転生者「境音マコ」は、内向的だ。
ほかの転生者は、剣や魔法のギフトを与えられる。
彼女の与えられたギフトとは…?
マコは魔王にも匹敵する暴力を扱いきれるのか。
初夏を迎え、日差しが冒険者ギルドの窓から差し込み、エールのジョッキを白く照らす。
依頼ボードの前に数名の冒険者が、たむろしている。
室内は半地下になっており、ひんやりとした涼しさが足元に漂っている。
身長150㎝の境音マコは、身長と同じ武器を担ぎ、
慣れた様子で、張られた依頼書に視線を移す。
――困った、いつもの依頼がない…。
冒険者のマコは、受付嬢に歩み寄る。
受付嬢は、机に肩ひじを立て、暑そうにしている。
「あの…。すみません…。」
「あ?どうしたの?」
マコは視線を木目の床に落とした。
受付嬢は、机を指の腹で等間隔で叩く。
香水が強い。
――ここのお姉さんは、きっと、失敗したら怒る。
「…薬草集めの依頼がないのですが」
「そこに無いなら。無い」
マコは背負った武器ケースの帯を強く握りしめる。
――それだと困るよ…。
「転生者なら、スライム退治いけるでしょ」
受付嬢は、依頼書を取り出し、マコに見せる。
マコは、蜘蛛の巣を払うかのように手を大きく振り拒絶する。
「いやいや、私、転生者って言っても無能力者ですし…」
マコは唇を噛む。
――魔法が使えればよかった。こんな恥ずかしいスキルじゃなくて…。
「好きにして」
受付嬢はそれ以上の言葉を受け付けなかった。
マコは、仕方がなく、スライム5匹の退治の依頼書にサインをする。
背負った武器の冷たさを感じる。
――出来るかな…。これを使えるか不安でしかないよ。
マコは衛星都市の苔むした石壁を背に、草原に踏み出した。
誰もいない事を確認すると、近くの木にナイフで十字のマークを付ける。
そこから200mほど離れ、武器ケースのジッパーを開ける。
そこには、口径12.7mmのM82バレットが無機質に鎮座している。
――うぅ…、私が使っていい武器じゃない気がする。
.50BMG弾を5発だけ召喚する。
バイポットを立て安定させ。
スコープを覗く。
息を吸う。
トリガーに軽く触れる。
揺れが収まるのを待つ。
轟音と同時に、身体がびくりと震えた。
遅れて、耳が痺れる。
マコは周辺を見渡す。
誰もいないのに顔が熱くなる。
第一射は木には当たらない。
右に3度修正。
マコはスコープのダイヤルをいじる。
息を吸う。
トリガーに軽く触れレイティクルを調整する。
世界の音が消える。
業炎がマズルから放たれる。
木がはじけ飛び倒伏する。
ゼロインを終え、M82バレットを肩に担ぎ、高台に移動する。
M82バレットのバイポットを立てて置く。
単眼双眼鏡で、周りを見渡す。
夏の陽射しが肌を照り付ける。
汗がじっとりとまとわりつく。
――見つけた。
距離は340mの位置。
マコは
スコープを覗く。
息を吸う。
青い光が鈍く光っている物体にレイティクルを調整。
トリガーに軽く触れる指先が汗ばむ。
14㎏の化け物が火を噴く。
着弾地に粉塵が舞う。
スライムは残骸すら残さない。
耳鳴りが残る。
――無理。ほんと無理。うるさい。
マコは眉を寄せ、銃を睨んだ。
マコは息を吐く。
「もういや!ほんと音がこわいんだよ!」
その光景を見ていた冒険者の一人が、境音マコの力に恐怖した。