テイワットに堕ちた呪いの王   作:懐玉

6 / 6
戦闘難すぎ。


極悪騎の弟子vs呪いの王

薄暗い洞窟の中、小さな遺跡のような場所でスカークと宿儺は向き合っていた。

アビスで生成された剣が、この洞窟で唯一の明かりにより照らされていた。

 

「玉犬」

 

宿儺が、手印を結ぶと影が蠢き黒い狼を17匹生み出した。頭も体も影で出来ているかのように黒く、形は不安定ながらも津波のようにスカークに襲い掛かる。進化した呪力により、総数や単純な速度、本来は著しく下がった攻撃力などが、上がっており並の冒険者や騎士では、反応すら出来ずに殺されるだろう。

だが、スカークにそれは当てはまらなかった。

迫りくる玉犬に凄まじい速度で接近し、剣を振るえばすべての玉犬がまるで紙のようにバラバラにされた。

彼女は、そのままの勢いで宿儺に肉薄し剣を振り下ろす。

彼女の鍛え上げられた剣は、神速となり空を斬りながら宿儺に迫る。

だが、宿儺は、それを影から出した槍で何とか受け止めた。

 

「速いな。」

 

手には、平安の時代に使っていた呪具『飛天』が握られていた。

スカークは、初めて見る呪具に驚きながらも連続で攻撃する。

宿儺も対応するが、速度も技術もスカークが遥かに長けており飛天で、1撃を防ぎ3撃を受けていた。

幸いスカークの攻撃は、宿儺にダメージを与えられていない。

 

(予想より頑丈だな。もう少し本気を出すか。)

 

スカークは、全力ではない。そこらの魔物を容易く斬る程度には、力を入れている。だが、宿儺の肉体を切り裂くことはできなかった。筋肉を少し断ち切るのが限界、流れながらの連続攻撃では致命傷を与える事など出来ないのだ。

ならばとスカークがより力を入れて斬ろうとした瞬間。

飛天から風が巻き起こる。

 

「ッ!?」

 

次の瞬間、竜巻がスカークに直撃し、洞窟の壁を抉りながら吹き飛ばした。竜巻は、壁を砕き草原を破壊した。凄まじい振動と破壊音が響き砂煙が舞う。

 

「完璧に凌いだか。」

 

「ふむ。元素ではないな。そのアビスを籠った槍の力か。」

 

直撃したスカークは、無傷だった。

ひし形のアビス結晶を前面に張り、完全に攻撃を凌いだのだ。

 

「何。退屈だろうと思ってな。」

 

「退屈……」

 

「ああ。せっかく楽しくなってきたんだ。広く使おう。」

 

「………」

 

さっきまで戦闘が、起きていたとは思えないほどの静寂が巻き起こる。

『戦闘を楽しむ』スカークが理解できない感覚だった。

 

「戦いは嫌いか?」

 

返答を聞く前に宿儺が、無数の斬撃を出す。スカークは、アビスの剣をもう一つ作り双剣で斬撃を弾く。

 

(俺の解を初見で斬るか。勘が鋭いのか?)

 

そんな事を考えながら、影から短剣『神武解』を出しさらに斬撃を放つ。

スカークはすべてを弾き、接近するため地面を踏み込もうとする。すると宿儺が、神武解と飛天を同時に振った。

竜巻が雷を纏い地を抉りながら放出される。

 

ドゴォォォォォォンッ!!!

 

スカークは、腰辺りから魚の尾のような物を出し空を泳ぐように移動し攻撃を回避する。宿儺は、『解』や神武解により雷を放ちながらスカークを呪力の身体強化に、風元素を使い追った。

だが、それらすべてが当たる事なく周囲の木や草、岩などを切り雷が焼き払う。

お互いの距離が、縮まるとスカークは空を泳ぎながら接近して来た。

先程の攻防時より遥かに速い。

飛天を振り下ろすが、体を捻り避け脇腹を斬る。

速度の上昇により、威力は増しており血が溢れた。

 

「ふん!!」

 

空中を泳ぐスカークは、さらに速度を増し角度を変えながら宿儺の周りを旋回しながら攻撃した。

飛天と神武解で何とか攻撃を防ぐが、速度の上がった彼女の攻撃を全てを防ぐはより困難となっていた。

宿儺は、反転術式で治癒を行い続ける。

 

(傷が治る。治癒か。それも中々の速度だ。)

 

(速いな。捌き切れん。だが、まだ反転で対応できるな。)

 

「解」

 

すると、何の前触れもなく宿儺の周囲に不可視の斬撃が飛んだ。

周囲の物体は、一瞬でブロック状になる。

スカークはギリギリで反応し剣で弾く。だが、同時に剣がバラバラに刻まれた。

宿儺は、剣を破壊した瞬間腹に蹴りを入れる。彼女の体は、くの字に曲がり大きく吹き飛んだ。

 

「ぐっ!!」

 

吹き飛ばされたスカークは、すぐに立ち上がり新しい剣を生成する。

それと同時に。飛天が眼前に迫った。

頭を捻り避け、続く攻撃を剣で弾きながら距離を取る。

 

「解」

 

またしても、至近距離で術式を使う。

先程同様、網目のような不可視の斬撃が、スカークを襲う。

だが、彼女はすべてを剣で弾いた。

 

「すべて弾くか!!」

 

宿儺は、興奮を隠せずに言う。至近距離、しかも進化した呪力により速度が跳ね上がっていた解を弾く。この世界に初めての圧倒的強者。宿儺のボルテージが上がる。

だが、次の瞬間、視界からスカークが消え左腕が落とされた。腕は宙を舞い、鮮血が飛び散る。地面には、左手と握っていた神武解が転がっている。

直感に従い振り向くとスカークは、すでに剣を振っていた。

宿儺は、後ろに飛び後退するが、完全に回避する事は出来ずに胸元が切れ血が溢れた。

スカークは、少しだけ本気を出したのだ。

 

「行くぞ。」

 

スカークが、そう言い放つと凄まじい速度で空を泳ぎ斬りかかる。

宿儺は、斬られた場所を反転術式で治癒し回復するが、治癒が追いつかなかった。一つ一つの傷が確かに骨を斬り内臓を裂く。反転術式で傷を1つ治せば、2つの傷が生まれる。防御、回避をしながらできるだけ時間を稼ぐ事で、何とか耐えているに過ぎない。

それでも容赦なく剣撃の雨は止まない。

 

(アビスによるシールド。私の物を見て模倣したか。)

 

スカークの想定ではすでに死んでいるが、反転の回復に圧倒的な耐久性、そして元素シールドに先程スカークが使った、アビスのシールドを局所的に生み出すことで、ダメージを最小に抑え時間を稼いでいた。

宿儺は、少しずつ慣れいるのだ。

激しい攻防が続く中、スカークは少し距離を置くと双剣が大剣に変化した。

 

「ふんっ!!」

 

空を蹴ると急接近し、大剣を振り払う。宿儺は、武器を手放し腕を盾にして守りを固めた。

 

ドガァァァァァァァァァァァァン!!!!

 

直撃した瞬間凄まじい衝撃により、数メートル先まで吹き飛ばされた。周囲の地面や木々などは抉りとられ、岩は砕けている。

抉れた地面の先には、宿儺が立っていた。

 

「ほう。耐えるか。」

 

宿儺の肉体は、ボロボロだ。大剣を受けた右腕は無くなっており、上半身の半分以上の皮膚や肉がズタズタに裂かれている。

だが、これくらいで済んだ事にスカークは感心していた。

確かに宿儺は硬い、先程の攻防でそれはわかっている。

だからこそ、殺す気で力を使った。

しかし実際は、片腕の欠損と上半身が重症となる程度で済んでいる。

宿儺は、受ける直前に領域展延をしたのだ。

スカークの攻撃が、呪力に近しいアビスを使っていなければ死んでいただろう。

しかし呪力のガード、展延、元素シールド、アビスのシールドを圧倒的な防御力を持つ宿儺が、使ってこれほどのダメージを受けたのだ。

宿儺は、肉体を反転で治癒していく。

 

「まだ回復するか。耐久性は中々だな。」

 

スカークは、もう一度大剣を強く握る。彼女は、一つの傷も負わずに完封していた。

宿儺が、戦った者たちの中で圧倒的な強者だと今一度理解する。

そしてその事実に、宿儺のボルテージが絶頂に達した。

 

「行くぞ。」

 

スカークが、動こうとした瞬間宿儺が目の前に迫り拳を振り上げていた。

先程とは比較にならない速度で。眼前に迫るまで一切気づかない速度で。

比喩ではない。目で追えなかったのだ。

宿儺は笑っていた。

 

「!?」

 

一瞬驚くが、状況を判断し大剣を盾にする。今から剣で振っても意味がないと判断したからだ。

予測通りに宿儺の拳が、叩き込まれる。その拳は、人が出したとは思えないほどの圧倒的なパワーであり、盾にしていた大剣が砕かれた。

スカークは、すぐに新たな剣を生み出し攻撃するが、それに合わせるように、宿儺も殴りかかる。

拳と剣が打ち合う。完全相殺できずに、拳から鮮血が流れるが止まる事なく続く。いや、速度は徐々に上がっている。

 

(傷が回復していない。)

 

「初めてだ!!ただ1人の人間に、ここまで追い詰められたのは!!俺を殺しかけたのは!!」

 

宿儺のラッシュ速度が、さらに上がる。合わせるようにスカークも剣撃の速度を上げていくが、段々と押されて行く。

拳との打ち合いに、剣が負けてた。

宿儺の左手が、片方の剣を掴み右腕が振り下ろされる。

スカークは、ほんの一瞬だけ動揺するが、もう片方の剣で心臓を突き刺した。

人間は、心臓を刺せば死ぬはずだった。

 

(こいつ、心臓を刺されてなお動けるのか!!)

 

宿儺の胸には、アビスの剣が突き刺さり血が流れるが本人は気にも留めていない。

スカークは、止まらない事を理解しすぐさまアビスによるシールドを生み出すが、意味はなく宿儺の拳は貫通した。

 

「どうした!!俺をもっと楽しませろ!!!」

 

宿儺の拳が直撃した瞬間、空間は歪み呪力は黒く光る。

 

「黒閃!!」

 

「ぐぅ」

 

スカークの体は、くの字に折れ曲がり口から血を吐く。

骨は折れ内臓が潰れる。だが、終わらない。

宿儺は、左手で握っていた剣から手を離し振りかざす。

 

「黒閃!!」

 

さらにもう一度、体から骨が折れる音がより鮮明に響く。

宿儺のテンションは、今もなお上がり続けているのだ。

黒い火花は、咲き続ける。

 

「黒閃!!」

 

「黒閃!!」

 

「黒閃!!」

 

「黒閃!!!」

 

最後の拳がスカークに撃ち込まれ、口から大量の血を吐き大きく吹き飛んだ。数メートル先まで飛んだスカークは、地面にめり込んでいる。

彼女は、血を流しながら気絶していた。

何本も骨が折れ内臓が潰れておりいつ死んでもおかしくはない。瀕死の状態だ。

宿儺は、地面にめり込むスカークを見下ろす。

 

「殺すには惜しいな。」

 

宿儺は、そう言いながらスカークに反転術式で回復させていく。

潰れた内臓、折れた骨は瞬時に治癒した。

完全に治癒が終わると彼女を担ぎ上げてどこかへと向かった。

 

 

 




スカーク…大体40%から50%くらいは本気だった人。本気なら瞬殺できた。

宿儺…完全体、魔虚羅、領域使ってないけどそれ以外は結構本気出した人。進化してない呪力の時だったら普通に負けてた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。