ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった   作:なんちゃってメカニック

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木星病

 木星建築作業団の母船に招かれ、棟梁からゼリアとピールの相談をされた時から3日。

 出発してから5日の日程を予定して、その中頃の事だった。

 

 この3日間、俺はと言えばずっと母船に籠りきりながら、ゼリアとピールの木星機(ヴァリアブル)の改造に着手していた。

 

 いや、正確には籠りきりになりたかった。だ。

 

「なんで、俺は、ここで、筋トレしてんですかね!?」

 

「コスギとピーオさんに気に入られたからですよ」

 

 途中途中で、ケレスさんと一緒にコスギとピーオから、筋トレと言う名の地獄を与えられたからだ。

 ケレスさん曰く、コスギとピーオに気に入られるのは中々ない事だそうで。全く嬉しくないが。

 

「無駄話してるとウェイト増やすわよ!」

 

「太一ちゃんはもっと筋肉つけた方がいいわよ? ハイ、5キロ追加~」

 

「ちょ、ま、ふぬぬぬ! コナクソ~!!」

 

「負けてられませんね!」

 

 そんな漢らしい空間と、改造作業の鉄と油の空間と言う、嬉しくないミルフィーユを食わされていた。

 

「太一ちゃん本当上手ね、今日なんか自己ベスト更新してるわよ?」

 

「頑張った子にはピーオの特製プロテインをア・ゲ・ル。休憩も必要よ~」

 

「くそう、ちょっと嬉しい自分も居る…………」

 

「ははは、最初は面食らいますけどね」

 

 そう言って、貰ったプロテインを流し込んだ俺とケレスさん。

 

 何でこんな仕打ちを黙って受け入れているのかと言えば、こう言った事情もある。

 

「ケレスさんコスギさん、実は今、可変システムの構築に手間取ってて」

 

「あー、確か8種変形でしたよね、建築作業団の中にもない訳じゃないんで、もしよかったら見ましょうか?」

 

「良いんですか?」

 

「こっちも勉強になるんで、是非」

 

「あんな面白い物、私も是非噛ませてもらうわ!」

 

 こうして木星機(ヴァリアブル)の事について、相談できるのでとても助かっている。

 俺の想定では、2週間ぐらいかかってしまうと見た改造作業も、この3日間で相当進んでいて俺自身が驚いているくらいだ。

 

 そして、3日目が終わる頃。就寝時間まであと少しと言う所で、その場は解散となった。

 

 さて、寝るかと、オウムアムアの母艦その居住区まで戻ろうとした時、談話室の扉が開いてる事に気が付いた。

 電気がつけっぱなしで、開けっ放し、何があるのかと覗いてみたら、俺以外の全員が揃っていた。

 

「お、どうしたんだ? みんな揃って」

 

「………………顔が見れて嬉しいよ」

 

 そう言ったのはイルシア。あからさまに元気がない。

 談話室を見回してみると、どことなく全員元気がない、その上、なんか空気がピリピリとしている。

 

「一体どうしたんだ?」

 

「木星病じゃん?」

 

「木星病? 金星病みたいなもんか?」

 

 ゼリア言った聞きなれない病気、またなんか変な病気か? と思ったが、ピールが話を引き継いで喋った話をよく聞いてみると。

 

「木星病っていうのはね~? 木星の船団が移動するとき、船で強制的に長ーく過ごす事になるでしょ~?」

 

「まあ、そうだな」

 

 火星から5日、地球からならそれ以上。デカイとはいえ、それは仕方ない事だ。

 

「ってなると区切られているとはいえ、毎回同じ人の顔を見る訳じゃん? 不満も溜まって来るんよ」

 

「ああ、人間が過密状態になるとストレスがたまるってやつ?」

 

 確か、前世での宇宙開発でもそんな話があった。

 前世よりは酷くは無いが、それでも宇宙船は過酷、なんの装備も無しに一歩外へ出れば死ねる状況だ。そんな中で顔を突き合わせていれば、ストレスの1つや2つは溜まって来るだろう。

 

「それを回避するためにメカニックたちは筋トレしてるからね~」

 

「そうだったの!?」

 

 …………確かに、SEは宇宙空間での作業が主だ。

 地球でも、長距離の航行はするし、もしかしたら悪い事ではないのか?

 

「でもなんでお前らは、そんな事になってるんだ?」

 

「スクランブル(緊急発進)の最中に筋肉痛で動けませんでした。で、失敗したら元も子もないっしょ?」

 

 やっぱり搭乗科(パイロット)は搭乗科(パイロット)で大変なんだな。

 

「でも、アリアとミーシャとコルデーは何で?」

 

「そういう時には仕事するんだが、もう終わってしまってな…………」

 

「右に同じっス」

 

「同文です」

 

 自身の有能さに絶望している目だ………………。

 3人を同情の目で見ていると、流星が机に突っ伏しながらこっちを見て口を開く。

 

「実は俺もちょっとキてるんだ、この3日間太一とは顔合わせ無かったから。凄い新鮮で気力がわいてくる」

 

「昔の火星の人間も、こんな気持ちだったのか。太一が輝いて見える」

 

 そう言って、体は疲労感を出しながらも、目が爛々と俺の方を向いている。それ、なんか怖いぞ?

 

「ネルは?」

 

「寝てる」

 

 と言って、談話室のソファーにすうすうと、寝息を立てているネルを指さす流星。

 

「ネルには助かったよ、ちょっとぎくしゃくしそうになった時とか、いいタイミングでおんぶをせがむんだ」

 

「立派になって…………」

 

 少しほろりとしていると、ネル以外のみんなが、体をだらけさせながら爛々とした目でこちらを見て来る。

 …………何かが求められている?

 

「あのう、それで、これ以上なんか用でしょうか?」

 

 無駄な敬語を皆に垂れ流しながら、俺はおずおずと皆に向かって聞いた。

 

「なんかっ、なんか面白い話してっ!!」

 

「地獄の振りすんなよ」

 

 気分は分かるけれども。

 とは言え、いきなり言われても面白い話なんか出来ないし…………。

 

「じゃあ、昔の話をしようか」

 

「ん?」

 

 

「俺と流星が大喧嘩した時の話だ」

 

 

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