両津勘吉 パトロールをしながらフーデリ配達で金儲けの巻   作:梅酒24

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第1配:パトロールで大儲け

派出所の机に突っ伏しながら、わしは新聞を叩きつけた。

 

「くそぉぉぉ!!」

 

競馬欄を睨みつける。

 

「絶対当たるはずだったのに……!」

 

指で結果欄を突く。

 

「カラスのフンが馬に当たってバランス崩しただと!?そんな偶然あるか!!」

 

世の中というものは理不尽である。

 

努力も、分析も、血のにじむ研究も――

たった一羽のカラスで吹き飛ぶ。

 

わしは頭を抱えた。

 

「くそぉ……このままだとあと20日間一文無しじゃないか……」

 

そして顔を上げた。

 

「……そうだ」

 

「中川に借りればいい」

 

わしは振り向いた。

 

「な~かがわくんっ!」

 

だが振り向いた瞬間、返事が飛んできた。

 

「先輩、お金は貸しませんよ」

 

冷静に言ったのは

**中川圭一**である。

 

「部長に強く言われていますので」

 

わしは机に突っ伏した。

 

「くそぉ……あの部長め……」

 

ちなみに部長とはもちろん

**大原大次郎**のことだ。

 

あの男、最近やたらとわしの金の動きを監視している。

 

「公務員だからバイトもできんしな……」

 

公務員の副業は禁止。

やればすぐバレる。

 

それに何より――

 

「バイトする時間がない」

 

仕事をしながら稼げる。

雇われじゃない。

 

そんな都合のいい仕事が――

 

ちゃりんちゃりん。

 

キュッ。

 

外で自転車のブレーキ音がした。

 

スポーティな格好の青年が、自転車の後ろの箱から弁当を取り出す。

 

「ウーバーイーツです!」

 

「秋元麗子さん、叙々苑の和牛カルビ弁当お持ちしました!」

 

「わあ、ありがとう」

 

受け取ったのは

**秋本・カトリーヌ・麗子**である。

 

「これ代金とチップね」

 

わしは目を細めた。

 

「おい麗子」

 

「なによ両ちゃん。お弁当はあげないわよ」

 

「それはいい」

 

「今のなんだ?」

 

「え?知らないの?」

 

麗子は呆れた顔で言った。

 

「Uber Eatsよ」

 

「食べ物を運ぶ配達サービス」

 

「ああ……」

 

わしは思い出した。

 

最近、緑の箱を背負った連中が都内をうろうろしている。

 

「あいつらか」

 

「弁当運ぶだけで金もらえるのか?」

 

「そうよ。今すごく増えてるの」

 

麗子は説明した。

 

「コロナのとき外食できなかったでしょ」

 

「そこからフードデリバリーが爆発的に増えたの」

 

「今は専業で生活してる人も多いわ」

 

「えっ弁当運ぶだけで?」

 

わしはスマホを取り出した。

 

検索。

 

すると――

 

月収100万円

 

という文字が出てきた。

 

わしはゆっくり顔を上げた。

 

ニヤリ。

 

――これはうまい。

 

パトロールと称して配達すれば。

 

警察の給料。

 

 

フーデリの収入。

 

二重取りじゃないか。

 

世の中というのは、法律を守るだけでは勝てない。

 

法律の隙間を利用する者が勝つ。

 

わしは天才である。

 

*一週間後*

 

空が急に暗くなった。

 

ザーッ。

 

土砂降り。

 

麗子が窓を見る。

 

「あらら、急にすごい雨ね」

 

その瞬間。

 

わしは机を叩いて立ち上がった。

 

「部長!!!!」

 

ビシッと敬礼。

 

「わたくし両津、パトロールへ行ってまいります!!」

 

部長が目を丸くした。

 

「両津!最近仕事熱心になってくれてわしは嬉しいぞ!」

 

「先週まで派出所で寝てばかりだったのに!」

 

わしは力強く言った。

 

「いえ部長!」

 

「土砂降りだからこそです!」

 

胸を叩く。

 

「困っている住民がいるはず!」

 

「私は体力があります!」

 

「こういう悪天候こそ警察の出番です!」

 

完璧な演説だった。

 

部長は感動していた。

 

だが。

 

わしの心の中では電卓が鳴っていた。

 

土砂降り。

 

つまり。

 

配達料金ブースト。

 

フーデリには雨の日ボーナスというものがある。

 

通常

 

1件400円

 

だが。

 

大雨の日は

 

700円

 

さらに

 

雨クエスト

 

+400円

 

つまり

 

1件1100円。

 

そして。

 

わしのスマホは

 

1台ではない。

 

ポケットから取り出す。

 

1台

 

2台

 

3台

 

4台

 

5台

 

そう。

 

わしは

 

5社同時稼働。

 

Uber Eats

 

出前館

 

Wolt

 

menu

 

DiDi Food

 

つまり。

 

1回で

 

5件同時配達。

 

1100円 × 5

 

5500円。

 

10回回れば

 

5万5000円。

 

これはもう

 

台風はボーナスタイムである。

 

だがそのときだった。

 

ニュース速報。

 

「関東に大型台風接近」

 

風速

 

25メートル。

 

 

横殴り。

 

道路

 

冠水。

 

だが。

 

わしは笑った。

 

「この程度で諦めるわしではない」

 

自転車を漕ぎ出す。

 

だが数分後。

 

トラブルが次々起きた。

 

配達先が

 

江戸川の向こう。

 

橋が通行止め。

 

さらに

 

弁当が

 

5件同時。

 

ピザ

 

寿司

 

ラーメン

 

牛丼

 

タピオカ。

 

しかも全部

 

逆方向。

 

普通の配達員なら詰む。

 

だが。

 

わしは違う。

 

まず。

 

交番に電話。

 

「警察です」

 

「災害パトロール中です」

 

通行止めを突破。

 

次に。

 

冠水道路。

 

子供用ボートを借りる。

 

最後に。

 

突風。

 

ピザが飛びそうになる。

 

わしは叫んだ。

 

「うおおおおお!!!」

 

片手運転で5件を守り切る。

 

そして。

 

すべて配達完了。

 

その日の売上。

 

9万8000円。

 

わしは夜の派出所で笑った。

 

「フーデリ……」

 

「最高だ……」

 

だがそのとき。

 

背後から声。

 

「両津」

 

振り向くと。

 

部長が立っていた。

 

机の上には

 

スマホ5台。

 

部長が言った。

 

「説明してもらおうか」

 

わしは思った。

 

――終わった。

 

だが次の瞬間。

 

わしは敬礼した。

 

「部長!!」

 

「これは災害時の住民支援活動です!!」

 

部長

 

「なに?」

 

「配達を通じて住民の食生活を守りました!!」

 

部長は黙った。

 

そして言った。

 

「……今回だけは許す」

 

わしは心の中でガッツポーズした。

 

こうして。

 

両津式フーデリ作戦は

 

さらにエスカレートしていくのであった。

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