しかし朝からパチュリーの“サボりチェック”に振り回され、咲夜には差し入れと脅しを同時に受け、さらに魔理沙が突然の勝負を仕掛けてくる。
戦闘の余波で門は黒焦げ。
最後にレミリアから「夕食後に門の修理ね」と冷静に言われ、美鈴は絶望。
今日も門は平和じゃない。美鈴だけがつらいのだった。
紅魔館の朝は早い。
……いや、正確には美鈴だけが早い。
「ふぁ〜……今日も門番、がんばるぞ〜……」
気合いの入らない声とともに伸びをする美鈴。
その背後で、門の影からひょっこり顔を出す影があった。
「おはよう、美鈴。今日もサボってるのかしら?」
「サボってませんよ!? 今から働くところです!」
影の正体は、パチュリー。
寝不足の魔女は、なぜか毎朝美鈴のサボりチェックをするのが日課になっていた。
「じゃあ、今日の“サボりチェック”ね。
まずは……“門の前で寝てないか”」
「寝てません!」
「“門の裏で寝てないか”」
「寝てませんってば!」
「“門そのものになりきって寝てないか”」
「そんな高度なサボり方しません!」
パチュリーは満足げに頷く。
「よし、今日も異常なし。じゃあ私は寝るわね」
「寝るんかい!」
ツッコミが紅魔館の空に響いた。
「おはよう、美鈴。今日も元気そうね!」
元気いっぱいの声とともに、咲夜が現れる。
手には銀のトレイ、上には紅茶とクッキー。
「差し入れよ。門番も大変でしょう?」
「咲夜さん……天使……!」
「でもサボったら没収だからね?」
「悪魔だった!」
美鈴がクッキーを守るように抱えたその瞬間——
ドゴォォォン!!
紅魔館の門が揺れた。
「な、何事!?」
「……あ、今日の“挑戦者”が来たみたいね」
咲夜は紅茶を飲みながら、まるで天気の話のように言った。
「門番! 勝負しろ!」
現れたのは、いつもの黒白の魔法使い——霧雨魔理沙。
「また来たんですか魔理沙さん!? 昨日も来たじゃないですか!」
「昨日は負けたからな。今日は勝つ!」
「昨日も今日も明日も来る気じゃないですか!」
魔理沙はキラリと笑う。
「安心しろ美鈴。今日は“本気”だぜ!」
「毎回言ってる!!」
魔理沙が箒にまたがり、魔法陣を展開する。
「恋符——」
「ちょ、待って待って! まだ心の準備が!」
「マスタースパーク!!」
「準備させる気ないじゃないですかぁぁぁ!!」
美鈴は門の前で華麗に回避しながら、叫び続ける。
「門が! 門が燃えちゃう!!
レミリア様に怒られるぅぅぅ!!」
「安心しろ美鈴! 今日は“手加減”してる!」
「その光の柱のどこが手加減なんですか!!」
戦いが終わり、魔理沙は地面に倒れ、美鈴は門の前で正座していた。
「……で、美鈴。これはどういうことかしら?」
腕を組んで立つのは、もちろんレミリア。
門の後ろ半分が黒焦げになっている。
「ち、違うんですレミリア様! 魔理沙さんが! 魔理沙さんが!!」
「言い訳は聞かないわ。
今日の夕食後、門の修理ね」
「ひぇぇぇ……」
魔理沙は倒れたまま親指を立てた。
「……いい勝負だったぜ、美鈴……」
「寝ててください!!」
紅魔館の空に、美鈴のツッコミが今日も響くのだった。