同情するならチャクラくれ【旧作】   作:あしたま

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最近にしたら少し短いですが、書き上がっちゃったので投稿。
原作開始です。



第二部
021. 担当


  

猟犬連隊の第一から第三大隊の編成が落ち着いたかと思えば、頃合いを見計らったかのように三代目からの呼び出しがあった。残る第四部隊の隊長は俺なのだが、優秀な下忍や中忍を優先して他の隊に回したから中々人材がいないのだ。

 

ただ幸いな事に猟犬という名前は有名になったから、入隊希望者はそこそこいるだろう。公募でもして試験をしようかなと考えているところだ。その為の許可を三代目から貰いたかったところだし、素直に火影の執務室へと向かった。

 

「三代目お呼びでしょうか?」

 

部屋に入るとつい先ほどまで誰かいたのだろう、湯飲みが四つ机に置いてあるままだった。

 

「猟犬連隊の方もだいぶ落ち着いてようじゃの」

「はい、任務を絶え間なく任せられているせいで新隊員の練度も見れるようになりました」

「それは、良かった。任務を回した甲斐があるというものじゃ」

 

どうもこの人には皮肉が通じない。信頼されているのだろうが限度というものがある。もう少し減らしてくれないと家庭のある隊員の愚痴が多くなってしまう。ダエンなんか新婚なのにまだほとんど家に帰れていないのだ。職場環境は良くしておきたい。

 

「さて今日呼んだのはじゃな、中忍以下の隊員が不足しておると聞いて、ちと儂の方から推薦してやろうかと思ったんじゃ。お主が欲しがっていた秘伝忍術を持つ忍じゃぞ」

 

何を言い出すかと思えば珍しく良い話じゃないか。隊に二人しかいない山中一族かな?いや油女一族も捨て難い。現状ムタしかいないからな、攻撃だけでなく相手を撹乱できるあの能力は魅力的だ。

 

「だが断る!」

「なぜじゃ?!」

「そんな虫のいい話がこれまでなかったからですよ!本当の目的はなんですか?!」

 

もう騙されたりはしない。今まで散々甘い言葉で騙され苦労してきたのだ。今更この程度でホイホイと提案に乗ってたまるか。

 

「そうか、もうこの手は無理か……致し方あるまい正直に話してやろう」

「初めからそうしてください」

「まあそう言うな、事実お前にとってもそう悪い話ではない。それどころかお前が成長する為に必要な事じゃ」

 

俺の成長に必要な事?さっぱり話が見えない。

 

「担当上忍をやれ」

 

へ?担当上忍をやったことはないが、これまでも部下は育ててきている。今更成長に役立つとは思えない。

 

「そう怪訝そうな顔をするでない、お前を担当上忍へ推す声は随分前からあった。じゃが猟犬も何かと忙しかったから避けておったのじゃ。じゃがもう中隊長以上の人選が固まった事じゃし、お主も現場に出る回数が減ってきておる。ここらで一度やってみろ」

 

確かにここ一ヶ月は連隊規模はもとより大隊規模で出撃する事すら少なくなってきている。俺はもっぱら訓練と書類仕事がメインと成りつつある。

 

「それにその歳の上忍なら一度くらいは担当上忍をやるのが通例だ」

「それなら紅だってやってないじゃないですか」

 

俺達の年代で担当上忍をやっていないのは紅とゲンマに俺ぐらいだろう。しかしわざわざ忙しい忍びから選ばなくても良いじゃないか!

 

「紅はもちろん考えておった、しかし……孫ができたのじゃ!」

「マジですか」

「マジじゃ」

 

結婚してから早一年が経とうとしている。とうとう紅も母親になるのか喜ばしい事だ。

 

……ちょっと待った!!カカシは相変わらず下忍を落としていると聞くし、ガイは前回から担当上忍となったはずだ。そこへ来て紅が担当上忍になるはずだったという事は……

 

「ちなみに俺が担当上忍をするのはどんな班でしょうか?

「喜べ!日向宗家の長女にお前の師匠シビの息子、それに犬塚家の長男だ。お前が欲しがっていた人材ばかりじゃろ」

 

確かに欲しかった人材ばかりではある。だが今問題なのはそこではないのだ!おもっくそ原作組じゃないか!そしてとうとう原作が始まるんだな。そうなるといよいよ猟犬を離れるわけにはいかなくなった。

 

「だが断る!」

「そう嫌がるな。隊はホヘトとシスイ、ゲンマにタシにでも任せれば良かろう。お主はもう少し他人に任せるという事を覚えろ。自分では気付いていないかもしれないが、知らず知らずの内に自分の意見が絶対正しいと思い込んでおる節がある。それを見つめ直す為にも少し猟犬から離れて見る事がお主の成長にも繋がると思っておる」

 

そういう事だったのか、だから俺の成長につながると三代目は言ったのだろう。トンボにもよく「ヨフネは何でもかんでも自分一人で背負いすぎだ」と言われる。トンボに限らず三代目もよく俺を見てくれているのだろう。それに指摘された自分が正しいという思い込みはあると思う。未来を知っている以上、ここでこうしておけばと思う事は多い。自分を信じてくれている猟犬には特に無理を言っているかもしれない。

 

「師は弟子に修行を与え、そして弟子から学ぶ。そうやって互いに高め合い成長していく間柄こそ本当の師弟関係なのじゃ。今までのお前が築いてきた関係は部下と上司にすぎん」

「……分かりました。やってみます」

 

それに俺が何でも指示を出してしまうせいか、俺が出撃していない任務では何かと問題も起きている。猟犬の為にも一年程度は他の人に任せてみるのもアリかもしれない。

 

「そうか、お前が引き受けてくれて助かる。あと二時間後には上忍を集めて担当を発表する。そして午後には担当となる下忍と顔合わせじゃから、それまでに準備しておいてくれ」

「……って、いつも急すぎるんだよ!」

 

 

 

急いで猟犬の施設に戻った俺は全員を集めて、担当上忍になる事と俺がいない間の連隊長をシスイにする事を伝えた。付き合いの長さからいえばホヘトに任せるところだが、ホヘトの思考はその長さゆえに俺に似すぎている。隊に変化をもたらす為にもシスイに任せる事にした。

 

それに日向家からは猟犬に三名が所属しているが全員が中隊長以上である。バランスを保つためにも日向からは選ぶ事ができなかった。日向は木の葉において政治力が最強なのだ。籠の鳥と言われるあの呪印にしても、木の葉における日向の発言力を強化している要因の一つだ。

 

白眼は写輪眼のような攻撃的な能力は持っていない。だからと言って弱いかと言われれば決してそんな事はない。たとえ体術ができなくとも、あの感知能力は非常に有能だ。それゆえにあの眼が他里に渡らぬようにする必要がある。最前線で能力を発揮しつつ、敵に奪われる事がないというのは里からしても非常に都合の良い存在なのだ。

 

それらがすべての要因というわけではないのだが、各部隊で活躍の場を広げる事により日向は木の葉において確固たる地位を築けているのは事実だ。だからこそ日向に取り込まれないよう気を配る必要があった。

 

シスイを推薦した事に若干の驚きを見せた隊員達だったが、すぐに拍手が鳴り響いた。人柄も認められているし、何よりもシスイは強い。写輪眼による動体視力の強化で電磁砲の軌道も見えているらしい。そしてそれに反応できるだけのスピードを手にすれば俺が勝つ事は不可能となるだろう。

 

施設をあとにした俺は急いで火影邸へと向かった。そこには上忍達と教師陣が勢揃いしていた。俺は先に教えてもらったが、ここで担当上忍と担当となる班が発表され、それから新米下忍が待つ教室へ第一班から順に迎えに行くらしい。

 

「第七班はたけカカシ」

 

そして今発表が行われているのだが、七班の担当上忍が発表されるとざわめきが起こった。それもそのはずこの七班は決して軽視できるような面子ではないのだ。イタチの弟に人柱力がいるのだ、しかもそれを二回連続でアカデミー送りにして、下忍を受け持った事がないカカシに任せるというのだから無理も無い。

 

「第八班うたたねヨフネ」

 

これまたすごいざわめきが起きた。有名になった猟犬から離れるというのだからこれも仕方がない事かもしれない。

 

「最後、第十班の担当上忍は猿飛アスマ」

 

あからさまに同期の有望株と見られる三人が同時に選ばれた事に対して、また少しだけざわついた。ただ面子を見れば猿飛一族と関係の深い御三家の班なので、この人選は当然といえよう。

 

ちなみに第九班はナルトが生まれる以前から、天災として忌み嫌われてきた九尾を連想させられる為、編成されないのが習わしとなっている。木の葉の宿舎などでは死を連想させられる四号室や九号室はないのが普通である。

 

午後になり第一班から順に教室へ下忍を迎えに行っているのだが、カカシの姿が見えない。おそらくまた墓参りにでも行っているのだろう。あいつにとって思い入れのある下忍なのは分かるが遅刻するのは勘弁してほしい。

 

だが結局カカシが現れなかった為、俺が先に教室に迎えに行く事となった。おそらくナルトは俺を見てさぞ驚く事だろう。タシが時間がある時は面倒を見てやっていたみたいだが、里のナルトを阻害する空気というのは存在している。

 

みんなに注目されたいとイタズラも繰り返しているが、猟犬の施設にイタズラ書きをされた時には無理やり訓練に参加させて、死にそうになっていた。あれから俺の前では大人しくしている。師匠となる事を想像するだけで吐くのではないかと心配だ。

 

ちなみにコン平はナルトが苦手だ。というよりもナルトから感じる九尾の気配が怖いのだろう。妖狐の最上位に位置する九尾と最下位に位置するコン平では身分?差がありすぎる。今も腰に下げた竹筒から出て俺の胸ポケットの中で震えている。

 

教室につき扉を開けると九人の視線が一斉にこちらを向く。その光景は絵でしか見た事がないのだが凄く懐かしい気持ちになった。それと同時にとうとう原作が始まったのだと思うと柄にもなく少し緊張してしまう。

 

「うげっヨフネの兄ちゃんじゃん」

「ひゃっはー!猟犬の隊長キターー!」

 

ナルトとキバが俺を見て騒いでいる。ナルトは俺の班に入るのが嫌なのだろうか?それと正反対の反応をしているのがキバだ。そこまで喜ばれると少し恥ずかしいが、表情を出さずに班員を発表する。

 

「第八班、日向ヒナタ、油女シノ、犬塚キバ。俺が担当上忍のうたたねヨフネだ。ついて来い」

 

担当上忍が俺で嬉しいのか浮かれているキバと何も話そうとしないヒナタとシノを連れて、まずは猟犬連隊でよく使う演習場へとやって来た。

 

「俺がお前達の担当上忍になる、うたたねヨフネだ。知っているかもしれないけど猟犬連隊の連隊長だ。お前達が中忍になるまでの間、しっかり扱いてやるから覚悟しろよ。ちなみに好きな事は睡眠で嫌いな事は睡眠の邪魔をする存在。じゃあ右から順番に自己紹介をして」

 

俺は軽く自己紹介してから、切り株に座っている三人に自己紹介を促した。

 

「ひ、日向ヒナタです。あの……その、よろしく、お願いします」

「油女シノだ」

「犬塚キバだ!将来は猟犬部隊の連隊長になってみせるぜ!あとこいつは俺の相棒の赤丸だ!」

「ワンッ!」

 

キャラが分かりやすい自己紹介だ。それにしてもシノはもうちょっと喋れよ、名前以外分かんないだろうが。あ、それはヒナタも一緒か。にしても子犬はやっぱり可愛いな、コン平と仲良くしてほしい。

 

「さて、もう少し話しておきたい所だけど早速最初の演習をしようか。みんな下忍になれたと思ってるかもしれないけど、今はまだ候補生といった扱いだ。この演習に受からないとなれないから本気で挑むように」

「マジかよ」

 

良い感じでキバがリアクションしてくれた。俺達の時はまだ平和じゃなかったし、シビさんの考えもあって体験した事はなかったから何をやるべきか結構考えた。鈴取りじゃあ芸がないからな。

 

「この試験ではチームワークをみる」

 

そう言ってポーチから電磁砲用の鉄球を一つ取り出し皆に見せた後、俺の周りに浮かべた。

 

「この鉄球を制限時間は四十五分の間に俺から奪ってみせろ。それと今から十五分だけ時間あげるから作戦を立ててもいいぞ。ダメだった場合は全員不合格として、仲良くアカデミーからやり直してもらうからな」

 

アカデミーに逆戻りという言葉にみんなの目つきが変わった。俺が目の前で目覚まし時計をセットすると素早く離れて打ち合わせを始めた。既に打ち合わせを盗聴する為の結界はコン平を使って貼っている。別に聞かないと避けれないというわけではない、ただこのテストは三人に言った通りチームワークが出来ているかどうか見る為の物だ。誰がどう考えているのか知る必要があった。よほど酷くない限り合格にするつもりだが、この試験についての報告書は出さないといけないからだ。

 

「はい、打ち合わせ終了ー。んじゃ頑張って俺からこいつを取ってね」

 

あっという間に打ち合わせの時間は終わり演習が開始となった。合図とともに全員が一旦距離をとる。こちらから積極的に攻撃を仕掛ける気はあまりないのだが、三人からすればそんな事は分からないから当然だろう。

 

「いきます!白眼!」

 

そう言って白眼を発動させたヒナタが突っ込んできた。まずは近距離のヒナタで俺の注意を逸らすつもりなのだろう。どうにもアカデミーを出たばかりの生徒達は自分達との実力差を見極める事ができないらしい。この程度で惑わされるようでは上忍などやってられない。まあ経験を積まない限りそれを求めるのは酷かもしれないけど。

 

今攻撃を仕掛けているヒナタだが体が柔らかいのか、腕の可動範囲が広く意外と多彩な攻撃を仕掛けてくる。しかしその反面足運びが全然ダメでだ。動いていない的には有効かもしれないがそれでは意味がない。肝心なところで攻め切れていない。本当に優しい子なのだろうが、正直この性格は忍に向いていないのかもしれない。うまく俺が性格面でも成長させてやる必要があるな。

 

「擬獣忍法・四脚の術!くらえ牙通牙!」

 

そしてヒナタの攻撃が難なく捌かれているのが分かると、キバも術名を叫んでから攻撃をしてきた。もともとスピードがある技とはいえ、下忍にしてはかなりの物である。だがいかんせん攻撃が直線的すぎる。これだとあまりに軌道が読みやすい。

 

おそらくアカデミーの時ではこれで通用していたのだろうが、これからは頭脳を鍛えないとダメだな。それに何故わざわざ術名や攻撃のタイミングを教えるのだろう。演出と言われればそれまでなのだが、デメリットが大きすぎる。それに何より恥ずかしくないのだろうか?

 

そう思っていると足元に蟲が見えた。二人を陽動にして遠距離から鉄球を狙うというオーソドックス戦法だが、まだ組んだことのない相手となるとこれが最善だと判断したのだろう。判断は間違っていないが、そう簡単に取らせるつもりはない。

 

二人の攻撃が途絶えた瞬間にシノも蟲で俺の足止めをしつつ、死角から回り込んだ蟲が鉄球を囲もうしていた。本当に初めてとは思えないほど良い連携だ。しかし蟲が鉄球を包み込んだところで俺は鉄球に電気を纏わせた。それにより蟲が落ちていく。

 

一瞬喜びの表情を浮かべた三人だったが、すぐに絶望へと表情を変えていた。全員が一瞬油断した隙に俺はシノへと近寄り、近接戦闘を仕掛けてみた。

 

手加減して攻撃したつもりだったが顔面に気持ちよく決まってしまった。攻撃は見えていたようだが身体がついてこないとみえる。おそらくこれまで体術をさほどやってこなかったのだろう。だがこの作戦を考えたのはシノだ。それに蟲の運用も俺に悟られないよう工夫してあったから頭は良いのだろう。

 

「ほら、もう諦めるのか?どんどんこい」

 

 

 

三人がその後も制限時間が来るまで諦めずに仕掛け続けた事で、それぞれの課題がよく見えた。そして三人共がバテて攻撃が散漫になってきたところでタイマーが鳴った。

 

「クソッ!ヨフネ先生もう一度お願いします!」

「俺はこんなところで終わる事など出来ない。再戦を頼みます」

「あ、あの私からもお願いします」

 

キバは直情的だが素直だ、シノはおそらくプライドが高いのだろう。そして意外なことにヒナタまでももう一度やってほしいとお願いしてきた。

 

「二度もやらない、任務に二度目はないからな。お前達は全員合格だ」

「「「え?」」」

「最初に言っただろう、この試験ではチームワークをみるって。鉄球が取れないと不合格なんて言ってないぞ」

 

三人はポカンとしている。確かに勘違いさせるようにミスリードはしたが、それも三人の本気を見る為だ。

 

「確かにそんな事は一言も言っていなかった」

「ったく先生も人が悪いぜ」

「……良かった」

 

三人はようやく理解したのか安堵している。この空気だと落とす気がなかったなんて言えない。三人にはおめでとうと祝ってやってから、一旦家に帰した。第八班が合格したとなると集合写真を撮らないといけない。風呂に入って汚れを落とさせないと可哀想だ。写真は形として残るのだ、少しくらいは良い格好をさせてやりたい。

 

俺はというと三代目に合格を報告しに火影邸へと来ていた。どうやら第一から六班までは落ちたらしい。彼らはアカデミーへ戻されたと言っても、下の学年と一緒に授業を受けるわけではない。担当上忍からの報告書に基づいて不足していると思われる事について再度教育を受けるのだ。そしてまた次の機会に下忍となれるよう担当上忍が振り分けられる事となっている。

 

俺が受け持つ事となった三人はヒナタを除いて、原作では目立つ事のなかった。しかし忍としての能力は十分に高そうだ。猟犬、そしてこの世界の役に立ってもらうおう。忍界大戦まではまだまだ時間がある。みっちり強化してやろうじゃないか。

 

 

 

「さあ第八班で写真を撮ろう」

  

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