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やっぱり、いくら干渉しようとも運命はそこまで変わることはないってことか。
「自身の命と引き換えに防ぐ行為…称賛に値するものだ。されどその命、他が繋ぎ勝利を掴まない限りは意味を成すことなく無意味と化する。貴様らはどうする?」
二人を見れば、翼はゆっくりとこっちへ振り向き、刃を突きつける。
「お前は、命を燃やして大切なものを守り抜く彼女の、雪音の行動を侮ったのか? 無意味と軽蔑したのか!?」
いやしてません……と言いたいけど、ラスボスの座を奪って訳も分からない立ち振る舞いと一緒にそれっぽいセリフを言ったんだ。
そういう反応をするよね……それに。
チラッと翼の横を見れば響が膝を付いてうつ向いたまま震えている。
だけどその震えは悲しみではない。
噛み殺した唸り声と共に、地を握り潰すように爪がめり込ませる。
彼女の瞳は、狂気に濁っていた。
「それが――夢ごとッ!!」
そして低く、濁った声が、世界へと轟いた。
「――命を握り潰した奴の言うことかアアアアッッ!!!!!!!!!!!!!!」
もはやそれはバーサーカークラスに与えられる狂化と同じ。
「立花!? おい立花!!」
「融合したガングニールの欠片が、撃槍の精神に呼応し暴走したところだろう。そのままではやがて、制御出来ない力に意識が塗り固められていき、人ではなくなるだろうな……」
その身を黒に染め上げ、血の如く赫く染めあがった眼球が私を突き殺すに睨みつけてくる。
「さらに言えば
響は四肢を地に着けて、獣の如く私へと向かおうとする。
それに対し私は
「来るがいい神殺し」
多種多様な宝具を出し響を睨む。
「神話の戦い――ここに再現しましょう!」
※ ※ ※
この日までの全てが夢であり、愛する御方が存命だった時代に覚めたい。
巫女はそう思い、何度も何度もひたすらに心を痛め、死を懇願した。
だが自身が施した遺伝子によって必ず蘇る故、意味をなさない。
何故その事実をすべて知っていると、あの
思ったところで、ソロモンの杖もネフシュタンの鎧も奪われた。
何もできない……そんなフィーネは身体を起こし、戦場を見て息を呑む。
「■■■■■■■■ッ!!!!!!!!!!!!」
「どうした神殺し! その程度ではなかろう!!!」
もはや人とかけ離れた姿と成すイリヤと、復讐に呑まれ狂化した響の激闘。
地に突き刺さる多く宝具を獣の如く掛けながら避け、接近する。
その爪にて殺そうと突きつけるも、イリヤは翼と成った
――ASGARD
だが威力に耐えきることできず砕かれ、その勢いによって土煙が巻き上がる。
やったのだろうか…否、一度は人を捨て完全に融合していた身としてフィーネは分かる。
あれでは死なないことに。
「――無駄だ。
土煙が晴れ、現れたのは未だイリヤを睨む暴走した響と、肉体が大きく損傷してるのにも関わらず、気にする素振りも見せずに語るイリヤ。
イリヤの身体はみるみると
すれば再び
「(ネフシュタン、ソロモンの杖……二つの完全聖遺物を……)」
あのようなやり方も変異も知らない。
やはりあの末裔は文明から輪廻を繰り返す自身よりも聖遺物、異端技術を知り尽くしているのかと思ってしまう。
そんなフィーネは不意に
先の放出から数分、
「(エンキ…私のやり方は間違っていたの…?)」
最愛の御方の名を思い、ただ自身ややり遂げようとした宿願。
だがその先にある結末、未来を、真実をイリヤによって告げられたフィーネはもう、ただただ絶望に堕ちるだけの女に過ぎなかった。
※ ※ ※
そろそろ止めよう…イリヤはそう思い、攻撃を止めて宝具を回収する。
すると響は攻撃が止んだのを好機と見て一気に駆け出す。
距離が速く縮まり、イリヤへと響の拳が、爪が、手が迫る。
「拘束せよ――
だが瞬間――黄金の波紋から
響はもがきながら呻きを上げ、抜け出し殺そうとする。だけど
「………皮肉なものね。あの英雄王の言葉の意味を、目の前の獣を見ることで理解できたなんて」
イリヤは自身の傍に黄金の波紋を一つだけ出現させ、そこから一本の剣を取り出す。
剣の名は『
それは『選定の剣』の原典でもある剣。
「聖遺物との融合を続けるあなたはもう人ではない。故に、その命ここで終わらせて――…?」
イリヤは
だが彼女が動くことはなかった。
否、動こうとするも、その身体は身動きが取れないように動かない。
「…! 影縫い!?」
イリヤは動かない身体を、顔を無理に動かし足元を見る。
そこには影縫いを起こすため、自身の影に蒼き短剣が突き刺さっているのに気づいた。
抜け出そうと力むイリヤは、ふと思う。
自身を動けなくした、ただ茫然と神話の再現を見ていただけの風鳴翼は今、どこにいるんだと。
「――私は
イリヤは顔を上げ、響もまたゆっくりと後方を確認する。
そこには静かに立つ翼がおり、歩みよればそのまま
「立花、あなたのこの手は束ねて繋ぐもののはずだろう? ――奏から継いだ
その言葉を聞いた響は既に呻くことも、もがくこともなく、ただ一滴の涙を漏らしていた。
すれば離れ、剣を手にイリヤを睨む。
そんなイリヤは尻尾を拘束の中無理やり動かし、自身の影に突き刺さる短剣を巻き掴み引き抜く。
自由の身になったことで、
翼もまた響の前に出て、剣を構える。
「待たせたな、立花を止めてくれたことだけは感謝する」
「………ふんっ。それでどうするつもりなのだ絶刀よ。貴様の覚悟は確かに今の行動で理解したが、勝算はあるのか?」
「今日に折れて死んでも、明日に人として歌うために…風鳴翼が歌うのは戦場ばかりでないと知れ!!」
「ならばやってみせろ! 見せてみろ!! 貴様のその歌とやらを!!」
イリヤは髪の蛇と
それを翼は歌いながら躱し、脚部の刃を展開し、それらで追撃する攻撃を迎え撃つように防ぐ。
そして手に持つアームドギアを大剣へと変形させた。
――蒼ノ一閃
イリヤは
その隙に翼は地に着地後、イリヤへと接近しアームドギアを振るう。
咄嗟にと、イリヤは宝物庫から一つの盾を出し防ぐ。
だが翼はその盾を押していき、自身が上になるように角度を変え、踏み台として飛び上がる。
そして千ノ落涙を繰り出し、イリヤも
イリヤは髪の蛇と
しかし視界に映った風鳴翼は、両手に持つ剣から炎を絶え間なく放出し、翼の如くして
「……」
それを見たイリヤは、追撃をせずただ見上げる。
そして翼が
その光と衝撃が周囲に襲い掛かる。
やがてその全てが収まり、元の暗闇となる。
戦場には破壊された
そして
「結局、
理屈は分からない。
だがここまでやった以上、やり遂げなければいけない。
「翼さん…クリスちゃん…二人とももういない……」
欠けた月が赤く染まった空はゆっくりと色を付けていき、朝日が昇り始める。
そんな中響のうわ言が聞こえ、イリヤは響へと視線を向ける。
「学校も壊れて…皆居なくなって…私、私何のために…なんのために戦って……」
ここでも本来と同じ言葉を言っている。
フィーネはおらず、自身がラスボスの立ち位置を奪ったはずなのに。
「……雪音クリスも、風鳴翼も、己が命を擲ってまで貴女に繋いだ。なのに繋がれた貴女はただ絶望し、何もできずやられるだけなの?」
「私は…私の、せいで……」
「えぇそうね。貴女が暴走なんかしなければ、もっと違った未来があったかもしれない。でもね、過去はもう過去。このやり取りの数秒前ですらもう過去として刻まれている。故にでしょうね……異なろうとも最終的な大部分が変わらないのは」
髪の蛇が独りでに動き、響の服を噛み持ち上げる。
「(酷い顔……完全に絶望しきった顔ね。まぁでも、ここから大逆転展開があるから――……?)」
小石などが落ちる音がイリヤの耳に届く。
視線をそっちに向ければ、瓦礫に埋もれれているフィーネがいた。
先の爆発に巻き込まれて、絶命していたはずとイリヤは思っていたが、フィーネまだ辛うじて生きていた。
「……あなたは後回し。先に巫女をやる」
どっちにしろフィーネは無印で一度消滅し、G編で完全なる消滅となってこの世から消える。
このまま存命になって歴史が異なることになるという検証も踏まえたいが、余計なことを教えた身として、排除は絶対。
フィーネに絶望を味合わせるために語ったことだが、今更ながらやってしまったとイリヤは思っていた。
しかし自身で語ったように過去は過去。
もう過ぎたことは変えられない。
ならば、少しばかりの時間稼ぎとして殺す。
それが今最も合理的な考え。
響を投げ捨て、フィーネの下へと辿り着いたイリヤはフィーネを見下ろす。
フィーネもイリヤに気づいたのか、見上げた。
「まだ生きてたのだな。巫女よ」
「イリヤ、スフィール……」
「貴様にはもう用はない。先に殺させてもらう」
「だが貴様のおかげでこういったことが出来たのも事実。最後に言い残したい言葉だけは聞いてやろう」
「…なら、一つ…だけ……」
「なんだ?」
「(こんな私が言えた義理じゃない…だけど…!)」
フィーネの視線は絶望し動かない響へと向く。
距離はそこまで離れてない。
故にフィーネの言葉が、響に届いた。
「立花響……胸の歌を、信じなさい!」
「……」
その言葉に、響の表情は動かない。
しかし微かに指が反応するように動いた。
そして――
「さらばだ巫女よ」
※ ※ ※
抑止力がどこまで働くか分からない。
フィーネだって殺さなくても良かったけど…なんか自然と殺した。
無意識に私も抑止力の修正力を受けていたから?
分からない……でも過ぎたことは変えられないし、最後までやり切らないと。
そう思い、響へと向いた。
響はまだ絶望して動いていない。
そして――その歌が聴こえた。
来た…確か学校の歌だったっけ……その歌が倒れているスピーカー越しに聴こえて来た。
周りが僅かに光って、光の粒みたいなのが浮き出て来てる。
「聴こえる…皆の、歌……良かった…」
響は融合したガングニールによる影響か、身体がゆっくりと発光しだしていた。
「私を支えてくれる皆が、いつだって傍に……皆が歌ってるんだ…! だから……まだ歌える! 頑張れる!! 戦える!!!」
するとギア装着の際の衝撃波が発生し、私はそれを避けるため後方へと下がった。
響を見れば、こっちを見ながら立ち上がろうとしている。
それを見た私は不意に笑みを浮かべながら、私は問うた。
「貴様は…あなたは何を支えに立ち上がる? 何を握って力と変える? その身に纏うその名はなんだ!?」
次の瞬間、三か所から三つの光の柱が天へと立ち昇った。
本人は光、善と言わしめるようにギアのカラーリングに黒が消え、白が大きく広がっている。
そして柱が消え、その発生源から三つの光が空へと飛び上がった。
「――シンフォギアァァアアッ!!!!!!!!!!!!」
それぞれの翼を広げた三人の天使が今、神話の
とりあえずメインキャラを曇らせたいのと、フィーネのラスボスの立ち位置を奪うこと。
そして世界の歴史の修正力・抑止力がどこまで作用しているかの確認をするため、あえて皆様も指摘してくる「何がしたいのか分からない状態」をしていたって感じです。
本当は無印完結後に書く予定でしたが、何分このままだと多分皆様の不満なども溜まると思いまして……大変申し訳ございませんでした。
ネタバレは良くないのですが、今回は苦痛の決断と言った感じですので、どうぞよろしくお願いします。
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