俺のガンプラが擬人化した。何を言ってるかわか(ry 作:高坂ミチル
久しぶりに、しかも夜中に勢いで書いたため、もしここがおかしい、などの点があった場合は、お気軽にご指導お願い致します!
「おい白いの、マスターに近付きすぎだぞ。離れろ」
「......私より、貴女の方が、マスターに近すぎです。......離れて、ください」
「いやお前ら二人共だよ!?」
二人の口喧嘩を、喧嘩両成敗でバッサリと切り捨てる俺。だがしかし、それも仕方ないことであろう。それほどまでに、この二人はお互いのことを言えないくらい俺に近付いているのだ。いや、もうこれは、くっついている、と表現したほうがいいのか。
ーーーとにかくっ!
「ええい離れろ!宿題できないだろ!」
「ええー?そんなのより私と遊ぼうぜマスター!」
「……わかり、ました、離れます。……私は、できる、女なので、子供みたいに駄々こねる、子供みたいな貴女とは違いますから」
なんだとぉ?と、一足先に離れたユニコーンに、立ち上がって噛み付くように威嚇をするバンシィ。売り言葉に買い言葉、とはまさにこのことだ。この二人はほんとによく喧嘩する。喧嘩するほど仲がいいのだろうか?
……まあ、とにもかくにも、これで宿題に集中できるのだ。大体美少女二人に挟まれて密着状態になってるのに、集中できるわけあるか。俺がどれだけ我慢するのに必死だったことか。相手は元プラモデル、無機物、宿題……などと、一人で葛藤していた俺の努力を水の泡にしたくはない。
じゃあ早速、数学から始めまーー『NT-Dを起動します』ーーはい?
「なんでいつもいつも我の邪魔をするのだ、白いの!!よいではないか、少しくらいマスターと戯れても!!」
「よくないです!!マスターは、決して貴女のものではありません!!」
……え?ちょ、な、なにこれ!?どうしてバンシィの体から金色のオーラみたいなのが出てるの!?なんで口調変わってるの!?ってかユニコーンに至っては表情が豊かになってる!?それどころか、基本無口なのにめちゃくちゃ語気を荒げてる!?
何がなんだかわからない俺は、とりあえず説明を求めることにした。
「ちょ、お前ら!その姿なんだ!?角開いてるし、口調変わってるし!!」
「マスター、もう暫し待っておるといい。手土産にこの貧νをボッコボコにしてマスターの前に献上するからのう」
「はん、貴女なんかにできるんですか、この淫乱!冗談はその乳だけにしておいてくださいよね」
「人の話を聞けえええええええええーー!!!」
☆☆☆
「……なるほど。あれが設定にあった、NT-D。デストロイモード、ってわけか」
「ううっ……いたいぃ」
「……痛い、です」
一人うんうんと納得する俺の目の前で、少し涙目になりながら頭を押さえている二人の少女。言わずもがな、ユニコーンとバンシィである。
あのあと、人の話を聞けと言ったにも関わらず、いきなりビームサーベルを取り出して斬り合いをした挙句に俺の冬休みの宿題である数学のプリントを細切れにしたため、鉄拳制裁を食らわせて物理的に静かにさせた。
その結果、今はNT-Dを収めて、俺の目の前でちょこんと正座をしているだけの少女となった。
「しかもお前らの場合、NT-Dを起動させると、姿が少し変わる上に、性格がだいぶ変わるみたいだな」
「……NT-Dは、私たちの中で要約してしまえば、足りない部分を補っているシステム、でしょうか。……いたい」
ふんふんなるほど。つまり、ユニコーンの場合は性格面、要は表情などか。……バンシィは、まあ、なんだ。馬鹿っぽいところ、かな。NT-Dを起動させてるときは、知的だったしな。つまりは、そういうことなのだろう。
「……まあ、仕組みについては大体わかった。が、それとこれとは話が別だ。なぁ、ユニコーン、バンシィ?」
「うっ」
「……はい」
まったく。喧嘩するほど仲がいい、ってなことで、仲がいいのは大いに結構なのだが、それで周りに迷惑をかけてはいけない。今回は俺だったからよかったものの、これが他人とかだったら、最悪通報されるぞ。
……いや、まあ、まず信じられないか。ビームサーベルを振り回している美少女が二人います、だなんて言われても、警察は『?』としかならないだろうから。って、そうじゃなくて。
「とにかくお前たち。今度からは、喧嘩は頻度を抑えること。あと、度が過ぎた喧嘩はしちゃいけない。わかったか?」
「ごめんなさい、マスター……」
「……申し訳、ありません」
うん。わかってくれるならいいんだ。それにこうやって見ると、まるで、妹ができた気分だな。兄に叱られている妹、って感じで、不思議とそう思ってしまう。
「じゃあもう正座をやめていいよ。ごめんな、ゲンコツなんかして」
「ううっ、マスター!」
「……ありがとうございます、マスター」
まったく、可愛いなぁこの二人は。ほんとに元プラモデルなのだろうか。そうとは全く思えないのだが。……いや、そもそも、なぜプラモデルが擬人化したのだろうか。普通はありえないことだ。世紀の大発見レベルだ。
……もし、この二人が研究者に連れてかれたら。
そう思うと、ぞっとした。おそらく、徹底的に研究されるだろう。それこそ、人には言えないような実験までするはずだ。俺の知っている科学者とは、そういった存在なのだから。
「マスター、どうしたんだ?そんな怖い顔して」
「……何か、不安な、ことでも?」
……そんな顔してたのか、俺。
まずいまずい。変なことを彼女たちに言って、逆に不安にさせたらいけない。純粋なこの子達には、知ってお区必要性も感じられないだろうし。そう思い、すぐに表情を笑顔に変え、話題転換をする。
「いや、なに。……どっちが胸でかいんだろ、って思っーーーあっ」
言って、後悔する。
いやいやいや。待って待って。おかしいだろ今の話題転換は。いくらなんでもおかしいだろ。なんで俺は胸について怖い顔をするのだ、いやそもそも、なぜ胸について、だなんて言ったのか。だいぶテンパっているのだろうか。
「……マスター」
「ーーーひゃいっ!?」
地獄の底まで響き渡るかのような、そんな、暗い声。それを聞いた瞬間に頭の中で理解する。
『NT-Dを起動します』
ーーーあぁ、やってしまった、と。
「マスターの、ばかぁぁぁぁぁぁぁーー!!!」
「ぐべらぁっ!?」
ちなみにその日のことは、よく覚えていない。
更新、もっと早くしないとね:(´◦ω◦`):。