『神々の箱庭に、黎明の光を』   作:もいもい130

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第78話

オラリオという箱庭に、本当の意味での「神の時代」の終焉が訪れた。

それは破壊による終わりではなく、絶対的な「機能」への置換による終焉であった。

下水道の泥の中で、最後までボンドルドという「未知」に抗い続けたロキとフレイヤ。

ボンドルドは彼女たちを「敵」としてではなく、貴重な「特異点」として慈しみ、その最期を看取った。

「嫌や……! まだ……まだアイツらの仇を……ッ!」

ロキの絶叫と共に、ボンドルドが仕掛けた強制解放の光が二人を包む。

神々が天界へと強制的に還されたその瞬間、オラリオ全域の「恩恵(ファルナ)」が消失、あるいは凍結した。

「……あ、が……っ!?」

フレイヤの送還と同時に、最強を誇ったオッタルの巨体から、凄まじい「力」が抜け落ちた。

ステイタスという名の神の恩恵を失った彼は、もはやただの「巨体の猪人」に過ぎない。魔石を埋め込み無理やり身体を維持していた反動が、弱体化した肉体を内側からボロボロに破壊していく。

「おやおや。……オッタルさん。ステイタスを失ってなお、その瞳に宿る不屈の輝き。……素晴らしい。ですが、その肉体はもう限界です。……カロンさん。彼を、新たな防衛用キメラの『核』として調整なさい」

最強と謳われた猛者は、抵抗する術も持たぬまま、祈手たちによって事務的に解体作業台へと運ばれていった。

そして、復讐の果てに心を完全に壊したアイズ・ヴァレンシュタイン。

彼女もまた、ロキの送還によって恩恵を失い、ただの少女へと戻った。だが、ボンドルドはその「空っぽの器」を、最も美しい形で再利用した。

「……アイズさん。あなたはもう、風の音に怯える必要はありません。……さあ、目を開けて。新しい自分(機能)を祝福するのです」

ボンドルドの手により、アイズの精神は「個」を排した高度な戦闘処理システムへと書き換えられた。感情を司る領域は焼かれ、代わりにイドフロントの防衛戦術と同期するための遺物がその脳内に埋め込まれた。

黄金の瞳から光彩が消え、無機質な硝子玉のようになった彼女は、かつての恩恵に頼らぬ「遺物による強化人間」として、パパ(ボンドルド)の前に膝を突いた。

ギルド本庁舎の玉座には、漆黒の仮面を被った黎明卿が鎮座している。

かつて神々の気まぐれに翻弄されていた市民たちは、今や「行動食4号」による中毒的な依存と、ボンドルドの提唱する絶対的な「機能美」の中で、整然とした歯車として日々を過ごしている。

「パパ……。みんな、とっても静かになったね。もう喧嘩も、悲しい泣き声もしない。……これが、パパの言っていた『夜明け』なの?」

プルシュカがボンドルドの傍らで、平和そのものに染まった街を見下ろす。

「ええ、プルシュカ。英雄という不確かな奇跡を待つ時代は終わりました。これからは、私がこの迷宮を解剖し、その深淵を人類の糧として調律していきます」

ボンドルドは、調整を終えた「人形」アイズと、オッタルの肉体から作られた「生体兵器」を従え、奈落の底へと視線を向けた。

神々を追い出し、英雄を解体し、市民を飼い慣らした。

黎明卿は今、オラリオそのものを巨大な「イドフロント」へと変え、誰も到達したことのない迷宮の深淵、人類の次なるステージを目指し、最初の一歩を踏み出した。

「さあ、皆様。……夜明けですよ」

漆黒の探求者の影が、迷宮の奥底へと、どこまでも長く、深く伸びていった。

 




と言うことで見切り発車ガバガバ設定ご都合主義での神様全滅迷宮都市イドフロント化ENDです:( ˙꒳˙ ):
和解編はその内やる気が出たら書くかもしれない:( ˙꒳˙ ):

この先の展開アンケート

  • 和解ダンジョンの黎明を目指す
  • 全面戦争突入
  • 両方かけ(作者死ぬ)
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