冬木に転生したアクセルの最弱職、第五次聖杯戦争に参戦する。   作:猿野ただすみ

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この愉悦神父におちょくりを!

「貴方がさっきの悪魔の正体でしょう?」

 

イリヤは冷めた声で、はっきりと言った。

 

「どういう手品かはわからないけど、立ち去った次の瞬間に繁みの中に現れて、変装を解いてからみんなの前に姿を現した。そうでしょう?」

「イッタイ、ナンノコトデスカ?」

 

おいこら、何でこのタイミングで[芸達者になるスキル]が切れるんだよ! 俺、生まれ変わっても運がいいはずだろ、ジャンケン負けたことないし!

 

「え、えっと、いきなり何言ってるのかな、キミは?」

 

……緊張のあまり、クリスやバーサーカーもいること忘れてた。

 

「あら、気づいたのは貴女のお陰なんだけど?」

「え?」

「クリスの?」

 

あ。思わず真名言っちまった。まあ、真名でバレるような存在じゃないからいいか。

 

「へえ、アサシンなのにハサンじゃないんだ」

「……あたしはイレギュラーの召喚だったから」

 

まあ、嘘ではないな。俺が召喚出来たことも、向こうからのアクセスだったことも。

 

「それより、何であたしが原因なのさ」

「だって貴女、繁みに向かってマスターの存在を指摘されたのに、大して驚いてなかったじゃない。本来、一番に心配しなきゃいけないはずでしょう?」

「「あ」」

 

しまった。クリスにバニルの正体が俺だと気づかれたことが、逆に弊害になっちまった。

 

「その反応、間違いないみたいね。あ、安心していいわ。シロウ達は気づいてなかったみたいだから。お互いを挟んで貴女がいたから気づけたようなものだし」

 

ああそうか。繁みまでの立ち位置の関係で、イリヤはクリスが視界に入ってたってことか。あ、いや、それよりも。

 

「えっと、あたし達の一番の心配は、身の安全の方なんだけど」

 

ホントそれな。俺達にバーサーカーを十二回殺すなんて、絶対に無理ゲーだ。というか、ひと撫でされただけで確実に死にます。

 

「それはカズマ達次第ね。だから、正直に答えてちょうだい」

 

……おや? これって、死なせたくないって意味にも取れないか? また前世の嫁に突っ込まれそうだけど、何となくそんなニュアンスを感じるんだが。もしかして、あの時助けたことがアドバンテージになってる…?

 

「……それって、相手しか知り得ない情報や他者が知らない情報を知っていたこととか、わざわざ介入してまでそれを伝えたこととか、そういったやつ?」

「ええ、そうよ」

 

まあ、そうだよな。さて、どうする?

 

「……クリスはどうしたらいいと思う?」

「それは、カズマくん次第だよ。あたしはカズマくんを助けるために来たけど、最終的な決定権は今を生きるカズマくんにあるんだからさ」

 

都合のいいこと言って躱された気もするが、確かにそのとおりだ。……よし。

 

「わかった。さすがに全てとは言えないけど、話せる範囲は全部話そう」

 

そう言ってから、更に前置きをする。

 

「これから話すことは俄には信じられないことだろうけど、全て事実だ。それを念頭に置いといてくれ」

「……わかったわ」

 

イリヤからの返事を聞き、俺は語りだした。前世の話を。

 

 

 

 

 

「……そして俺はめぐみんに看取られながらその生涯を閉じ、向こうの世界の女神によってこの世界に生まれ変わったってわけだ」

 

ようやく元の日本から異世界転生をし、この世界で生まれ変わるまでを話し終えた。

 

「……異世界。第二魔法、[平行世界の運用]とはまた違う観念ね」

「でも、その延長線上にはあるよ。向こうの宇宙にも、地球は存在するみたいだし」

「そうなのか?」

 

俺、初耳なんだけど。

 

「えっと、アクセルの街に一時期、黒いタイツみたいな服を着た黒髪・黒目の男がいたの、覚えてない?」

「んー…? あ。もしかして、俺に冒険者カードを見せてくれって言ってきた、あの男か?」

 

妙に前世の事が鮮明なため、少し記憶を漁っただけでそのことが思い出された。

 

「うん、多分それ。その人がどうも[テンソウソウチ]とかいう機械で、向こうの地球からやって来てたらしいんだ」

「マジかよ!」

 

てか、転送装置ってSFに出てくるアレだよな!?

 

「……えっと」

「……あ、すまん」

 

思わず盛り上がって、イリヤが置いてけ堀になってた。

 

「ええと、それで、俺が色々と知ってた理由なんだが。前世の俺が生まれた世界には【Fate/stay night】っていうゲームがあってだな。それがそのまま、冬木の第五次聖杯戦争の話なんだよ」

「え?」

 

イリヤが素っ頓狂な声を上げる。

 

「はは…。あたしも聞かされたときには驚いたなぁ」

 

ええ、たいへん驚いてらっしゃいましたね。

 

「そのゲームには、[Fateルート][UBWルート]…そして[Heaven's Feelルート]の3つのルートがあるんだけど…」

 

イリヤは[Heaven's Feel]という単語にピクリと反応し、反対に俺は口ごもる。だが、イリヤの瞳は続きを促していた。そうだよな。ここまで話して、ダンマリはないよな。

 

「……どのルートも、イリヤの救済はないんだ。[Fateルート]は生き残るけど、寿命の件が解消してなくて、数年後には亡くなることが示唆されてる。[UBWルート]はある英霊によって殺されてしまう。[Heaven's Feelルート]は、ある人物を救うために大聖杯と同化する。その際に第三魔法には至ってるから悲願は果たされたけど、救済とは言えないよな」

「……さっきは、私が勝利する可能性もあるって言ってたけれど、それは嘘だったの?」

 

感情を感じさせない声で俺に尋ねるイリヤ。……そうか。衛宮切嗣にはずっと嘘を吐かれていたと思っていて、信じていたアハトのジジイにはひどい嘘を吐かれていたんだ。疑心暗鬼になるのも仕方がない。

 

「あれは嘘って言うより、俺の願望だよ。俺が助けた子に勝たせてやりたい、っていうな。それに制作途中まではイリヤルートもあったらしいから、可能性だって0じゃないと思う」

「でも、実際にはそのゲームに、私が救われるルートはないんでしょう? ……私は、第三魔法の再現が果たされれば、私自身がどうなっても構わないって思ってた。なのに、その気持を揺るがせておいて、そんなのは無責任すぎるわ!」

 

そう…だよな。希望を持たせておいて、実際はなんの裏付けもない話でしたって言ってるんだからな。

 

「……何で、貴方が辛そうな顔してるのよ!」

「何で、だろうな」

「人を騙すんなら、もっとそれらしい顔をしなさいよ!」

 

そんな事言われても、どんな顔をしたら良いかなんて、今の俺にはわからない。

……その時。クリスがイリヤに近づくと、その身を優しく抱きしめた。

 

「イリヤ。辛い思いをさせちゃってゴメンね。でもね、……カズマくんはカスマだクズマだゲスマだ、挙句には鬼畜のカズマなんて、前世で散々に言われてたけど」

「……おいこら、クリス。俺に喧嘩売ってんのか? いい度胸だ。俺は紅魔族を嫁にもらった男、売られた喧嘩は買ってやるぞ?」

 

紅魔族は売られた喧嘩は買うのだ。

 

「それでも根は、すごく優しい人なんだ。何しろ、あたしの先輩のために、魔王に喧嘩を売るような人だから」

 

……おい。その、思いっきり下げてから持ち上げるのは卑怯だろ。

 

「もしイリヤが悪魔の正体に気づいてなかったら、今も勝利の希望を持っていたはずだよ」

「……!」

「嘘にもね。優しい嘘っていうものがあるんだ。わかるでしょう?」

 

それこそ優しく、諭すようにクリスが言うと、イリヤは小さく頷いた。……どうでもいいが、こんな事言われると無性に恥ずかしくなってくるんですけど?

イリヤが落ち着いたと判断したのか、クリスはそっと体を離す。

 

「……カズマ、ごめんなさい」

「いや、俺も配慮が足りなかったよ。ごめん」

 

俺達はお互いに謝った。

 

「ねえ、カズマくん。この際、他の嘘も告白しとけば?」

「他の嘘?」

「ああ待て、イリヤ! 嘘って言っても、俺が転生者とか、この戦いの背景を知ってるのを隠すためなのが目的だから、そんな眼差しで俺を見るのはやめてくれ!」

 

せっかく落としどころを見つけたと思ったのに、また疑心で見られるのは流石に堪える。

俺は慌てて嘘 ──偽物悪魔以外にも繁みに隠れているフリをしていたこととか、聖杯戦争に詳しくないフリといった、説明しなくてもわかってるだろう事が殆どだが、そういったことを告白した(ゲロった)。だがイリヤは、少し難しい表情で俺に言う。

 

「……ひとつだけ、あまり笑えない情報があるわね」

「それって、イリヤがじゃなく俺が、だよな」

 

そう。笑えない状況のために、あまり考えないようにしてた事だ。

 

「聖杯戦争には()()()()巻き込まれた。ええ、それ自体は嘘ではないけど、真実でもない。カズマが前世の知識で英霊召喚の詠唱を唱えたために、アサシンが召喚されたのね」

 

その口調には若干の呆れが含まれている。

 

「それって確実に、キャスターに目をつけられてるわよ?」

「……やっぱりそう思うか?」

「むしろ見逃される方が驚きってレベルだわ」

 

ですよねー? 向こうからすりゃ、儀式を奪ってアサシンを横取りした魔術師、って認識になってるはずだもんな。俺が魔術師ってところを除けば、概ねそんな感じだし。

 

「……ねえ、カズマ。ひとつ提案があるのだけど」

「提案?」

「ええ。私と同盟を結ばない?」

 

…………は?

 

「俺と同盟? 何でわざわざ…。いや、俺としては大変ありがたい申し入れなんだが、そっちにメリットなんて無いだろ?」

「貴方が言ったのよ? 私が勝利する可能性が上がったって。けれどそれは嘘だった。なら、貴方がそれを本当にしなさい。それが、貴方が吐いた嘘の代償よ。……まあ、その代わりにキャスターから守ってあげてもいいわよ」

 

なるほど。確かに理には適ってるか。とはいえ、士郎相手でもないのに、かなり優遇されてる、もしくは甘い気がするんだが。あと、なんかツンデレっぽいのも気になる。

 

「何か失礼な事、考えてない?」

「滅相もありません」

 

前世の嫁は勘が鋭かったが、どうやらイリヤも同様らしい。

 

「どのみちそれは、後回しかな? どうも長話しちゃったけど、今は教会へ行くのが先でしょ?」

「俺、愉悦神父に会いたくない」

 

思わず本音を漏らす俺。そもそも【Fateシリーズ】はある程度網羅してるから、聖杯戦争についての説明も必要無いし。

 

「カズマくんが説明した通りの外道神父なら気持ちはわからないでもないけど、一応リンに言った手前、顔は出しといた方がいいと思うよ」

 

そりゃそうだ。後で顔出してないなんてバレたら、下手に詮索されかねない。それはわかってるんだが、言峰相手にすると神経がすり減りそうで、なんか嫌なんだよな。

 

「そうね。私もアサシンが言っていた、鬼畜のカズマっていうのが見てみたいわ」

「おま…、スティールを食らわせてもいいんだぞ?」

「カズマくん、そういうところだからね?」

 

 

 

 

 

来たくはなかったが、冬木教会の前に着いてしまった。

 

「じゃあ、あたしはここで待ってるから」

「バーサーカーもそこで大人しく待ってて」

「■■■■」

 

うん。もう腹を括ろう。こうなったらヤケだ。言峰をからかい倒してやる。エリス様の名にかけて!

 

「クシュン!」

 

俺が気合を入れると、クリスがくしゃみをした。

 

「God bless you」

「……カズマくん、からかってるでしょ?」

「さあな」

 

クリスが恨みがましい眼差しを向けて言うが、俺はとぼけてみせる。イリヤはこの会話を不思議そうに見ているが、こちらについてもとぼけておこう。

意を決した俺は、教会の扉を開ける。

 

「……ほう。今夜は千客万来だな」

 

祭壇の前、こちらに背を向けていた言峰が、ゆっくりと振り返りながら言った。

 

「……どうも。アサシンのマスター、佐藤和真ッス」

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。バーサーカーのマスターよ」

「私は聖堂教会からこの地に派遣された言峰綺礼。此度の聖杯戦争の監督役も担っている。……ふむ。しかし、アインツベルンのマスターが他のマスターと連れ立ってやってくるとは…」

 

言峰が意外なものを見るように、こちらへ視線を向けてくる。いや、実際に意外なんだろう。

 

「あら。リンもシロウを連れてきたんでしょう?」

「なんだ、知っていたのかね。しかし凛は、魔術師としてはなかなかに甘いところがあるからな。意外ではあるが、驚くほどのことではない」

 

なるほど。確かにその通りだ。

 

「そうね。確かに私は、リン程甘い性格ではないわ。けれど、命を救ってもらった恩を返すくらいの情は、持ち合わせているつもりよ?」

「それは失礼した。アインツベルンはより魔術師的だと思っていたのでね」

 

そう言われてイリヤは、若干機嫌を損ねたみたいだ。そりゃそうだ。イリヤが情を持つことを「変わってる」と言ってるようなもんだし、同時に「お前は魔術師らしくない」とも言ってるわけだからな。

 

「……あんた、なかなかいい趣味してんな」

「ん? 何のことだ?」

 

俺のセリフに、言峰は軽く反応する。

 

「一般人の俺が聖杯戦争の説明を受けに来たのに、こんな幼気(いたいけ)な少女をからかって愉悦に浸ってんだもんな。そんな聖職者にあるまじき行動、ホントいい性格してるぜ」

「む…。私はただ、客観的事実を言ったまでだが」

「ふうん、客観的ね。まあ、確かにあんたの言うことは間違っちゃいないんだろうな。だけどあんたの言い回しは、『魔術師でも情がある』じゃなくて『魔術師のくせに情がある』にしか聞こえないんだよ。聖職者なら、そういった言い回しにも気を配るもんじゃねえの? それともあんた、愉悦の為に真理をカサに、相手をからかってるだけとか? だとしたらあんた、どんだけド外道なんだよ」

 

言い募る俺に、言峰は無言になる。言っておくが、これでもジャブ程度の反論だ。

やがて言峰は、静かに言葉を紡ぎ出す。

 

「どうやら私の配慮が足りなかったようだ。心から謝罪をしよう。

……さて、少年。君は聖杯戦争の説明を請うのだったな」

「ああ。さっきも言った通り、俺は一般人だからな。一応アサシンから簡単な説明は受けてるが」

 

俺は、凛たちにも言った言い訳(つくりばなし)を口にする。

 

「いいだろう。では、聖杯戦争の何たるかを説明するとしよう」

 

 

 

 

 

言峰が語ったのは、【Fate/stay night】で士郎に語ったことと大体同じだった。俺は士郎と違って質問しなかったから話はスムーズに進み、対して言峰はつまらなそうにしていたが。

 

「……まあ、話は大体わかったよ。あんたの性格が悪いことも含めてな」

「……何?」

 

聞き捨てならないと、少しだけ表情が険しくなる言峰。だが俺は、こいつの本質が悪である愉悦神父だということを知っている。

 

「だってあんた、魔術師同士の殺し合いって言ってたろ? でもそれって、それぞれが従える英霊が最後の一人になれば問題ないじゃないか。ああ、英霊同士が戦うより、マスターを倒す方が楽なのはわかるよ? だって一般人の俺を倒す方が簡単なのは、俺自身わかってるからな。でもあんた、そこには一切触れてないじゃねえか。つまり、わざと勘違いするように誘導したってわけだ。

あーそっか。つまり、さっきイリヤに言ったことは、やっぱりわざとだったってことだな。いやーあんた、とんだド外道神父ですわー」

 

俺が煽ると、言峰は軽く咳払いをし。

 

「説明不足だったのは認めるが、それにしても散々な言い様ではないか」

「そうか? それじゃあこっちから質問するけど、[第五次]ってことは五回目の聖杯戦争ってことだろ? だったら前回はどうだったんだよ」

 

一見、さっきの煽りと関係ない質問をすると、言峰は訝しみながらもそれに答える。

 

「前回、[第四次聖杯戦争]は、勝者なく終結した。聖杯に相応しくない者が触れ、この地に災禍をもたらしたのだ。君も知っているだろう。冬木大災害を」

 

よし、見事に食いついてくれた!

 

「あれれ、おかしいぞー? なんか、アイツが言ってたことと違うんだけどー」

 

どっかの名探偵ボウズの真似をしながら、煽るように言う。俺はイリヤに目配せをすると、彼女も意を汲んでくれたようで、俺の話に合わせてきた。

 

「そうね。確か『聖杯に相応しくない者が触れたのはきっかけに過ぎない』って言ってたわ」

「そうそう。実際は聖杯を破壊したのが原因とか言ってたよな?」

 

俺達の会話を聞いて、言峰が驚きの眼差しを向けてくる。

 

「何故それを…いや、一体何を言っているのだね?」

 

思わずこぼれ出た本音を誤魔化し尋ねてくる言峰。

 

「いや、実はさっき、衛宮先輩と遠坂先輩が他の陣営のサーヴァントと戦ってるところに遭遇したんだけどさ。それを[地獄の公爵・見通す大悪魔バニル]って奴が介入して止めたんだわ」

「その悪魔は自分が食する悪感情の確保のため、聖杯戦争での殺し合いを止めに来たのよ。その際にそれらの説明をしていたわ。聖杯の[呪い]についても含めてね」

 

俺達は半ば自作自演の会話で言峰を追い詰めていく。俺はマッチポンプは嫌いだが、言峰相手にはこれくらいしてもバチは当たらないだろう。

 

「もしこれも説明不足だったって言うんなら、とんだ職務怠慢じゃないんですかねえ? 俺達、この儀式に命かかってるんですよ? ないわー。正直ないわー。ほら、謝って! 職務怠慢でしたって謝って!」

「ぐ、ぬ…。す、すまなかった…」

 

ヨシ。俺の勝ち! ……いかん。なんか駄女神や前世の嫁みたいになってる。

 

「これが、鬼畜のカズマ…」

「鬼畜言うない」

 

チクショウ!クリスのヤツ、 イリヤにいらんこと吹き込みやがって! 後で泣かしちゃる!

 

 

 

 

 

「あー、なんだ。俺、巻き込まれた側だから、ついあんたに当たっちまったんだ」

 

少ししてから、言峰からのヘイトを少しでも下げるために俺はそんな言い訳をした。まあ、そういった想いも少しはあったから、嘘ではないな。嘘を見破る魔道具があったら鳴りそうな気がするけど。

 

「なるほど。人間の心は弱いものだ。ならば、あのような暴言も仕方がないことではあるな」

「なんだ、許してくれるのか? いやあ、ド外道神父なんて言って悪かったな。改めて謝罪するよ。ごめーんね」

「……」

 

誠意がこもってないように聞こえたんだろう。言峰は無言になる。まあ、本当に誠意はないから当然だ。

 

「それじゃあ遅くなったし、俺達はそろそろ帰るよ。聖杯戦争の説明、ありがとうな」

 

俺の知ってることだけだったけどな。

 

「……佐藤和真、そしてイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。以降聖杯戦争の終結まで、敗退時の身の安全のための保護以外では、この教会に立ち入ることは許されん。心しておけ」

「……そうか」

「もちろんわかっているわ」

 

俺は知らなかった風を装い、イリヤは当然とばかりに答える。

そして俺達は冬木教会を後にした。




クリスの話に出てくる男は、暁なつめの別作品【戦闘員、派遣します!】2巻の短編【この素晴らしい星に祝福を!】に出てくる、戦闘員二十二号という人です。その短編が【このすば!】とのセルフコラボだったので。

[Unlimited Blade Worksルート]に関しては、和真は[ユービーダブル]と言ってます。さすがにイリヤ相手でも、アーチャーや士郎の宝具クラスの技のヒントを教えるのは気が引けた模様。
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