機動戦士ガンダム クロスボーン外伝 ~腐敗した宇宙を焼き尽くす者~   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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【UC0123/3月】バグ(無人機)の投入と人間性の排除

宇宙世紀0123年3月。

娘セシリー(ベラ)の離脱という、俺のシステムにとって最大級のエラーが発生した後、

俺—鉄仮面—は、論理的な結論に基づき、次のプロセスを起動した。

 

それは、人類の情動というバグを物理的に排除するための、

究極の兵器——バグの投入だった。

 

『人類は、情動の制御に失敗した。

 情動は支配者(ベラ)をシステムから離反させ、

 秩序(コスモ・バビロニア)の確立を妨げる。』

 

『ならば、情動を持つ存在そのものを無効化するしかない。

 これが、俺の論理が導き出した唯一の解だ。』

 

俺は、艦隊の旗艦から、大量の無人殺戮兵器バグを、

フロンティアIVコロニー内部へと射出するよう命じた。

 

バグは、その名の通り、いかなる知性も感情も持たない。

内蔵センサーはMS識別信号も敵味方も区別せず、

「生命反応(情動の源)」だけを攻撃対象として認識し、殲滅する。

 

これは、俺が技術者として到達した

「人間性の排除計画」 の軍事的な実装だった。

 

バグが投下された直後、コロニー内部は地獄と化した。

民間人、連邦兵、作業員……生命反応を持つすべてが、

冷徹なアルゴリズムによって無差別に排除されていく。

 

俺はブリッジで、その惨状を戦闘データとして眺めていた。

バグの行動は極めて効率的であり、俺の論理に一切の誤差なく従っていた。

 

『見ろ。情動に左右される連邦兵は、非効率で敗北する。

 支配者とは、無能な情動を排除し、

 宇宙の資源と秩序を管理する冷徹な論理の実行者でなければならん。』

 

ベラは、凄惨な戦闘データを前にしても表情ひとつ変えなかった。

彼女の感情遮断は成功しているように見えたが、

その瞳の奥には、俺の論理が封じ込めた 「人間としての良心」 が、

微かなノイズのように潜んでいた。

——この時の俺は、その兆候に気づかなかった。

 

セリアは、旗艦のブリッジからこの光景を見つめ、震える声を上げた。

 

『鉄仮面……あなたは民間人まで巻き込んでいるのよ……!

 これは秩序の確立じゃない。ただの大量殺戮よ!』

 

しかし俺は、冷たい合成音声で応じた。

 

『秩序は、情動の無秩序を完全に排除した後に成立する。

 この殲滅は、情動というバグが人類に有害であることを宇宙に示す、

 論理的なデモンストレーションだ。』

 

マイッツァー・ロナは、軍事行動を

「貴族による解放」 と宣伝し、宇宙に流布し始めた。

 

『選ばれた者による、情動から解放された秩序こそ、宇宙を救う。

 我々は腐敗した連邦から人類を解放するのだ。』

 

俺の論理と、マイッツァーの政治的思惑は、この時点では一致していた。

彼は俺の 「論理的破壊」 を自身の支配理念の正当化に利用し、

俺は彼の宣伝網を利用して 「情動の排除」 を宇宙に広めようとした。

 

ザビーネ・シャルは、バグの効率性を評価しながらも、

微かに恐怖を抱いていた。

 

『鉄仮面様の論理は、人間を超越している……

 バグは、我々のように情動を持つ人間も、いつでも排除できる……』

 

その恐怖は、彼の忠誠心を逆に強固にし、

俺の指令に従う冷徹さを強めた。

 

バグの投入によって、コロニー内の情動的な抵抗は急速に弱体化した。

F91とシーブック・アノーは、無差別攻撃に翻弄され、防戦一方となる。

 

『F91は情動の力で駆動する。だが、守るべきものが多いほど、

 情動は制約となり、その行動を鈍らせる。』

 

『バグは無差別に攻撃することで、

 シーブックの“守りたい”という情動を 無力感 へと変え、

 彼のシステムそのものを崩壊させる。』

 

俺の狂気の論理は、情動を排除するだけではなく、

情動を 「弱点」 として利用する段階へと進化していた。

 

娘の離脱によって発生した俺の内なる痛みは、

鉄仮面の情動遮断システムの奥で、微細なノイズとして増大していた。

 

『このノイズ……情動は完全に遮断しているはず……

 これはシステムの自己矛盾か……』

 

俺は、この 「痛み」 という情動のノイズを消し去るため、

ラフレシアの最終調整と、さらなるバグ投入による

徹底した情動の排除プロセスを進める決断を下した。

 

俺の論理は、自らの心のバグを排除するために、

より大きな非人道的な論理へと踏み込んでいく。

 

俺はザビーネに指示を出した。

 

『セシリーはロナ家の象徴という情動的価値を捨てた。

 彼女の価値は、もはやデータにすぎん。』

 

『ザビーネ。

 彼女の離脱というバグを、戦闘システムへの忠誠という論理で上書きしろ。』

 

UC0123年3月。

セシリー・フェアチャイルドの離脱は、

俺の狂気の論理システムが抱える最も重大な予測エラーだった。

 

このエラーは俺に、

「人類の情動は、論理では完全に制御できない」

という、技術者として最も苦く、最も受け入れがたい真実を突きつけた。

 

その真実から逃れるために、

俺は全人類の情動を物理的に排除するという、

バグ投入の非情なプロセスを開始した。

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