エ〇ゲ世界で或る上位存在曰く「叫べ、太陽ォォォ!」 作:糸をなんとかしろ!
今日の修道院の空気は重たかった。
アルセゾン修道院はいつだって辛気臭い雰囲気をしているし、誰も彼もが雁首揃えて神妙な面をしている。
いつも通りと言えばいつも通りなのだろうが、今日は少し何かが違った。
「困った事になりました」
ハーニャはテーブルに出されたスープとパンを前にしてこの世の終わりじみた顔でそう口にした。
石のように硬く味のしないパン、砂でも噛んでいるかのような味のしないスープ。そんないつもの絶望的な朝食より絶望的なものがあるというのか。そんな馬鹿な話があるか。
太陽仔は内心たかをくくりながら硬いパンを齧る。……心なしかいつもより小さい気がする。
大きさ変われど、絶望的に変わらない硬さで歯がへし折れそうだった。
隣で同じ朝食にありついているリーリアもずっと硬いパンと格闘している。顎の力が鍛えられそうだ。
「……iきんがないのです」
言葉の頭が聞き取れなかったのもあり太陽仔は手元のパンを一瞥してから言葉を返した。
「チキン? チキンがないのはいつものことだろ。毎日食ってるのパンだぞ」
最後にローストチキンを食べたのはいつのことだったか。
太陽仔はサン・ミゲルで食べたチキン料理に思いを馳せる。旅に出てから食べた記憶がない。
こうしてアルセゾンに訪れてから食べている料理は大体こんな朝食にぬるいミルク、やせ細った果実だ。村にいるというのにサバイバルでもしているような気分だ。
「資金です」
ハーニャがぴしゃりと訂正してみせてから、途方に暮れたように口を開いた。
「遅かれ早かれやってくるであろうことは読めていたはずでしたが、イレギュラーが多すぎました。予算をここまで食い尽くしてしまうとは」
「イレギュラーって……俺か?」
食費が女2人分だったのが男一人追加となれば費用は馬鹿にならない。とはいえおかわりは要求してはいない。そもそもそんな図々しい真似が居候である太陽仔には出来はしない。とは言えど、だ。
太陽仔が己に指差すと、ハーニャはふるふると首を横に振った。
「治療です。貴方程度なんの問題にもなりませんので思いあがらないでください。魔物に襲われて負傷した村人がここに訪れるためそちらの対応でも当然費用は発生します。半死半生の重症者であればなおさらです。それにここまで長引くとも想定していませんでしたから」
中々辛辣なフォローだった。
太陽仔やリーリアが村の外を走っている間にもハーニャは村人の治療や情報収集に奔走している。
事務絡みとれば彼女に完全に任せっきりだ。
「金は取っていないのか?」
この地ならば引く手数多だろうに、と不謹慎ながら太陽仔は思う。
魔物による流血沙汰に事欠かない以上金はそれなりに入ってくるものではないのか。そんな期待もいとも容易く打ち砕かれた。
「取りません。寄付金で動いていますから。予算も教会にやってくる寄付金から分配されるのです」
「マジで?」
「
太陽仔の汚い言い回しを咎めるかのように訂正しながら追撃と言わんばかりに地獄のような話も始める。
――おい教会、おい。
この修道女2名は命削って必死にやってるのに金くらいしっかり出さんかい、と。あまりにもお寒い懐事情に絶句した太陽仔は立った気を宥めるためにスープを啜ってみる。
具はまともにありやしない。味もあるのかないのか判然としないせいで、酒場のぬるいミルクの方がまだマシだった。
清貧を是とするにしてもいくらなんでもやりすぎだろうと思ってしまうほどの素寒貧な朝食の秘密はアルセゾンの最悪な物流と衛生事情にあった。
「治療を行うにしても衛生事情も最悪なのでここで生産されているものをただでさえ弱っている病人に提供すれば火に油を注ぐのと同義。となれば呪いを受けていない外部から仕入れたものを使うのが一番いいのですがこの地周辺は魔物が闊歩し油断すれば餌食にされてしまいかねないリスクがあまりにも大きい。言わば陸の孤島です。……全く物流が途切れているわけではないのですがその総量は少なく当然相応の価格を提示されます」
「もうそれ治療に金取ったらどうだ」
慈善事業でやるにはあまりにも重すぎる。
伝説の戦士なら話は違ったろうが、ここにいるのはただの人間だ。
太陽仔の脳裏に金にがめつい変な言葉遣いの女の姿が脳裏を過る。
――いや、あれはちょっと……
関係のない人間の姿を振り切っていると、ハーニャは先の太陽仔の言葉に否定した。
「そうもいきません」
「どうして」
「この地の人々は困窮しています。お金を出せる人はごく少数でしょう。それに呪いを受けた人を放置すれば更なる呪いを呼ぶ可能性だってあります。あの忌み子を宿した妊婦の件で貴方もよく知っているはずでしょう。目的が果たせなければ意味がありません。それに聖職者に対する不信感がある以上行動で示さなければなりません。そうでもしなければ情報も得られませんから」
「……はぁ」
修道女なんてやめちまえ、などと口が裂けても言えず太陽仔大きくため息をついた。
太陽仔だってそうだ。ヴァンパイアハンターをやめろと言われても死んでもやめるつもりはない。その点で言えば同病相憐れむというものだが、それ以外に解決策が思い浮かばない。
「リーリア、妙な事は考えないでくださいね」
「うっ、けほっけほっ……にゃっ……にゃにも……」
突然矛先を向けられたリーリアが図星だったのかスープを呑み損ねて咽る。
何を考えていたのやら。ハーニャは「まったく……」と一人若干怒り気味に鼻を鳴らす。追い剥ぎや強盗でも考えていたのだろうか。
リーリアの性格的にそれは無さそうだろう、と太陽仔が一人考え込んでいるとハーニャがまとめた。
「私の方で考えておきますので、それまでは少しお二人には不便を強いる形になります。申し訳ないのですが……」
「あー……それなんだが……ちょっといい?」
おずおずと太陽仔が手を上げると、ハーニャが顔を上げた。
「なんです?」
興味を持ったハーニャにテーブル越しにずいと太陽仔が顔を寄せる。それにつられてハーニャも腕をぷるぷるさせながら身を乗り出した。
「いいツテがある」
「……聞きましょう」
◆◆◆◆◆
「お前たち二人なら申し分ない。はっきり言ってしまえばそのまま今後も俺の商売に付き合って貰いたいが……特に隣にいる修道女については給料は弾むぞ」
「おーい、俺じゃねえのかよ」
太陽仔が出したツテというのはMだった。
Mの商売は基本的に何でも屋ではあるが、命がけの配達の方が金にはなるらしい。配達をやる上で魔物、山賊あれやこれやと襲われる可能性を考慮すれば用心棒が必要だ。
その点で言えば太陽仔と修道女はこれ以上にない用心棒だった。対価は勿論、金。
対魔の役割に金を取ることについてはリーリアもハーニャも多少なりとて抵抗こそしたものの、Mも安心を手に入れるには金がいるという思考をしたシビアな人種なのが幸いした。太陽仔が用心棒をして得た金をアルセゾン修道院に寄付をするという建前のもとで話を決着させることにした。
今回の仕事は配達の護衛。
配達先はアルセゾンから西側のルゥグの村。沼地の忌み子を倒したとしてもやはり危険なのには変わりがない。
それはそれとしてリーリアに鼻の下を伸ばしている(サングラスで見えないがどうせ目もリーリアの豊満な胸元に行っているのは察せられる)上に引き抜こうとしている事については太陽仔からすれば面白くもなんともない話だが。
ハーニャにも聞かせられない。Mが正座+地獄のお説教を浴びるハメとなるのは目に見えていた。
「わ、私はその……修道女ですから」
この手の言い寄りには耐性が無いらしいリーリアが引き気味に断りを入れるものの逆効果だ。押せばイケるタイプの女という判定を喰らうのは太陽仔でも予測が出来た。
「魔物ならその道中でカタを付ければいい。君にとっても悪い話ではないはずだ」
「リーリア、帰っていいぞ」
「「えっ」」
太陽仔の介入にリーリアどころかMまで同じような声を上げる。
そして太陽仔はMの肩に腕を回し、リーリアに聞こえないように小さく低い声でMにささやきかける。他人の惚れた腫れたは至極どうでもよかったものの、流石にこれを看過していればハーニャに何を言われるかわかったものではない。
「同業者引き抜きたぁふてぇ真似してくれるなぁ、Mさんよ。ま、こっからは男同士仲良く沼越えといこうや、なぁ」
「ははっ、からかうなよ……ってお前は聖職者じゃないだろうが。
「shit!」
Mが下世話な想像をしたのかニタァっと太陽仔の顔を見て笑う。ちょっと腹が立ったので太陽仔は肩に回した腕に力を入れた。
「あだだだだだだっ、何しやがるっ……このぉっ」
「んのやろっ」
「こ、この
「そんなに年齢変わらんだろこのスットコドッコイがぁ」
ちょっとしたヘッドロックをしようとするとMもMでそれなりに鍛えているのか抵抗を始める。力と力のせめぎ合い。こんな小競り合いをしていれば話の中身が聞こえていないリーリアも割り込まずにはいられなかった。
「と、とりあえず。貴方のご厚意は嬉しいのですが、私は主に仕える身ですから。その代わりと言ってもですが、全力を持って貴方とその荷物をお守りします」
そんなこんなでしょうもない喧嘩は手打ち。
お仕事開始と相なった。
血呑み沼地は呪いの元凶となっていた忌み子を倒して多少なりとて浄化はされども、その辺を這い回る巨大ヒルやらゾンビやら魔物が消え去った訳でもなかった。
ぬかるんだ地面は時として荷車の足を奪い、太陽仔とM、リーリアが必死に押したり引っ張ったりして手伝いをする。
とは言えど魔物との遭遇率はMがあらかじめ用意したルートもあって目に見えて少なかった。
「そう言えば、だ。
あとはそのまままっすぐ進むだけ。そんな安穏とした道のりになった所でMは切り出した。
「なんだ」
「先の戦闘でお前は体術を使っていたな。あの骸骨頭との戦いで」
「ああ。近接格闘術か」
「そいつは
見覚えがあるということはもしかしたらMの失った記憶に関係することかもしれない。と、同時に教わった元の人間のことを思い出して太陽仔はなんとも言えない顔となった。何せあの男もーー記憶喪失だった。
「
「はて……何?」
困惑するM。言われてみればそうだ。
ハテナと言われて納得ができる人間がいるものか。
「クエスチョンマークそのものが名前だ。なんせ俺にやり方を教えた奴も記憶喪失で名前も覚えちゃいない。だから俺の情報もあてにはならん」
「ず、随分な偶然もあったものだな。そいつはいつも古ぼけたバンダナとかしていなかったか?」
「いや?」
なんの話だ。と太陽仔は首を傾げながら???の姿を思い出す。
バンダナなど身につけていないはずだ。あの近接格闘術そのものが不思議な技だ。知る限りではあれが使える人間はそう多くはない。
太陽仔もセクシーな美女のブロマイド*1の山で取引をしてやっとこさ???から近接格闘術を教わったものだ。
ーーまさかこの男、???の知り合いか……?
女好きなところは共通しているし類は友を呼ぶというものなのか。
とはいえ、Mの言う特徴と太陽仔の知る???と少し乖離していた。故に赤の他人と思う他なかった。あまり記憶喪失の人間の曖昧な記憶を参考にしても仕方がない。
なんとも言えない空気になった所で、リーリアの眉がぴくりと動いた。
彼女の視線の先はこのぬかるんだ地面を這う何か。太陽仔もMも気づいていた。だがこの沼地には灯りなどなくわかるのはシルエットだけ。
「ヒルか?」
「いえ、これは……!」
何かに気づいたリーリアが駆け出し、太陽仔とMもそれを追うように走る。
シルエットの正体がわかる距離まで詰めた時、太陽仔は目を背けたくなるような惨状に息を呑んだ。
女だった。女が沼地を這っていた。
多分太陽仔やリーリアと然程変わらないくらいの年齢だろう。そこまではいい。
問題はそこからだった。全身が傷と泥と土と血に塗れ、本来あるはずの陶器のような白い肌が霞んでいた。そんな肌を隠すための衣服は擦り切れ、破かれ、最早ただの布と化している。
本来なら隠れているはずの乳房も、下半身も完全に外気に晒されていた。あまりにも異常なその姿に追い討ちをかけるかのように手には枷が付けられている。足を見ると壊れた足枷もついている。
まるで奴隷のようだ、と。
そして体の節々にこびりついた体液のようなものに何かを察した太陽仔は舌打ちをした。
ーーふざけた真似をしやがって。
おそらく慰み物にされていたのは明白だろう。
リーリアが助け起こし太陽仔はダスターコートを女に羽織らせる。
「おい、何があった」
流石の女好きのMでもふざけていられず、女に問いかけるものの女は答えずただ縋る。
「たす……けて」
助けを乞うので精一杯だったのだろう。そのまま、まもなくして糸の切れた人形のようにその動きを止めた。
死んだのか、それとも生きているのか。意外にもMは冷静だった。
「まだ息はある。おそらく長時間拷問や暴行を受けたんだろう。人の手による可能性も高い」
少なくともこれまで会ってきたアルセゾンにおける敵に理性はなく、本能で貪る怪物だった。こんな器用かつ悪趣味な真似を出来るのは確かに人間の所業だ。太陽仔やリーリアの管轄から外れるのかもしれない。
だがーー
「放っては置けないわね……」
退魔の者であると同時に修道女だ。太陽仔もこの凄惨な状態の人間を放置できるタチでもなかった。
そう言うと思っていたとMが荷台に人間一人が寝そべるだけのスペースを開けた。
「まだアルセゾンの方が近いな。一旦戻ろう。彼女は荷車に乗せるんだ」
「あいよ」
太陽仔が倒れた女を担ぎ荷台に寝かせる。寝心地は最悪だが時間をかけて死なせるよりはマシだ。
ーー殺気!
咄嗟に太陽銃を抜き放ち、一振りすると銃越しに強烈な衝撃と小さな小石が飛び散った。そしてごろりと音を立てて拳ひとつくらいの大きさの石が足元を転がった。
投石だ!
「牧師さん!?」
突然太陽銃を抜いた事に驚愕したリーリアに太陽仔はその銃口を岩の飛んできた方向に向ける。ーー物陰。
そこからぞろぞろと黒い影が躍り出る。大きさはリーリアの身長の半分くらい。人間というにはあまりにも鬼のようなその姿に太陽仔は舌打ちした。
まるで炭のように黒い肌、尖った耳、中年親父のごとく膨れた下腹。白い目。
魔物というよりは別の種族のようにも思えた。
アンデッドの類でもない。彼らは手に棍棒のようなものを持っている者もいれば、斧を持っている者もいる。一言で言ってしまえば物語の世界における
あの満身創痍の女は自分たちを釣る為の罠だったらしい。明らかに敵対の意思を向けてきているそれに同じように察したリーリアも杖を抜く。
小鬼は左右前後の物陰からぞろぞろと増えてくる。まるで狩りでもしているつもりなのか。
「定員オーバーだ。帰りな、
太陽仔が吐き捨てる。
当然大人しく狩られてやるような太陽仔でもリーリアでもMでもない。Mもまた、自衛用らしい槍を荷台から持ち出していた。
Q:リーリアは何を考えていたの?
A:相変わらず焦燥感に駆られていた為、体を売ることを考えていた。察したハーニャが制止した。
不妊の加護を利用して体を売り、日銭を稼いで足りない予算を補填していた修道女の存在を何かしらの形でハーニャは知ったのかもしれません。
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ボクタイに登場する???、スネークなんだからバンダナしてるんじゃないの?と思われがちなのですが格好からしておそらく任務外で世紀末世界にやってきているようなのでバンダナはしていないのです。(ボクタイ登場時はMGS1資料にあった私服姿をベースにデザインされている為バンダナをしていない)
一応本作において、20年前(新)に一度元の世界に帰ってから20年後(現在)の世紀末世界に迷い込んだのでMGS2後MGS4以前という設定ではありますが今後この辺の設定が活きることはないと思われる。
太陽仔の知るスネークはアーセナルギアでの戦いを終えた後の休暇中のソリッドで、Mの知るスネークはまだバンダナを捨てていない頃な上にBIGBOSSの方なので話が噛み合わないのである。
……バンダナまで覚えていて、本当に記憶喪失かこいつ?
Q:ソリッド(???)の方はMGS4になるまでビッグボスの技術であるCQCを封印していたのでは?
A:今のソリッド(???)は記憶が無いのでそもそも封印していたことを覚えていない。CQCは体が覚えていた為、ギルドが発令する潜入任務で使いこなしていたとかなんとか。
Question
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ボクタイから来た!
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SiNiSiSistarから来た!
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メタルギアから来た!
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偶然見つけた!