炎上騒ぎの中、劇場版セミブレード〝蒼空の紅剣シガラティ〟の映画公開前企画の動画が公開された。
内容は俺と朝香、そして萌絵による対談動画だ。
これは本来、もっと後に投稿される予定だったが、俺の提案に乗ってくれた制作陣によって炎上で話題になっている内に投稿するという判断になったのだ。
「反応は悪くないわね」
「朝香周りの人間関係のストーリーができあがってたのが大きいだろうな」
朝香を中心とした劇団クロッカスの元メンバーは世間を騒がせてきた。
かつて一発屋で消えた子役、伽須翼は朝香の出演するドラマ〝プライベートAI〟でその演技力を見せつけ、俳優に復帰した。
かつて星井鳴として活動していたトップアイドル斎藤ルナは、仲間の裏切りで炎上しつつも、西遊記でその逆境を糧にして最高の芝居で視聴者を魅了した。
そして、声優アワードで主演女優賞を受賞した人気声優である川越萌絵まで劇団クロッカス出身で繋がりがあったと判明したのだ。
各分野で活躍する高校生芸能人が、かつては劇団クロッカスに所属していて朝香と繋がりがあった。
このストーリー性を求める大衆は大勢いることだろう。
実際、SNSでは話題の中心は〝劇団クロッカス出身の元子役達がやばい!〟というものになっていた。
彼らにとっては、かつて羽田朝香に憧れた劇団クロッカスの元子役たちのストーリー……その〝セミブレード編〟を見ているようなものだろう。
「ひとまずは話題を俺たちの関係性に注目させた。大切なのはここからの動きだ」
「大丈夫なの? 下手を打てば、あなただって炎上に巻き込まれて誹謗中傷の対象になるわよ」
「ははっ、俺が何歳のときから誹謗中傷に晒されてきたと思ってるんだ」
「あなたのブラックジョークは笑えないのよ!」
こう見えて、ぼくんち冒険たいがバズったあとの俺はネットのオモチャだったからな。
子供らしからぬ小賢しさが鼻についたのか、当時の俺はネットで言われたい放題だった。
だけど、その経験があったおかげで誹謗中傷に対しての心持ちや対処法を学べた。
「安心しろ。開示請求されるような奴は、ネットの態度と反比例するように小さな人間だ……だから、開示するだけだと金銭的にはこっちが損するだけだ。金があるならするに越したことはないけど」
「もっと笑えない闇深エピが出てきたわね……」
悲しいが、それが現実である。
弱者は本当に救いたい姿をしていない、というのを身を持って体験した幼少期だった。
「さて、ざまぁ系が好まれるこの世の中、大衆は勧善懲悪をお望みだ」
「ふふっ、ならあたしたち役者はプロとして、お望みのものを提供しなくちゃね!」
人気者へと石を投げつけ、まるでそれが正しい行為だと言わんばかりに主張する。
そんな人間がタダで使える広告として利用されて、最後にはしっかり開示請求される。
そこは安全圏などでないことをしっかりわからせてやろうじゃないか。