FAIRYTAIL〜星空の竜〜   作:パスカルDX

50 / 50
第32話「優しさの裏側」

第32話「優しさの裏側」

 

 

朝。

 

――化猫の宿。

 

静かな食堂。

 

「いただきます!」

 

元気よく手を合わせるのは

ウェンディ・マーベル

 

「元気ねぇ」

 

微笑む

ミラジェーン・ストラウス

 

ヨゾラも席につく。

 

「……」

 

周囲を見渡す。

 

やはり――違和感。

 

笑っている人たち。

 

でも、どこか“遠い”。

 

「……ヨゾラさん?」

 

ウェンディが覗き込む。

 

「どうしました?」

 

「……いや」

 

首を振る。

 

「なんでもない」

 

「ほんとですか?」

 

「……ああ」

 

短く答える。

 

「冷める前に食べましょう?」

 

ミラジェーンが空気を和らげる。

 

「はい!」

 

ウェンディが笑う。

 

その笑顔は――

 

まっすぐで、無垢だった。

 

■食後

 

廊下。

 

ヨゾラとミラジェーンが並んで歩く。

 

「……確信に近づいたな」

 

ヨゾラが低く言う。

 

「ええ」

 

ミラジェーンも頷く。

 

「昨日より、はっきりした」

 

「……人じゃない」

 

「ええ」

 

静かに肯定する。

 

「“存在しているようで、していない”」

 

「……」

 

「でも」

 

ミラジェーンが少しだけ目を細める。

 

「悪意は感じない」

 

「……ああ」

 

ヨゾラも同意する。

 

「むしろ――」

 

少しだけ言葉を選ぶ。

 

「守ってる」

 

「……そうね」

 

ミラジェーンが頷く。

 

「ウェンディを」

 

その名前。

 

空気が、少しだけ重くなる。

 

「……あいつは気づいてない」

 

ヨゾラが言う。

 

「ええ」

 

「完全に“普通のギルド”だと思ってる」

 

「……」

 

少しの沈黙。

 

「……どうする?」

 

ヨゾラが聞く。

 

ミラジェーンは、少しだけ考える。

 

そして――

 

「言わない方がいい」

 

はっきりと言う。

 

「……理由は?」

 

「壊れるからよ」

 

静かに答える。

 

「……」

 

「この場所も」

 

周囲を見渡す。

 

「ウェンディの心も」

 

その言葉。

 

重い。

 

「……」

 

ヨゾラは、少しだけ目を閉じる。

 

「……嘘になる」

 

ぽつりと呟く。

 

「ええ」

 

ミラジェーンは否定しない。

 

「でも」

 

優しく言う。

 

「優しい嘘もあるわ」

 

「……」

 

「守るための嘘」

 

ヨゾラの目が、わずかに揺れる。

 

「……嫌いじゃない」

 

小さく言う。

 

「でも得意じゃない」

 

「知ってる」

 

ミラジェーンがくすっと笑う。

 

「顔に出るもの」

 

「……そうか」

 

少しだけ苦笑する。

 

「じゃあ」

 

ミラジェーンが続ける。

 

「私がフォローするわ」

 

「……頼む」

 

素直に言う。

 

その時。

 

「ヨゾラさん!」

 

元気な声。

 

振り向くと――

ウェンディが走ってくる。

 

「一緒に外、行きませんか!?」

 

「……外?」

 

「はい!」

 

にこっと笑う。

 

「この辺り、景色すごく綺麗なんです!」

 

「……」

 

ヨゾラは、少しだけミラジェーンを見る。

 

ミラジェーンが小さく頷く。

 

(今は――そのままでいい)

 

その合図。

 

「……ああ」

 

ヨゾラが答える。

 

「行く」

 

「ほんとですか!?」

 

ぱっと顔が明るくなる。

 

「やったぁ!」

 

その笑顔。

 

あまりにも無垢で。

 

「……」

 

ヨゾラは、ほんの少しだけ目を伏せる。

 

(……守る)

 

心の中で呟く。

 

この笑顔を。

 

壊さないために。

 

「じゃあ行きましょう!」

 

ウェンディが手を引く。

 

「……ああ」

 

ヨゾラは、その手を振り払わない。

 

その後ろで――

 

ミラジェーンが静かに見守る。

 

「……優しい世界ね」

 

小さく呟く。

 

「だからこそ――」

 

その先は、言わない。

 

風が吹く。

 

優しくて、どこか切ない風。

 

真実は、まだ――隠されたまま。

 

 




感想、評価、お気に入り、オリキャラ募集よろしくお願い致します!

ヒロインアンケート

  • ルーシィ
  • ミラジェーン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ベル・クラネルの代わりに世界を救うのは間違っているだろうか(作者:ただくも)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

 神代彼方は、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の世界に転移してしまった。▼ 彼は主人公ベル・クラネルの冒険を支え見届けようと決意した。しかし、世界が主人公不在というバッドエンド確定ルートに入っているとしたら?▼ボロボロになっても止まることを知らない主人公を見て周りが曇ってほしい、そんな自己満小説です。


総合評価:902/評価:8.05/連載:7話/更新日時:2026年07月26日(日) 00:02 小説情報

聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか(作者:フェイト・)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

神々の怠慢で死んだ青年が邪神様の手助けによってダンまちの世界に転生し、2度目の人生を歩む物語▼ーーー彼は全知全能の『神』ではない。▼ーーー彼は『英雄』ではない。▼ーーー彼は『勇者』でもない。▼ーーー彼は古代より英雄達の手助けをしてきた『精霊』なのだ。▼ハーメルンで多くの作品を読んでいるうちに書きたくなって書いてみました。▼


総合評価:5155/評価:8.3/連載:53話/更新日時:2026年10月07日(水) 16:54 小説情報

ダンジョン潜って5年、地上に出たら色々変わってました。(作者:一般通過社会人)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ダンジョンで5年過ごした主人公がやらかす、ドタバタコメディ!(なお周りは曇る模様。)


総合評価:2943/評価:7/連載:54話/更新日時:2026年10月13日(火) 22:21 小説情報

0.1%の積み重ね(作者:仮面のカルメン)(原作:HUNTER×HUNTER)

HUNTER×HUNTERの世界に転生したフクリ。▼戦闘の才能は普通。努力もできればしたくない。▼そんな彼が作ったのは、念能力に使えるメモリが毎日0.1%ずつ増えていく能力「複利」。▼時間を味方につけ、増え続けるメモリで新たな能力を作りながら、少しずつ強くなっていく。▼これは、才能ではなく“積み重ね”で最強を目指す男の物語。▼※時系列、年齢がおかしくなってい…


総合評価:7502/評価:7.72/連載:46話/更新日時:2026年08月11日(火) 12:40 小説情報

卍解までは転生者の嗜み。(作者:点差惨敗)(原作:BLEACH)

ナチュラルボーンド畜生主人公が無双する話


総合評価:48015/評価:8.92/連載:39話/更新日時:2026年10月17日(土) 17:47 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>