001
「僕が雄英高校に?」
「うん、」
羽川と再会してから四年、戦場ヶ原とも話すようになって高校の行き先を考えるようになった。
その候補として羽川が上げたのが雄英高校である。
正式名称、国立雄英高等学校、個性の悪用による反社会活動に身を投じる犯罪者勢力【ヴィラン】への対抗勢力【プロヒーロー】の養成学科を有する学校である。No.1やNo.2ヒーローを筆頭に多数のスーパーヒーローを輩出した実績とネームバリューで、ヒーローを目指す日本全国の中学生の憧れの的となっている名門中の名門だ。その分倍率も高く、平均300倍、
どうなってんだ、せいぜい2倍を超えない程度だろ。まぁヒーローというのも公共事業は、身近にあり目指すべき職として明確なものだ。No.1ヒーローやNo.2ヒーローを輩出した名門校であれば、当たり前かもしれないけど、それでも300倍というのは多すぎる。
「なんでだ?あそこはかなりの名門校だろ?僕なんかが受かるわけがないよ」
「そうかな?阿良々木くんはもともとの地頭はいいし、一年、いや千石ちゃんの事を考えれば半年かな?それだけの期間で大学合格ができるんだから、受かるはずだよ?」
「翼、それは過大評価しすぎよ、この阿良々木くんが受かるはずがないわ、せいぜい百人中百位になるわ」
「ひたぎちゃんこそ、過小評価しすぎだよ、それに、吸血鬼の力を持った阿良々木はヒーローになるべきだよ」
「確かにこの吸血鬼の力は前世と違い個性だから使い勝手もいい、でもな羽川、僕にヒーローは向いてないよ、忍野も言っていただろ?人は一人で勝手に助かるだけなんだから。誰かが、誰かを助けるなんてことはできないだよ」
春休みから三ヶ月、忍野は僕を助けなかった。僕が自分を助けることを手伝うことはあっても、助けてくれたことは一度もなかった。
「なら、勝手に助かるのを手伝うヒーローになればいいんじゃない?阿良々木くんは私達が何度も助かることを手伝ってくれたでしょ?それに、今回は正攻法でやってみたいしね、阿良々木くんがいれば心強いし」
「ちょ、ちょっと待て!お前またやるのか?和製ジャンヌ・ダルクを」
「あっははは、流石にそこまではしないよ、でもNo.1ヒーローがいなくなれば日本も平和とは言えなくなるでしょ、それの対策位はしておかないと」
「……やっぱり、お前は何でも知っているな」
「何でもは知らないわよ、知ってることだけ」
かつて、前世では、世界中を渡り、いくつもの内乱や紛争を鎮め、国境を消して回った羽川、和製ジャンヌ・ダルクなどと呼ばれていた時期もあれば、国境を消して回り、五輪の花を一つにすることを目的とする事を危険視した世界政府がテロリスト認定、羽川翼としての人生も消して、僕たちに迷惑をかけることなく、それをし続けた。
今世では、テロリストではなく、ヒーローとして正規の方法を取ると言うが何処まで出来るかも分からないのにやろうとは、羽川の考えは僕には分からないが、それでも羽川の言う手伝いというのも理解できる。
ただ迷っているだけよりかはいいかもしれないな。
「分かった、目指してみるよ、羽川、戦場ヶ原、学力面のサポート頼む」
「任せて」
「私達が教えるのだから絶対に合格しなさいよ」
「ああ、」
002
羽川と戦場ヶ原の力を借りて、受験当日となった。実技の心配はしていない、いざとなれば怪異の王と吸血鬼の始祖がいる、頼りすぎるのは良くないけど、吸血鬼に寄ってしまうという代償は個性になって無くなった。なら、出来ることとできないことの線引きをしっかりして動けばいい。
筆記試験は、羽川が出す難解問題や戦場ヶ原が出すネチネチとした嫌らしい問題を解いていきていたおかげで難なくクリアした。間違いは幾つかあるだろうけど、合格ラインには入っているはずだ。
「次は実技だね、」
「ああ、」
「それじゃ、私は先に帰るわよ、翼、阿良々木くん、しっかりやりなさいね」
「もちろんだよ」
「ああ、」
珍しく、戦場ヶ原のデレを頂いたところで、実技試験の説明会へとはいる。会場には何百人もの人間がいて、この大半が落ちるというこだ。
「今日は俺のライブへようこそ!エヴィバディセイヘイ!」
遠いが吸血鬼の目で確認を取る。金髪の長髪の逆撫でたDJ姿の男、プロヒーローの【プレゼントマイク】じゃないか!生で初めてみたぜ。
「うわっ、すごい大きな声、でもライブとかって言っていいのかな?」
「確かにな、」
「こいつぁシヴィ―――!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?
「入試要項通り!リスナーにはこの後!30分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!O.K?
「演習場には”仮想敵”を
声のボリュームもそうだけど、このテンションは受験には向いていないんじゃないか、合いの手がはいる言葉がいくつかあるがぜんぜん返せない。
すると、眼鏡をかけた男版委員長の中の委員長とした人が手を挙げる。でもやっぱり委員長は羽川だ。しかしこの空気の中で質問ができるとは、すごい精神力だな。
「質問よろしいでしょうか?プリントには
随分と言い切るな、でも羽川がこういうことに気付かない訳がないから、気付いたうえで何か先を見ているのかもしれない。
「オーケーオーケー。受験番号7111くん。ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつはいわばお邪魔虫!各会場に一体!所狭しと大暴れするよう『ギミック』よ!戦わず逃げることをお勧めするぜ!」
「ありがとうございました!失礼いたしました!」
「俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の”校訓“をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ポナパルドは言った!真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と!!更に向こうへ!”Pius Ultra!!”それではよい受験を!!」
こうして実技試験の説明は終わった。しかしお邪魔虫か、戦う必要が無いならそれに越したことは無いけど、空を避けられるかというと、それが出来そうにないのが前世の僕だ。幾度となく加害者になってはいたけど、被害者ではなかったわけではない。トラブルが突っ込んできたことも会った。
「やっぱり何かあるかもと思ってたけど、阿良々木はどうする?」
「う〜ん、状況を見てかな、」
「多分だけど、逃げ遅れた子を助けて壊すと思うよ、私の会場はこっちだから」
「そうか、頑張れよ」
「うん、」
羽川の個性は【触り苛虎】ブラック羽川と苛虎が合わさった個性だ。羽川の武器である知識は健在だし、国相手に立ち回っていた記憶がある中で、この二つを最大限使って物事を対処する。それが今の羽川だ。
あとから分かったことだが、キスショットの一人目の眷属、死屍累生死郎は忍を助けるために、羽川を怪異の王としようとすることも考えていたらしい。それは無く忍に喰われたけど、そうなっていたら忍はどっちについたんだろうな。忍野忍はどっちに憑いたのか、悪魔のように美しく、天使のように脆い彼女はどんな決断を下したんだろうか。
003
「おい、お前様よ、今回私たちはどうする」
「何もしてないから、暇でしょうがないぜ」
「正直言って、僕だけで対処できるか分からない、命がかかっているわけじゃないけど、それでも万全を期して臨みたい、頃合いを見て別々に行動しよう」
「うむ、」
「分かった」
「はい、スタート」
「?!」
軽い合図で遅れてしまった、実戦なら一度は死んでいる。吸血鬼としての生も長かったから、戦闘に対する危機感はそれなりに上がった。こんな事ならドラマツルギーさんのところで、仕事でもしていればよかったかな。いや、たぶん向いてないな。
『発見、殺す』
「おらっ!」
少し力を入れただけだけど、簡単に吹き飛んで砕け散る。どうやら強度は低いみたいだ。これなら僕一人で何とかなりそうだけど、油断はしない。油断や慢心は大きな隙をうむ。相手がどれだけ弱かろうと、自分が有利だろうと、全てひっくり返る現象を見てきた。実際僕もそれをやったことがある。
「それじゃ、行ってくる」
「少しは楽しめるといいな」
「気をつけろよ!」
「誰に言ってる!」
あっ、そう言えば忍と歿が取った得点は何処に行くのだろうか、失点になっていたらただ邪魔をしているだけに過ぎないけど、ほかの人の点が減ると考えればお得か。
あの二人に限って失敗するとも思えないし、自分の心配をしたほうがいいのかもしれない。
「よっ」
二十点くらい取ったところで、巨大な地響きを上げながら、0ポイントの仮想敵が現れた。ビルと同じ大きさとか何処にこんな金があるんだか。でも、あの時ほどの恐怖は無い。
地獄の春休みに比べれば、この程度、恐怖にならない。よく考えてみれば、怪しい人生を歩んできたものだ。だからこそ、この程度で、止まることはない。
「生死流……七花八裂!」
吸血鬼のスキル、物質構築、僕はそれを使って刀を創り出した。心渡も作れるけどこの機械相手には効果がない。でも、心渡で慣れた形から、二メートルの刀を創ることは難なくできるようになった。
虚刀流を習得できなかった僕は、忍に生死流を学んだ。習得できなかったと言っても、歿は簡単に習得してそれが終われば、型に当てはめるより殴ったほうが早いと言う結論になった。
生死流の一から七の奥義を同時に繰り出す七花八裂、羽川に見てもらったときは、人に向けるときは竹刀位の柔らかいものにしたほうが人を殺さないと言っていた。一度見ただけで弱点を見つけてくれるとはさすが羽川だ。
「終了ー!!」
「終わったか、」
「みたいじゃの」
「だな、」
「そっちも終わったか、どれくらい倒した?」
「二十体ほどじゃ、」
「俺もだな、これで結構な点が取れるはずだ」
なるほど最低二十になるから、六十点は取れるわけか、良し、これなら落ちることもないはずだ。後は結果を待つだけとなったな。
004
雄英高校から合否通知書が送られてきた。
もちろん結果を見るのは怖い、今僕の部屋には、忍と歿と二人の妹がいる、二人とも記憶は受け継いでいないみたいだ。
「お兄ちゃんよ、結果発表を見るのにこの人数はおかしいだろ」
「そうだよ、忍お姉ちゃんや歿お姉ちゃんならまだしも私達も同伴はおかしいって」
「主様が意気地なしなのは今に始まったことではない」
「それはこの数年で理解したはずだ」
「ボロクソに言うな!……開けるぞ」
『私が、投影された!!』
「「「オールマイト?!」」」
『私は今年から雄英高校で教師をするからね、これは一足早いサプライズというわけだ!そして阿良々木少年!君の結果だが、筆記は上々、文句無しだ。そして実技、ヴィランポイントが、21点少し少ないな。ただし、我々が見ていたのはヴィランポイントだけにあらず!
『見返りを求めず、誰かを救う、これこそがヒーロー!レスキューポイントも見ていたんだ。完全審査制、君は誰もが逃げ惑う中勇敢に立ち向かい、あまつさえ倒してしまったレスキューポイント50点!
『合計72点、合格だ!ただし、君だけならね』
どういうことだ?
僕だけ、
『君の個性、〈鬼血契〉正直言って私も見たことはない前例のないことだ、二人の少女の点数、長い髪の少女はヴィランポイント34点、髪の短い少女はヴィラン35点、さらにここにレスキューポイントを20点加える。
『よって、161点!首席だ!』
「さすがじゃな」
「ああ、」
「やったな兄ちゃん!」
よかった、努力した甲斐があったというものだ。まぁ前世での戦いの経験があったからというのもあるけど、それでもこれは僕の力だ。あとは羽川と戦場ヶ原にも連絡をしないとな。
ここから、僕の人が助かることを手伝うヒーローとしての物語が始まった。
羽川先輩は筆記満点、実技5位です原作のことを考えると、四位、まぁこの人曲がりなりにもテロリストやってましたからね