色々とイメージを膨らませましたが、これが私の限界です
「最終機離陸15分前」のアナウンスが格納庫に響く。それとほぼ同時に格納庫の奥から軌道の上を台車に載せられて入口近くにエンジンと燃料タンク、そして武装の塊が運ばれていく。
「誰が…こんな作戦を承認したんだ。帰ってこれる保証なんて無いのに…」
拡張ストライカーユニット試作検証機“電光”。ウィッチ一人当たりの火力と速力を底上げするためにストライカーに外付けのエンジンや武装を追加したものである。
扶桑陸軍航空隊による要望によって浦塩航空基地で試作、試験が行われた。試験そのものの結果は上々であり、「ストライカーユニットを外付けの装備によって強化する」というコンセプトを実証した。しかしながら試験機については特に用途もなく、浦塩航空基地の端にある倉庫に押し込められ、放置されていた。
状況が変わったのは2001年、ネウロイによる複合的な攻撃を含む大攻勢。ICBA(InterContinental Ballistic Attack)型ネウロイの登場により、戦場は「距離」の壁を越えた。
人類はユーラシア大陸の東半分を喪失。残るは拠点は浦塩、香港のみである。
扶桑軍統合幕僚本部は浦塩の放棄を決定。それに伴って浦塩からの市民及び軍機能の撤退の時間を稼ぐための遅滞作戦が発動された。
その矢面に立つのは装備品を排除すれば“本体”のみを少ない輸送力で輸送が可能なウィッチである。
浦塩統合司令部はウィッチを主力とした任務部隊を編成、遅滞戦闘に打って出た。
「あれだけのウィッチを犠牲にした結果はこれか…」
作戦においてウィッチの“回収率”は低調であり、司令部の目論見は早くも瓦解した。司令部は浦塩目前に迫ったネウロイに対して航空ウィッチによる打撃を加えるべく、“電光”に出撃を命じた。
「こんなガラクタに女の子を乗せて飛ばせだなんて…」
「そうボヤくな、仕事だ」
「わかってはいるが…」
後部に10m近い長い円筒状の物体が6本、それを取り囲むようにして配置された無数の小さい円筒。それぞれを点検し、出撃態勢を整える。次に武装の70mmロケット弾が満載されたポッドが8つ、127mmロケット弾のポッドは4つ、それぞれがスタブウイングに吊るされていた。そして下部に40mm機関砲1門。およそ航空機とは思えない量の武装である
「ロケットエンジンとロケット弾の塊だ。」
「高速でネウロイの陣地に突っ込んでロケット弾をばら撒き、旋回してからもう一度突入してばら撒く。これを考えたやつは死んだほうがいい。」
機体の側面に即席のステンシルシートが当てられ、スプレーが手際良く吹きかけられた。「電光」の文字と共に「武運長久」の文字が浮かび上がった。整備員や管制員からの手向けが整備庫に差し込んだ日光を反射した。
全ての点検が終了し、ウィッチが呼び出される。
「これ…こっちは実家宛に、こっちの方は兄にお願いします。」
2つの便箋を近くにいた整備員に手渡してストライカーに搭乗した。 ロケットと装甲板、武装に包まれたストライカー本体から僅かに光が漏れ出る。
「“電光”離陸準備良し!」
“電光”が架台に載せられたまま牽引車が滑走路まで引いていった。牽引車がワイヤーを切り離して十分に距離を取ったところで離陸に関するやり取りが始まった。誰かの計らいか何かで管制官とウィッチとの会話はスピーカーを通して整備庫に響いていた。
「“電光”、発進します!!」
6本のメインブースターが点火して“電光”が応急整備を済まされた滑走路を進み始めた。滑走路の端から端を使って十分に加速仕切ったところで機体がふわりと浮いた。
そのまま上昇して、先に離陸していた戦闘機や航空ウィッチと合流。最後に基地の上空をグルっと2周していった。側方や下方のロケットを上手く吹かした強引な旋回だ。それに対して誰もが帽子を振って応えた。
大きな光とそれを囲む小さな光が小さくなり、やがて見えなくなるまで帽子は振られ続けた。
特に話を広げること予定も無いので、この話はここで終わりです。ただ、「ストライカーユニットに追加の推進器や武装を外付けして強く早くする」という概念は引き続き擦ろうと思ってます