公女殿下の従者   作:究極の闇に焼かれた男

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半分ノリと勢いで執筆された作品ですので余り期待はしないでくれると助かります。


序章:ある少年の過去と現在

 

 

 

たった一度でも良い、両親に認めて貰いたかった。

 

俺──『ルクス・アルスタード』は、先祖代々にからウェインライト王国に仕えてきたアルスタード伯爵家の次男で、両親は伯爵にも関わらず王家に意見の具申をする事が出来るほどの発言力を有しており、父と母は王国の利益と繁栄の為に尽くすほど愛国心が強い人たちだった。

兄も同じで王国の発展と民の安寧の為に尽力していて、自慢の存在であり憧憬の念を抱く位には尊敬していた。

 

然し、そんなアルスタード家の次男として生を授かった俺は一度も両親から認めて貰えなかった。

 

理由は至極単純明解、王国貴族の人間として生まれながら俺には"魔法"の才能が一切なかったからだ。

 

俺の暮らす王国では貴族の子息や息女は魔法が使えて当たり前だと認識されているが、稀に魔力を有していながら魔法の行使が出来ない者が生まれる事がある。

そういった者は周りから"忌み子"として後ろ指を指され、侮蔑や軽蔑の眼差しを向けられる様になるのだ。

 

貴族・・・それも長きに渡って国に仕えてきた家の人間が魔法の行使が出来ない忌み子だと知られれば今までに築き上げた印象が崩れて散々なものになるだろうと考えた両親は俺に対して早々に見切りを付け、俺を居ないものとして扱い始めた。

 

その事実が辛くて両親に居ないものとして扱われることに寂しさと悔しさを覚えた俺は、たった一度でも良いから両親に認めて貰う為に魔法ではなく唯一得意としていた槍術を誰に師事するでもなく死に物狂いで鍛え始め、そして槍を手に鍛え始めてから数年後には目に見えて才能を開花させた。

 

けれど俺の必死の頑張りは両親には認めて貰えず、暫くするとまるで厄介払いの如く家を追い出された俺は行く宛ても無く彷徨っていた所を、王国の守護を担う【四大公爵】の内の一つである【ハワード公爵家】の当主たる『ワルター・ハワード』に拾われる形で従者の1人となった。

 

今までの頑張りが全て無駄だったと思い知って以降、自分の中で何かが音を立てて崩れ去ったのを耳にした気がした俺は色々と馬鹿らしくなりつつも、拾ってくれたハワード公爵家に報いる為に一介の従者として淡々と務めに従事するようになっていった。

 

こうして俺は役割を忠実に果たし続ける従者となり、数年もの間を職務に専念しながら過ごす様になった。

 

そして現在、俺は今日も変わらぬ職務をこなしながら日々を過ごしている。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

ハワード邸の中庭、そこに1人の少年の姿があった。

 

濃い灰色の髪とハイライトを無くした黒い瞳が特徴的な少年はその手に一本の槍を握りながら周囲を警戒するように見回していると、そこへ1人の少女がやって来る。

 

 

「ルクス」

 

 

ルクスは自身の名を呼ぶ声に気付き視線を向けると、そこには薄く青みがかった白金の長髪の少女がパンの入ったバスケットカゴを手に持って立っていた。

 

 

「ステラお嬢様、おはようございます。 自分に何か御用でしょうか?」

 

「聞きましたよ、朝食を食べずに仕事に向かったと。 少しは食事を摂らないとダメですよ」

 

「そういう事でしたか。 ご迷惑をおかけして申し訳ございません。 ですが自分は後で食べるので今は必要ありません」

 

「そういう訳にはいきません! ちゃんと食べてくださらないと困ります。 ですので、これを今すぐに食べてください」

 

 

そう言って少女──『ステラ・ハワード』は、パンの入ったバスケットカゴをルクスに押し付けるように手渡す。

 

 

「食べてくれるまで傍を離れませんからね!」

 

「・・・そういう御命令でしたら致し方ありません。 畏まりました、ステラお嬢様。 有難く頂戴いたします」

 

 

ステラの押しにルクスは観念した様子を見せると、手渡されたバスケットカゴからパンを取り出して食べ始める。

 

 

「どう、ですか・・・?」

 

「美味しいですよ」

 

「ほ、本当にそう思ってますか?」

 

「はい。 本当に美味しいですよ」

 

 

ステラの言葉にそう答えるルクスだが、その表情は一切の変化が無かった。

 

 

「そんな無表情で言われても・・・」

 

「美味しいと感じても表情が変わるほど豊かな感性をお求めでしたら他の方に仰って下さい」

 

「むぅー、本当にルクスは口が悪いし意地悪ですね」

 

「ハワード家の安全を守るのが従者である自分に与えられた役割ですので、それを全うするのに愛想の良さは必要ないと感じております。 それに、四六時中ヘラヘラとしている人間よりは少しはマシだと思いますよ」

 

「はぁー・・・・・・もういいです。 そろそろ私は行きますね」

 

「はい。 お嬢様、最後に一言だけ────手作りのパン、本当に美味しゅうございました」

 

「っ!?/// 気付いてたんですか!!」

 

「ステラお嬢様もティナお嬢様に似て意外と表情に出やすいですから、それに気付かないほど鈍感ではございません」

 

「っ/// そ、それじゃあ、また後で!」

 

 

耳元まで赤くなったステラは慌てた様子で屋敷の方へ戻って行き、残されたルクスは手渡されたパンを完食すると槍にバスケットカゴを引っ掛けて自分の仕事に戻るのだった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

ステラside

 

 

「うぅっ〜〜///」

 

 

さっきから顔が熱くて仕方ない。

心做しか表情が嬉しさで緩んでしまう。

 

 

(もう、あんな事を平然と言うなんて〜〜///)

 

 

私、ステラ・ハワードには好意を寄せている少年が居る。

 

少年の名前をルクス・アルスタードと呼び、私が7歳の頃にお父様が連れ帰って来て以降、ハワード家の従者として暮らしている。

 

そんな彼を初めて見た印象は「とても哀しい瞳」をしているというものだった。

 

お父様が言うには、元々はアルスタード伯爵家の次男として生まれながら忌み子だったという理由で両親から見向きもされずに育てられ、振り向いてもらおうと必死の努力を続けたにも関わらず家を勘当され、厄介払いの如く追い出されたと教えられた。

 

行く宛ても無く道端で全てに絶望した表情で立ち尽くしていたルクスを偶然にも見掛けたお父様は、どうするか悩んだ末に従者として育てる名目で連れ帰ったのだと言う。

 

そんな彼に恋をしたのは9歳の頃、ある事で思い悩んでいた私にルクスは親身になって支えてくれて、一緒に解決策を考えてくれたのが切っ掛けだった。

 

ルクスに対する恋心を自覚するのには時間は掛からず、彼に対する自分の想いに気付いた私はハワード家を継ぐ為の努力をしつつ、彼に振り向いて貰える努力もし始めた。

 

 

(初めて男の人に手作りの料理を振舞ったけど、改めて思い出すと何だか恥ずかしい/// )

 

 

初めて他人に、しかも異性に対して手作りの物を渡した事実に熱を覚えると同時にルクスに言われた言葉を思い出して心が暖かい気持ちで満たされる。

 

 

「(明日も頑張って作ったら食べてくれるかしら)よし!」

 

 

そんな事を思いながら自分に気合いを入れる私だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

これは、ある王国の公爵家に仕える少年と、少年の主である姉妹の話。

 

両親に認められずに厄介払いとして追い出された末に、ある公爵家に拾われて従者となった少年と、そんな彼に惹かれた姉妹と、周囲の人間達が紡ぐ物語。

 

そして"ハワード公爵家の番犬"として名を轟かせる事となる戦いの日々・・・・・・が、始まるほんの少し前の出来事である。

 

 

 

to be continued・・?




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