ポケモンSM世界かと思ったらUSUM世界だったよ 作:guruukulu
今後はこんなことが起こらないように再発防止に努めさせていただきます。
ポケットモンスターウルトラサン・ウルトラムーン
ポケットモンスターサン・ムーンのマイナーチェンジ版として発売され、サン・ムーンと比べて、登場ポケモンやストーリーが若干変化している。
何より特徴的なのはその難易度だ。
サン・ムーンの時点で強力だった「ぬしポケモン」がさらに強化されていたり、歴代最強クラスのボスがいたり、そもそもNPCが強かったりetc.
まぁいくら難しぃとは言っても、ちゃんとレベリングしたり、アイテム等を活用すれば比較的誰でもクリアできるし、無理ゲーというほどではない。
ではなぜ俺がこんなに焦っているか。
それはこの5年で主人公たちが「異常」ということに気づいたからである。
ゲームでポケモンのレベルというのは、バトルをすればするだけ上がっていくものだ。
その仕組み自体は変わっていないのだが、俺の場合ポケモンの成長速度がもうおっっっっっっっそい。3G位おっっそい。経験値は、体感5分の1位しか入ってない気がする。
ここがUSUM世界だよ気付いたその日から、俺はアゴジムシといっしょに外へ繰り出して、ひたすら野生のポケモンとバトルをしていた。
バトルのあと、ポケモンを瀕死にしたまま放置、なんて後味が悪いので、戦ったあとはきずぐすり等回復アイテムを使い、ちゃんと元気にしてから野生にお返ししている。
……ぶっちゃけこれ出費えげつないからやりたくないんだけど、俺のポリシーに反するし、自分の良心に嘘をつきたくない。
最近は他のトレーナーの人ともバトルしてお金をもらっているので、以前よりは数がこなせるようになった。
え、この6年間で碌にアゴジムシが育ってないのは、そういう非効率なレベリングをしているからじゃないかって?
君みたいな感の良いガキは嫌いだよ
「ぜんっぜん進化しない!」
バトル漬の日々を送って早一ヶ月。アゴジムシが進化する気配が全く見えない。アゴジムシ→デンヂムシの進化はそこまで難しくないはずだけど……
ククイ博士から聞いた話だとどうやら、進化に必要なのはポケモンによる「思い」の部分が強いのだという。単純な話、アゴジムシがlv100だとしても本人が進化する気が一切ないなら進化しないし、逆にlvが1つ2つ足りなくても「進化したい!」という思いが強ければ進化できてしまうというのがこの世界の条理だそうだ。
ミミロルが進化しないのも、その「思い」が足りないからだろう。
アゴジムシに視線を移す。今は、俺の膝の上でリラックスしている。……思えば、よくここまで気を許してくれるようになったな。
「なぁ、アゴジムシ?」
「ジム?」
「お前俺と一緒にいて、どうだった? 楽しかったか?」
俺は「ポケモンを無理やりに捕まえることはしない」という、たいそれた目標を掲げながら、6年前のあの日、場の流れと衝動に任せてアゴジムシを捕まえた。
最初のうちは気にしていなかったが、日が立つに連れ、自分がしたことの浅はかさに思い悩んでいた。
ポケモンだって一つの尊い命だ。
ガキの我儘で扱って良いものではない。
後悔はしていない。むしろ最初のポケモンがアゴジムシで良かったと思っている。最初は攻撃的だったが、時間が立つに連れ治まってきたし、俺の悪ノリやら、我儘にも嬉々として付き合ってくれる。
しかし、帰る家があった今までと違って、これからの旅は過酷だ。街にいなければ基本野宿だろうし、野生のポケモンにもより一層警戒しなければならない。
そんな旅に無理やり連れて行きたくはない。後ろめたさのせいで、ここまで聞くのが遅れてしまった。もしアゴジムシが望むなら、俺に止める権利なんてない。
俺は固唾をのみながら、返事を待「ジムシ! ジムジム!!」
当たり前のように肯定するアゴジムシ。
……あぁ、お前はそういうやつだったな。全くあんなに悩んだ俺が馬鹿みたいじゃないか。
「俺と一緒に旅をしてくれるか?」
「ジム!」
俺の拳とアゴジムシのアゴがぶつかり、コツンッと音を立てる。
……本当に俺は駄目だな。
アゴジムシのトレーナーになるのに6年もかかってしまった。
──────────────────
「アローラ! マハロ!」
「アローラ、ハウ。お前は相変わらずだな」
マハロそれが俺の名前だ。
アゴジムシと話した翌日、ハウが元気よく家に入ってくる。ハウともこの6年間でかなり仲良くなれた。まだポケモンをハウが持っていないので、バトルこそできていないが、「俺の初めての対戦相手はマハロがいい!」と以前言っていた。
まぁハウだから、勢いのまま主人公とバトルするかもね〜。別に気にしてないし。
「この前言ってたこっちに引っ越しする子が来たんだってー!」
「そうか、どんな子なんだろうな?」
「う〜俺もう待ち切れない! 一緒に行こう! マハロ!」
「おい! こっち何も準備できてねぇぞ!」
ハウをなんとか落ち着かせ、身支度を整える。まぁ正直俺もハウの気持ちは分かる。
リリイタウンに同世代は俺達しかいなかったし、主人公に会えるからか、俺も無性にワクワクしている。
ちなみに俺の格好は、黄色のTシャツに黒の下地に白が入った半袖パーカー、カーキのジョガーパンツを着ている。これ動きやすくていいよね。
髪型は、スイングフェザー✕金メッシュって感じ。すげぇよな、これ地毛なんだぜ?
「よし、準備万端。ハウ〜おわっt「分かった──―!!」おいてくなバカ!!」
さて、今は太陽が昇っているから、ここはウルトラサン世界なのだろう。主人公は男の子かな? 女の子かな?
そう来たか……
視界に映ったのは、俺と同い年くらいの少年──と少女だった。
(同時に来るとは流石に予想外だったな)
「おれねーハウ!!」
「君たちといっしょに選びたくてー待ちきれなくて来ちゃったよー!!」
もうハウは彼らと話し始めているようだ。俺は慌てて追いかける。
「おいハウ、グイグイ詰めて困らせんじゃねぇ。あと俺を置いてくな」
「あーゴメン! やっぱり待ちきれなかったー!」
「まぁいいけどさ、いつものことだし。っと自己紹介がまだだな、俺はマハロ! ハウの友達だ。君たちは?」
「俺、コウタ!よろしくな! で、こっちが妹の」
「こうみです。よろしくお願いします」
「よろしくーコウタ! コウミ!」
「んにゃぶー!!」
「あしゃまっ!!」
コウタの横からはニャビーが、コウミの横からはアシマリが出てくる。どうやらそれぞれポケモンを選んでいたようだ。どうやら既にポケモンを選んでいたらしい。
「わー君たちのニャビーとアシマリ、すごくかっこいいなー!
ってもうポケモン選んでる?!」
(選ばれなかったとき、モクローどんな気持ちだったんだろう……)
「ハウにマハロ! コウタたちにちょいとアクシデントがあってね」
モクローを案じていると、上裸に白衣という、なかなかに奇抜な格好をした人物が現れる。
アローラ地方のポケモン博士「」だ。
「そうなんだー! なんだか運命を感じるよねー!」
「ハウ、こちらがモクローだぜ!」
「うわー! モクローだー!! これからよろしくね!」
「もふふー!」
ハウは屈託のない笑顔を浮かべモクローに話しかける。モクローとの相性は良さそうだ。
「なんだか悪いことしちゃいましたね……」
コウミが申し訳無さそうに言う。抜け駆けしたように感じて、バツが悪いんだろう。
「いや、あいつはずっと前から、モクローと冒険するって決めてたから、気にする必要ないぞ」
「マハロさんは選ばなくても良いんですか?」
「俺にはもう相棒がいるからな。あと敬語禁止。同い年なんだし、仲良くしようぜ」
「分かりまし……分かったよ、マハロ」
「よし! じゃぁマハロ!」
「? どうしたハウ?」
(たしかここは主人公とバトルするんじゃなかったっけ?)
「初めてのポケモン勝負、相手してくれるよね―!」
「えっ」
「なんだよー! 約束忘れちゃったのー!!」
「いや、忘れたわけじゃないけど、でっきりコウタたちとやるもんかと……」
「もー! 俺そこまで薄情じゃないよー!」
俺がこの6年間で見てきたハウは、元気すぎてやかましいときもあるが、友達想いで、明るくて、ポケモンが大好きないいヤツだ。
……そりゃそうか、ハウが幼馴染との約束を蔑ろにするわけ無いか。
「ごめんごめん。うん、いいよ! やろうか!」
「やったー! ずっっと楽しみにしてきたんだ!」
俺達は少し離れたところにたち、モンスターボールを投げる。
「いくよモクロー!」
「もふふっ!」
「やるぞ! アゴジムシ!」
「ジムシッ!」
「〜〜っ! コウミ! 俺達もバトルするぞ!」
「えっ! 今から!?」
「もう、ウズウズしちゃってんだよ!」
どうやら、あちらはあちらでバトルする様だ。良かった、客人ほっといていきなりバトルするのは、どうかとも思ったが、これで有耶無耶にできそうだ。
「よーし! 本気で楽しんじゃうもんねー!!」
今は、眼の前の相手に集中したほうが良いだろう。
アゴジムシと視線を交わす。どうやら準備万端な様だ。
「手加減なんてしねぇからな!!」
内容としては、流石にトレーナーとしての経験が違うからか、俺の圧勝だった。
それでも
あのバトルは、ただただ楽しかった。
次のポケモンはどの子にしよう