冬木アクターズ・ラプソディ ~観光に来た演劇バカの女子大生、うっかり龍之介を轢いてしまったので、キャスターの「ジャンヌ役」として聖杯戦争を完遂します~   作:斉宮 柴野

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二人は「誰も傷つかない幸福な夢」の中で眠り続けている。

夢を壊さなければ、特異点は崩壊しない。

その夢の世界に突入するため、
真樹たちは最後の作戦を開始する。


聖女と魔法少女

荒れ狂う波濤を置き去りにし、黄金の光が冬木の夜空を一直線に切り裂いていく。

 

神代の空を支配する天翔る王の船、ヴィマーナである。

その船首が真っ直ぐに目指すのは、冬木の郊外、鬱蒼と生い茂る森の奥深くにあるアインツベルン城の跡地だ。

 

特異点の中枢を支える、最後の楔。

 

その表面には、莫大な魔力が複雑な幾何学模様を描きながら絶えずうごめき、近づく者の精神を甘く溶かしてしまいそうな、異常なまでの『幸福』の気配を周囲に撒き散らしている。

 

「マキよ……。ここでいいのだな?」

 

「ええ。間違いないわ。ここが最後の一本よ」

 

ヴィマーナの甲板の先端に立ち、光の柱を真剣な眼差しで見つめているのは、パーカーとジーパンというラフな姿の少女。

 

ビーストⅤたる聖上真樹の本体から切り離された、ただの人間の分体である真樹だ。

 

「この柱の中にはね、アイリスフィールさんとジル・ド・レの二人が囚われているの。そして、彼らは今、私の本体が用意した『誰も傷つかない完璧なハッピーエンドの夢』の中で、最高に幸せなティータイムを満喫している真っ最中だわ」

 

「私の本体(ビースト)は、その二人が生み出す『幸せだ』っていう強烈な感情のフィードバックを、魔力エネルギーに変換して、この特異点全体を維持するための無尽蔵のバッテリーとして使っているのよ。だから、この中にある『幸せな夢の回路』を物理的にぶっ壊して、アイリスフィールさんたちをその甘い夢から強制的に解放しない限り、本体の魔力供給は絶対に絶てないわ」

 

夢から覚めない限り、システムは永遠に回り続ける。

 

そして、その夢を見ている当人たちが、心の底からその夢を「現実であってほしい」と望んでいる以上、外部からの生半可な干渉では、決してその甘い檻を壊すことはできない。

 

「……なるほど。あのアインツベルンのホムンクルスを、特異点の魔力炉心として利用しているというわけですか」

 

彼自身もまた、家族の未来を真樹の脚本から守るために、この場に立っているのだ。他人の家族が幸せな夢という名の地獄に囚われているのを、黙って見過ごすわけにはいかない。

 

「……さて、と。仕組みが分かれば、あとはどうやってその夢の舞台に乱入して、台本をぶち壊すか、ね」

 

そして、彼女がスッと目を細めた瞬間。

彼女の漆黒の瞳の奥に、複雑な幾何学模様の魔術回路が浮かび上がり、まるで星のようにキラキラと黄金に輝き始める。

 

「ほう」

 

「……『模倣の魔眼』も、健在なのですか?」

 

「え?ああ、これ?違う違う、全然違うわよ」

 

「今の私に、対象の概念を完全に読み取って自分のものにするような、そんなチートみたいな『模倣』の権能なんて残ってるわけないじゃない。そんな高出力な魔術を使ったら、爆発して死んじゃうわよ」

 

「これはただ、『見て、観察してるだけ』の、ただの検索ツールみたいなものよ!パソコンで言うところの、過去のキャッシュデータを漁ってるような状態ね」

 

「柱の夢を最短ルートで攻略するのに、一番手っ取り早くて、相手の心に一番効果的に刺さる、ちょうど『いい役(キャラクター)』がないかなー?って、自分の記憶の引き出しの中から、一生懸命に探してるのよ。ええと、ジルのトラウマをえぐりつつ、アイリさんの目を覚まさせるような、インパクトのある役……」

 

その姿は、文化祭の演劇のキャスティングに頭を悩ませる、熱血な演劇部の部長そのものである。

 

「あはは。君はもう、完全に『その路線(演劇バカ)』で最後まで行くんだね……」

 

世界を救うための最終決戦の場においてすら、彼女の思考の根本は常に「演劇」と「配役」と「演出」で構成されているのだ。その徹底したポンコツぶりと、どこか憎めない人間くささが、エルキドゥにとってはたまらなく面白い。

 

「当たり前じゃない!私からお芝居を取ったら、ポンコツ女子大生しか残らないんだから!」

 

そして。

数秒の沈黙の後。

 

「………よし、決めた!アイリスフィールさんとジル・ド・レの目を強制的に覚まさせるなら、やっぱりこれしかないでしょう!!最高のキャスティングを見つけたわ!!」

 

「いくわよ!!私のなけなしの魔力を全部使って、最高の衣装を用意するわ!!」

 

「我が真名は……聖女、ジャンヌ・ダルク!!!」

 

どーん!!!

 

自分自身で効果音を口に出して言うという、およそ魔術の詠唱とは思えない間抜けな声が響く。

 

眼による「物理的な衣装の投影」魔術。

 

彼女が普段着ていたパーカーとジーパン姿が、光の中で瞬時に再構築され、見覚えのある白銀の甲冑と、夜風に翻る青いマントへと、劇的な変身を遂げる。

 

腰には立派な剣のレプリカを帯び、その手には、白地に百合の紋章が描かれた巨大な聖旗がしっかりと握られている。

 

「よし!完璧なフィッティングね!やっぱり私、この衣装が一番しっくりくるわ!」

 

「この格好で、あの光の柱の中に真っ正面から突入するわ!!ジャンヌ本人が現れて説教すれば、いくらお花畑の夢を見ていても、絶対に正気に戻るはずよ!!」

 

「さて、ここからは劇団・真樹のゲリラライブの開幕よ!皆さん、自分の配役と持ち場はしっかり確認してちょうだいね!!」

 

「まず、エルキドゥさん!!」

 

「はいはい、僕は何をすればいいのかな?マスター」

 

「貴方は、『大道具』を担当して!!夢の世界に入ったら、私がジルたちを説得している間に、周りの幸せそうな夢の景色を、物理的にバンバン壊して回ってちょうだい!雰囲気をぶち壊すのが貴方の仕事よ!!」

 

「大道具の破壊だね、了解したよ。僕の鎖で、彼らの甘い夢の世界を、跡形もなく粉々に砕いてあげる」

 

「次に、時臣さん!!」

 

「……はい。私の役割は何でしょうか?」

 

彼としては、強力な宝石魔術による後方支援や、結界の解析といった、魔術師らしい専門的な役割を期待している。

 

「時臣さんはね、私のスケジュール管理と、体調管理、それから現場の雑用をすべて取り仕切る『マネージャー役』よ!!」

 

「わ、私が……マネージャー……!?」

 

「そうよ!女優が舞台に上がる前にお水を用意したり、衣装のほつれを直したり、敵のスポンサーに頭を下げたりする、あのとっても重要で大変なお仕事よ!今の私は魔力スッカラカンだから、すぐに倒れちゃうかもしれないでしょ?だから、時臣さんがしっかり私をサポートしてくれないと困るの!!」

 

「ば、馬鹿な……。この私に、遠坂の当主であり、誇り高き魔術師であるこの私に、そのような裏方の下働きをやれと言うのですか……!?」

 

いくら彼女がビーストの分体とはいえ、魔術師の家系の当主が、小娘の身の回りの世話をするマネージャーなど、魔術協会の歴史上、前代未聞の屈辱である。

 

「アッハッハッハッハ!!」

 

「傑作だ!!実に似合っているぞ時臣!!常に余裕ぶっている貴様が、この小娘のパシリとして右往左往する姿、想像するだけで酒が進むわ!!ほれ、文句を言わずにさっさと女優殿の汗でも拭いてやれ!!」

 

「王よ……!貴方様までそのようなことを……くっ……」

 

「……承知いたしました。この遠坂時臣、全霊をもってマネージャーの務めを果たしてご覧に入れましょう。お水は常温でよろしいですか、真樹君」

 

時臣の、魔術師としてのプライドが完全にへし折られ、新たな扉(裏方属性)が開いた瞬間である。

 

「よし!さすがは時臣マネージャー、話が早くて助かるわ!」

 

「そして、最後に王様は…………」

 

最強の英雄王。この特異点を一撃で粉砕するほどの力を持つ、絶対的なジョーカー。

彼にどのような華々しい役割を与えるのか。時臣もエルキドゥも、少しだけ興味深そうに真樹の次の言葉を待つ。

 

「うーん…………」

 

「まあ、良いわ!王様は、何もしなくていいから、その玉座に偉そうに座ってるだけの『ただの王様役』!!それでお願いね!!」

 

「おい」

 

「貴様、今、この我を『どうせ台本通りに動かないし、役割を与えるのが面倒な奴』と思って、適当に流さなかったか?」

 

「え!?そ、そんなことないわよ!!王様はそこにいるだけで画面が映えるから、最高の舞台装置(エキストラ)だなって思っただけで……!!」

 

慌てて視線を逸らし、冷や汗を流しながら苦しい言い訳をする。

 

「舞台装置だと?この我を背景扱いするか。その不敬、万死に値するぞ」

 

真樹(ジャンヌ役)は、その追及を華麗にスルーすることを決意し、力強く前を向いた。

 

「さあ、ごちゃごちゃ言ってる暇はないわ!いくわよ、みんな!!」

 

「甘い夢の中で、自分たちの世界に閉じこもってイチャイチャしてる、ジルとアイリさんを物理的に叩き起こす!劇団・真樹の、一夜限りの強行突破ゲリラライブ!!これより華々しく開幕よ!!」

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「おお!ジャンヌ!今日もジーク殿とは仲良くされていますか?」

 

青く澄み渡る空と、見渡す限りの豊かな緑。

どこか懐かしさを感じさせる、のどかなフランスの片田舎の風景。

その牧歌的な景色の中で、ジルが、手作りの花冠を手に、満面の笑みを浮かべて語りかけている。

 

「ええ!もう、ジーク君ったら昨日も……」

 

村娘のような質素な服を着たジャンヌ・ダルク(幻影)が、恥ずかしそうに頬を染める。

 

「もう!言わせないでください!」

 

それは、彼女が生前、戦火に身を投じる前に見せていたかもしれない、普通の少女としてのささやかで可愛らしい反応だった。

 

「ルーラー、俺は普通に愛しているという事実を述べているだけだ。事実を述べて何が悪い」

 

彼らは、真樹(ビーストⅤ本体)が構築した、「もしも」のハッピーエンドの世界の住人。

 

過酷な聖杯大戦を乗り越え、本来なら決して交わることのなかった二人が、この特異点の中で完全な受肉を果たし、誰にも邪魔されることなく平穏な日常を謳歌しているのだ。

 

「…………本当に、尊い」

 

二人が手を繋いで笑い合いながら、遠くの麦畑へと消えていったあとも。

ジルの顔からは、蕩けるような幸福な笑みがこぼれ続けていた。

 

彼にとってはこれが唯一の「真実」なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「――ジル」

 

「おお!ジャンヌ!どうされました!?」

 

「何か忘れ物でも?ジーク殿はどうされましたか?」

 

振り返ったジルの前に立っていたのは、村娘の服を着たジャンヌではなかった。

 

翻る青いマントと、銀色に輝く甲冑。手には、白地に百合の紋章が描かれた巨大な聖旗。

 

「迎えに来ました。ジル」

 

「迎え……?」

 

「どこへ……でしょうか?」

 

彼の心の奥底では、実は分かっていたのだ。

自分の目の前で笑っているジャンヌとジークが、都合の良い「脚本(幻影)」に過ぎないということを。

 

彼自身の罪深さが、こんな簡単に許され、こんな完璧なハッピーエンドを無条件で享受できるはずがないということを。

 

彼は、真実に気づきながらも、その甘い劇毒に自ら進んで微睡み、目を背け続けていただけなのだ。

 

「貴方も、本当は分かっているでしょう?」

 

「ここは、まだ貴方の生きる『真実の舞台』ではないと……」

 

「私たちは、役者なのだから。この世界という名の劇場で、結末の決まっていない、痛くて、苦しくて、先の見えない『即興劇』を生きる役者なのだから……。こんな、誰かが用意した安全なだけの檻の中で、満足して立ち止まっていてはダメよ」

 

「いや!違う!!」

 

「違う!今度こそ、ジャンヌは幸福になったのだ!!この世界で、彼女は神の理不尽な裁きから解放され、愛する者と共に笑っている!!」

 

「私の祈りはついに届き、彼女の魂は報われた!!だから………私は………」

 

「私はここで、この奇跡を見守るだけでいい……。私が犯した数多の罪は、彼女のこの笑顔の前では、もはや意味を成さない……。だから、私のこの幸せな夢を、壊さないでくれ……!!」

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

「なんと!!」

 

ジルのその懇願を聞いて、大げさに天を仰ぎ、わざとらしく驚いたような声を上げた。

 

「こんなにも自らの罪に怯え、過去に縛られ、現実から目を背けて、都合の良い甘い夢に完全に心を閉ざしているとは!!」

 

「ああ、ジル!!!これには、言葉による優しい説得なんかじゃ生ぬるい!強烈な『荒療治』が必要よ!!」

 

『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』を、地面から引っこ抜き。

 

なんと、野球のバットのように、頭の後ろまで大きく、全力で高く振りかぶったのだ。

 

「え?ちょっと待ちなさい、真樹君」

 

「そこは、貴女が彼に寄り添って、感動的な言葉で説得して……。彼が自らの過ちに気づき、涙を流しながら幻影の夢を壊すという、美しいカタルシスの展開ではないのですか……?」

 

いくら魔力がスッカラカンだからといって、その物理的な構えは、明らかに「聖女の説得」のモーションではない。

 

「何言ってるの時臣マネージャー!夢から覚めない寝ぼすけには、言葉より物理的な衝撃(痛み)が一番効くに決まってるじゃない!!」

 

「さあ!!主の声を聞け!!」

 

ジルの顔面を正確にロックオンし、腰を深く落として、体重を完全に後ろ足に乗せる。

 

「我が神は、ここにありて(物理)!!!!!」

 

――ドゴォォォォォォンッ!!!

 

一切の躊躇なく、渾身の力で。ジル・ド・レの顔面を、見事なフォームのフルスイングでぶん殴った!!!

 

「ぐああああっ!!」

 

「あはは。本当にやっちゃったよ、このマスター」

 

「……なんという下品な真似を。聖女の欠片もないではないか」

 

土煙が舞う中。

粉々に砕け散った幻影の瓦礫の中から、ジルがゆっくりと身を起こす。

 

「防御宝具で、顔面を殴るのは……反則ですぞ……」

 

「痛い……。本当に、痛いですよ、マキ殿」

 

懐かしそうな、憑き物が完全に落ちたような、とても穏やかな笑みが浮かんでいたのだ。

 

彼の瞳から、ジャンヌへの異常な狂信や、都合の良い幻へのすがりつきは、綺麗に消え去っている。

 

「目が覚めた?ジル」

 

「……ええ。お陰様で、随分と手荒な目覚ましでしたが」

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

「……ジャンヌ。いえ、マキ殿」

 

「私は……永遠に許されないのでしょうか?」

 

かつて己が快楽と絶望のために残虐な手段で手をかけ、血祭りにあげた数え切れない子供たちの顔。彼らの悲鳴、流れた血の海。

 

現実に向き合えば、自分には地獄しか待っていないと、誰よりも彼自身がよく分かっている。

 

「……主は、すべて許すでしょう」

 

「でも」

 

「あなたが殺した者たちは、最後まで……永遠に、あなたを許さないでしょうね」

 

神がどれほど慈悲深くとも、奪われた命が彼を許すことは決してない。その罪は、どれだけ祈ろうとも消え去ることはないのだ。

 

「…………。ジャンヌ、私は罪深いのですか?」

 

「ええ、罪深いわ。どうしようもない、救いようのない大悪党よ」

 

「でもね、ジル」

 

「私と出会った、あの警察署の前から。あなたと私の舞台は、に始まっていたじゃない」

 

「『永遠の許し』なんていう都合の良い結末、この現実世界にあるわけがないわ。過去は消えないし、貴方の手についた血も洗えない」

 

「なら……私が『役者』としての幕を引くその最後の瞬間までは。最後まで私の舞台(即興劇)に付き合ってもらうわよ」

 

それは、許しではない。

 

「そうですな………そうだった」

 

「マキ殿……」

 

「あと少し……私もあなたの劇団に、再び加わりましょう」

 

「ええ。貴方は、うちの劇団が誇る最高のエースですからね」

 

「あと少し……あと少しだけ。私たちの本当のフィナーレが訪れるまで、一緒に歩きましょう」

 

「マキ殿……いえ。そうですな」

 

「これこそが、私の魂が真に望んだ『真実の舞台』だ」

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

ジルの完全な覚醒と共に。

彼を今まで強固に捕らえていた幻影が空間ごと砕け散っていく。

 

残るは、この巨大な光の柱のさらに最奥。

アイリスフィールが未だに囚われている「衛宮家の甘い日常」の幻影のコアだけだ。

 

「よし!!この調子で、アイリスフィールさんの夢も物理的にぶち壊して、さっさと助け出すとしましょう!」

 

「私の次の役は、もう完璧に決まりね!!」

 

再び黄金の光を帯びてキラキラと輝き始める。

 

今まで着ていた重々しい白銀のジャンヌの鎧と青いマントを、光の粒子と共に一瞬でパージして脱ぎ捨てる。

 

そして、次の瞬間に光の中から現れたのは。

 

いったいどこからそのニッチなデータを引っ張ってきたのか、ピンク色を基調とし、無駄にフリルとリボンがふんだんにあしらわれた、極めてファンシーな「フリフリの魔法少女の衣装」である。

 

さらにその手には、先端に大きな星の飾りがついた、これまた怪しげな「マジカルルビー風のステッキ」までしっかりと構えている徹底ぶりだ。

 

「愛と勇気の魔法少女!マジカル・マキよ!!」

 

「これなら、イリヤちゃんのいる平和でファンシーな世界観にバッチリ溶け込んで、警戒されることなくアイリさんの心にスッと入り込めるはずよ!!私の完璧な役作りとシチュエーション設定、見事でしょう!!」

 

――シーン。

 

「……おい」

 

「19歳の魔法少女は、いくらなんでもひどく痛いぞ」

 

王の威厳をもって放たれたその純粋な事実の指摘は、どんな宝具よりも鋭く彼女の精神を抉る。

 

「……っ!!」

 

その隣では、時臣(マネージャー)が、あまりのいたたまれなさと担当女優の暴走に耐えきれず、無言で両手で顔を覆い隠している。

 

「あはは……」

 

「マスター、僕はどんな君でも味方だよ」

 

しかし、その「どんな君でも(たとえ痛くても)」という残酷な前提がたっぷりと含まれた優しい言葉が、逆に真樹の精神にトドメを刺す致命傷(クリティカル・ヒット)となる。

 

「う、うるさいわね!!」

 

「衣装の年齢制限なんて、気合いと魔眼の力でどうとでもなるのよ!!私の可愛さに文句があるなら後で言いなさい!!」

 

「行くわよ!!マジカル・カチコミよ!!」

 

顔を真っ赤にしながら、魔法少女マキ(19歳)は、残るアイリスフィールの幻影のコアへと向かって、星型のステッキをヤンキーの金属バットのようにブンブンと振り回しながら、猛突撃していく。




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・真樹というキャラの印象
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