ここしばらく、夜に外出してた理由らしいけどなんでだろ
「着いたぞ」
「ここ?」
「ああ」
なんだろ
嫌な感じがする
これ、呪詛…!
「!」
「神を呪おうなぞ。随分と物好きな術師がいたものだ。来るぞ」
宿儺の視線の先
狼犬の背にしがみつき、こちらに向かい走って来るのは子供たち
なんでいるの!?
しかも、その、子供たちの背を追う異形
「っ、」
拳を構える
子供たちが脇をすり抜けていく
「《解》」
宿儺の一撃で粗方が切り刻まれる
ここ、神社の境内だよね!?
「ちょ、いいの!?」
「はっ。知らん」
「はぁ?!」
「そら、集中しろ。吾子らを食い殺しに来るぞ」
「ああ!もう!!後で良い酒御供えに来るからな!!」
次いで、俺に向かい顎を開いた異形に、アッパーと同時に黒閃をくらわせる
ニヤニヤニヤニヤ笑いやがって!
「ちょっとは手伝え!バカ!」
「俺が出るまでもない。吾子らの守りをせねばなるまい?」
「ほんと、むっかつく!」
八つ当たり?
上等だわ!
うわぁ
「りゅうだ」
「おめめないないなる」
「ぴかぴかだ」
いや、人の身をとってるんだけどね
その向こうに、白銀の龍神が透けて見えてる
「おや。珍しい。稀人か」
「えっ」
散々、いわゆる妖を倒しまくった悠仁がポカンとその龍神を見上げた
弟は大興奮してるけども
ここは弟が読んでいたラノベの世界らしいからな
「ほう?神が姿を見せるか」
「えっ。神様ァ!?うわ、うわわっ、すみません!境内を汚してしまって…!」
「よい。後で良い酒を持って来るのだろう?」
「はい!コイツ用に用意してたんですけど、神様に上げます!」
「は??」
「ハッハッハッハ!妻の尻に敷かれておるのか、そこな鬼人は」
誰かが近づいてくる足音
振り向けば如月だった
「神社に向かうと聞きまして。こちらを」
あ、酒?
ちゃんと杯もある
「ありがとう!こちらどうぞ!」
「ふむ……そこな坊や。注いでおくれ」
「あい!」
如月の手を借りて、酒を注いだ弟が杯を掲げ持つ
「頂こう」
「…………どうですか?」
「良い酒だ。目端が効くものがいるのだな」
二杯目は推しのストップが入った
裏梅に探させてたらしい酒が飲めなくなったのもあるけど、悠仁が神に近づくのが嫌なんだろう
「かみさま!かみさま!」
「良かったねぇ」
「うろこきれい」
「きらきら、ぴかぴか」
もう一度大笑いした龍神は、何かをこちらに投げてくれた
「……っ、うろこ!!!!」
うわ、デッカ
悠仁の手のひらくらいある
俺たち全員にくれんの?
とんでもない加護ついてんじゃないか?
「くれてやる。見たところ、神代の遥かに先の
「あいあとーござます!」
「本当に、ありがとうございます」
「そろそろ帰るといい。そこな偉丈夫に睨まれるのは勘弁だ」
「それでは。御前を失礼致します」
扇子をひらり、ひらり
花吹雪に目を閉じる
目を開けばそこには屋敷
本当に便利だな、この転移術
「ささ。早くお屋敷へ。夕餉のお支度もできております」
「お帰りなさいませ」
「ああ」
あれ、誰か…
着いてきてる?
「隠れ鬼でも致しましょうか、若様。おーにさんこーちら、ですよ」
とことんまで、隠すことに特化した鬼なんだな
捨て置かれたのがバレないよう、隠されていたと言っていたっけ
しかも、如月はおそらく藤原家に属する娘が非業の死を遂げて鬼と化した
その話が広がることを、よしとしないものは多いだろう
如月に隠され、屋敷の奥へと進む
数多の鬼たちが屋敷の中で首を垂れる
「追い出しやれ。無作法者を許すわけにはいかぬ」
おっと?
「……つまり、稀人ということでございましょうか」
「然り」
「この私めに。長き旅の供をせよ、と」
ふるりと、身を震わせ
喜びが溢れたと言わんばかりの笑みを浮かべて
深く深く、頭を下げた如月
「御意に。不肖ながら、必ずやお役に立って見せまする」
きっと、俺との時間を長く取るためなんだろーなー
俺が面倒を見る時間が少なくなると、お前にイニシアチブあるもんね
まぁ、俺も
宿儺と共に入れるのは嬉しいんだけどさ
でもさぁ
「ゆうじー?」
「…そろそろ子供たちのお昼寝の時間なんだけど。離して?」
俺のこと、ずっと抱き上げたままにするのは心底やめて欲しい
お前のデレの破壊力凄まじすぎてキツい
徐々にして、徐々に