おい……どうして直哉が………太ってる………。
ネタバレあり
俺の名前は直哉。そう、あの禪院直哉だ。
ドブカス、女の敵、こっち側などと揶揄されるあの禪院直哉なのだ。なんの拍子か、呪術廻戦の彼の肉体に『俺』の意識が宿ってしまったのであった。
実際の直哉の人生を俺がめちゃくちゃにしてしまったというか、事実上の殺人ではあると思うのだが、俺とて黙って死ぬわけにはいかないし、【あの結末】に至るであろう直哉にそのまま肉体を返してしまって良いのだろうという懸念もあった。
故に俺は、自分自身の生存戦略について考えていた。直哉の結末は自業自得な側面も強いが、それがなかったとして生き残れる可能性は決して高くない。
①羂索による死滅回遊、ひいては宿儺による呪いの世界の誕生
原作では虎杖達によって阻止されているが、果たして俺がいる世界でも同じように上手くいくだろうか?
似たり寄ったりな展開になるとは思うが、何も備えずにいるわけにはいかない。
②禪院真希による禪院家殺害
今の俺は2018年1月1日にいる。
すなわち、それより過去の禪院直哉の行いはおそらく原作通りであったと予想される。恨まれているのはわかっている。
まぁこれは扇を事前にぶちのめせば止めれることだろう。
今必要なのは、強さ…。
強さとは、力…。
力とは、速さと…重さ!!!!
そしてそれがあれば、俺が最も可能性を感じる、あの呪術師を救えるかもしれない…。
─────────2018年、10月
人型の巨影───『与幸吉』操る究極メカ丸試作0号。
対するは、人の呪霊、『真人』。
その結末を見守るは復活を遂げた最悪の呪詛師、偽夏油。
本来であれば、この戦いに誰も干渉することはできない。夏油傑の中に宿った存在がそのようなイレギュラーを看過するはずがない。
縛りによってありとあらゆるちゃぶ台返しが否定されている。が、ここに一つ、例外は作られた。
帳が破られる。
誰も感知できぬ数ミリ秒の中の一瞬だった。
究極メカ丸0号機は、結界内に入ってきた『何か』によって弾き飛ばされ───結界をそのまま突き破って消えた。
「……………は?」
─────────
投射呪法。
自らの視界を画角として「1秒間の動きを24の瞬間に分割したイメージ」を予め頭の中で作り、その後それを実際に自身の体で後追い(トレース)する術。
重ねがけすることで、より素早く、より物理法則を無視した動きが可能となる。
青天井に達した速度は亜音速に至る。
そしてこの世界の『禪院直哉』が新たに付与した『縛り』により、本来術式を止めれば無くなってしまう速度をそのまま保持することができるようになった。
そこで止まらない。禪院直哉は体重を120kgに増やし、己の肉体を砲弾へと変える。
亜音速で飛行する直哉がウレタン素材のマットレスを前面に抱えながら領域展延で前方の術式を中和しながら四方八方を横断し探索することによって、強力な帷に包まれ、かつ、位置が正確にわからない与幸吉と真人の決戦場に割り込みそのまま与幸吉を連れ去ることに成功したのである。
─────────
そして、10月31日、渋谷事変当日。
帷で包まれた東京メトロ渋谷駅。
到着する電車。
「来たな!」
呪霊側の仕込み。
大地の畏怖より生まれし特級呪霊、漏瑚は歓喜する。
電車に詰め込まれ、渋谷駅ホームに到着する改造人間。
五条悟に対する時間稼ぎへの回答───。
だが。
改造人間は皆殺しにされた。
「───。」
亜音速の物体による局所的な破壊により、被害は最小限ではあるが効果は最大限。瓦礫の山から這い出たのは、金髪の巨漢───禪院直哉。
帳外から侵入し、電車ごと改造人間を鏖殺。
「久しぶりやな、悟くん。───俺も来たで、コッチ側。」
「お前誰だよ。」
「獄門疆、開門。」
───偽夏油、一か八か、このタイミングでの獄門疆展開。
「チッ、このクソボケが…っ!!」
「何が起こってんの?」
この瞬間、禪院直哉は投射呪法を発動。術者である偽夏油を狙う。
五条悟は圧倒的な動体視力と六眼によって、この異常な状況を理解しようと、何一つ見逃さないように努めた。
禪院直哉の狙いや動きに気を配る。24フレームの動きの解析───。脳内時間での1分を超えるに十分。
「獄門疆、閉門。」
「───しまった。」
「マジか。」
力は速さと重さ。デブ直哉に衝突された偽夏油は肉体の術式によって防ごうとするが、"縛り"によって速度と併用できるようにされた領域展延にて術式は中和され、壁に50mほど陥没し、治療が済むまで一時戦闘不能。
しかし、目的は果たされた。五条悟の封印は完了している。
─────────
「……物理的時間は流れてないっぽいね。」
─────────
獄門疆は地面にめり込んでいて動かせないが、真人、漏瑚、陀艮、脹相は戦闘続行可能だ。
術師を入れない帷は解けていない。領域展延による術式の中和で無理矢理突破されただけ。このデブ術師が人道的な考えを持っていれば、まだまだ呪霊側が有利。
「───ほんまに、余計なことをやってしまったなぁ。」
ここを、乗り切る。
五条悟が助けるはずだった人々を、死なせないために。
「ほな、最低限の責任はとらんとな。───領域展開。」
(………領域!?まずい───。)
デブ直哉が盤面をめちゃくちゃにしたせいで完全に不意を打たれ、呪霊側は誰も領域を展開できなかった。
「【星月時庭】。」
変異した『禪院直哉』が持つ領域展開。
領域内全ての存在に対し、1秒毎に1回、投射呪法を適用する。
たったそれだけのシンプルな領域だ。
領域展開中、直哉自身も動くことができないという縛りがあり、その縛りによって安定して展開できている。
投射呪法によりフリーズされている最中は思考や意識が飛んでおり、実質延々とフリーズさせ続けられることとなる。
禪院直哉自身の呪力が尽きるまで、これは続く。
(虎杖君、そして与幸吉君…あとは頼んだわ───。)
イかれにイかれた呪いは、捻り渦巻く───。
帳を領域展延で突破できるかどうか?
多分できないと思います。
二次創作なんだ!!!!