転生者が13人同じ屋根の下、何か起こるはずもなく… 作:希捨酸
魔女の島の過去については8割妄想です。
月代ユキの行動を説明するためにここでひとまずこの小説における『転生』の仕様について説明しておこう。
人間の
魂と記憶だ。
魂は人間の性根、基本的な性格を表す。
そしてそこに記憶、つまりどう成長してきたかが乗ることで人格が形成される。
どちらかだけでは人格は同じものにならない。同じ環境でも魂が違えば違った人間になるし、同じ性分でも環境が違えばいくらでも考えは変わる。
そして転生においては魂を持った状態で生まれる。そしてしばらくしてから記憶を取り戻す。
つまり記憶を取り戻すまでもなくユキちゃんは『月代ユキ』とは違った存在であるということである。
ご理解いただけた?解釈違いとか言わないでね?
月代ユキは魔女であった。
その辺で拾った人間である氷上メルルと楽しくいちゃいちゃ過ごしていた。
しかしある日、魔女を危険視した人間たちによる『魔女狩り』が始まった。
魔法により事前に襲撃を察知した魔女達は作戦会議を始めた。
人間たちには遠距離での攻撃手段は少ない。
船からの砲撃、又は弓の2択である。
船からの砲撃や射撃は島の周りを壁で囲い、対策した。
弓に対しては【防壁】の魔法による防御、1部の遠距離攻撃手段持ちの魔女による集中攻撃をすることで対策した。
弓矢の運動エネルギーは小さく、また弓兵は数が少ない。集中狙いすれば【防壁】が破られる前に
十分全滅できるだろう。
近接戦闘においては何重もの堀、【加重】の魔法や【酸】の魔法によって近づけなくさせる。
ユキの作戦は完璧であった。
ただ、強いていえば。
「誰も弓を持ってない……?」
豊臣政権による魔女の島襲撃、それは1580年のことだった。
「鉄の……杖…………?」
火縄銃を用いた集団戦術が全国的に広まり出した時期である。*1
「ヤケになったか?弓も持たない雑兵が何人いたと
そこから先は続かなかった。
火縄銃に用いられる球形の弾丸は空気抵抗が大きく、命中精度は低い。
しかしその分着弾時の破壊力は凄まじく、女一人の口を閉じるには十分であった。
【望遠】の魔女、斥候として前線へ出てきた彼女の人生は呆気なく終わりを迎えた。
数百本の弓矢を想定して展開された【防壁】であっても高い威力を有し、新兵であっても容易に扱える火縄銃の斉射の前には紙切れ同然だった。
様々な場合を想定されたマニュアルにより恐怖を隠していた魔女達は、想定外の事態を前に為す術も覚悟もない。
銃声と悲鳴がこだましていた。
「ユキ、あなたは若く、聡明です。」
地下通路で大魔女がユキに語りかける。
「あなただけでも逃げて、そして生きてください。」
大魔女の持つ【転移】の魔法。ここから安全な所へ飛ばすには一人が限度だ。
大魔女はその一人にユキを選んだ。
転移していくユキの目には人間への強い憎悪が浮かんでいた。
大魔女はユキの怒りを理解していた。
それでもあの日、人間の女の子を拾ってきた彼女の優しさが復讐ではなくきっとなにか良いことに魔法を使ってくれる。
そう信じて送り出した。
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「メルル……いますか?」
数年後、ユキは政府に保護されたメルルを訪れた。
「大魔女さま……!生きてたんですね。」
「ええ……メルル」
ユキのその目は
「あなたも……魔法が欲しくありませんか?」
憎しみに燃えていた。
魔女が嫌いな
知性が好きな
仲間が大好きな
彼女の底なしの怒りと悪意が生み出したもの。それが魔女因子であった。
彼女は世界中に魔女因子を拡散した。
作業はあまり難航しなかった。人間たちは対抗策を考えたが無意味に終わり、世界中の人間が魔女因子を持つようになるのはすぐであった。
メルルが屋敷に魔女因子が濃い人間を集めて殺し合いをさせているらしい。
そこに純粋な人間を入れて歪んでいく様を見るのはどれだけ楽しいだろうか。
そうだ、この【魔女を殺す魔法】はその子に使ってもらおう。
ちょうどよく無垢で心優しい人間であるエマも見つけた。
純粋なあの子が人類が滅ぼす日が楽しみだ。
とはいえ少し“仕込み”は必要か。
目の前で虐められて死んだフリでもすればいいだろう。
こっそり忍び込んで屋敷では殺されないように、長く苦しむように手伝ってあげよう。
目の前には縄。あとはここに偽の死体を……
その瞬間。月代ユキは全てを思い出した。
やっべぇ〜〜〜〜
え?これやったの私?マジ?
え……つら…………
なんか立ちくらみしてきた……あっやべ
ユキは足を滑らせた。そして目の前には縄が……
月代ユキは前世の記憶を思い出した瞬間、2度目の死を迎えた。
月代ユキはふわふわ浮いていた。
う〜んどうしよう。
正直魔女因子を消せば全部まるっと解決である。
しかし問題が。
魔女因子を消せないのである。
月代ユキは霊体であり、その力は限定的だ。
サハドで呼び出して貰わないと何も出来ない。
それと過去に犠牲になった子達も可哀想であった。
そこで魔法の天才ユキちゃんが思いついた作戦は『殺意なければオッケーじゃんね作戦』である。
【死に戻り】の魔法の応用で過去に戻り魔女因子の殺意を引き出す部分だけを消すのだ。
魔女因子そのものを消し去るのは難しいがちょっと変える程度であれば余裕である。ちょちょいのちょいよ。
作業を終えたユキは牢屋敷へ向かった。これで殺人なんて起きないはずである。
勝ったなガハハ。メルルちゃん愛でてくる。
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牢屋敷は血みどろであった。
なんでぇ?
殺し合いは全く減らず、毎年全滅していた。
どうしてこんなことに……とある魔法少女の心を覗いてみよう。
ここは……牢屋敷?!
え?まのさばに転生??うわぁ、エマちゃんより前か……
つまり……生き残りたいなら誰かぶっ殺して処刑されて本編で復活。それしかない!
殺そう!!
魔法少女達は転生者であった。ユキは泣いた。
ちなみにユキと魔法少女達は存ぜぬ所であるが、メルルが魔法を全力で応用して被害者は全員生きていた。有能。
そして現在。
(エマ?エマ??何をしているんですか???)
(うっっっさっ!!紅???なんでぇ?!)
(えなんかおじさんいるんだけど……)
(は?ジェットコースター?は??)
だいたい読者諸君と同じで大困惑中だった。
何か起きる度に殺人が起きないか、ユキちゃんの肝を冷やしながらも牢屋敷は今日も盛大に何も起こらない。
マーゴとレイアは日夜セッションをしている。牢屋敷の中庭にはメリーゴーランドが建設中で、シェリハンは今日も尊い。おじさん(ミリア)は何故か普通に溶け込めてて、おじさん(弁護士)はミリアの姿で仕事を再開した。
何も起きないというには結構起きているかもしれない。
ちなみに元は自責の念で自殺しちゃう予定だったんですが可哀想なのでやめました。
まあウチ、ギャグ小説でやらせてもらってるんでね?
という訳で一旦ネタ切れ。一区切りです。
もうちょい書けそうかな、と思ってたんですが浮かばず。浮かんだらまた書きます。
以下は今後について。
活動報告でネタ募集します。いい感じの構想が湧かないと書けないのでほとんど採用はできないと思いますがその分お気軽にどうぞ。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=344042&uid=474433
それと結構前にエタってたオリジナルのヤツをリメイクしました。ジャンルも文体も全然違いますが良かったら見てってください。
https://syosetu.org/novel/423080/#
最後になりますがここまで書けたのは皆さまの評価・感想のお陰です。頭が上がりません。
お盆休みも終わって投稿ペースは落ちますが細々と書けたらいいなと思います。
次の話
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ミリア(別のになるかも)
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ユキ