廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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13話 コマチンの敗北

コマチン「どうしたの!?バアル!?しっかりして!!」

 

倒れ込んだバアルの頭を抱き上げて揺さぶりながら声をかけるがバアルは意識がない様子。

 

そうしてコマチンが心配げにバアルの表情を覗き込んでいるまさにその時だった。

 

コマチンの腹部を青い光が貫いたのだ。

 

その光はこともあろうかバアルの手のひらから発せられたものだった。

 

コマチン「バ、バアル??」

 

コマチンの胴体にはポッカリと風穴が空いた。

 

バアル「これだけ至近距離からなら青色覚醒でも十分効いただろう?」

 

コマチン「バアル。。。あ、あなたは!?。。。まさか!?」

 

コマチンの体はまるでゲームのキャラクターがバグったかのようにノイズがちらつき、デジタル映像が乱れたように崩れ始める。

 

バアル「お察しの通りだよウトナ。」

 

バアルはニヤリとする。

 

バアル「しかし、無理やりチカラを引き上げたせいかチカラが安定しないな。。。」

 

バアルの身体からバチバチと青いオーラが溢れ出るように吹き出していて、辺りを巻き込んで嵐のように吹き荒れている。

 

コマチン「そうか、アチシとしたことが。。。ぬかったね」

 

バアル「昔からそうさ。お前はツメが甘いんだよ。」

 

バアルの突然の変貌に隙をつくってしまったコマチンだがその代償は大きく、致命的な攻撃を受けてしまった。

 

そしてその間にもコマチンの体に現れたノイズはどんどん強くなりその姿はしだいに薄くなっていく。

 

コマチン「どうやらここまでのようね。。。」

 

バアル「そうだ。もう消えろ。ウトナ。」

 

バアルはそう言うと、躊躇(ちゅうちょ)もなくそのままコマチンに向かって更に大きな青いオーラを放ち、コマチンを跡形もなく消し去ってしまった。

 

その場に残されたバアルの表情は歪んだ微笑みを浮かべていた。

 

そしてその傍(かたわら)にはどこから現れたのかバアルに付き従う様にひざまずく影丸の姿があった。

 

 

その場にいたイシュタラの陣営はあまりの出来事に呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

81区27番地MNO イシュタラ秘密基地

 

アヌの襲撃を避けて相手の動きを見てから行動できる様に、ショウとアナトはここに身を寄せていた。

 

秘密基地の客室のリクライニングチェアにてアナトに貸してもらった『トキメキパラダイス2』を読むショウ。

 

その隣には、もう一度『トキメキパラダイス』を読むアナトの姿があった。

 

二人とも相変わらずほっこりした表情だ。

 

その時だった、一緒にいたコマチンが叫んだのだ。

 

コマチン「キャァァァア!!」

 

驚いた2人はコマチンに駆け寄る。

 

ショウ「コマチン!どうした!?」 

  

アナト「すごい汗だ。。。」

 

ショウ「半分ネコなのに汗をかくのか?」

 

アナト「。。。」

 

ショウ「そんな目で見るなよ。。。」

 

見ればコマチンは汗をビッショリとかいて息を切らしてうずくまっていた。

 

コマチン「ハァハァハァハァッ」

 

ショウ「おいおい、大丈夫か!?一体どうしたんだ!?」 

 

コマチン「や、やられた。ハァッハァッ。。。」

 

ショウ「やられた?」

 

アナト「???」

 

ショウ達は目を見合わせる。

 

コマチン「分身体がやられた!」

 

ショウ「分身体?なんだよそれ?」

 

コマチン「アチシがただここでぼーっとしてたと思うの?分身を作って前線に送り込んでたの!」

 

ショウ「そんなことも出来るのか。。。まるで忍者だな。。。」

 

アナトはその言葉に反応する。

 

アナト「な、何!?コマチン、お前も忍者なのか?」 

 

コマチン「そんな訳ないでしょ!?それより聞いて!大変なことになったわ!」

 

アナト「どうしたんだ?そんなに慌てて?」

 

コマチン「アナト、落ち着いて聞いて。。。」

 

コマチンはじっとアナトを見つめてから意を決した様に話を始めた。

 

コマチン「バアルの身体(からだ)がアヌに乗っ取られたの。。。」

 

アナトの表情が一瞬で変わる。

 

アナト「ど、どういう事だ!?兄様に何があった!?」

 

そう言うとアナトは力任せにコマチンの胸ぐらを掴んで詰め寄る。

 

コマチン「落ち着いてアナト!今から話すわ。」

 

そうしてコマチンはバアルに何があったのかを細かく丁寧に説明した。 

 

するとしばらくアナトは無言になって、そして打ち震えているように見えた。

 

アナト「………」

 

アナトは何かを呟いた。

 

ショウ「アナト。。。?おい、大丈夫か?」

 

アナト「他守、頼む。。。一緒に来てくれ。。。兄様を助けたい。。。」

 

その顔は怒りに打ち震えて涙が流れていた。

 

ショウはそんなアナトに何かをしてあげたかった。

 

しかし、何か良い案がある訳ではない。

 

ショウ「ああ。。。でも、どうやって?」

 

アナト「それは。。。」

 

策がないのはアナトも同じである。

 

そんな様子を見てコマチンはショウに言う。

 

コマチン「危険だけど、君におとりになってもらうしかない。」  

 

ショウ「俺がおとりに。。。?」

 

コマチン「そうよ。アイツはアチシが死んだと思ってるわ。チャンスは一度しかない。」

 

ショウ「どうやるんだよ?」

 

コマチン「一緒に来て!そしてアヌが入ったバアルを一緒に倒すのよ!」

 

アナト「な、なんだと!?兄様を倒す!?そんなこと許さないぞ!?」

 

 

 

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