昨今の自分が色々理屈っぽいこと気にし過ぎて頭こんがらがってるのを自覚したので、思い切ってバカをやる作品を中心に書くことにしました。その一作目。
尚、楯無さんファンの方はごめんなさいな内容です。
悪気はないんです。むしろ好きなキャラです。
――ただネタには使いやすい。
歌、唄、詩、大海賊の娘ウタ。・・・世界には様々な「うた」が溢れている。
かつて、『歌はリリンの生み出した文化の極みだ』と語った一人の英雄がいた。
彼はまた『生と死は等価値』とする死生観を尊ぶ人物だったことでも知られており、『常在戦場』『冥府魔道の道』『生きることは死ぬことと見つけたり』とした、死が何時訪れるか定かならぬ戦国乱世を生きた武将たちの生き様を現代でもなお貫き続けるサムライでもあったのだ。
いつ何時でも死ぬ覚悟で生きる武人であった彼にとって、平素の服とは『死に装束』でもあり、死の瞬間まで同じ服をまとい続ける武士道精神を尊ぶ心をもっていたらしい。
その死に様もまた武人らしく、唯一の友と認め合った者の手によって首をとられることを願ったという・・・・・・まさに現代乱世を生き抜き、見事な死を勝ち取ったサムライ英雄だったのである。
そして現在。
我らが通う学び舎、このIS学園でもサムライ英雄が愛した文化にまつわる一大行事が執り行われようとしている。
『文化祭』・・・・・・読んで字のごとく、文化の祭りである。
正確にはIS学園ゆえに『学園祭』と称するらしい。どう違うのかは私にも分からぬが、なにか深い事情あるが故に別の名が与えられているのであろう。
学園中を会場とする祭りの最中には、生徒たちが壇上で歌を熱唱し、学内での飲食や飲み会が自由におこなわれ、奇抜な格好をした若者たちが至る所で騒ぎ立て、その日に限り学園の外で暮らす者達にも門扉が開かれ祭りに参加する権利が与えられる・・・・・・。
まさに70年代アメリカの、自由を愛し求めて戦争を批判するためイージーライダーした若者たちの魂が形になったかのような一大イベント!!
このような行事に参加することが出来るとは、文化を愛する武人の名誉である!!
このシュトロハイド・フォン・ローゼンバッハ、ドイツ代表候補生たる地位に相応しく文化の祭りに華を添えるため全力を尽くすことを、ここに誓約するものであーッる!!
「・・・いや、ハイド。
なんとなくお前の考えてることは分かるような気がするけど、多分ハズレてるんだろうなってのは分かってもいるんだが・・・・・・それでも敢えて言わせてもらうぞ。違うからな?
どう違うかは正直わからんが、それでもお前が今考えてるのが違うって事ことだけは俺にも分かるから。だから言うな、違うから。絶対に違うから別物だから。いい加減わかれ、そこんところは本当に」
例によって例のごとく毎日のように、日本を誤解してる外国人の解釈をさらに誤解させまくってるとしか思えないクラスメイト女子のドイツ人に、無駄と承知で俺は今日もツッコミを入れていた。
基本的には善人――だとは思うんだけど、何でもかんでも前向きに受け取ってしまって、その前向き解釈が相手にとっては不快なこともあり、そんな相手の不快に思った反応さえも前向きに解釈して受け入れてしまう・・・・・・そんな善意のゴジラかクリーチャーみたいなとこある奴がハイドなので言わずにはいられない。
・・・・・・なんかあった時には、俺が巻き込まれる率高かったからなぁ・・・・・・今更だけど俺ってなんでコイツと仲良く友人付き合いし続けられてんだろうか? ときどき不思議に思うようになっちまってきた最近の日々。
とはいえ、今の時間は放課後の特別HR中。
「ちょっと織斑さん、ローゼンバッハさんとだけ遊んでないで、皆さんから出た意見を板書して下さいませな。先程から少し詰まってるのですけど?」
「あ、ああ、悪いセシリア。すぐやるから」
案の定、クラス代表の補佐って感じで事実上の代表になって久しいセシリアから注意をうけて、俺は黒板の前まで板書役するために戻っていく。
最初は「体のいい雑用係」とか言われてたクラス代表って役職だったけど、今だと実質セシリアの子分状態の名前に――やめよう。そういう風に考えてると空しくなるから、今は仕事に集中集中。
・・・・・・ただまぁ、その仕事するため前に立った黒板に書いてある内容が、
【学園祭でやるクラスの出し物案】
1『織斑一夏のホストクラブ』
2『織斑一夏とツイスター』
3『織斑一夏とポッキー遊び』
4『織斑一夏と王様ゲーム』
・・・・・・っていう頭痛くなるもんばっかと向き合わされ続けてる身として、現実逃避にハイドと遊びたくなってしまうのは仕方がないと、正直分かって欲しいし思って欲しくて仕方がない今この時の俺なんだが・・・・・・
「・・・なぁ、コレ本当にいちいち書いてかなきゃ駄目か? どーせ全部却下する前提のばっかしか一度も出たことないんだけど・・・」
「えええー!? なんでよ織斑君! こんなに私たち女子一同は求めて欲して期待してるって言うのに!!」
「そーよそーよ! こんなに良いアイデアがいっぱい出てるのに、一体何が不満なの!?」
「全部だよ!? 誰が嬉しいんだこんなもん! 学園祭なのにクラスの出し物一つもないだろうが! 全部俺一人でやるヤツばっかで、他の人たち学園祭中なにやるんだよ!?」
『遊ぶ』
『遊ぶわね』
『他のクラスを冷やかしながら、自分のクラス特権で優先的にやらせてもらう前提で』
――凄まじいクラスの腐敗っぷりだった。一人に押しつけて儲けも手に入れて、それ以外の人は遊ぶ気満々である。
これが女性優遇の女尊男卑社会が生み出しちまった弊害かぁー・・・!!
「とにかくダメ! もっと普通の意見を募集! せめてクラスメイト全員が参加できる前提の提案限定で!!」
「・・・・・・では、メイド喫茶でどうだ?」
「え・・・・・・?」
悲鳴のように放ったは俺の心からなる希求に応えるように声が上がって、その真っ当な意見を初めて言ってくれた相手に感謝の思いで顔を向け――意外な相手の姿に思わずポカンとさせられることになる。
「・・・・・・なんだ? 客受けはいいらしいと聞かされたぞ。やればいいではないか。
それに飲食店は経費の回収が行われるとか。学園祭とやらのときには招待券をもった外部からも客が入るそうだし、休憩所としての需要もなくはないだろう。問題はなにもないはずだが?」
「ま、まぁそうなんだが・・・・・・」
意外すぎる相手、ラウラ・ボーデヴィッヒからの“超不機嫌そう”な表情と声と態度で出されたアイデア内容とのギャップを前にして、俺としては少々以上に二の足を踏まずにはいられないわけで・・・。
え、あの、なにコイツ。なんでこんな不機嫌そうなオーラ発散しまくりながら可愛らしい提案なんか出してきてるんだ? イメージ真逆すぎてて俺もクラスメイトたちも反応に困っているんだが・・・。
「え、えーと・・・・・・ラウラ。なんかメイド喫茶にツテでも持ってたりするの・・・か・・・?」
あまりに本人のキャラとも今現在の態度ともそぐわな過ぎる提案だったため、ついつい俺も妙な質問と自分でも分かる聞き方で確認を取ってしまう。
なんだよメイド喫茶のツテって・・・自分が聞かれたとしても応えに困るしか出来そうもない質問をしちまったことに俺自身は頭を抱えるしかなかったんだけど――相手には相手の事情があるらしい。
「・・・・・・知らん。
この前行かされた時にテロリストに襲撃され、対立する反政府テロ組織も乱入してきて銃撃戦になって巻き込まれたのがメイド喫茶だったので言っただけだ。
襲われればいいのだ、あんな場所・・・・・・くそぅ、なんで私だけがあんな目に・・・っ!
結局、犯人共は警察隊が逮捕に失敗して逃げられたらしいし、テロ鎮圧時にテロリスト共の一味と間違えられて殴られたし、なぜ私だけが散々な目に遭わねばならないのか・・・!!
私はただ、メイド服の下にコンバットナイフを隠して持ち歩いてただけなのに一体何故!?
女子高生がコンバットナイフを携帯しているだけで凶悪犯扱いする世の中が! 社会が間違っているとしか思えない!!」
そして危ないセリフと危ない主張と、何かあったらしい恨み節を全部一緒に垂れ流しはじめる。
ラウラよ・・・お前にいったい何があったんだ・・・?
いつもは淡々とした口調で話す奴が、テンションの安定しない情緒不安定な感じの喋り方でブツブツ呟き続けてくるもんだから周囲の女子生徒たちも困惑気味。
いつもはフォローしてくれるのが最近の流れになってたシャルも、気まずそうな顔して目をそらしたままだし・・・・・・何かあったのかな? あいつら2人って。
ラウラには悪いが正直ちょっと、気持ち悪いんだけど・・・。
「え、え~とぉ・・・・・・まぁ理由は別として、ボーデヴィッヒさんのご意見もアイデアとしては悪くないものだったと思われますので新たな案に加えるとしまして。――他に意見のある方、いらっしゃいませんかしら?」
『『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』』
し~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っん。
さっきまでとは一変して、沈黙に包まれる俺たち私たち一年一組の生徒一同たち。
あんなテンションと訳ありっぽい意見でたばっかだからなぁ・・・これで言える奴いたら勇者だろうなって俺でも思う。
だが――そんな皆には悪いと思いつつ、黒板を前にして俺の頭にあるのは別の事だった。
それは昨日の時点で既にして、結論が出ないまま翌日に議題が持ち越しとなった後にあった出来事のこと。
千冬姉に呼ばれて行った先の職員室で再会し、次いで寮にある自分の部屋で待ち構えていた先輩の女子生徒。
『更識楯無』生徒会長。
三年生の先輩で、更衣室で出会っていた彼女と再会して俺に稽古をつけてくれることを約束し、そして俺自身も完膚なきまでに敗北した相手。
皆には悪いけど、今の俺の頭はクラスの出し物のことより、彼女との訓練のことでいっぱいなんだよな。
あの人から教えられた内容を早く習熟して使いこなせるようになることが、今の俺にとっては最優先事項だったから。
『一夏くん。キミは弱いわ。無茶苦茶弱い。だから学園祭までの間まで、私が指導して鍛えてあげる。
あ~、一応言っておくけど拒否権はないからね?
――おねーさんの下着姿は高い・の・よ? ウフ♡』
そう言っていた彼女が教えてくれる内容をマスターするのが、今の俺にとっては一番大事で――って、そういう意味でじゃねぇぞ? 違うからな?
誰にも聞こえてないの分かってるけど、それでも違うぞ。そーいう意味でじゃねぇ! 絶対に違う! 俺は男らしくないことはしていない!!
そして! その結果として俺は―――
「というわけで、一組の出し物は『コスプレご奉仕休憩所喫茶シンガーソングはいいねぇ文化の極みだ』になりました―――らしいです・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
クラス代表として職員室で、担任である織斑先生の元にクラス会議の報告しにいって、ゴミかなにかを見下す視線を向けられる羽目になる・・・と、クソゥっ!
真面目にやっておけばよかった! 俺のせいじゃないのにクソゥッ!!
「いえ違うんです先生! そうじゃないんです! もっと無難なものにしようとしたんですけど、なんかクラス全員が会議に疲れて煮詰まってきて最終的に全部ぶっ込んじゃえってことになって! それだけなんです! 信じて下さい! 俺たちがバカだったから選ばれた出し物じゃありません!!」
「そんな理由と流れの末に、この結論に至ってる時点でバカ確定だ、ド阿呆」
「ぐ、ぐぬぅ・・・・・・」
まさに、ぐぅのねも出ず、ぐぬぅとしか返しようがない千冬姉からの超正論・・・流石にコレは言い返せない。
「・・・まぁいい。どうせ祭りだ、他の先生方も多少のことは無礼講としか思わず流してくれるだろう。そういうノリが多い学園でもあることだしな。
では、この申請書に必要な機材と使用する食材などを書いておけ。一週間前には出すように」
「はい・・・(うっ、めんどくさそうd――)」
「今さら言うまでもないが、望むと望まざるにかかわらず、人は集団の中で生きなくてはならん。その為にも与えられた役目に伴う義務を果たせ。
仮にIS学園入学に関しては、お前の意思ではなかったかもしれんが、クラス代表の役目はお前が挑発に応じた勝負の結果だ。自分で責任をとれ。嫌なら最初から応じるな。
――その程度は、言われるまでもなく分かっているな・・・?(ギロリ)」
「は、はいっ! 当たり前です織斑先生!!」
凄みの効いた視線と正論に、俺は背筋を伸ばして直立不動で応答!
めんどうくさい? やっかいごと? そんな甘ったれた戯れ言を心の中だけでも思うなんて男のやることじゃないぜ!
俺は自分がやったことの結果からも責任からも決して逃げないよう千冬姉に教えられて育った男なんだからな!!
だからこそ! 相手に誤解されてる可能性を完全になくして安心してもらうためにも、あと一声!!
「全ては俺自身の責任と行動で行います先生! ハイル・オリムラー!!」
「だ・れ・が! 自己責任で部下に押しつけるチョビ髭独裁者だ貴様~~~ッッ!?」
「へぶ~~~しッ!?」
バコーッン!!と。
盛大にアッパーカットを食らって宙を舞い、怒りの鉄拳制裁を食らわされながら俺たちクラスの学園祭準備期間と、俺個人の更識会長による個人レッスンは幕を開けることになる。
「じゃあ、最初の訓練一日目の特訓からはじめましょうか? まずは、レッスン・ワ~ン♪
最初は経験者の真似からってことで、シャルロットちゃんとセシリアちゃんに協力をお願いしてみましたー☆
それじゃあ二人とも、《シューター・フロー》で円状制御飛翔をやってみせてちょーだい」
『『え? は、はぁ・・・まぁいいですけど』』
ISアリーナに立った更識会長から指示されて、応援に来てくれたクラスメイトの国家代表候補生で専用機もちの2人が不思議そうな顔をしながら模範演技をしはじめてくれるのを、俺は横で見させてもらうことになる。
シャルとセシリアが俺にやって見せてくれた――えっと、シュー・・・・・・ロンドンってやつの動きを、とりあえずは横でジッと見続け次の指示を待つ。
彼女たちは互いに銃を実体化させて構えたまま、撃つことなく右方向へと機体を進ませはじめて、その場で壁を背にしたままグルグル円軌道を回り出し、やがて撃ち合う。
円運動を続けながら不定期な加速をおこなって射撃を回避し、それと同時に減速することなく円軌道を速めながら自らも撃ち返す。
これは・・・・・・最初は簡単そうに見えてたけど、思ったよりずっと――
「すこーん!すこーん! こいけやスコーン!
すこーん!すこーん! こいけやスコーン!
パリッとサクッと美味しいスコ~ンっ♪♪」
・・・・・・さっきからずっと、俺の横でグルグル回って歌って踊り続けてるハイドの動きとは全っ然違いすぎるもんだな絶対に・・・。
そういえばアレやってた頃にも、ロンドだったか輪舞曲だったか言ってたとか聞いたことあるけど・・・・・・なんで知ってるんだドイツ人・・・。
「射撃能力で重要なのは面制圧力だけど、連射ができない大出力の荷電粒子砲は面制圧より、スナイパーライフルによる突破力による一撃必殺に使った方が運用としては向いているの。
だけど一夏くんの射撃能力は知っての通りセシリアちゃんより大分低い。武器に射撃武装がなかったから仕方ないんだけど、射撃戦には向いてない状態なのよね」
「うぐ・・・・・・ま、まぁそうなんですけど・・・でもそれだと解決方法が・・・」
「うん、確かに。だから一夏くんが今の白式で勝つためには、今までと同じく近距離戦を叩き込むしかないのは変わってないわけね。
だから近距離戦と射撃戦を使い分けるんじゃなく、接近戦を挑むために射撃武装を使えるようになる必要があるんだけど、そのためには射撃用ISで戦うための訓練もするのが必要ってわけ」
「・・・・・・なるほど」
その説明を受けて俺はようやく納得させられることになる。
IS機能で頭の中に使い方が自動で浮かんでくるせいで認識しづらくなってたけど、俺は今まで銃を撃つ練習をろくに受けてきたことがなかった。
まして、空を飛んで移動しながら敵に向かって銃を撃つ練習なんてのは言わずもがな。
確かに白式には今までなかった射撃武装が追加されて、銃を撃てるようにはなったけど、それで俺自身までが銃を撃って敵に当てれるようになれるって訳でもない。
千冬姉から初めて剣の使い方を教えてもらった時と同じだ。どんなものでも最初からは使いこなせない。
使うための練習や訓練が必要だったのだと、俺は彼女からの説明で心から理解させられることになる。
「おのれハイド! 今日こそ恨みを晴らしてくれるぞッ!!
いくら貴様がバケモノでも、こういった身体を使う技で戦うには訓練をしなければならんのだからなッッ!!」
「ハーッハッハ~~ッイド!! そのような理屈! 超えられずして英雄を名乗る資格があろうか!?
白き悪魔的英雄は超えておった! 英雄と同じ人種の戦士たちも新たな遺伝子人類戦士も、みんな超えておった! だからこそ私も超えて征くぅぅ~~~~ッッ!!!」
「くぅっ!? やはり貴様は私にとっての倒すべき敵だ! お前こそが私にとっての敵なのだ! 絶対に許さ~~~ッん!!! って、ぐはぁっ!?」
「フッ・・・真なる新たなニュー英雄は伊達ではないのだよッ!!!」
カンキンカンッ!! バッキーッン!!!と。
背後の方では背後の方で、なんかラウラとハイドが俺の気づきを台無しにするような白兵戦をやって勝敗付いてたみたいな気がしたが・・・・・・気のせいだ。
俺は自分が気付いた過ちを信じて努力するぞ。俺は変な熟練者たちの戦いに惑わされない。
朝の間は、そんなノリでの訓練をやるため時間を使い。
学校が終わった後の夜は夜で、学園寮の自室では。
「お帰りなさ~い♪ ご飯にします? お風呂にします? それとも、わ・た・し?」
「えーと・・・何やってんですか? 楯無先輩・・・ここって一年生寮で、男子生徒な俺の部屋――」
「治外法権なIS学園の生徒会長権~限♪」
「・・・・・・・・・」
有無を言わさず言う権利すら認めず言っても意味なき効果もない、初手から最強ジョーカーを切ってこられて断る口実奪われる、無力な一学生でしかない俺の身分・・・。
一体何なんだコレは・・・・・・なんでこんな状況になっているのか、訳が分からない。
夜に学校が終わって訓練も終えてから、ヘトヘトになって部屋に戻ってきたら生徒会長の更識先輩――少し前に楯無会長って呼ぶようになった上級生が先に待ち構えていて・・・・・・その・・・は、裸エプロンで帰ってきた俺の前に姿さらしてきてて、えっと・・・・・・(///)
「今日から私、ここに住もうと思って来ちゃったからヨロシクね♪ いやぁ、まだ2人しか同棲した女の子がいない一夏くんの部屋に一緒で暮らす3人目だなんて、みんなに自慢できちゃうわね。
私は、一夏くんにとって三人目の女になりましたって。明日の全校集会で言っちゃおうかしら?」
「辞めて下さい。俺が殺されます、俺だけが何故か絶対に。って、と言うか!
それよりその、服! 服を着てください服を! 早くッ!!」
「ジャーン♪ 後ろは水着の水着エプロンでした~♪
んふ♡ どーお? ビックリした? それとも~、ちょっと期待しちゃったりとか?」
「そ、そんなわけは絶対ありません!!」
クルリと振り返って背中を見せられたら、水着の上からエプロンだったというオチが待っていやがった・・・くそぅ、振り回されてるな今の俺は明らかに。
いや違うんだ、そうじゃない。
俺が彼女の姿を正面からだけ見て、「裸だ」と瞬時に思っちまったのは決してやましい気持ちからのものじゃなくて、もっとこう何て言うか
ガチャンッ!!
「グッドイブニングである織斑くん!
篠ノ之くんたち共に視線を乗り越えた戦友たちが、君のため《しゅーぱー・ふろー》とやらを熱心に練習していると聞き、このハイドも友として馳せ参じた!!
さぁ、何かはよく分からぬが如何なる練習にも付き合おうぞ織斑くん!! 戦友として!友として!!
《しゅーぱー・ふろー》をマスターするため、この私と共にバッチ来ーい!!であるッ!!」
コイツの存在を先に知ってたからだよぉぉぉぉぉっっ!!
《シューター・フロー》が『射撃型の戦闘動作だ』って楯無会長が言ってた話を聞こうともせずラウラと遊んでたから勘違いしたまま、『新型の風呂での練習』だと信じたままのバカな同級生女子を!! バカすぎる女子生徒を!!!
バカ過ぎる解釈を理由に信じ込んで、夜中に男子一人の部屋まで、素っ裸で入って来ちまえる同級生女子生徒のこと知ってれば誤解もするわ本当にぃぃぃぃぃぃっ!!!
「なっ!? なっ!? なな、なんて格好してるのハイドちゃん! ここは一夏くん一人が生活してる事実上の男子部屋なのよ!?
そんな場所に女の子がノックもなしに裸で入ってくるなんて・・・・・・! いやらしいわ! はしたないわよ! 年頃の女の子がそんなことするのは生徒会長として許せません! メッ」
「アンタもだよ!? この状況でアンタが言うなよ!
ハイドの方が悪いとは思うけども、それでもアンタも言う資格ない格好してる最中だと俺的には思うんですが!?」
「ハッハッハ! 流石はIS学園の頂点に立つという征夷生徒会長大将軍殿。
素肌に直接、布2枚のみを纏って手には扇子をもつとは・・・・・・蒼き髪の色はハッタリではなかったようだな。私が見込んだだけのことはある」
そう告げて目をつむり、両腕を組んだ姿勢のままで、ハイドは瞑想するように深く深く頷いて―――その前に、まず股を閉じろよ!
いつもコイツは一番隠さなきゃ行けない部分を、なぜ一番隠さない!? 即座に目を反らないと見えちまうから、条件反射になっちまった俺の気持ちも考えろぉぉぉっ!!
「間違いない・・・・・・その姿、まさしく『エビス丸』!!
江戸の昔から世界の平和を守るため、悪と戦い続ける影の存在!!
彼の偉大なる英雄の子孫と出会うことができたこと・・・・・・このハイド、光栄の極みなりッ!!」
「なに!? なに!? なんの事!? 誰の事言ってるのかまるで分からないし知らないんだけど、何故だかとっても不名誉な人を引き合いに出されてる気が凄くするだけど!?
誰のことか知ってる一夏くん! 知ってるなら教えてちょうだい! 生徒会長命令よ!!」
「知りません! 俺はなんに似も知りませんから答えられることは何もないです!! 本当です! それでも俺は何も知ってないッ!!」
会長からの追求と質問を、俺は全力で知らないフリして白ばっくれるため死力を尽くす!!
男らしくない嘘だとは思っているけれども!! 知らないことは素直に言うべきで見栄は身を滅ぼすと思っているけれども!
それでも俺は何も知らない!!
五反田の家で見た、素っ裸になって扇子だけで裸踊り始めるニンジャの名前なんて俺は全く何一つとして何も知らないんだ! 絶対にぃぃぃぃぃぃッッ!!!
つづく?