真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
機械仕掛けの警察官「アイギス」に
独自の捜査権、裁判権、処罰権。
その3つを付与し。
そこに「犯罪者は一律死刑である」という異常な法律をプログラム。
それをこの、大破壊後の世界に解き放とうとしているらしい。
そんなものをこの世界に放たれれば、おそらくアイギスに遭遇することは死を意味することになる。
そんな事態になるのは想像に難くない。
今の時代、重さに差はあれど、旧世界では犯罪になることをしていない人間はほぼいないはずであるから。
少なくともこの東京では。
ただでさえ危険なこの大破壊後の東京が、さらに危険な場所になる。
絶対に防がなければいけない。
彼らは警視庁へのルートについて、地図を貰った。
アームターミナルにデータとしてだ。
地下鉄をどう歩けば警視庁に辿り着くか。
それを記したルートを。
だが、そうそう楽な道のりではなかった。
「しかし……地下鉄を歩いて次に向かうのは計画していたわけだけど」
「なかなか想定してなかった事態があるね」
ただ暗い道を踏破するだけ。
彼らはそう思っていた。
だが実際は……
地下鉄のトンネル内に巣食っていたネズミや害虫が悪魔に憑依され、悪魔の群れになっていた。
そして一部が地下水の影響か、水没しているところもあった。
幸い、貰ったルートと違っていたので実害は無かったわけであるが。
「何で水没してるんだよ……」
「……まあ、色々あったんでしょ」
そんな話をしつつ歩き続けて。
2人は、警視庁のビルに辿り着いた。
台形型の敷地に建てられたビル。
最上階は17階。
2人はそのまま真っ直ぐに中に入った。
中は静まり返っていた。
無人であるから当然である。
奥の方には受付と思われる窓口がある。
他にも総合相談センターだとか、情報公開センターだとかが書いてある表示があった。
……全てもう、何の意味もないものだ。
「最上階を目指そう」
そう隣の妻に呼び掛け。
忍は先を目指す。
真月は頷き、先行する夫の背中を追った。
エレベーターが死んでいるので。
2人は階段で最上階を目指すしか無かった。
螺旋階段のように続いている非常用階段を昇る2人。
そして
「大丈夫か?」
忍は10階まで登ったとき。
あとをついて来ている妻を振り返る。
真月は特に遅れずについて来ていた。
だが
「……ちょっとだけ休ませて」
彼女はそう一言断って階段に腰を下ろす。
最上階に到達したときに戦えない状態になっていたら意味が無い。
彼女は決して貧弱な女では無い。
しかし元々鍛え込んでいる男性である上、悪魔人間でもある忍とは違う。
同じ扱いにするべきではない。
(止むを得ないよな)
彼はそんな妻に付き合って、その隣に腰を下ろした。
真月は特に辛そうな顔はしていなかったが、自分のふくらはぎを揉むように触っていた。
「足大丈夫?」
忍がそう訊ねると
真月は微笑み
「大丈夫大丈夫……このまま最上階に辿り着くと、ちょうど限界が来そうだなと思っただけ」
そう返した。
最上階に辿り着いてから休みを入れるのは現実的では無い。
敵が近くにいるわけであるし。
そう考えると彼女の判断は賢明と言えるだろう。
「迷惑かけてごめんね」
「別にいいよ。……そういう風に合理的に一番いい選択が出来ることがキミのいいところだし」
「ありがとう」
そんな言葉を交わし。
忍は残り7階を踏破するための気力回復に努めている真月を横で見つめる。
(合理的……)
そのとき。
少し閃くものがあった。
(何故もっと早くに思いつかなかった?)
内心自分で自分にツッコむ。
無駄なことをしてしまった。
彼は立ち上がり。
そして
「変身」
腕をクロスし。
彼は仮面ライダーへの変身を行う。
そして
「えっ?」
隣で座っている真月を抱き上げた。
いきなりだったせいか彼女は驚き。
その後顔を赤らめる。
「……悪かった。こうすれば良かったんだ」
悪魔人間としてのとてつもないスタミナ。
身体能力。
……そして飛行能力。
彼は背中の翼を大きく広げ
羽ばたき
一気にこの非常階段の空間を飛行状態で駆けあがって行った。
そして7階分の距離を僅か数分で駆け抜ける。
「……到着」
「ありがと」
真月を最上階のフロアの上で降ろす。
彼女は夫の腕の中から、少しだけ照れの混じった表情で抜け出し。
自分の足で立つ。
目の前には非常階段の扉がある。
この先に、秘密の部屋があり
……そこに目標のモノがある。
彼らは頷き合い、ドアを開け。
そして
辿り着いた。
そこは巨大な機械だらけの部屋で。
巨大なモニタがひとつあり。
その前に大きな無骨な飾り気の無い機械が。
そこに据え付けられた操作盤と思しきものの前で
一心不乱にキーを指先で叩いて操作している男が居た。
後ろ姿だが、それは40近い中年男性に見えた。
くせのあるやや長めの髪を頭の後ろで括った、白衣を身に纏った男だ。
男は言っていた。
喜びに満ちた声で。
「さあ、目覚めなさいアイギス。……この狂った世界を正すため、理想世界に相応しくない罪を残らず消すのです!」
その声は狂気を感じるもので。
同時に、男のアイギスへ込めた強い願いを感じた。
アイギス……
それは
巨大モニタの下。
機械で作られた特殊な椅子があり。
そこに腰掛ける、機械仕掛けの乙女の名であることは、忍と真月のふたりはすぐに理解した。