月姫 X 廻戦   作:資格者:U

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お久しぶりの投稿です。
風邪に掛かってしまい、死を彷徨うように寝込んでしまい小説を書く暇がなく投稿を休んでました。
後、呪術廻戦死滅回遊前編が終わってしまったが乙骨対石流戦ホントに良かった。
死滅回遊後編いつ来るか楽しみ待ってます。




修行

 

 

 

ネロ・カオスとの戦いから一夜明け、上田邸のリビングには重苦しい空気が漂っていた。

椅子に座っている虎杖は額と右腕に包帯を巻きながらも、真っ直ぐに上田を見据えていた。

 

「上田さん、頼む……俺を強くしてくれ。昨日のままじゃアルクェイドも、他の人もアイツに食い殺されてしまう。……だから、俺に誰かを守る力を鍛えてくれないか?」

 

「頼む」と虎杖は頭を下げた。

上田は出来立てのコーヒーを啜り、少しの間沈黙した。

元魔術師だった自分として、その世界の過酷さを知っているからこその躊躇だったが、虎杖の瞳に宿る不退転の決意に静かに頷いた。

 

「……分かった。昨日あのまま行かせた俺も悪い。俺は魔術師としては落ちこぼれだが、戦うための知識の伝達くらいはできる。微弱ながら、お前の背中を押してやるよ」

 

そう言うと上田は自身の仕事着のワイシャツの腕を捲り上げ、上田邸の庭で虎杖と対峙していた。

 

「いいか、悠仁。昨日お前が言っていた『黒い火花』。それは呪術の世界で『黒閃』と呼ばれる現象だ」

 

「コクセン……?」

 

「呪力と打撃が誤差0.000001秒以内という、奇跡に近いタイミングで衝突した際に生まれる空間の歪みだ。威力は通常の2.5乗……だが、狙って出せるもんじゃない。お前は昨日の夜、無意識に極限状態でその核心を微かに掴んだんだ」

 

上田は、感情から生まれる「呪力」の練り方と、それを肉体に滞らせず循環させる操作方法を理論立てて教えていった。

虎杖は早く強くなるために汗をかきながら泥臭く、何度も何度も呼吸を整えつつ己の内側にある感情をエネルギーへと変換する修行に打ち込んでいった。

 

ーーしかし、もともと呪力とは無縁の生活を送ってきた虎杖にとって、目に見えない力を操る感覚を掴むのは至難の業だった。

数時間が経過した庭では

虎杖の急いでいるからか焦っているせいか自身の内側から溢れ出る一定の呪力出力に保てず苦戦する虎杖を見て、上田は一度修行を中断させた。

 

「……まあ、そう急ぐな。気分転換も必要だ」

 

そう言って上田が奥の部屋から持ってきたのは、紫色の布に包まれた細長い物体だった。

 

「ほら、これを昨日の生き残った祝いとしてやるよ。昔、俺が気分転換で打った代物だ。」

 

虎杖が紫色の布を解くと、そこには全長80センチほどの美しい漆黒の色を持つ両刃の剣がその姿を現れた。

 

「うわ……綺麗だな」

 

「こいつは魔術武器の一種『魔術礼装』。……いや、呪術の世界で言うなら『呪具』みてぇなもんだ。お前の慣れない呪力を効率よくこの刃に通して、威力を安定させてくれるはずだ。…いわばお前のもう一つの「腕」として扱ってくれ。」

 

虎杖は、その漆黒の剣を手に取った。

剣自身はずっしりと重いが、驚くほど自身の手によく馴染んでくる。

 

「…俺の、もう一つの「腕」か。ありがとう、上田さん!この剣、大事に使うよ」

 

「おう。素手だけじゃあ勝てない時もあるから剣の練習も兼ねて、もう一度呪力の流れを意識してみろ。武器だけに頼るんじゃなく、お前が持ってる剣も自身の一部にするんだ。」

 

黒き剣を握りしめ、虎杖は再び修行へと没頭する。

その庭の傍らで二人を見守るアルクェイドは、少年の背中が昨日よりも少しだけ大きく、頼もしくなっているのを感じていた。

 

 

 

 

上田邸の裏庭には、木刀が空を切る鋭い音が響いていた。

虎杖は上田から手渡された木刀を握り模擬戦で慣れない剣捌きと木刀の振りに四苦八苦していた。

 

「腰が高い! 剣ってのはな腕だけで振るんじゃねえ、地面からの力を剣先に伝えるんだ!」

 

「……っと! そう言うのは簡単だけどよ、これ、剣に呪力込めるながら振るうのめちゃくちゃムズいんすよ!」

 

「最初はそうだが、呪力操作(それ)も慣れていかなければまた苦戦するだけだ。」

 

上田はワイシャツの袖を捲り、自身も木刀を手に取って手本を見せる。

その動きは洗練された魔術師のそれではなく、魔術師としての実戦で培われた泥臭くも戦場などで使い続けてきた合理的かつ的確な剣捌きだった。

 

休憩中、縁側に座ってスポーツドリンクを飲みながら、虎杖はずっと気になっていたことを口にした。

 

「なあ上田さん。なんで魔術師だった上田さんが、呪力だの呪具だの、畑違いのことにそんな詳しいんだ?」

 

上田は少し遠くを見るような目をし、短くなった煙草に火をつけた。

 

「……魔術師を辞めて、この総耶という魔街に戻ってきてからさ。ある事をキッカケに俺自身の趣味で呪術について調べ始めたんだ。魔術は才能の世界だが、呪術は人間の『感情』が根源だろ? 才能のない俺にゃあ、そっちの方がまだ理屈が通ってる気がしてな」

 

「趣味でここまで……。上田さん、やっぱあんた凄ぇよ」

 

「よせやい、褒めても何もでねぇよ。さて、休憩は終わりだ。次は実戦形式でちょいと厳しく行くぞ」

 

「押忍!おなしゃっす!」

 

 

その後の昼下がり。

上田直伝の訓練と実践を終えた虎杖がシャワーを浴び、髪の毛をタオルで拭きつつリビングに向かうとソファに座って雑誌を見ていたアルクェイドが居た。

 

「…アルクェイド?何してるんだ?」

 

虎杖がアルクェイドに言うとアルクェイドは虎杖に顔を向けて小声で話す。

 

「…悠仁、多分だけどネロに此処がバレたかもしれないわ」

 

「はぁ!?どういう事だよ、確か死徒って吸血鬼と同じで太陽が苦手のはずだろ?なんでアイツ此処がバレたんだ!?」

 

「多分ネロの使い魔が街全体を監視しているから、昼に悠仁達が特訓しているの姿をカラスなどを使って見たのだと思うわ」

 

「マジかよ」

 

「悠仁、このままネロを放って置いたらいつ此処を襲撃してくるか分からないわ。今日の夜にネロを倒しに行くわよ」

 

「…あぁ、アイツには昨日の借りがあるからな。倍にして返してやる」

 

ふふっそうねとアルクェイドは虎杖の言葉に微笑んだ。

そして、今夜。

第二ラウンドが始まろうとしていた。

 

 

 






おまけ「もし悠仁に上げた武器が」

悠仁「ありがとう上田さん!因みにこの武器なんて言うの?」

上田「あぁ、そいつは天逆鉾って言ってなどんな術式を強制解除する能力を持ってんだ」

悠仁「何それチート武器じゃん!?そんな凄い武器何処で手に入れたんだ?」

上田「あぁ確か俺がロンドンで魔術師やってた頃、散歩してたら偶々見つけたからそのまま日本に持ち帰って来たんだ」

悠仁「へー」

余談だが東京のある室内でアイマスクを付けた白髪がくしゃみしていたらしい。

「誰かが僕の噂でもしてるのかなぁ?」



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