じゃない。

すぐに飯田くんのところまで戻り、一緒に出来るだけ離れるよう促すと、迫り来る0P(ヴィラン)に振り返る。

彼女みたいに逃げられない状況の人がまだいるかもしれない。

なら、僕がやるべき事は意味が無くても人を助けるために。

これ以上被害を出さないためにもアレを破壊することだ!

 

 

ワン・フォー・オール・フルカウル――55%!!

 

許容範囲を超えた力を纏う、オールマイトの半分以上の力。

実際にはオールマイトより高い出力だけど、この際はどうだっていい。

今の僕の力の全部を出し切る!!

ですから力、貸してください!!

 

「――星の白金(スタープラチナ)!」

『オラァ!!』

 

振り下ろしてきた腕部に向かって、出現したスタープラチナと共に拳を振り抜く。

相手の方が圧倒的な質量を持つため、威力は途方も無いものになる。

でも僕一人ではなく、スタープラチナと共に放ったのもあって0P(ヴィラン)の腕部を逆に弾いた。

体重が後ろに傾いたからか、体勢が崩れる。

そのタイミングで一気に跳躍する。

 

(一気に行くぞ、少年!)

(はい!!)

 

やることは酷く単純!

オールマイトのように!

星の白金(スタープラチナ)のように!!

 

『「オラァ!』」

 

「『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ――!!」』

 

拳の連打(ラッシュ)!!

全身に隈なく与えていくことで無力化ではない、完全破壊を狙う。

数百にも及ぶ連打。

凹み、壊れ、ボロボロになる0P。

トドメを刺すべく、空中で捻りながら脳天に向けて――

 

DETROIT(デトロイト)――SMASH(スマッシュ)!!!!」

『オラァッ!!!!』

 

全力の拳を、僕らは叩きつけた。

頭部が砕け、全身から爆発していく姿を見下ろしながら僕は地面に着地した。

オールマイトの100%に近い出力なのもあって0P(ヴィラン)は悲惨なことになっている。

 

『やれやれ、どうせなら最後まで一人でやり遂げて欲しかったものだがな』

「すみません、でも」

 

『試験終了――!!』

 

「僕はこれが間違った行動だとは思ってませんから」

 

どこからとも無く取り出したホワイトボードに書かれた文字を見ながら終わりを知らせる声と共に、僕は隣に立つスターさんにそう微笑んだ。

確かにワン・フォー・オールを受け継いだ僕は星の白金(スタープラチナ)の力を借りなくても問題なかったかもしれない。

だけど二人も僕の力で、大切な仲間だから。

仲間外れにはしたくなかったんだ。

なんて、言ったら呆れるだろうけど。

でも僕は、僕は試験前から3人で合格すると決めてたんだ。合格出来てるかどうかはまだ分からないけど……無事に終わってよかった。

かっちゃんは……うん、心配する必要は無いだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

「実技総合成績出ました!」

 

雄英内にある会議室。

そこに無数のモニターがあり、入試試験の合否の確認がされていた。

画面に表示されているのは上位10名。

仮想(ヴィラン)を行動不能にした点数の他に、もう1つ。救助(レスキュー)ポイントが存在していた。

これこそ、説明会にはなかった雄英が見ていたもうひとつの評価項目。

ヒーローであるならば当然のことであり、説明会に表示されていなかったのは単純に人の本質を見るためでもあった。

昨今のヒーローが最も注目を浴び、評価されるのはヴィラン退治の瞬間。

悪人を倒すというイメージが強いせいでヒーローショーのようになってしまってはいるものの、ヒーローに求められるものはそれだけではない。

そもそも元来、ヒーローというのは奉仕活動で成り立つもの。

 

ヒーローはヴィラン退治専門ではなく、基本的には災害救助討伐なんでもござれの職業。

例え凶悪なヴィランを倒せたとて、人を救うことが出来なければヒーローとは呼べない。

救って勝つ、勝って救う。

どちらにせよ、救うことがヒーローの本懐なのだ。

それ故、雄英が審査しているのは、一つ一つの行動。

正しいことをした人間を排斥してしまうような場所ではないともいえる。

これらの事情を踏まえた上で実技総合成績の“総合”という部分が何なのか分かっただろう。

 

「今年の試験は凄かったな。(ヴィラン)Pだけで100点超えが出るとは」

「ソレダケジャナイ。モウ1人、総合デ100点ヲ超エタ生徒ガイル」

「しかも同じ学校なんでしょ? 雄英始まって以来のことじゃないかしら、有名な学校でもないのにね」

 

成績の一位と書かれた項目、それが二つあり3桁を超える記録が表示されている。

 

「片や派手な個性で引きつけ、迎撃。片や余裕を持って戦いながら周囲に目を配り、時に援護。2人して最後までペースを落とさなかったな。タフネスの塊としか言いようがない」

「このモジャ髪が面白ぇよな! 体はともかく地味な顔しておきながらアレ(0P)をド派手に破壊しちまった。俺ァ思わずYEAHHHH!と叫んじまったよ!」

「それと突如現れた大男か……何者だ?」

「個性届に拠ればこの少年は霊を引き寄せる個性を持っているらしい。となると恐らく実体化が可能なのだろう。突然姿を現しては消えたことからな。あの超パワーも霊の力を借りてると見ていい」

「パワーはオールマイトに匹敵するレベルか……とんでもないな」

「どちらにせよ俺からしたらたまったもんじゃないけどな……アレ、あんなにもボコボコに壊されたらもう再利用出来ない。一体でどれだけ予算を使う羽目になるか……それにもう一体壊されてるしな……」

「百点オーバー。その上、0Pも撃破。紛うことなきツートップ。金の卵だ」

 

あるものは感心を、あるものは楽しく、あるものは分析を、またあるものは恨みがましい言葉が飛び交う。

もちろん三位以下も高い評価を得ている。(ヴィラン)ポイントを中心に稼いだ者、バランスよくポイントを稼いだ者、避難誘導を自ら行った者、敵ヴィラン(ポイント)よりも他受験生の救援を優先した者。

 

「この2人は俺に面倒を見させてください」

「珍しいね、相澤くんが自ら志願するなんて」

「おいおいそれはないだろイレイザー。どちらかはこっちにも欲しいものなのだが」

「悪いとは思っている。だが、こいつらはプロ所かプロのトップに近しい力も、思いやりもある。だからこそ俺が本気で導きたい。なんでもこの2人は同じ中学らしいからな、互いに切磋琢磨した仲というのもあって引き離すのは合理的ではない。それにこれほどの力を持つ二人を御せるのは相性的に俺くらいだろう?」

「む……確かに力付くよりかは個性を封じれるイレイザーの方が適任ではあるか……分かった、生徒の成長が一番だ。俺が邪魔して成長を妨げる訳にはいかん」

 

それからも、次々と合格圏内の受験者たちが組み分けられていく。

星の輝きに導かれた少年が、少年たちが入学するまで、運命が動き始めるまで、あとひと月。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





冬美ちゃんは大半スターくんと会話してそうではある。出久くんは普通に喋れるけど内心はドキドキクソナードみたいです。
ちなみに現時点での出久くんの全力は55%+スタープラチナ。
100%使ったらスターくんに容赦なく殴られます。プラチナはチョップする。
オラオラ中は間違いなく作画が変わって荒木先生作画に変わってたでしょうね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

主人公の個性奪っちゃったみたいだから返すね(作者:しおんの書棚)(原作:僕のヒーローアカデミア)

原作のあらすじすら怪しいような転生オリ主の勘違いから始まる、僕と私のヒーローアカデミア。


総合評価:7200/評価:7.93/連載:16話/更新日時:2026年02月04日(水) 06:00 小説情報

宿儺もどきはスローライフを夢見たい(作者:表梅)(原作:僕のヒーローアカデミア)

呪いの王、両面宿儺として転生した男。▼男は個性社会の裏を知る元公安としての名を捨てて、定食屋を営んでいた。


総合評価:6845/評価:8.46/連載:3話/更新日時:2026年02月26日(木) 08:00 小説情報

勘違い戦士、ダンジョンを揺らす(作者:お粥のぶぶ漬け)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

シュタルクに転生したと勘違いした▼ダンまち世界に転生した名前だけシュタルクの一般人が修行の末逸般人になり旅ではなくダンジョンで冒険をする話▼


総合評価:3559/評価:7.11/連載:23話/更新日時:2026年01月16日(金) 01:15 小説情報

1つの器と3つの魂(作者:日三汐理)(原作:呪術廻戦)

宿儺の指を呑み込んだ虎杖悠仁の中に現れたのは、両面宿儺――だけではなかった。▼なぜかそこにいたのは、六十八年後の虎杖悠仁。▼こうしてひとつの身体の中に、過去の虎杖、未来の虎杖、宿儺という三つの魂が同居することになった。未来の虎杖は本編の出来事を知っているらしいが、肝心なことはなかなか話さない。そのくせ宿儺には妙に馴れ馴れしく、どうやらこの時代に来た目的も宿儺…


総合評価:2653/評価:8.61/連載:5話/更新日時:2026年03月29日(日) 12:26 小説情報

雷神は最強を指名する(作者:あいあい)(原作:僕のヒーローアカデミア)

鹿紫雲一は、死滅回游の果てで燃え尽きたはずが、個性社会の日本で目を覚ます。この世界では「最強」がランキングと称号で掲げられている。なら、話は早い。最強の場所へ行けば最強がいる。▼そんな感じで始まる鹿紫雲さんカッケェっていう話です。


総合評価:3341/評価:8.19/連載:10話/更新日時:2026年02月24日(火) 21:20 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>