廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

146 / 146
13話 コマチンの敗北

コマチン「どうしたの!?バアル!?しっかりして!!」

 

倒れ込んだバアルの頭を抱き上げて揺さぶりながら声をかけるがバアルは意識がない様子。

 

そうしてコマチンが心配げにバアルの表情を覗き込んでいるまさにその時だった。

 

コマチンの腹部を青い光が貫いたのだ。

 

その光はこともあろうかバアルの手のひらから発せられたものだった。

 

コマチン「バ、バアル??」

 

コマチンの胴体にはポッカリと風穴が空いた。

 

バアル「これだけ至近距離からなら青色覚醒でも十分効いただろう?」

 

コマチン「バアル。。。あ、あなたは!?。。。まさか!?」

 

コマチンの体はまるでゲームのキャラクターがバグったかのようにノイズがちらつき、デジタル映像が乱れたように崩れ始める。

 

バアル「お察しの通りだよウトナ。」

 

バアルはニヤリとする。

 

バアル「しかし、無理やりチカラを引き上げたせいかチカラが安定しないな。。。」

 

バアルの身体からバチバチと青いオーラが溢れ出るように吹き出していて、辺りを巻き込んで嵐のように吹き荒れている。

 

コマチン「そうか、アチシとしたことが。。。ぬかったね」

 

バアル「昔からそうさ。お前はツメが甘いんだよ。」

 

バアルの突然の変貌に隙をつくってしまったコマチンだがその代償は大きく、致命的な攻撃を受けてしまった。

 

そしてその間にもコマチンの体に現れたノイズはどんどん強くなりその姿はしだいに薄くなっていく。

 

コマチン「どうやらここまでのようね。。。」

 

バアル「そうだ。もう消えろ。ウトナ。」

 

バアルはそう言うと、躊躇(ちゅうちょ)もなくそのままコマチンに向かって更に大きな青いオーラを放ち、コマチンを跡形もなく消し去ってしまった。

 

その場に残されたバアルの表情は歪んだ微笑みを浮かべていた。

 

そしてその傍(かたわら)にはどこから現れたのかバアルに付き従う様にひざまずく影丸の姿があった。

 

 

その場にいたイシュタラの陣営はあまりの出来事に呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

81区27番地MNO イシュタラ秘密基地

 

アヌの襲撃を避けて相手の動きを見てから行動できる様に、ショウとアナトはここに身を寄せていた。

 

秘密基地の客室のリクライニングチェアにてアナトに貸してもらった『トキメキパラダイス2』を読むショウ。

 

その隣には、もう一度『トキメキパラダイス』を読むアナトの姿があった。

 

二人とも相変わらずほっこりした表情だ。

 

その時だった、一緒にいたコマチンが叫んだのだ。

 

コマチン「キャァァァア!!」

 

驚いた2人はコマチンに駆け寄る。

 

ショウ「コマチン!どうした!?」 

  

アナト「すごい汗だ。。。」

 

ショウ「半分ネコなのに汗をかくのか?」

 

アナト「。。。」

 

ショウ「そんな目で見るなよ。。。」

 

見ればコマチンは汗をビッショリとかいて息を切らしてうずくまっていた。

 

コマチン「ハァハァハァハァッ」

 

ショウ「おいおい、大丈夫か!?一体どうしたんだ!?」 

 

コマチン「や、やられた。ハァッハァッ。。。」

 

ショウ「やられた?」

 

アナト「???」

 

ショウ達は目を見合わせる。

 

コマチン「分身体がやられた!」

 

ショウ「分身体?なんだよそれ?」

 

コマチン「アチシがただここでぼーっとしてたと思うの?分身を作って前線に送り込んでたの!」

 

ショウ「そんなことも出来るのか。。。まるで忍者だな。。。」

 

アナトはその言葉に反応する。

 

アナト「な、何!?コマチン、お前も忍者なのか?」 

 

コマチン「そんな訳ないでしょ!?それより聞いて!大変なことになったわ!」

 

アナト「どうしたんだ?そんなに慌てて?」

 

コマチン「アナト、落ち着いて聞いて。。。」

 

コマチンはじっとアナトを見つめてから意を決した様に話を始めた。

 

コマチン「バアルの身体(からだ)がアヌに乗っ取られたの。。。」

 

アナトの表情が一瞬で変わる。

 

アナト「ど、どういう事だ!?兄様に何があった!?」

 

そう言うとアナトは力任せにコマチンの胸ぐらを掴んで詰め寄る。

 

コマチン「落ち着いてアナト!今から話すわ。」

 

そうしてコマチンはバアルに何があったのかを細かく丁寧に説明した。 

 

するとしばらくアナトは無言になって、そして打ち震えているように見えた。

 

アナト「………」

 

アナトは何かを呟いた。

 

ショウ「アナト。。。?おい、大丈夫か?」

 

アナト「他守、頼む。。。一緒に来てくれ。。。兄様を助けたい。。。」

 

その顔は怒りに打ち震えて涙が流れていた。

 

ショウはそんなアナトに何かをしてあげたかった。

 

しかし、何か良い案がある訳ではない。

 

ショウ「ああ。。。でも、どうやって?」

 

アナト「それは。。。」

 

策がないのはアナトも同じである。

 

そんな様子を見てコマチンはショウに言う。

 

コマチン「危険だけど、君におとりになってもらうしかない。」  

 

ショウ「俺がおとりに。。。?」

 

コマチン「そうよ。アイツはアチシが死んだと思ってるわ。チャンスは一度しかない。」

 

ショウ「どうやるんだよ?」

 

コマチン「一緒に来て!そしてアヌが入ったバアルを一緒に倒すのよ!」

 

アナト「な、なんだと!?兄様を倒す!?そんなこと許さないぞ!?」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

宵越しのレベルは持たない ~サキュバスになった彼女にレベルを吸われ続けるので、今日もダンジョンでレベルを上げる~(作者:パンダプリン)(オリジナル現代/冒険・バトル)

男はレベルが上がりやすくなるスキルを得た。▼女はサキュバス化のスキルを得た。▼自分以外の男を嫌う幼馴染の女のため、男はダンジョンに通ってレベルを上げては女に捧げる生活を選択する。▼そんな日々を続けた男の誤算は二つ。▼幼馴染に懐かれすぎていたことと、レベルを捧げすぎてしまったこと。▼これは、自身を愛しすぎてしまう最強のサキュバスを誕生させた男の物語。▼※この作…


総合評価:351/評価:7.89/連載:90話/更新日時:2026年09月13日(日) 00:00 小説情報

ロマン職は異世界から帰りたい(作者:庶民ザウルス三世)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

これが絶対浪漫の力だ!▼人は夢を見る。▼そして、効率よりも自分の“好き”を信じて、浪漫を追いかける者たちがいる。▼ソロ専、人見知り。▼だけど、クリティカルが決まった時の一撃だけは誰よりも重い。▼そんな趣味全開のロマン職キャラを愛した男は、課金帰りの事故をきっかけに、ゲームで使っていた女性キャラ――ラシア・ラ・シーラとして異世界で目を覚ます。▼しかも、レベルも…


総合評価:6862/評価:8.52/連載:201話/更新日時:2026年09月13日(日) 07:21 小説情報

35歳社畜、女子高生に吸血鬼だと宣告される〜みなし残業で覚醒能力を使い潰していた俺、現代異能バトルの世界では最強候補らしいです〜(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル現代/冒険・バトル)

三十五歳、独身。ブラック気味の会社で働く中堅社員・久我陽介は、ここ数週間、奇妙な体調変化に悩まされていた。▼昼間は異様にだるく、朝日が目に刺さるほどつらい。▼なのに夜になると眠気が消え、頭が冴え、仕事が異常な速度で片付いていく。▼みなし残業制の会社で、その力は当然のように使い潰された。▼三日連続で朝五時まで働いた帰り道、久我はコンビニで店員の指先から流れた血…


総合評価:1033/評価:7/連載:64話/更新日時:2026年08月30日(日) 17:33 小説情報

主人公の友達(作者:quiet)(オリジナル現代/ノンジャンル)

薄目で読めば現代ダンジョンものです。▼□27.5万字程度・完結済み▼□「小説家になろう」に併載しています。


総合評価:2196/評価:9.16/完結:25話/更新日時:2026年09月04日(金) 18:02 小説情報

☆1キャスターの俺、現代ダンジョン出現当日、F級ダンジョン60個を周回特化自爆スキルで焼き払ってたら低レア最強パーティが育っていた〜アーラ◯ュ系周回スキルで人類全員を育成し尽くします〜(作者:ちんこ良い肉)(オリジナル現代/冒険・バトル)

火賀灯真は、世界が終わる日を知っていた。▼正確には、世界が“サービス終了する”日を。▼午前十時。▼現代日本にダンジョンが出現し、人類の一部にレアリティとクラスとスキルが配られる。▼世間は混乱し、国家は対応に追われ、凡人は怯え、英雄願望のある者は浮かれる。▼そして俺は、ゲームの周回で猛威を振るった、自爆宝具…もとい戦闘不能と引き換えに繰り出す超火力広域攻撃スキ…


総合評価:6088/評価:7.99/連載:35話/更新日時:2026年06月21日(日) 23:26 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>