この話で最終話になりますね
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Lv10へと到達した騎士団長が発現していた新たなスキルは、同恩恵の眷族のみを強化するレアスキルであった。
【狂信巡継】
・器力共鳴
・発現者の一定範囲内に存在する同恩恵を宿す眷族への能力加算
・常時発動
・加算値及び効果範囲は階位反映
・主神アレスへの狂信の度合いにより加算値増幅
騎士団長の俺への狂信が力となるようなスキルだが、この【狂信巡継】は黒竜との戦いに役立つスキルである筈だ。
【狂信巡継】によって加算された能力値にも慣れた様子のアレス・ファミリアは、ラキア王国で俺の守りに残る面々を残して、竜の谷へと出発していく。
竜の谷の竜を逃すことなく全て討伐し、最後に黒竜と戦うつもりであるアレス・ファミリアの団員達。
数多の竜を倒すには、それなりに時間がかかると考えて、竜の谷近くに前線基地を設営し、人員を交代させながら竜の谷の竜を間引いていくつもりのようだった。
ラキア王国から物資を惜しみ無く前線基地に提供していく日々を過ごし、前線に居る部隊が竜の谷の竜を倒した数を計測していたラキア王国。
3ヶ月かけて、ようやく竜の谷の竜を黒竜以外間引くことに成功したアレス・ファミリア。
ついに明日、アレス・ファミリアと黒竜との戦いが始まるが、地上では神の恩恵を授かっていない人間程度の力しかない俺に出来ることは、ただ待つことだけだ。
アレス・ファミリアの最強戦力達に地上の未来を託し、ラキア王国で待っていた俺。
それから数日後、ラキア王国へと戻ってきたアレス・ファミリアの面々は、傷だらけではあったが誰一人欠けることなく戻ってきてくれた。
アレス・ファミリアと黒竜の激戦は、三日三晩続いたようで、最終的には騎士団長の槍と、魔法を纏わせたザルドの大剣、アルフィアの魔法を同時に叩き込むことによって黒竜を討伐することに成功したようである。
黒竜を討伐したことでLv9だった者達はLv10に、Lv10だった騎士団長にザルドとアルフィアはLv11になっていたりもしたが、かつて最強と言われたゼウスとヘラのファミリアをアレス・ファミリアが超えていたのは間違いない。
特に名声を求めていた訳ではないが、黒竜を討伐したアレス・ファミリアの名声は、とてつもなく高まっていた。
「アレス・ファミリアこそが最後の英雄」と呼ばれるようなことも増えており、他国から攻めいられたりするようなことも無くなったラキア王国。
流石に複数のLv10と3人のLv11が存在する国に喧嘩を売るような馬鹿な国はなかったようだ。
黒竜を討伐したアレス・ファミリアを好意的に見ていた学区という教育機関の卒業生が、ラキア王国の騎士団への入団を希望するようなことも増えており、優秀な学区の卒業生達を受け入れていた騎士団。
黒竜によって地上が滅びるようなことも無くなり、残る問題は、モンスターを産み出すダンジョンだけとなったが、特にダンジョン攻略には興味がないアレス・ファミリアは、今のところオラリオに向かうことはない。
ある日、ラキア王国を出ていったアルフィアが、10歳程度の白髪の少年を連れて戻ってきたが、ベル・クラネルと名乗ったその少年は、どうやらアルフィアの妹の子であったそうだ。
ラキア王国でベルと一緒に過ごしていたアルフィアは、ザルドが驚く程に穏やかな表情を見せるようになっていたな。
アルフィアはベル少年に「英雄になどならずに、幸せになれ」とよく言っていた。
ベル少年はアルフィアを「アルフィアお義母さん」と呼び、ザルドを「ザルドおじさん」と呼んで懐いている。
黒竜討伐を頑張ってくれたアルフィアとザルドが穏やかな余生を過ごしても、何も問題はない。
黒竜という怪物を倒してくれたアルフィアとザルドには、ラキア王国から報酬を渡しておくとしよう。
それから月日が過ぎ去り、ラキア王国に俺が戻ってからも、オラリオに居る友神であるヘファイストスとは定期的に手紙でやり取りをしていたが、ヘスティアを預かってほしいとヘファイストスから頼まれることになった。
護衛のアレス・ファミリアを連れて、オラリオにまで馬車で行き、到着したオラリオ。
ヘファイストスの家で、ぐうたらしていたヘスティアを確保して、ラキア王国にまで連れ帰ってみたが、とりあえずラキア王国の孤児院で働いてもらうことになったヘスティアに「頑張れ孤児達の守護神」と言って孤児院に寄付もしておいた。
何だかんだ文句を言いながらもちゃんと働いて、孤児達を大切にしていたヘスティアは、孤児達から慕われる女神であったな。
ぐうたらしないでヘスティアが働いていることをヘファイストスに手紙で伝えておくと届いた返信には「そのままヘスティアは、しばらく働かせといて」と書かれていた。
まあ、ヘスティアも孤児達に好かれて喜んでいたから、あのまま孤児院で頑張って働いてもらうのが良さそうだ。
ちなみにアレス・ファミリアの面々が持つ専用武器を見た国王のマルティヌスが「鍛冶神ヘファイストスとアレス様が作成した至宝は、国宝に認定しておきましょう」と言い出したりもしたんで、それを止める為にラキア王国の国宝用に俺が剣を1本打ったりもした。
俺の神血と混ぜたミスリル製で美しい外見の剣の刀身に刻んだ神聖文字により、アレス・ファミリアの眷族だけが真価を発揮できる剣。
ソード・アレスと名付けたその剣は、ラキア王国の国王であるマルティヌスによって、無事に国宝に認定されたらしい。
それから炒り豆ばかり食べていた俺に「炒り豆以外も食べてください」と言うようになった王子のマリウスと一緒に料理を作ったりもしてみた。
かつてはオラリオで冒険者になりたいと言っていたマリウスが、そう言わなくなったことが気になっていた俺は「オラリオには行かないのか?」とマリウスに聞いてみる。
「オラリオで冒険者になるよりも、この国を豊かにしていきたいと思うようになったんですよ。炒り豆ばっかり食べてる主神様のせいですけどね」と答えて「責任とって末永く見守っていてくださいアレス様」と続けて言ったマリウスは微笑んだ。
ラキア王国は、たった数人のアレス・ファミリアから始まった国だが、今では数十万を超える人々が住まう国となっていた。
そんなラキア王国を見守っていてほしいと望まれたのなら、これからも俺は軍神アレスとして見守っていくとしよう。
ちなみに国宝となったソード・アレスは、儀礼剣のような外見ですが、実戦でも折れない頑丈な剣となっていますね