我思う、故に我在り ~最強の守護者として転生した俺の楽園防衛記~ 作:ミュウツー
サカキの執念は、俺の想像をわずかに上回っていた。
「ミュウツー生存」の報を受けた彼は、ロケット団の全戦力をつぎ込み、この海域を網の目で掬い上げるような徹底捜索を開始したのだ。
数日後。認識阻害の霧の外縁に、黒い艦影が連なる。
中心には、巨大な接収母艦。そのブリッジには、かつて俺を「道具」として縛ろうとした男、サカキが立っているはずだ。
『……愚かなり、サカキ。ここはお前の手が届く場所ではない』
俺は島の最高峰で、静かに三鳥へ合図を送った。
海面を割って進むロケット団の最新鋭戦艦。
だが、彼らが島の本体を視認する前に、地獄は始まった。
まず、サンダーが動いた。
厚い雲を呼び寄せ、数千本の雷を艦隊の通信アンテナとレーダーへ叩き込む。電子機器は瞬時に焼き切れ、黒煙を上げる鉄の塊と化した。
「何だ!? レーダーが死んだ! 迎撃システム作動せず!」
パニックに陥るデッキ。そこへ、フリーザーが上空から舞い降りる。
彼女が羽ばたくたび、海面は瞬時に厚さ数メートルの氷原へと変わり、艦隊の進路を物理的に封鎖した。動けなくなった船体に、容赦のない吹雪が吹き付ける。
「凍るぞ! 船が氷に閉じ込められる! 退避しろ!」
トドメは、ファイヤーだ。
吹雪の中に紅蓮の火柱が立ち昇る。急激な温度変化は船体の鋼鉄を歪ませ、脆くした。
『……さて、仕上げだ』
俺はテレポートで母艦の直上、高度数百メートルに現れた。
サイコキネシスで海水を巨大な渦へと変え、艦隊を翻弄する。
『サカキ! 聞こえるか!』
俺の声は、テレパシーを通じて全隊員の脳内に直接響き渡る。
『お前たちが海の上でどれほど無力か、その身で知るがいい!』
俺は念動力で、戦艦の外壁を紙細工のように剥ぎ取った。
沈没はさせない。だが、逃げ場を失った隊員たちを一人残らず荒れ狂う海へと叩き落とした。
「うわあああッ!」
「助けてくれ! 凍る、海が冷たすぎる!」
サカキが乗る旗艦も、もはや形を保っていなかった。
海に落ちた部下たちの救助に追われ、こちらへ銃口を向ける余裕など微塵もない。伝説のポケモン4匹を相手に、人間の文明など、ただの玩具に過ぎなかった。
サカキの、憎しみに満ちた、それでいて恐怖に染まった視線を感じる。
俺は無言で、彼らの船を霧の外へと押し戻した。
嵐が去った後、海にはロケット団の残骸すら残っていなかった。
大規模な壊滅的打撃を受けた組織は、立て直しに数年、あるいはそれ以上の時間を要するだろう。
島には、再び平穏が訪れた。
サンダーは北の崖へ。
フリーザーは南の氷窟へ。
ファイヤーは西の火山跡へ。
それぞれが自らの居場所を見つけ、この楽園を構成する歯車となった。
『……これで、ようやく』
俺は、ネイティオやラッキー、傷ついた後にこの島で癒えたポケモンたちが集まる広場を見下ろした。
最強の力は、支配のためではなく、この静かな時間を守るためにある。
空はどこまでも青く、島は豊かな緑に包まれている。
しばらくの間、この平穏を邪魔する者は現れないだろう。
だが、俺は知っている。
この海の向こうから、いつか「運命」を背負った少年がやってくることを。
とりあえず〆
続きを新章として書くかは未定
誰か書いてくれてもいいのよ?
ではまたいつか会う日まで、さよならバイバイ