お姉さんに連れられて、ついに魔条にやってきた。道中の馬車は寝ちゃったから、景色とかは見てない。
魔条はとにかくデッカイ。土地も広いし、建物もぜんぶ大っきい。
ローブを中に着て、もこもこになったメイド服姿のまま、お姉さんの手に繋がれて歩いている。
歩幅に差があるから、お姉さんが合わせてくれているけど、手をつなぐとなると確実にお姉さんが屈む必要があるから、ちょっと大変そうな姿勢になっている。
「……なぁ、あれってどういう……?」
「……珍しいというか、な」
町中の魔族さんたちの視線が痛い。まったく、お姉さんが変な姿勢で手を繋いでるから、私まで変な目で見られちゃうよ。
「ふふんっ……」
でも、私は大人だからね。ちゃんと配慮だって出来る偉い子なんだ。
「……あら?リーシャンちゃん、背伸びなんかしちゃって〜!もしかして、アタシに合わせてくれてるのかしら……?」
「当然っ!お姉さんみたいにおっきくなるには、こういうところからね〜っ!」
お姉さんが喜んでると、なんだか私まで機嫌が良くなっちゃう。
まぁこれも、ヴァロストロさんのマナー講習のおかげなのかな?
前の私だったら、こんなに自信なんて持てなかった気がするし。
いま歩いてるのは、灰色のレンガ造りの道。レンガとレンガの間に、黄色というか、白っぽい砂か何かが敷き詰められてる。
バイトコルの全体的に白っぽい道とはちょっと違うから、けっこう新鮮。
ふと、お姉さんが私の手を握る力がぎゅっと強くなった。
周りを見てみるけど、とくになにも怖いこととかはない……。
うーん……これはつまり…………お姉さんが寂しくなっちゃったんだね?まったく、私がそばにいるっていうのに……ふふんっ……。
お姉さんに合わせてあげてると、次第におっきなおっきなお城が見えてきた。……いや、さっきから見えてはいたんだけどね。すっごいでかいし。近くで見ると壮観だ。
「……お姉さん、あそこ?」
「えぇそうよ!アタシにかかれば……いえ、アタシとリーシャンちゃんがいれば、昭魔気質の古い大人顔負けの言いあ…………話し合いができるわ!」
「おぉ~!……えっと……昭魔って?」
私がそう聞くと、お姉さんはうーんと考え込むように首を少し傾げた。
「魔条って、昔堅物というか、頭が岩盤のようにお硬いお国だったのよ。その時代が昭魔ね。たしか200年前とか……いや、もうちょっといくわね。だいたいそれくらいだったかしら。その頃に生まれた魔族は、一概には言えないけれど、だいたい古い価値観で止まってるのが現実よ。その点、リーシャンちゃんは可愛さたっぷり!愛嬌たっぷりで最高だわ〜!」
お姉さんが足を止めて、わざわざ私の肩をさすりはじめた。そうかな?私って、そんなに最高かなぁ?……ふふっ……えへへっ……。