斎藤家の養子は合法ショタ!?   作:むーんすとーん

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#3 一番星から見た合法ショタ その1

 

星野アイ side

 

 まだ幼きある日、母が窃盗で捕まり、刑務所行きになった。私は施設に入れられた。男に色目を使うことのみを考え暴力ばかりを振るうし白米に何かの破片を混ぜてくるような人間ではあったけれど、そんな母を私なりに愛していたし母も「愛してる」と言ってくれたから私は施設で母が迎えに来てくれる日を待ち続けた。そしてついに迎えた母の出所の日。母は来なかった。

 

「なんで...?お母さん...お母さん...」

 

 私は愛が分からなくなり、施設の人たち等の人と関わるのが次第に怖くなってきたので愛想という名の自分を守るための嘘でできた鎧を纏うようになった。なんとか明るく振舞う裏で嘘をつき続ける自分に対し憎悪や怒り、嫌悪感などが募り続けやがて本当の自分から目を背けるようになった。これを自覚したのは二十歳を過ぎてからだ。そして、そんな泥沼のような日々を変える一つのきっかけが12歳の頃に訪れた。私は、アイドルにならないかとこの金髪サングラスのヤのつく自営業のような風貌の男、芸能事務所苺プロの社長斎藤壱護にスカウトされた。

 

「私がアイドル?無理無理。私、施設の子だし何よりものすごい嘘つきだもん。」

 

「いいんじゃねえの?嘘でも。」

 

「え?」

 

「嘘でもずうっと愛を振りまき続けりゃ、いつか本物に変化するかもしれん。何よりアイドルに限らず芸能界は嘘が最大の武器になるからな。」

 

 会話の内容はかなり端折ったが、嘘でもいつかは本物になるかもしれないという言葉に私は惹かれアイドルになる決意を固め、苺プロが手掛けるアイドルユニット「B小町」のメンバーとなった。しかしアイドルとはなって終わりではなくなってからが本番。楽しいことばかりとはいかず、お給料は決して高くなかったし日々のレッスンや他のメンバーとの人間関係も難しくて悩まない日はなかった。けれど仕事の数も応援してくれるファンの数も少しづつ増えてきて二、三年ほどの時が経った頃。私はララライという劇団が行っているワークショップに参加しそこで二つの大きな出会いを果たす。一つは我が子の愛久愛海と瑠美衣の父親。そしてもう一つは...

 

「あなたが星野アイさんですね。壱護さんから話は聞いています。お芝居のいろはをみっちり叩き込むから...覚悟してね?」

 

 当時ララライの看板役者で私の演技の師匠、観音坂直虎さんとの出会いだった。第一印象は、まさに女傑。舞台上での声の出し方や立ち回り方、さらには他の役者さんへの礼儀まで。文字通りすべてを叩き込まれた。稽古の時間は苦しくもあり楽しくもあって。そして何より私は直虎さんの厳しくも温かい人柄に惹かれていたから、あの日々は大事な宝物の一つだ。

 

「ねえねえ直虎さん、直虎さんの旦那さんってどんな人なのー?」

 

「どんな人...そうね、義景を一言で表すとポンコツね。」

 

「あんなに頭良さそうなのに?」

 

「あの人、学問以外はてんでだめなのよ。生活力皆無で、公共料金も支払えてなくって私がいなかったら多分とっくに野垂れ死んでるダメ人間。だけどね...。」

 

「だけど...?」

 

「あそこまで真摯に人に向き合える人を私は見たことがないわ。なーんか支えてあげたくて仕方なくなっちゃって、たまらず私からプロポーズしちゃった。惚れた弱みっていうのかしらね。うふふ。」

 

 稽古外でも私は直虎さんに連絡を取って彼女と雑談したりこの頃にはアクア達の父親とのお付き合いが始まってたから恋愛のアドバイスをよくもらったりもした。あ、関係ないけど玄関のチェーンの使い方も教わったね。めっちゃ怒られた。そうして数ケ月ほど時間が経った頃私は直虎さんと義景さんのお家に遊びに行った。

 

「こんばんは直虎さん!あ、あのこれ...つまらないものですが...」

 

「アイさんいらっしゃい。あのアイさんがこんな気遣いを覚えるなんて鼻が高いわ。」

 

「ぶー。あのアイさんってどういうこと!?」

 

 二人のお家の内装は黒を基調としていて意外とシンプルだった。義景さんの趣味のプラモデルがずらっと並べられた棚以外は。そして私はついにあの子と出会う。

 

「可愛い...直虎さんの子供なの?何歳ぐらい?」

 

「ええ。ほら、このお姉さんに自己紹介できるわよね?」

 

「観音坂景虎です!二歳です!」

 

 自己紹介してくれた通り直虎さんと義景さんの子供で当時二歳のトラくんこと、観音坂景虎くんだ。例え私が記憶喪失になってもこの出会いだけは忘れず頭に残り続けることだろう。

 

「そっかそっか二歳なのか~。自己紹介できて偉いねえ。景虎くん、お父さんとお母さんのこと好き?」

 

「うん!僕お父さんとお母さんのこと大好き!愛してるよ!!」

 

「あらあら、いつの間に愛してるなんて言えるようになったのかしら。もしかして義景が仕込んだのかしら?」

 

 愛してるよ、まだ二歳の子供が屈託のない笑顔で放った何気ない言葉は弾丸となって私が纏い続けてきた嘘という鎧を撃ちぬいた。愛しているという気持ちを。母が迎えに来なかったあの日からわからなくなっていた愛を、私は観音坂家の人たちから教えてもらったのだ。にしてもトラくんは今も昔もかわいいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお




その2に続く
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