三人と合流して、残りの買い物を済ませた。
野菜は沙也加がルナに確認しながら選んで、天太がかごに入れる係を引き受けていた。
レジを通って、エコバッグに荷物を分けて、それぞれが袋を持った。
地下から出るエレベーターに乗って一階に上がったところで、ルナのスマホが鳴った。
「ちょっと、ごめん。事務所からだ」
「こっちは適当に時間潰しておくから行ってこい」
通話に出るルナの背中を見送りながら、俺は天太と沙也加へと声をかける。
「天太、沙也加。ちょっとこっちに来い……内緒だぞ?」
「あ、西遊記コラボだ!」
三階フードコートにあるアイスクリーム屋の前を通りかかった瞬間、沙也加が声を上げた。
ショーケースには、ドラマ西遊記とのコラボフレーバーが並んでいる。
一つは悟空フレーバー。ストロベリーとパインが混ざり合った、悟空っぽさをイメージした一品だ。
もう一つは筋斗雲フレーバー。マンゴーソルベとバニラを合わせた、黄色のアイスだった。
「筋斗雲の方、シェイクにできますか」
「できますよ」
俺がカウンターで頼むと、店員が笑顔で対応してくれた。
「なにそれ」
「ここはアイスをシェイクにもできるんだ。ま、裏技みたいなもんだ」
「じゃあ私も!」
沙也加が急いでカウンターに戻る。
天太は悟空フレーバーをダブルでスクープしてもらいながら、ショーケースを眺め続けていた。
「悟空にしたのか」
「うん! 悟空好きだから!」
受け取ったカップには、赤と黄色のアイスがバランスよく混ざっており、悟空っぽい色になっていた。
シェイクのほうはカップの中で少し泡立っている。
「一口ちょーだい!」
「こっちも!」
「はいよ」
アイスとシェイクを交換した。
悟空フレーバーはストロベリーの酸味が先に来て、後からパインの爽やかさが追いかけてくる。
筋斗雲シェイクの方は濃厚なマンゴーの味が広がり、飲み終わっても口の中に残る感じがあった。
食べ終えたカップをゴミ箱に捨てて、何食わぬ顔でエレベーターに向かった。
地下に到着すると、ルナと朝香が買い物袋をそれぞれ持って待っていた。
俺たちが何かを言う前に、ルナの視線が天太の口元で止まる。
「……夕飯前でしょー」
天太と沙也加が同時に口元を手で拭った。遅かった。口の周りが赤くなっていた。
「何のことだ?」
「演技力全開ですっとぼけても、ネタは上がってんのー!」
「まあ、いいじゃないの」
朝香がスマホから目を上げずに言った。
「むしろ、今から三人で変装を一時的に解いて買いに行った方が話題になるんじゃない? 西遊記のコラボなんだし、写真を上げれば宣伝にもなるわ」
「あのねー、子供たちの夕飯のために来てるんだよー?」
ルナがはっきりと言った。朝香が少し顔を上げた。
「そう? じゃあ、しょうがないわね」
「まったく、朝ちゃんは……翼君も、次はないからねー」
「……はい」
「二人も。夕飯ちゃんと食べること」
「「……はい」」
天太と沙也加が声を揃える。
スマホに視線を落とした朝香は、それ以上何も言わなかった。
腑に落ちない様子はあったが、それを声に出すことはしなかった。
子供たちのために来ている、というルナの一言を、どう受け取ったのかはわからない。
朝香の横顔は、相変わらず読みにくかった。