今後ともよろしくお願いします!
今回は少し短めです。
___これから先生を相手取るに当たって装備の早急な見直しが必要だ。
短い交戦ではあったがありゃかなりの脅威だ。
雑な対策で突っ込めば逃げることすら許されず今度こそ捕まるか殺されるだろう。
__あの先生の噂はここ最近耳にする、特にその聖人じみた人格についてはもっぱらだ。
だがたとえその性格から俺を殺さなかったとしても、俺の正体が露見し捕まることは俺にとってとんでもないダメージだ。
生き残るためだ、手段は選んでられないだろう。
そんな恐怖やトラウマにも近い強迫観念から
いつだったか拾ったか買ったかすらあやふやなガラクタを
ああでもないこうでもないと弄っていた時だった。
プルルル…プルルル…
集中を断ち切るように鳴る携帯からの着信
相手は…
「理事か…今度は何の用だ。」
しかしお得意様を相手に3コールも待たせる訳には行かないので文句をたれつつもすぐに出る。
「はい、アシヤです。」
もう数度とやり取りを交わしているため必要最低限の挨拶で済ませる。
『…遅い。チッ…アシヤ、お前今時間はあるか?』
電話に出た理事は焦りと苛立ちを声に乗せて俺に話しかける。
「ええ、丁度装備の見直しを図っていたところで…」
『よろしい、ならば今から送る住所に来い。』
返事をする俺の声に食い気味に理事は話す。
さらに間を置き、俺に住所を確認させながら理事は大きく話した。
『お前に、協力者が会いたいと言っている。』
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荒廃したアビドスの一角に経つビル。
薄暗い事務所のような作りをしたそこには鋼鉄の体を持つ理事とヒビの入ったような頭と黒いスーツを着こなすおおよそ人には見えないであろう”大人”がいた。
「どうも初めまして、アシヤさん。」
どこから出ているのか分からないくぐもったような声が響く。
「私はゲマトリア所属の…今は黒服と名乗らせていただいております。」
この都市においては目立つ黒いスーツ、怪しげな雰囲気で語りかけてくる大人。
「ククク…これからどうぞよろしくお願いします。」
差し出された手を握り返しながら顔を観察する。
表情なんて読み取れない人ではないソレからは掴みどころの無い印象を受ける。
__恐らくは、俺はこの男を知っている。
「…よろしくお願いします、黒服さん。」
ブラックマーケットで生き残る奴らはタブー、近づいてはいけないものをよく頭に叩き込んでいる。
そのひとつに黒いスーツの大人が居る。
俺らのようなロボットのようなやつには関係が薄いが、時たまヘイロー引っさげた”生徒”が上手い話があると言ってどこへ行ったっきり消息を経つことがある。
もっとも消えるのは生徒だけで俺には関係がないのであまり気にしていなかったのだが…
『契約を持ちかける黒いスーツの大人』…確かそんなだったはずだ。
この話の怖いところは誰も実際にそいつを見たことがねえってところだ。
人が消えてるんだ、そりゃあ話は広がる。
だがそこで終わりだ、誰がその黒スーツなのか、どんな顔してんのかが誰も分からない、見たことがない。
消えるやつの証言だけが積み重なって消えていく。
分からないから、誰も口にしない。
消えたやつがいる以上実在するの確かなんだろう、だがわざわざ口にして、顔でも探ろうとして、そいつの琴線に触れたら次に消えるのは俺らだ。
だって、痕跡すら残さず生徒を消せるんだ。
知っていて触れないようにする住人たちの立ち入り禁止区域。
…それが今目の前にいるんじゃないかって?
悪い冗談だな。
ちらりと理事の方に目を向ける。
___あんたもまた大概なもんに手を出したな…。
理事はイラついた様子でこちらを見つめ机を叩きながら話す。
「それで、親睦を深めるのは結構だが…さっさと要件を済ませてもらえんかね?」
「クク…失礼しました…。」
黒服は改めて俺の方に向き直ると一拍置いて話を始める。
「…さて、アシヤさん。いくつか聞きたいことがあるのですが、まずあの先生らから人質をかかえたまま逃げ切ったというのは本当でしょうか?」
「…ええ、まぁ、たまたまそうですね、逃げられました。」
目をつけられても嫌なので適当に返す。
「クク…あの先生を相手に”たまたま”、ですか…。」
「ええ、ええ、結構です。…それではあなたは実際に先生と対峙して見てどう思いましたか?印象は?感じたことは?どういう雰囲気に思いますか?」
一気に詰められて少し怖いが返していく。
「対峙…という程のことでもなかったですがね…正直、あまりにも指揮やらなにやらが凄すぎて…ありゃあトラウマですね。」
「ふむ、具体的には?」
「…砂嵐の中での正確な位置の把握や統率の取れた指揮、それに不足の事態に対するリカバリー能力の高さが脅威に思えましたかね。」
「…あとはこちらが優位を取ったと思ったらすぐに巻き返してくる作戦や…まぁこれは少し違うかもしれませんが、偶然や幸運のようなものでの逆転なんかもされたりして…」
「…まるで奇跡でも起こされているかのようですよ、ははっ。」
そう俺が言うと黒服はピクリと体を反応させる。
「…奇跡、ほう。奇跡ですか…クク、なるほど。かの先生のことですから、むしろ本当に起こしているのでしょうね、ええ。」
なにやら一人で笑ってひとりで納得している。
一見すると研究者のようにも見える素振りはいっそう不気味さを感じさせる。
「しかし、”大人のカード”を使っていないとはいえ…まさか先生から逃げ切るとは、クク…素晴らしい。」
___賞賛を受けるのは嬉しいがこの人外じみた相手から言われても複雑な気分だな。
…しかし、大人のカード…?
こっちに来てから長いが聞いたことがない。なにかの俗称だろうか。
そんなことを考えていると黒服はひとしきり肩を震わせた後理事の方へと振り向き話を始める。
「そうですね、それではやはりお話した通り彼には作戦に加わっていただくということでよろしいですかね?」
作戦…?
「…ふん、元から私に異論は無い。それに、お前の決めることだ、その方が成功率が上がるのだろう?」
「クク、ええ、もちろんですよ。例の先生に勝てはせずとも時間稼ぎや逃走ができるなんて貴重な人材を渋る理由もありません。」
何やら向こうだけで話をしているらしい、俺の意見は無視だろうか。
___クソ、いい加減面倒くさくなってきたな。
「…それで、結局のところ私は何をすればいいので?」
強引に話を切り出す。
「おっと、理事から説明を受けてはいませんでしたか?」
「抜かせ、お前には伝えたはずだ。」
理事がイラつきながら話を続ける間に黒服は机に一枚の写真を置いた。
「前と変わらんさ、誘拐だよ、たった生徒ひとりのな。」
「…ええ、今後またいくつかお願いさせていただくかもしれませんが、今のところはそれがあなたの役割、となりますね。」
写真にはどこかで隠し撮りをしたように見える1人の生徒が映っていた。
…これは…。
「よろしければ、後で対象のプロフィールや情報をお渡しいたしましょう。また必要な装備等あればその際にお伝えください…クク…。」
見覚えのあるピンクの髪。
先生との追いかけっこの最中やたらと正確な射撃を行っていた印象が強い、彼女は…。
「小鳥遊、ホシノ…。」
「…クク、ええ、彼女…我々は暁のホルスと呼んでいますが、その誘拐をお願いします。」
目は見えないがこちらをじっと見つめているような視線を感じる。
「ククク…装備や情報は全面的にバックアップいたしますので、先程も言った通り後ほど…。」
…既に理事とは契約を結んでしまっている。
逃げることはおそらく難しいだろう…何より全面的なバックアップだと…?
大人が善意で何かを成すことなどありはしない。
これ意思表示だ。
必ずやれという遠回しな俺を逃がさないための釘だ。
「期待していますよ、アシヤさん…クク…。」
__ああ、クソッタレが。
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先生の性別はどちらがいいでしょうか?
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男先生
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女先生