ストライクフリーダムアリス Go!   作:バオウ・ザケルナ

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天井!天井!
臨戦アリスかなりSeed覚醒だよこれ
もっとアリス×Seedは増えるはず、そうに違いない


はい! アリス、リオにゲームをさせます!

 

 

 ミレニアムサイエンススクールは科学技術最先端である。

 ならば、科学技術の結晶たるゲーム機は今時の生徒ならひとつやふたつ持っている。

 なんだか古い気もするのは気のせいだ。

 無論、ハカセの研究室にも存在していた。サボるためではない。

 (ゲーム機が)ないです、では良心がないのだ。

 

 だがッ! その良心が逆にパンドラの箱を開けたッ!

 

 

 

 

「あがががががががががが」

 

ELECTRICAL_COMMUNICATION…………

 

 

 

「なんなの? これは…………」

 

 ベッドから起き上がったリオは目の前の状況に困惑した。

 ふたりが、もがき苦しみ再起不能(リタイア)している。

 記憶を再構成した後、腕時計を見る。2時間程度は気を失っていたようだ。

 

「おはようございます、リオ。少し、ふたりとゲーム(TSC特装版)をしていました」

 

「ッ!」

 

 声の主のほうへ半ば反射的に顔を向ける。

 そうだった。去ってくれていれば……などというのは甘い考えだった。

 エリドゥの進捗報告という名の定例会議。顔を合わせないとヤダとごねるハカセに仕方なく折れて久しぶりに顔を出してみれば、これだ。

 また裏切られたのかと疑ったが、張本人も予想外だったようだし、それはないはずだ。

 名もなき神々の王女。キヴォトスに災厄をもたらす魔王の器。こんなに早く出会うとは思っていなかった。何もかもが準備不足だ。腰の拳銃が頼りなく思える。

 

 喉の渇きを覚えて、唾をのんだ。

 不幸中の幸いは、相手にその気が見られないことだろうか。2人が無事なのだし。 

 まだハジけていないのなら、何とかなるかもしれない。

 いや、それすらただの演技で恐怖する()()()を見て楽しんでいる可能性だって……。

 

 頼みの綱のトキは放心状態で、何かを知ってそうな研究狂いは故障して役に立たない。

 

 懸念は、消えない。

 警戒するリオに人畜無害な表情を浮かべたアリスは言う。

 

「リオも、どうですか? とっても面白いですよ!」

 

 まっすぐ、目を見て。

 

「それに、アリスはリオと友達になりたいです!」

 

 一瞬。本当に一瞬の出来事だった。

 油断しているつもりもなかったのに、リオは両手をアリスに取られていた。

 上目遣いで語られた言葉。

 

「ッ」

 

 これは明確なメッセージだ。

 瞬きの間にやっちまえる、という。

 リオの背筋に非合理的な寒さが襲い掛かった。

 わかっていたことだ。身体能力では明らかに向こうが上。

 

「…………」

 

 リオは思った。

 やはり、「王女」が目覚めているのなら世界が終わっていないのはただの気まぐれだ。

 ここで相手の興を削ぐ真似をしてしまえば………考えたくもない。

 ならば、そう。

 今この場でキヴォトスの崩壊を食い止められるのはただひとり、私だ! と。*1

 

「ふぅ……」

 

 優れた理性で心を乗りこなす。それが今、自分に出来る最善の行いと信じて。

 果たして、恐怖を抱えながら合理モードと化したリオが下した結論は…………。

 

「いいでしょう、アリス。ゲームで決着をつけましょう」

 

「……? はい! リオもゲームをしましょう!」

 

 そして、戦い(ゲーム)が始まった。

 

 

――コスモス世紀(CE)2354年、人類は劫火の炎に包まれた……

 

 そのような出だしで。

 

「……ちょっと待ってちょうだい。なぜ劫火と炎で重複しているの?」

 

「かっこいいからだそうです!」

 

「かっこ……? まぁ、いいわ……」

 

――大地は汚染され尽くし、残された僅かな土地に人々はしがみつくように生きていた。

 

――そして、それでもなお戦いは続いていた。

 

――やがて対立は泥沼化し、両者は最後の外交手段に踏み切った。すなわち、開戦である。

 

「開戦!? 開戦したというの!?」

 

「はい! 最初からクライマックスです!」

 

「……事前情報が少なすぎるわ」

 

 リオはコントローラーを握りなおした。

 

――チュートリアルを開始します。

 

――まずはBボタンを押して、目の前の武器を()()してみてください。*2

 

 リオは合理的な指示に従う。

 すると。

 

 ドカーン!

 

「???」

 

<GAME OVER>

 

 画面に表示される無慈悲な結果。

 

「…………?」

 

 指示に従ったはず。リオが困惑しているとアリスが解説しはじめた。

 

「本当は、ここでAボタンを押すのですが。それは不評だったので特装版は変更を加えたんです!」

 

「……なら、この画面に表示されているものは?」

 

「RPGでは、『装備』しないと駄目だからです!」

 

「装着と装備はほぼ同義だと思うのだけれど」

 

「はい! アリスもよくわかりません」*3

 

「……非合理的なイベントだわ」

 

「でも、これがレトロチック・ロマンです!」

 

「…………」

 

 リオは再びコントローラーを構えた。

 

――武器を()()しました。*4

 

「これで……」

 

「はい! RPGの花形、戦闘です!」

 

 勇者はみなここから始まる。

 【どうのつるぎ】を握りしめた勇者リオはWorldへ進出する。

 

――エンカウントが発生しました!

 

――野生のプニプニが現れた!

 

「勇者はAボタンでスキルを使うことができます!」

 

「Aボタン……これね」

 

 『()():つばめ返し』と書かれたスキルを使用した。

 勇者リオは【どうのつるぎ】を振りかぶり――――

 

――ッダーン!

 

――攻撃が命中、即死しました。

 

 

<GAME OVER>

 

 

「……???」

 

――プニプニ:どれだけ剣術を鍛えたところで、我が銃の前では無力……ふっ。

 

「なに、これは……」

 

 放心状態から復帰したリオが呟く。

 

「ここも変更するはずが、モモイが『銃は剣より強し ンッン~名言だよこれ!』と言って結局直しませんでした!」

 

 モモイ。リオは新しく出て来た名前を記憶から辿った。

 新入生にそんな名前の生徒がいたはずだ。確か、才羽モモイ。

 同じ1年生だけで部活を設立したことが特徴的で覚えている。

 

「…………つまりこれはゲーム開発部の作品ということね」

 

「はい!」

 

「…………なるほど」

 

 リオは()()()()でコントローラーを支えた。

 プニプニを瞬殺し、先へ進む。

 

 2時間後。

 

 

 

「何この・・・何?」

 

「もう少しです、リオ! ついにクライマックスが来ます!」

 

「ゆるして……」

 

 リオの頭はとっくに限界だった。

 いくら強制仮眠があったとはいえ、エリドゥ建設のために睡眠時間を削ってまで働いていた体と頭脳は疲労を蓄積していた。

 そんなときにもたらされたテイルズ・サガ・クロニクルは魔剤よりも格段のダメージをもってスーッとリオの身体に浸透していった。

 平時であれば休めばよいのかもしれない。

 しかし、今は世界の、キヴォトスの危機である。眠るなんてとんでもない!

 これまでの知識が何ひとつ役に立たないゲームを相手にリオは極度の緊張状態にあった。

 何が起こっても不思議ではない。しかし限度はある。

 何度も襲い来る理不尽な展開。

 幾度も表示される<GAME OVER>の文字。

 

 宇宙の 合理が 壊れる!

 

 もうやめたい。何度も思った。

 

「リオ、今のはいいカウンターです! 読みも完璧でした!」

 

「……っ」

 

 怖い。

 この意味不明なゲームも怖いが、それより。

 気取られぬよう背後を取っていたアリスが何より怖い。

 リオはゲームが得意ではない。ゲームセンスを求められないから、何とかなっている。

 得意の推論も製作者の意図によって粉砕される。

 そんな人間のプレイは傍から見て、面白いとは言えないだろう。

 もしも、アリスがリオのプレイに腹を立ててしまったら…………。

 実際はめっちゃ応援しているだけだが、リオはそれが真実と受け止められない。

 恐怖が思考を歪ませていた。

 世界の終わり*5を背負いきれるほどリオの精神は図太くない。

 ただ食いしばって恐怖に耐えているだけなのだ。

 

「今のは惜しかったです。でも、次があります! もう一度チャレンジしましょう!」

 

「…………」

 

 だが、少しずつ恐怖とは違う感情も芽生えつつあった。

 

 

 とはいえ、理不尽は変わらない。

 

<GAME OVER>

 

「??? 今、どうして橋から落ちたの?」

 

「今の橋はメガトンコインを持っていると落っこちてしまいます。だから、事前に売っておく必要が、あったんですね」

 

「どうして、そんなギミックを用意したの?」

 

「古代からのお約束だからです!」

 

「…………」

 

<GAME OVER>

 

「笑っている村人に投獄されたのだけれど」

 

「ほほえみ村では【ほほえむ】をしないと捕まってしまいます!」

 

「私、勇者よね?」

 

「はい! 勇者でも投獄されます!」

 

「…………それは合理、的、ね?」

 

 

 

――「ごめんなさい。私は植物人間ですので、女性に対して気軽に声をかけることはできません」

 

「これは、どういう意味なの? 健全に活動できる人を植物人間と言わないわ」

 

「言葉の綾です! 指摘されて意地になったモモイがそのままにしました」

 

「…………」

 

――ああ、リオ。ようやく思い出してくれたんだねぇ……。

 

「彼女は、いったい誰なの? 母親……? 前世……? 腹違いの友人……?

 伏線もなく突飛な設定を出さないでちょうだい」

 

「実は、アリスもよくわかっていません」*6

 

「えぇ……」

 

 1時間後。

 ついに!

 幾度ものGAME OVERを乗り越えて、ついに勇者リオはたどり着いたのだ!

 

 エンディングへ!

 

――世界に闇をもたらす暗黒門と対峙した勇者リオは聖剣を突き立てた。

 

――「それでも!守りたい世界があるんだ!」

 

――かくして、世界に平和が取り戻されたのであった。

 

 

――~TRUE END~

 

 

 

 

 

「終わった、の?」

 

 呆然とつぶやいたリオの手からコントローラーが零れ落ちる。

 

「はい! すごいです、リオ! この短時間でトゥルーエンドまでたどり着きました!」

 

「そう…………私は、守れたのね」

 

「そうです、リオは世界を守った勇者です! 

 ぱんぱかぱーん! 新たなる勇者の誕生を祝いましょう!」

 

「守れた……」

 

 リオは燃え尽きていた。自分が何を言っているのか自らもわかっていなかったが、ただ、世界を救えたということだけは聞き取れた。

 それで十分だった。

 アリスのことを危険なモノと認識していたような気もするが、それ以上に危険な存在(ゲーム)が露呈したことに意識が持っていかれていた。

 ゆえに、緊張の糸がちょうどよい塩梅で緩んだ。

 

「私はゲームに明るくないけれど、これは……一般的なゲームではない、わね?」

 

 少々疑いながらもリオは尋ねた。もしこれが一般的なら、ゲーマーたちがさらに理解不能な存在になるような気がして来たからだ。

 

「はい。これは……世間で言うクソゲー、です」

 

「そう…………」

 

 リオは安堵すると同時に思った。なぜそのクソゲーを薦めて来たのか。

 いや、精神破壊(マインドクラッシュ)には最適かもしれない。まさか……?

 その疑いを否定する。流石にないだろう。あまりに姑息過ぎる。

 しかし、余裕が出て来たリオは気づいた。

 アリスはどうもこのクソゲーに思い入れがあるのかもしれないと。

 まぁ、それはそれとして。

 

「それなら、良質なゲーム体験を重ねた方が個人の幸福としては合理的よ。

 世には良作と呼ばれるゲームがあふれているはず。それなのに、このゲームがそれらより勝っているものは、あるのかしら」

 

 口をついて出たのはそのような言葉である。

 そのことを後から自覚して、息を飲んだ。

 私はいつもそうだ。人の好きなものや好きなことにケチをつけてしまう。

 だから嫌われる。

 冷汗を浮かべ始めたリオにアリスは冷静に返した。

 

「これは、思い出なんです」

 

「思い出?」

 

 オウム返しに聞いたリオにアリスは笑顔を向ける。

 

「はい! ひとりでするゲームも良いものです。

 黙々と資金を集め、武器を強化し、ダンジョンに挑むのは楽しいです。

 でも、誰かとゲームをする時というのは記憶の共鳴による相互関係値を積み重ねることなんです。そうして積み重なったものが絆となり、お互いに向ける友情となるんです。

 このゲーム(クソゲー)は、アリスにとってその友情の証なんです。

 だから、これから友達になりたいリオと一緒にやりたいと思いました」

 

 わかるような、わからないような。

 理論的にはわかる。だが実感としては納得し難いような気がした。

 なんだか、否定しないといけない気がしてリオは口を開いた。

 

「……それは、ゲームではなくてもいいはずよ」

 

「そうかもしれません。でも、ゲームがきっかけにならなければ繋がれない人もいるはずです。そういった人と繋がるためには、ゲームが必要です」

 

「そんな、限定的な繋がりに意味はあるの?」

 

 リオの口は閉じない。

 

「はい! 人と人の繋がりは全部が大切なものです!」

 

 曇りなき(まなこ)でアリスは断言した。

 

「…………」

 

 リオは閉口した。

 なんだ、この娘は。眩しすぎる。

 必要ないと切り捨て、学園の全員を裏切り続けている*7リオにアリスの言葉は振動攻撃だった。

 こんな子が魔王とは、何かの間違いなのではないか?

 何か、自分は勘違いをしているのではないか?

 そのようなことにリオは思い至った。

 もちろん、完全な油断はしない。そもそもが不審者であることは変わらないのだ。

 

 と、そのようなことをリオが考えていると、アリスは。

 

「もしかして、リオはゲームが好きではないのですか?

 なら……リオ! アリスと外に行きましょう。デート作戦です!」

 

 リオの手を取って、そのようなことを、言った。

 

「デート……?」

 

 言葉としては知っている。知っているが……どういうことだろう。

 困惑するリオに、背後から揶揄う声。

 

「おやおや、聞いたかいトキ。人を誘拐犯と言うくせに、自分はもうデートだと。

 まったく手が早いじゃないか。我らが会長さんは」

 

「ええ、ええ。バッチリこの耳で聞きました。ご主人様は私たちという女がありながら他人にも粉をかけるスケコマシだったんですね」

 

「「およよよよよ」」

 

「貴女たち……」

 

 それはいつの間にかに復活していたハカセとトキ。

 ハカセはにやにやと意地悪い笑顔を浮かべ、トキはポーカーフェイスで見つめてくる。

 

「はぁ…………」

 

 その様子に毒気を――別に持ってはいなかったが――抜かれたリオはため息をひとつついて。

 本来の目的のために動き出した。

 

「起きたのなら、説明してちょうだい」

 

 時刻は既に夕刻を過ぎている。

 三者の視線を受けて、アリスは。

 

「アリスは、未来から来ました」

 

 開口一番、そう言った。

 

 

 

 

 

 ~少女説明中~

 

 

 

 

 

「なる、ほど」

 

「うーん…………」

 

「…………」

 

 アリスが話を終えたとき、三者三様の反応があった。

 話の内容に頭痛がしてきたリオ。

 そんなエピソードあったっけ、と記憶を疑うハカセ。

 私が考えることじゃないな、と判断して人数分のアイスティーを入れに行ったトキ。

 

「つまり、まとめると……キヴォトスを襲う滅亡の危機はひとつではない?」

 

 沈黙期間を経て。

 喉を震わせながら絞り出すようにリオは言った。

 

「はい、『名もなき神々の王女』を含め、少なくとも7つ」

 

 無慈悲なアリスの宣告に、リオの視界が揺らぐ。

 

「ッ。気づいていたのね」

 

 唐突な命の危機! これは一体……?

 

「リオの警戒は当然です。でも、アリスはリオを信じています」

 

 そんなものはなかった。

 

「そ、そう」

 

 差し出されたアイスティーを一口飲んだ。

 それはそれとして、やはりエリドゥは必要なのでは? リオは意思を固くした。

 

 今度はハカセがおそるおそる口を開いた。

 

「ねぇ、その。…………先生、とかはいなかったのかな?」

 

 しかし、アリスはピンと来ていないようだ。

 

「先生、ですか? ……すみません、アリスの記憶ストレージには存在していません」

 

「お、おう…………グレートにヘヴィ過ぎるよ、これ……」

 

「ハカセ、貴女はまだそんなことを言っているの? 先生なんて、連邦生徒会長の法螺だとわかったばかりでしょう。そんな都合の良い存在、いないわ」

 

「ううううう、いいじゃないか! ジョーカーはいつだって手札に欲しいんだから」

 

 リオの追撃(マジレス)を受けたハカセはうめき声を上げながらうずくまってしまった。

 ちゃっかりアイスティーは飲む。

 

「……なんだかよくわかりませんが、大丈夫、でしょうか」

 

「心配ありません。ハカセはたまにこうして妄言を言うので。どうぞ」

 

 トキに感謝の言葉を言って、アリスもアイスティーを口に含んだ。

 ハムスターみたいな飲み方。トキはかわいい、と心で呟く。

 

「妄言?」

 

「ハカセの頭の中には私たちの願いをなんでも聞いて、私たちを導いてくれる都合のいい存在がいるのよ」

 

 リオが続きを告げる。

 

「ううん……やはりアリスは聞いたことがありません」

 

「まぁ、気にしなくていいわ。それよりかは、ハカセが時間跳躍法を完成させていたという方が驚きね」

 

「なにおう! 理論は完成したんだぞ! …………さっき」

 

 横目で抗議してくるハカセをリオは手馴れた様子であしらう。

 

「さっき、ね。…………ふっ」

 

「鼻で笑うことないじゃないか!」

 

「完成と言っても、その完成プロセスは正確に理解出来ていない。そうでしょう?」

 

「ぐっ、ぐぬぬ……」

 

 息を詰まらせるハカセ。リオの指摘通り、なぜあの瞬間に確率変動が観測されたのか。その直接的原因はわかっていない。

 

「貴女はいつもそう。変数の考慮が毎回甘いわ」

 

「こ、今回は明らかだろう! アリスが来た、それがこれまで埋まらなかったピースだ!

 それに、ボクがいる限り理論はいつか完成する! ボクに不可能はない!」

 

「そうね。その調子でよろしくお願い」

 

「も、もちろん!」

 

 顔のいい女に言われたら押し黙るしかない。ハカセはいじける様に膝を抱いた。

 

「それで」

 

 リオは長い脚を組み換えながらアリスを見た。

 

「アリスの話をどこまで信じるか。私たちは、どうするか。他の学園に協力を要請しようにも、今は時期が悪いわ。法螺話と笑われるのがオチよ」

 

 まっさきに頼る連邦生徒会は生徒会長の不在で機能を半ば停止している。

 他もエデン条約に向けて準備をしているゲヘナとトリニティは動けず、アビドスは体力もないし百鬼夜行は内部の混乱が収まっていない。山海経は物理的に遠すぎる。

 可能性があるとすれば、ヴァルキューレとあの()()()()くらい。

 考えれば考えるほど、やはり他の学園がキヴォトスの危機に対応できるとは思えない。

 

 アリスはリオを見つめ返して、宣言した。

 

「秘密勇者同盟を作りましょう!」

 

「秘密勇者同盟?」

 

 空になったコップをトキに回収してもらい、リオは怪訝な表情を見せた。

 アリスは説明する。

 

「はい、アリスの話がすぐ受け入れられるとは思っていません。

 だから、みんなに内緒でこっそり世界を守っていくんです!

 その積み重ねでみんなに信じて貰います。

 まずはミレニアムから。やがてはキヴォトス全土へ。

 声援を受けながら魔王城まで旅をする王道RPGも好きですが、アリスは地下都市に潜入してマザーAIを打倒するADVも好きです」

 

「やけに具体的だな……」

 

 そのたとえはいいのか? ハカセは思わずツッコミを入れた。

 

「でも……」

 

 懸念点を告げようとしたリオにハカセが語りかける。

 

「リオ、アリスの話を信じれば、エリドゥを『正当な理由』で作ることが出来るよ。

 予算もある程度問題は解決するし、なによりこれはミレニアムの生徒のためでもある」

 

「…………貴女は完成したエリドゥを見たいだけでしょう?」

 

「まぁ、なくはない!」

 

「貴女は、本当に……」

 

 あまりに欲望が丸見えな考えに嘆息する。

 エリドゥへの投資を打診された時にも言われたが。

 

「秘密勇者同盟、とやらの細部は後で詰めるとして。

 私たち自身が法螺扱いされていること(特異現象)の準備をしていた以上、設立自体に否はないわ」

 

「パンパカパーン! 秘密勇者同盟、結成です!」

 

「おお~」

 

「では、ナンバー00は私が名乗らせてもらいます」

 

「……ナンバーに意味はないと思うのだけれど」

 

「カウントはイチからが普通じゃないの?」

 

「これは譲れません」

 

 ふんす、と息巻くトキを見て、リオとハカセは顔を見合わせた。

 トキがほぼ一方的だが、コールサイン00(ダブルオー)に対抗意識を持っているのはお互いに承知していることだ。ここは、譲ってやるのがモチベーションに繋がって合理的だろう。

 

「……しょうがないなぁ。アリスも、いい?」

 

「はい! アリスは大丈夫です」

 

 それに伴って必要なこともある。

 

「同時に、アリス。今、この瞬間から貴女はミレニアムの生徒よ」

 

 権利的な面でも、実務的な面でもアリスを宙ぶらりんにしておくわけにも行かない。

 最悪、他の学園に行く可能性を鑑みれば首輪をつけた方が良いとリオは合理的に判断した。

 

「ビッグシスターの許可も得たし、改めてよろしくね」

 

「はい!」

 

「でも、認めたのは貴女のことよ。名もなき神々の王女が依然としてキヴォトスの脅威なことに変わりはないわ」

 

「はい、アリスは光の勇者だと今後の冒険で証明して見せます!」

 

「そうしてちょうだい」

 

 リオの言葉に頷き、アリスは最初の活動を提案する。

 

「では早速、第1の活動としてヒマリに協力を仰ぎましょう! それで、ひとつは解決します」

 

「…………ヒマリ」

 

 ミレニアムきっての天才であり、盟友の名を出されて、僅かにリオの頬が引きつった。

 また、リオに安寧は訪れないらしい。

 

 

 

 

*1
カイチョウミズカラガ!?

*2
原文ママ

*3
理解出来ぬ

*4
原文ママⅡ

*5
主観

*6
理解出来ぬ*2

*7
主観






リオに必要なのは明確な成功体験では?
だから、TSCをしてもらう必要が、あったんですね。(ほんとぉ?)
アリスの生徒名簿はリオが一晩でPONとやってくれました。





かつての友との再会は、時代の変化を感じさせた
皆のためという言葉が人の理性を奪ったあの頃
振り下ろされた拳に心は宿らない。それだけのことを知るのにいくつの花が咲いたのか
繰り返してはならない。悔恨の言葉だけが脳裏をよぎる
重ねた業が人を討つならば、それを背負うは勇者の役目
次回、機動勇者アバンギャルドSeed
「友よ、もう一度」
友情の萌芽を、結べ! アリス!
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