転生したら虚だった件(勘違い)   作:奴隷貸出中

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神

 実を言えば醜鬼を操る能力者はいない訳ではない。

 7番組組長である羽前京香もそうだし、一部の能力者の中には複数の醜鬼を改造し操り、群に混ぜることで群を操ることも出来る。

 

 では何故仮面の集団(ヴァイザード)の身柄を欲するかといえば、操(・)作(・)性(・)だろう。

 

 現状醜鬼を意のままに操れるのは羽前京香のみで、それだって数は一体。複数操れる能力者は精々が進めととまれ、曲がれなど簡単な作業をさせるのが精々。でなければ魔都研究最前線の陰陽寮が何時迄も醜鬼の有効活用法に苦戦してない。醜鬼同士で殺し合う措置を取っているはずだ。少なくとも現総組長山城恋はそういう女。

 

 対して仮面の集団(ヴァイザード)は被災者の護衛、運搬、門(クナド)の護衛に偵察と多様な命令を行うことができる。

 

 つまり何が言いたいかというと、魔都災害に現れる仮面の集団(ヴァイザード)の活動を利用し罠を張る海外の工作員もいたりするということだ。

 

「釣れたのは男の方か。よりによって唯一のハズレを引くとは」

 

 そう忌々しげに呟くのは女尊男卑の思想にどっぷり浸かった能力者。今にもこちらへ襲いかかりそうな4メートルの特殊醜鬼。

 

 全身に突き刺さる液体入りの瓶と絡みつくコードは醜鬼の改造用か。頭にアンテナが刺さってる。ちょっとシュール。

 

「さあ、大人しくついてきてもらおうか!」

 

 左腕が平たく伸び、無数のボタンが現れる。カタカタと動かすと醜鬼が襲いかかってきた。アンテナを指した相手をゲームのように操るのか。

 

「────!!」

 

 雄叫びを上げながら迫る。中々の速度、並の特殊醜鬼などよりも余程強い。能力の影響か、醜鬼のスペックか。

 

「……………」

 

 が、紅月がぶった切った。

 特殊醜鬼の骨を削り作った無骨な剣。鉄よりも硬く護ぐらいにしか加工できない一品だ。改造醜鬼の鎧のような甲殻も体に取り付けられていた鉄の機械も纏めて斬った。

 

「!!」

「ん?」

「かかった!」

 

 が、紅月の体が固まる。よく見れば紅月の体にアンテナが刺さっていた。

 

「さあ、お前の最強の醜鬼はアタシのものだ! 殺されたくなけりゃ、醜鬼を操る能力者を連れてくるんだね!」

「…………俺だけど?」

「能力も持てねえ男がどうやったら醜鬼操れるってんだ。適当なことを抜かしてんじゃねえ!」

「どうって…………」

 

 軽く痛めつけようと迫る紅月を蹴り飛ばす。アンテナもついでに踏み折っておいた。

 

 吹き飛ばされていく紅月を見て固まる工作員。

 

「力で黙らせた」

 

 頭部に向かい飛んできた銃弾を受け止める。

 

「6人か。俺を相手にするには、足りないな………」

 

 

 

 

「…………ひぇぇ」

 

 3番組寮。ボッコボコにされ縛られた外国人が放置された。睨んでくる外国人に組員の一部は涙目。そして大半は………

 

「………………」

 

 工作員を運んできた鬼面と、唐突に現れた第三者を警戒している。

 

「やー、はじめましてだね。会いたかったよ、鬼面君」

 

 黒髪の美少女。一見すれば丈の短い着物を着ただけの人間にも見えるが、その髪は途中で絡まり無数の蛇を象っていた。

 

「僕は紫黒。お姉ちゃんと呼んで尊敬していいよ」

「断る。俺はお兄ちゃんだぞ」

「? 君は末っ子…………ああ、飼(・)っ(・)て(・)る(・)半端者達? 別に少しは連れてきても──」

「あ?」

 

 溢れ出した膨大な霊圧が周囲の大気を揺らす。押し潰されそうな威圧感に3番組組員達はヒュと息を呑み気絶した。

 

「君、本当に変わってるね。僕達とは違う作り方でも、母様に最低でも一日千人殺すよう言われてるだろう?」

「………知るかよ」

 

 嘘だな、と黒髪の女は確信する。やはり醜鬼としての使命感は存在しているようだ。その本能すら押さえつける理性があるということだろう。

 

「母様も君を連れてこいってさ。肉体的にただの醜鬼でありながら、そこまで強くなれたのは初めてだからね」

「この力を人間殺すために振るえってか?」

「嫌なの? 元(・)人(・)間(・)だろうと、今は関係ないじゃん」

 

 轟音と共に落ちる雷。世界を赤く染める極雷が少女のいた大地を消し飛ばす。

 

「流石流石。そりゃ、広く見たら醜鬼も僕達の同胞(はらから)だけど、此処までの雷を落とせるなんてね。うん、君は間違いなく雷神に相応しいよ」

 

 空中に現れた黒い泥のようなものから無傷で現れる少女。

 

「そうかよ」

「あれ………」

 

 ズルッと少女の首が落ち、しかし少女の体が慌てて押さえる。

 

「残念。不死身なんだよね、神だから」

「……………………」

「怒らないでよ。お姉ちゃん悲しいなぁ………僕は分からなかったけど、母様は凄いからね。でもほら、魂がどうあれ君は此処で生まれ直したヨモツイクサ(醜鬼)。普通、人の魂が入った程度で肉体の本能に耐えられるわけないんだけどね………なんで?」

「気合」

「ちょっと意味が分からないね………ん?」

「そ(・)こ(・)か(・)」

 

 鬼面が視線を向けるのは目の前の少女ではなく、別の方向。

 

 

 

 

 

 

「あれ、もうバレた」

 

 鬼面からそれなりの距離を離れた岩山の上、分(・)身(・)を相手取る鬼面を観察し続けていた少女はコチラと目が合う鬼面に素直に感心。『清めの日前』とは言え、神たる自分の分身を遥かに凌ぐ強さ。

 

 もっと観察したいが、輝く赤い光が迫る。

 

「残念」

 

 極大の閃光が岩山と魔都の雲を消し去った。




3番組、無事蹂躙回避。まあ、護の霊圧食らって暫く魔都に来るだけでトラウマ再発するけどね。

実は護は生前から鍛えてる。鍛え始めた理由は弟が生まれるから。
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