(前回からの続きです。)
朝も終わりそうな時間帯。
その時間帯になる頃には、都の所々の大通路では役人達や住居人や、税を納めに来ている者達などこ人混みや手押し車や馬などでごった返し始め、少しずつ活気で騒がしくなっていく。
そんは活気に溢れる都の少し静かな裏道にて、かぐやは1人で庶民の格好に変装しながらそそくさと、ギリギリ見失わない程度の距離を保ちながら月女の後をつけていた。
かぐやの今の気分は探偵だ。それも、どこぞのアニメの探偵少年団に近いのかもしれない。
実際に、やっていることは彼等彼女等と大体合っているだろう。
そうして、ワクワク顔に染まっているかぐやは誰にも聞こえないかくらいの声で1人ごとを呟いた。
「なんだかこういうこも結構楽しいわね…………。」
今も能天気な月女の背後を人混みに紛れて追っているが、このやってはいけない背徳感と、いつもはしないワクワク感に包まれていて中々楽しいものがある。
そんな感じで、かぐやは月女に見つからないように時々物陰に隠れながら、てくてくとついていく。
が、その時、背後から聞き覚えのある声と一緒にかぐやの肩に手をポンポンと置いてくるものがいた。
「か〜ぐ〜ちゃん!」
「キャッ!?」
その聞き慣れた声と肩に置かれた手の主を確認するために急いでかぐやが後ろを振り向くと、そこには黒髪のボブ風に髪の毛を揃えている自分と同じ庶民服を着ている少し背の低い女の子がかぐやの驚きっぷりにきょとんとした表情をしてこちらを見あげていた。
「えへへ〜?びっくりしたかな?」
「……なんだ、妹紅ね。びっくりした〜……本当に心臓が飛び跳ねるかと思ったわ……。」
そう、彼女が妹紅である。彼女との馴れ初めは2年前の夏にかぐやの故郷である近江の国の村にて迷子になっていた所を青年と共に拾って、母親が見つかるまで祭りを楽しんだあの小さな女の子である。
都で再会してからはや2年が経っていた今では、彼女はかぐやの妹分であり、一番の遊び相手の友達という認識である。
それは、彼女のかぐやに対する認識も同様で唯一の友達であり姉貴分である。
しかし、違う点もある。彼女はかぐやとは違い服装だけあるでなく、貴族の血があるのにも関わらず庶民である肌の良いかぐやとは対比のように肌などは土などに汚れてしまっているということだ。
ただ一つ良いことがあるとするのならば、かぐやを介して栄養豊富の食べ物を食べるようになったお陰で、つい2年前までは痩せ細っていた筈の妹紅の身体には、今では栄養や健康には問題があまりなく、この2年間で健康的に成長出来ていることだった。
出会った頃の程細しい彼女の身体は2年前でかぐやから渡される栄養豊富の食べ物によって、彼女の栄養失調気味の身体は少しずつ改善していき、今では庶民の子供と大差ないくらいには体重も顔色も良くなってきている。
そんな彼女は不思議そうにかぐやのいつもとは違う反応を観察していた。
「え〜?かぐちゃん?そんなにびっくりすることなのか?」
「そりゃ……今は少し目立たないようにしないといけないのよ。」
「へぇ〜?何やってんの〜?教えてよ〜?かぐちゃ〜ん?」
そんな興味津々な彼女の様子に、かぐやは内心、これまた面倒な相手に出会ったと愚痴を吐く。
何故なら、月女のこっそりと追跡している真っ最中である今だけは、この娘とは遊んでいるような暇なんてそもそもないのだ。
しかし、彼女はそんな自分の姿のことなど鼻にもかけずに友達に対して笑顔で話し掛けてしまうませすぎているかぐやとは違う年相応の12を超えたくらいの子供でもあるのだ。
だから、かぐやはさっさと彼女のことを追い払うようなことは、あきらめてこの娘を共犯者に仕立て上げることにした。決して妹分の友達にそんなことをしたくないわけではない。こういうのは所謂リスクヘッジである。
「はぁ………まあいいわ……ほら、見て?妹紅?あそこにいるのは誰だと思う?」
「ん?………あっ!あれは月女姉ちゃんじゃん?月女姉ちゃんの後でもつけてるの?」
「まあ概ねそうよ。これから、誰と会うかは分からないけど、どうやら親しい人と会うらしいから、今はこっそりとついて、月女の秘密を探ろうって所だったのよ。」
「………うわぁ〜……かぐちゃん悪趣味〜。」
「好きに言いなさい。」
かぐやの倫理観も常識も欠片もない発言に妹紅という少女は少し、嫌そうな反応をするが、それも織り込み済みだ。
だから、かぐやは相手に益あることを提案することにする。こういう交渉事で最も大事なことは、相手に益あることを提示してそこに自分の利益を少しだけ織り込んでその利益をさらりと掻っ攫うことだ。自分は地頭は言い方なのでこれくらいのことはすぐできるのだ。
「で、妹紅?貴方はどうするの?月女の秘密を探りたいの?探りたくないの?
もし、私のことを手伝ってくれるってのなら、報酬は後であげるわよ?お菓子とか後で御爺様に食べ物とか融通してもらおうかと思ってるけど。」
「それは、勿論!ニヒヒ。」
だが、相手は子供だ。餌を釣り上げれば簡単に引っかかる。かぐやはしめたと言わんばかりに悪い顔をしている妹紅に悪い顔を返した。
「ふふ……あんたも十分趣味が悪いわよ妹紅。こんなに性格が悪い私に付いてくるんだから。」
こうして、ヒョコッと月女を探る探偵が一人増えた訳である。
そしてその後、かぐやと妹紅は、2人仲良くコソコソとしながらも2人の少女は月女の後をついていくが、今は朝も完全に終わってきて昼に近くなってくる時刻になってきた頃。
かぐやと共にニコニコと悪戯な笑顔を時々合わせながらあげるわ月女の追跡をしていた妹紅はそろそろそんなごっこ遊びに飽きてしまってきたようで、探偵さながらの真剣な様子で探偵擬きを演じている彼女の後ろで両手を後頭部に乗せながらかぐやに話しかけてきた。
「お腹すいたー。かぐちゃ〜ん。何か食べるるものとかないの〜?」
「もうっ……これだから食べ盛りの子供は………。はぁ……ほら、月女に貰った菓子物が幾つかの懐にあるから、それを幾つかあげるわよ。」
「ほんと?やり〜!ありがとね〜?かぐちゃ〜ん!」
「やっぱり、仲間に加えるのは反対だったわね………ちゃんと大事に食べなさいよ?結構高い奴らしいんだから。」
「分かってる分かってるぅ〜。早くっ早くっ!」
仕方なさそうにしながらかぐやは懐から取り出したいくつかの干し芋を妹紅に渡すと、妹紅は喜びながら飛びつく。
「へへっ。本当にありがとね?かぐちゃんや。」
しかし、彼女はその干し芋を口に運ばずに自分の懐にしまった。その妹紅の不思議な行動にかぐやは眉をひそめながら嬉しそうにしている妹紅に疑問の声を返す。
「どういたしまして……でも、月女のことを追跡してるのはちゃんと本当のことなんだから、責めて雰囲気作りくらいは手伝いなさいよ。
それで、その干し芋は食べないの?妹紅はお腹を透かしてるんじゃないのかしら?」
「後で食べるんだよ。お家にいるお母さんと一緒にね?
…ふ〜ふぅ〜ん♪お母さん、干し芋が好きだから、見せたらきっと喜ぶだろうな〜?」
「相変わらず親孝行なことで…………2年前に再会した時に、御爺様が敢えて多めに渡してくれた金塊で食べ物くらいはもう少し多くは買えないの?
干し芋なんてそこら中で売ってたり庭でも作れるんだし、自分の庭でも作れるんじゃないの?」
「あ〜?かぐちゃんのお爺ちゃんがくれたヤツだっけ?………もう殆ど残ってないかも?
そのお金、お薬を買うお金とか病気を治すために使ってるし。 それに、食べ物も冬籠りの時に尽きないように買いだめとかしなきゃいけないし、あまり食べれてないのは仕方が無いじゃん。」
「そう……あんたのお父さんの貴族様は?確か……あの都を牛耳ってるっていう、藤原不比等だっけ?
月女から聞いたことあるけど、政に関わってる結構金持ちの貴族様なんでしょ?金くらいは少しは出してくれたりはしないの?」
「えっと……お父さんは表だって大金を渡すと隠し子の私の存在が露見しちゃって危ない目に会うからっていってた。
だから、生きるためのお金はこっそりと遠回しに渡してくれるんだけど、お医者さんを呼ぶための大金まではあんまり渡せないんだって。だから、偶にしか貰えないんだ。」
「はぁ…貴方も貴方で難儀な生活してるのね………。」
「まあね?……はぁ〜♪お母さん、干し芋食べて元気になるといいなぁ〜♪」
この藤原都の中でも、客観的に見れば薄幸そうな出自なのに、干し芋如きでまるで自身は幸せそうにしている妹紅のその姿に、かぐやはなんだかよく分からない気持ちになってしまった。
「………仕方が無いわね………御爺様におねだりでもして、食料を貰って来て、後で色々送ってあげるわよ?」
「でも…いいの?今まで沢山貰っちゃって。もう、返しきれない程貰っちゃてるじゃん?」
「はっ!大丈夫よ。あんな端金なんてあんたとあんたの家の為に使っても痛くもかゆくもないわ。」
「で、でも………恩義に応えない者は貴族ではない。ってお父さんが……。」
「恩義?貴族、そんな言葉子供が使ったり気にするには早すぎるわよ。
子供は親の事情なんて気にしないで楽しくそ育てばいいのよ。それが子を思う親の気持ちに応えることになるんだから。」
「う、うん………?」
「それに、せいぜいあんたは私達を利用しなさいって言ってるでしょ?私はあんたで遊んでやってるんだから。言ったでしょ?これは公正で対等な取引だって?恩義とか気にすることもないわよ。」
「なんだか分からないけど、うん!兎に角、ありがとなかぐちゃん?」
そんなまだまだ無邪気な妹紅の素直な返事に対して、かぐやはまたため息をついてしまう。
なぜ自分がこんな小娘を相手したければいけないことになったのか。今だに分かっていない。
どうせ、成長していけば直ぐに別れることになるのだ。自分は情に流されすぎだ。その内直さなければそれはいつか命取りになることは分かりきっているのだ。
しかし、そう心の中で吐き捨てる彼女の脳裏には清太兄や月女の教えと教育。
『世話出来る奴がいるなら、進んで世話しろ。そしたら世話された奴は、お前にとっていつか宝物になるんだからな。』
かぐやが誰かを見捨てようとする度に、こんな言葉が浮かび上がってしまっていてどうしようもなかった。
お陰で、かぐやは村にて物心ついた頃から、この都に移り住んでの2年間の計14年間、八方美人みたいなことをさせたられているのだ。
「でも、……ちゃんといつかは恩返しするから……本当にありがとな?かぐちゃん?」
「はぁ…好きにしなさい。全く。」
感謝の言葉を述べる妹紅に対して、面倒くさそうに月女の背中を見やるかぐやの感情には、少しの好意的な感情が含まれていることはかぐやは知らなかった。
その後は上機嫌な様子の妹紅と、少し臭い話をし過ぎたことに気がついたかぐやはひと言も話さず、今だに呑気に口笛を吹きながら歩いている月女の背中を追っていった。
「そろそろ…会ってもいい頃だけど……。」
「う〜ん…月女さん…何処に向かってるんだろうな……?こんな裏路地ばかりの所まで………。」
もう、時刻で言えば昼よりも前。太陽が昇りきりそうな時間帯である。その頃になると、月女と彼女を追跡していたかぐやと妹紅の行く通り道は大通りから段々と人通りが少ない裏道に入っていくようになる。
裏道と言っても、この都の住人のうちの庶民達が住み着いている街並みといった感じに変わっている。
そろそろ、合流してもおかしくはないだろう。
そんなことを考えている内に、片手にに沢山の食べ物やお土産が入った袋をぶら下げていた月女が手を振りはじめた。
「あっ!誰かに手を振ったよ?……あの女の人誰だろう?オトナっぽい服装だな〜?」
「妹紅、今は黙ってなさい。…ほう…やっぱり、女ね。」
月女が手を振った道の向こう側に、目線を向けた2人の瞳には顔が虫垂れ絹姿の笠で隠された明らかな女の姿。
かぐやはその謎の女に無意識に黒い感情を持ってしまっていたが、そのことに気がつくこともなくじっと2人の逢引姿を見つめる。
「か、かぐちゃん…?なんだか顔が怖いよ?」
「そうかしら?…………あっ!……ほら?月女と隣の女が移動するわよ。引き続きついていきましょう?」
「う、うん?」
そそくさと隠れながらついていく2人の目線には、楽しそうに談笑したりおちゃらけたり親しそうにじゃれ合う2人の仲睦まじい姿。訳もわからなくきょとんとしている子供な妹紅に対して精神年齢が高いかぐやはモヤモヤとした感情を昂ぶらせることしか出来ない。
そして、そのまま2人の後ろ姿をかぐやと妹紅が追跡していくと、ワチャワチャと話している月女と女は市場にて買い物を済ませたりと逢引のようなことを二人はしていった。
その姿にかぐやはどうしょうもない程の感じたこともない感情を持っていたが何故かは分からない。自分の従者になる予定の彼女が盗られていることに対する悔しさ?それとも月女に相手がいたことにヤキモチでも妬いているのだろうか?
分からない。
そう自分の感じたこともない感情に悩み俯くかぐやの姿を妹紅は心配そうに見ていた。
「かぐちゃん?…大丈夫?」
「……なんでもないわ。」
「……………。」
いや、ないだろう。月女はかぐやにとっては家族だ。
かぐやにとって、月女とは、育ての母で、乳母で、いつでも構ってくれて甘えさせてくれる近所のお姉さんなのだ。そのことは変わらない。
そして…………自身が最も手放したくない宝物だ。可能ならば永遠に。
このように、かぐやと月女は少しずつ複雑な関係だった。
月女と女が物品を楽しそうに談笑しながら物色しているのを眺めながらも、かぐやはこの自分のモヤモヤとした感情を無理矢理納得させようと一人考えていると、2人に忍び寄る誰かの足音がしたことに気がつく。
暗い路地裏、急に近づいてくる足音、答えは一つだ。
「人さらいよ!!妹紅!逃げ―キャッ!?」
「えっ?かぐちゃん?どうし―キャッ!?」
― ガシッ ―
恐怖を感じて、かぐやは妹紅の手を握って走り出そうとした瞬間、二人は路地裏から飛び出てきた男達の手に捕まってしまった。
それでも、なんとか抵抗しようとするかぐやだが、自身の力も封じられてしまっていた未成熟で未発達な身体では、大の男の力には抗えない。
「おっと?………もう逃げようったって今更無駄だぜ?お嬢ちゃん達。」
「はっ、やけに元気なガキ達だな。」
「ぐ〜!?話せぇ〜〜!!」
「えっ!あっ!?」
「グヘヘ。片方はお嬢様で、もう片方は明らかな攫われても誰も気にしないような餓鬼。……それに、薄暗闇でもわかるくらいどっち顔はいい。
これは、中々売りやすそうな女のガキ二人だな?高くつきそうじゃねえのか?兄貴?」
「確かに大金はたいて売るには丁度良いんじゃねえか?まずは口から縛ってやれ。」
「おう、兄貴。」
「ん〜〜!?ん〜〜〜〜!?」
そうして、二人はまたたく間に男達に慣れた手口で縛りあげられてしまい。不自由な身になってしまう。
それでも、騒ぐ二人の顔を、近くの光が指している所まで引っ張っていき、光の下で二人の顔を確認した二人組の男達は、かぐやと妹紅の顔を凝視して驚いたように声をあげる。
「なんだ?二人共偉く別嬪じゃねえか?………これは、一山当てられたんじゃねえのか?」
「そうっすね。さっさと売り払ってやりましょうや。」
「おう。」
いつも私の周りに隠れてる筈の、ご、護衛はどうしたの?いつも遠巻きにいるじゃない!?
いつもかぐやと妹紅には毎回、どちらの護衛が秘密裏についているのはかぐやの知っているところだった。
だがこの時の護衛達は、たまたま隠れるところも少ない路地裏ということもあり、少し遠すぎる位置から見張っていたため駆けつけるのが遅れてしまっていた。
このことが男達が護衛が駆けつけるよりも前に、二人の近づくことが出来た要因だった。
そうして、焦るかぐやと妹紅に対して、男達は視界を覆う為に革袋を2人に被せて運びだして担ぎ出す。
「さっさといくぞ?」
「へい!兄貴!」
このまま二人は連れ去られて売られてしまうのか?という思考がかぐやの脳内に浮かび上がって、恐怖に踊らされそうになったその時、
「そこの狼藉者共め!何をしている!!」
「かぐちゃん!妹紅!今助けるぞ!!」
知らない初老の男性の声と2年ぶりに聞いたことのある若々しい声が路地裏に響き渡った。
そして、かぐやと妹紅がその声の主を思い出すよりも早く、少し離れた距離から発光した飛来物が飛んできたかのような風圧がビュービューと吹き荒れる。
そして、その『ギャッ!?』叫び声をあげた男二人組の腕から放たれてしまった縛られたかぐやと妹紅の身体は、そのまま離れていってしまい地面に落下しそうになる。このままだと二人は無抵抗で地面にぶつかってしまう。
この僅かな高さでも無抵抗ならば、頭などの当たりどころが悪ければ死ぬかもしれない。
かぐやに寒い空気が立ちのぼる。
ヤバい!私はともかく!妹紅が危ない!!
かぐやは視界が塞がれていて上下左右がわからないままなんとか妹紅を助けるために妹紅の下敷きになろうと画策するが、間に合わないどころかそもそも身体中を縛られてしまっているのだ。
そもそも動こうにも縄のせいで身を捻って動くことすらできないのだ。
しかし、二人の身体が地面に落ちる前に二人の下敷きになるものがいた。
「今助けるぞ!!……ぎゃぁっ!?」
彼は二人が落ちる前にギリギリ追いついてあえて落ちる二人のクッション代わりに下敷きになり、物の見事に悲鳴をあげる。
「清太兄!?」「清太!?」
そう。二人の下敷きになって悲鳴をあげたのは、2年前に別れた筈の聞き覚えのある青年だった。
「ん〜?ん〜?………、ん?」
(大丈夫?清太兄?………清太兄?……あれ?)
「んん………?んん?」
(清太………?気絶してる?)
「………………。」
どうやら女子といっても二人の体重をそのまま同時に食らった青年は気絶してしまって答えが返ってこなかったようだった。
(………………………。)
* * *
「ぷはぁ〜〜。いやぁ〜〜、久しぶりに全速力で走ったわい。ところで、女子等(おなごら)は大丈夫じゃったか?」
「え?…………ええ。大丈夫だったわ。」
「………え?…あっ大丈夫。救ってくださりありがとう御座います?」
「それは良かったのう。」
「アイタタタッ!?…師匠!もう少しお手柔らかにしてください!!」
「これくらいの怪我で騒ぐでない。たかが全身打撲と膝の上擦り傷じゃろうが!」バシッ
怪我を痛がる青年の治療していた初老に解放された二人がぽけーとしながら生返事を返すと、初老の修験道服を着ていた男がニンマリと2人に笑いかけて頷いた後、青年に喝をいれ始める。
「イテッ!?……アイテテテ……急に叩かないでくれよ師匠ぉ〜?痛いのは痛いんだぜ?」
「バカモン!妖怪退治でそんなこと言っておったら生き残ることもできんわ!しっかりせんか清太!儂なら、その怪我くらい唾を付ければ治るわ!」
「いや!打撲は治らないですよ!師匠!!」
その二人の師弟漫才を見ていたかぐやと妹紅の二人は訳もわからずこの光景を見ることしか出来なかった。いや、本当に何なんだ。
「あの〜〜?清太兄?なんで…ここにいるの?」
「はぁ……腹がいてぇ……俺も結構鍛えてるのにまだまだ全然動けねえなぁ〜…………俺もまだまだだな
……あ?なんだかぐちゃん?俺がここにいちゃ悪いのか?」
「何もこれも!この2年間音沙汰なしだったはずの幼馴染が、急に私達の前に現れたらビックリするわよ!!
ったく何処にほっつき歩いてたの?手紙も何枚か贈ったのに、返しの札くらい送り返しなさい?」
「………ん?手紙?あ〜?俺、村にいなかったんだわ。」
「へぇ〜?そうなんだ………って!んなことだけ言われても納得できるか!!
ほらっ、妹紅の顔を見なさいよ!清太兄!今でも『え?』って顔してるわよ?」
「ま、まぁ?確かに?そうかも知れねぇな?うん?これには深〜い深〜い訳があってだな?」
「何を言っておる。儂がお前を弟子にする為に親に断りを入れて攫ったのじゃ。」
「という訳だ。この2年間、俺は天狗の如く『修験道』?とかいう師匠が開祖した教えや術を教えてもらいながら、各国を旅してたって訳だ。要は俺はこの爺さんに天狗ならぬ人間に人攫いをされたわけだ。たはは、なんで俺がこんなことされてんだろ〜なぁ〜?」
「「……………は?」」
状況は読み取れたが、何がどうなったらそういう流れになるのかが今だに分からない2人に師弟の初老の男と青年はついていけてない二人を置いていくように言葉を交わしていく。
「そうじゃ。まあ、天狗様に教えて貰った術や修行を元に人々にもその教えを広めようと思ってな。丁度、才覚があったこの青年を家族に許しを受けて勝手に連れ出したのじゃ。いやぁ〜!良い弟子を取ったわい。」
「でもよ?師匠?そこに俺の意思は全く交じってないのはどうしてなんだ?結構不満あるんだけど?」
「そんなものは知らん。儂だってお前が儂の術を受け継げる程の才覚がなかったら無視してあの村を妖怪から救った後に、直ぐ様トンズラしてたわい。」
「あっはっはっ!相変わらず師匠は理不尽だなぁ〜!アハハッ!!……イテテテ。腹を打撲してるせいか、笑うといてぇ………。」
「アハハッ!自分の未熟を憎め清太。……あっ?そうじゃったな……名を申し遅れたはお嬢さん方。
儂は『役小角(えんのおづぬ)と申す。少し珍妙な名じゃし、言いにくいじゃろうから、折角なら小角(しょうかく)とでも呼べ。」
そう言って、いい笑顔で『よろしくな〜?』と言ってきた初老の男に二人は開いていた口が塞がらなかったのだった。
「「……………はぇ?」」
(次回に続く)
○歴史人物紹介(なお、実在したかは不明)
役小角(えんのおづぬ)
修験道の開祖。生まれは大和の国と言われている。様々な術を操り、後の陰陽道に通じる様々な知識を弟子と共に広めていった。まさに、日本の修験道の生みの親といってもいっても過言ではない大層な人物。
しかし、知名度は低いのは持つもったいないと人物作者は思っている。
読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!
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可愛い! ここに皆入れてね!
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格好いい! そう?まあそれもありだね?
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美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
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変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
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人情姉さん! 私についてきな!君達!
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大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
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乙女だよ! 分かってるねー!
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人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
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未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
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もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
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ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?