深淵の門—銀河英雄伝説異聞   作:でてこ@子(dc1394)

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第九話「一触即発」

三十九

 

 宇宙暦七九六年四月七日。「門の日」から二十四日目。

 

 ハイネセン、統合作戦本部、安全保障部会緊急会議。

 

 昨夜の小規模会合から一夜明け、事態は正式な議題として安全保障部会の机上に乗っていた。出席者は前夜より広く、軍人だけでなく国防委員会の文官、外交官、そしてヨブ・トリューニヒト国防委員長まで含まれていた。

 

 ヤン・ウェンリーは、末席に座って紅茶のカップを手にしていた。冷めかけていた。三杯目だった。

 

 会議の冒頭で、無人探査機事件の経緯が報告された。情報部門の独断による派遣。帝国側による撃墜。残骸の回収状況。情報部門の代表は事件の重要性を矮小化しようとしたが、ビュコック中将がそれを許さなかった。

 

 「事故ではない。我が方が無人とはいえ軍事偵察機を敵国の防衛宙域に送り込んだ。これは敵対行為だ。帝国がそう受け取らないと考えるのは、希望的観測にすぎん」

 

 ビュコックの低い声に、情報部門の代表は黙った。

 

 シトレ元帥が議論を引き取った。

 

 「事態の重さは共有されたものとする。次の議題は対応策だ。ヤン少将、君の昨夜の提言を、この場で改めて述べてくれ」

 

 ヤンは立ち上がった。紅茶のカップをテーブルに置いた。

 

 「二つの対策が必要です。第一に、帝国との暫定的な不交戦合意——ただし対象はワームホール戦線に限定します。イゼルローン回廊を含む従来の戦線は対象外です。今回の事件で壊れた『ワームホール経由では攻めない』という暗黙の了解を、明示的な合意として結び直すこと。第二に、そしてこちらがより急務ですが、帝国側の現場指揮官と直接通信できる回線の確立。今回の事件を『情報部門の独断であり、同盟政府の意思ではない』と帝国側に説明する手段がなければ、向こうは『同盟は本気でワームホール戦争を始めた』と認識したまま、対抗措置を取ります」

 

 ここで、フォーク准将が立ち上がった。

 

 「シトレ元帥、発言を求めます」

 

 シトレが頷いた。フォークは会議室を見渡してから、口を開いた。今度は前回のような演説調ではなかった。声には別種の鋭さがあった。

 

 「ヤン少将の分析については、技術的な異論はありません。しかし、提案の政治的意味については、強く異を唱えます」

 

 フォークは一拍置いた。

 

 「不交戦合意——少将は『暫定的な』と前置きされ、対象を『ワームホール戦線に限定』とおっしゃった。しかし、限定であろうと暫定であろうと、同盟が帝国に対して『合意』を提案するという事実そのものが、政治的には致命的です。我々は、今回の事件で、何を提案しようとしているのか。考えていただきたい——同盟側の無人探査機が帝国側に侵入し、帝国軍がそれを撃墜した。このやりとりの後で、同盟側から先に『話し合いましょう』と言うのですか」

 

 フォークの視線は、ヤンを越えて、会議室の文官たちに向けられていた。

 

 「これは、帝国に対して『先に頭を下げる』ことを意味します。そして帝国は、同盟が頭を下げたという事実を、自国の市民に対しても、フェザーンに対しても、宣伝するでしょう。『叛徒どもが、ワームホールという新しい戦場で、こちらに合意を懇願してきた』と。そう報じられた瞬間、ワームホール出現から今日まで我々が築いてきた『同盟は帝国と対等に渡り合える』という認識——これは同盟市民の士気の根幹です——その認識が崩れます。崩れた士気は、軍事力では立て直せません」

 

 会議室の文官の何人かが、視線を交わした。フォークの言葉には、軍事論ではなく政治論の重みがあった。

 

 「それだけではありません」

 

 フォークは続けた。

 

 「『合意』を結ぶということは、相手を正統な交渉相手として認めるということです。ゴールデンバウム王朝は、我々の建国以来、打倒すべき圧政の象徴でした。一五〇年の戦争は、その圧政との戦いだった。今、ワームホール戦線に限定とはいえ、我々が彼らと『合意』を結べば、我々は彼らを『交渉相手』として制度的に認めることになる。それは、一五〇年の戦争の意味そのものを揺るがしかねません」

 

 フォークの声には、初めて、ある種の真剣さがあった。第六話で見せた高揚とは違う、もっと冷たい真剣さだった。

 

 「もちろん、戦術的には、ワームホール戦線での衝突を避ける必要性は理解します。しかし、その必要性は、別の手段——たとえば非公式の現場間連絡、第三者を介した間接的なメッセージのやりとり——で達成できるはずです。なぜ『合意』という、最も象徴的な、最も政治的な形を選ぶのですか」

 

 会議室の空気が、わずかに変わっていた。誰もが、フォークの主張の本質的な弱さも知っていた。それでも、彼の提起した問いそのものには、無視できない部分があった。

 

 ヤンは、紅茶のカップに目を落とした。フォークの今日の主張は、第六話の主張とは違っていた。前回のフォークは、報告書の解釈を巡って演説した。今日のフォークは、提案の政治的な意味を問うていた。論点としては、今日の方が筋が良かった。半分は正しかった。半分は正しいからこそ、厄介だった。

 

 「准将のお話は、半分は当たっています」

 

 ヤンは紅茶のカップから顔を上げた。

 

 「同盟側から先に合意を提案することが、政治的に痛手になる可能性。これは事実です。帝国側は、それを宣伝に使うかもしれません。私もそれは予想しています」

 

 フォークの目に、わずかな期待の色が浮かんだ。ヤンが自分の論点を認めたと感じたのかもしれない。

 

 「ただ、もう一つの可能性も考えてください」

 

 ヤンは続けた。

 

 「合意を提案しなかった場合、何が起きるか。今回の事件の後、両陣営の現場には『相手は本気で攻めてくる』という認識が広がっています。この認識のままでいくと、次に同じような事件が起きたとき——次は無人機ではなく有人機かもしれない——現場の判断は、もっと過激な方向に向かいます。撃墜から先制攻撃へ、先制攻撃から偶発的な戦闘へ。誰も望まない戦争が、誰も止められないところで始まります」

 

 ヤンは一拍置いた。

 

 「合意を提案しないことの代償は、政治的な体面ではなく、実際の戦闘です。実際の戦闘が始まれば——たとえそれが小規模なものでも——『同盟が帝国に頭を下げた』という宣伝の比ではない損害が出ます。市民の犠牲、艦艇の損失、そして何より、不戦の前提そのものの完全な崩壊です」

 

 ヤンはフォークを正面から見た。

 

 「政治的な体面と、実際の戦闘。両方を天秤にかけて、私は前者を選びます。その方が、損害が少ないからです。准将は後者を選ばれるのですか」

 

 フォークは即答できなかった。「実際の戦闘」を選ぶとは、彼にも言えなかった。彼の主張の前提には「合意なしでも戦闘は回避できる」という暗黙の希望があった。しかしヤンは、その希望が成立しないことを示そうとしていた。

 

 フォークは、別の角度から食い下がった。

 

 「非公式の連絡という選択肢があります。なぜ公式の合意でなければならないのですか」

 

 「非公式では、現場の判断を縛れないからです」

 

 ヤンは即答した。

 

 「非公式の連絡は、上層部の意思を伝えるだけです。現場の指揮官——たとえば今回、無人探査機を撃墜した哨戒艇の艦長のような——は、非公式の連絡の存在を知らないか、知っていても自分の判断を縛るほどの拘束力を感じない。公式の合意であって初めて、現場の判断を拘束できます。准将のおっしゃる『非公式』では、次の事件は止められないのです」

 

 フォークは唇を噛んだ。会議室の他の出席者の視線は、明らかにヤンの側に傾いていた。フォークの政治論は、ヤンの実務論によって、半分は受け止められ、半分は乗り越えられていた。乗り越えられた部分は決定的だった。

 

 トリューニヒトが、ここで初めて口を開いた。

 

 「ヤン少将の提言を支持します」

 

 会議室の視線がトリューニヒトに集まった。彼はゆっくりと、演説の調子で続けた。

 

 「同盟市民の安全を最優先する我が国の伝統に照らせば、無用な戦闘を避け、対話によって事態を解決する道を選ぶのは当然のことです。ヤン少将の提案は、同盟の人道的精神を体現するものであります」

 

 ヤンは内心で身震いした。トリューニヒトに「支持」されることほど、自分の提案が政治的に利用される予兆はない。しかしこの場で、トリューニヒトの支持を断ることはできなかった。彼の支持があれば、不交戦合意は通る。それだけは確かだった。

 

 シトレ元帥が裁定を下した。

 

 「ヤン少将の提言を採用する。暫定的な不交戦合意の交渉、および直接通信回線の確立を、最優先の課題とする」

 

 そして、シトレは続けた。

 

 「交渉の窓口には、ヤン少将を指名する」

 

 ヤンは予想していた言葉を聞いた。予想していたが、聞いた瞬間の重さは予想していなかった。

 

 「ヤン少将は、ワームホールの物理的性質と戦略的含意を最も正確に把握している。交渉の実務的条件を策定できる人物は、君以外にいない。これは命令だ」

 

 ヤンは敬礼した。それ以外にできることはなかった。

 

 会議が散会した後、ビュコックがヤンの肩に手を置いた。

 

 「貧乏くじだな」

 

 「……はい」

 

 「だが、お前さんしかおらん。本当に、お前さんしかおらんのだ」

 

 ヤンは答えなかった。答える言葉が見つからなかった。

 

---

 

四十

 

 帝国暦四八七年四月七日。同日。

 

 オーディン、旗艦《ブリュンヒルト》。

 

 ラインハルトの執務室には、キルヒアイスとオーベルシュタインが揃っていた。

 

 無人探査機事件の報告は、既にラインハルトの手元にあった。同盟側からの公式な通告はまだない。しかし、同盟が事態の重さを理解していないとは思えなかった。あの国にも、状況を正確に読める人間はいるはずだった。

 

 「閣下、進言があります」

 

 オーベルシュタインが切り出した。

 

 「言ってみろ」

 

 「同盟との暫定不交戦合意を、こちらから提案すべきです」

 

 ラインハルトの眉が、わずかに動いた。

 

 「我々から、か」

 

 「はい。同盟側が提案してくる前に、こちらから動くことに意味があります」

 

 オーベルシュタインの義眼に光はなかった。彼は淡々と論理を展開した。

 

 「現状、双方とも『攻めない』状態にありますが、その前提は今回の事件で揺らいでいます。同盟側でも、対応について議論しているはずです。同盟内部に強硬派が存在し、彼らがイゼルローン攻略を主張するなら——たとえ現実的でないとしても——その主張が政治的に通る可能性はあります。そうなる前に、こちらから合意の提案を行えば、同盟内部の冷静な側を支援することになります」

 

 「同盟の内政を支援する、と」

 

 「結果としてはそうなります。しかし、それが我々の利益になります」

 

 ラインハルトは指で机を叩いた。

 

 「合意で時間を稼ぐ、ということだな」

 

 「その通りです。合意で時間を稼ぎ、その間にイゼルローン防衛、技術開発、そして情報活動の基盤構築を——」

 

 オーベルシュタインは、そこで言葉を切った。それ以上は口にする必要がなかった。ラインハルトはその先を理解していたし、キルヒアイスもまた理解していた。

 

 キルヒアイスが口を挟んだ。

 

 「合意は、結ばれたら守られなければならないものです。時間稼ぎとして結ぶのであれば——」

 

 「キルヒアイス」

 

 ラインハルトが穏やかに遮った。

 

 「お前の言うことは分かっている。だが、今は別の問題がある。カストロプが動き出している。後方が崩れかけている時に、前方で同盟と対峙し続けることはできない。私が貴族連合と正面から戦う日が来るとすれば、その時に同盟も同時に動かれては困る。後方を静めるために、前方の合意が必要だ」

 

 キルヒアイスは黙った。ラインハルトの論理は正しかった。正しさと、合意を時間稼ぎとして使うことの問題は、別の次元にあった。

 

 ラインハルトはオーベルシュタインに向き直った。

 

 「合意の交渉窓口は、誰にする」

 

 「閣下が直接交渉に出ることは、政治的に不可能です。門閥貴族が『叛徒と直接交渉した』と攻撃材料にします。閣下のお名前は、合意文書のどこにも残らない方がよろしい」

 

 「では、誰に任せる」

 

 オーベルシュタインの義眼が、わずかにキルヒアイスの方へ向いた。

 

 「キルヒアイス少将が適任です」

 

 キルヒアイスが顔を上げた。

 

 「私が、ですか」

 

 「はい。ジークフリード・キルヒアイス少将は、ワームホール内部の偵察を直率した現場指揮官です。『現場指揮官同士の実務的連絡』という形式で交渉を進めれば、政治的な意味を持たせずに済みます。閣下のお名前を出す必要もない。同時に、少将の階級と立場であれば、相応に重みのある交渉が可能です」

 

 ラインハルトは数秒考えた。

 

 「キルヒアイス、できるか」

 

 「……はい」

 

 キルヒアイスは答えた。即答ではなかった。一瞬の間があった。その間に、彼は何を考えたのか——ラインハルトには見えなかった。あるいは、見ないことを選んだ。

 

 「では、お前に任せる。同盟側の窓口が誰になるかは、向こうの判断次第だ。先方からの接触を待て」

 

 オーベルシュタインが退室した後、ラインハルトはキルヒアイスに言った。

 

 「お前に押し付けてしまったな」

 

 「いえ」

 

 「気が進まないなら、断ってよかった」

 

 「断れないことは、ご存知のはずです」

 

 ラインハルトはわずかに苦笑した。

 

 「そうだな。済まない」

 

 キルヒアイスは答えなかった。代わりに、別のことを口にした。

 

 「同盟側の窓口は、おそらくヤン・ウェンリーでしょう」

 

 「ほう」

 

 「アスターテで撤退戦を指揮した人物です。そしてあの国でワームホールの戦略的含意を最も理解しているはずの人物です。こういう交渉を任せるとしたら、彼以外にいません」

 

 「面白い」

 

 ラインハルトは窓の外を見た。

 

 「あの男と、お前が話すことになるのか。……興味深い組み合わせだな」

 

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四十一

 

 宇宙暦七九六年四月九日。「門の日」から二十六日目。

 

 ハイネセンとオーディンの間では、二日間の準備期間が費やされていた。

 

 通信回線そのものを物理的に確立するための準備だった。ワームホールを介した通信は不可能なので——ワームホール内部では長距離通信が機能しない——双方とも、ワームホール出口付近の通常空間に通信艦を配置し、従来の超光速通信で結ぶ必要があった。これは、双方とも自軍の艦艇を「敵が出現する可能性のある最も危険な宙域」に留め置くことを意味した。

 

 通信艦を配置するという行為自体が、互いに対する信頼の表明だった。撃つつもりなら、まず通信艦を撃つだろう。撃たない、と双方が暗黙のうちに約束しなければ、通信艦の配置自体ができない。

 

 二日間の準備の中で、双方は事務レベルの予備接触を重ねた。窓口担当者の身元確認。通信艦の正確な座標。通信プロトコルの規格すり合わせ。中継地点の設定。言語の選択——帝国語で行うか、同盟公用語で行うか。後者の交渉は、わずかに難航した。最終的に、帝国語を使うことになった。理由は実務的だとされた——キルヒアイス少将が同盟公用語を解さない、という同盟側への通告があったからだ。

 

 ヤンはその通告を読んで、薄く笑った。

 

 ジークフリード・キルヒアイス——士官学校を上位の成績で卒業した有能な人物。その種の士官が同盟公用語の運用能力を全く持たないというのは、あり得ないわけではないが、偶然にしては都合が良すぎる気もした。

 

 解さないふりをしている可能性があるな、とヤンは思った。ただ、そう仮定したからといって、こちらの取るべき行動は変わらない。指摘しても得るものはなく、むしろ指摘しないことに意味がある。帝国語で話す。それだけだった。

 

 通信が始まる予定の二時間前、ヤンは旗艦《ヒューベリオン》の通信室にいた。第一三艦隊はまだ完全には編成されていなかったが、ワームホール戦略分析責任者としての任務のために、ヤンは旗艦を執務拠点として使うことを許されていた。

 

 フレデリカ・グリーンヒル中尉が、紅茶のカップを差し出した。普段より少しだけ濃い目に淹れたものだった。気付いたヤンが、わずかに眉を上げた。

 

 「いつもより濃いですか」

 

 「はい」

 

 フレデリカはそれだけ答えた。理由を説明する必要はないと判断したのか、説明する言葉を選んでいる途中だったのか、ヤンには分からなかった。ただ、その短い答えの中に、副官が上官の状態を読んだ上での選択があることだけは、ヤンにも伝わった。

 

 「ありがとう」

 

 ヤンはそう言って、紅茶を一口飲んだ。普段より濃い味が、舌の上でわずかに苦かった。それでも、フレデリカの淹れる紅茶は、いつも適温だった。

 

 「私は通信室の隅で控えています」

 

 「ああ」

 

 通信が始まるまで、あと一時間五十分。

 

 ヤンは紅茶を傍らに置き、目を閉じた。これから話す相手は、ジークフリード・キルヒアイス少将——という名前は、同盟側の事前情報で既に知っていた。アスターテ会戦には参加していない。ラインハルト・フォン・ローエングラムの幼馴染にして腹心。ワームホール出現後の偵察隊を直率した人物。

 

 どんな男だろうか。ヤンは想像してみた。想像はすぐに無意味だと気づいた。会えば分かる。会わなければ分からない。それだけだった。

 

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四十二

 

 通信開始時刻。

 

 ヤンは通信端末の前に座っていた。背後にはシトレ元帥の代理としてクブルスリー中将、通信管理のための技術官、記録係、そして部屋の隅にフレデリカ。表向きは「現場指揮官同士の実務的連絡」だが、実態としては同盟政府の意思を背負った交渉だった。背後の視線を、ヤンは意識しないようにした。意識すれば、言葉が硬くなる。

 

 通信が接続された。

 

 画面に映ったのは、赤毛の若い少将だった。年齢はヤンより下だろう。二十前後。穏やかな表情をしていたが、その奥に隙のない注意深さがあった。

 

 画面の向こうの赤毛の若者は、ヤンと同じ少将の階級章をつけていた。同じ階級の二人の軍人が、画面を挟んで向かい合っている。互いに自分の意志ではこの机の上の交渉すら自由にできない立場で。

 

 「同盟軍ヤン・ウェンリー少将。お会いできて光栄です」

 

 帝国語だった。発音は明瞭で、しかし帝国の上流階級特有の硬さはなかった。

 

 「銀河帝国軍ジークフリード・キルヒアイス少将」

 

 ヤンも帝国語で応じた。母音の開き方に、わずかにバーラト星系の癖が出た。それでもキルヒアイスは表情を変えなかった。

 

 「お会いできて光栄、というのは、外交辞令としては正しいですが——おそらく、この状況では適切ではないかもしれません」

 

 ヤンは率直に切り出した。

 

 「我々は、無人探査機事件の後始末をするためにこの場にいます。両陣営とも、事態を悪化させたくないと考えている。それで一致しているなら、そこから始めましょう」

 

 通信には微妙な遅延があった。中継を複数挟んでいるためだろう。キルヒアイスの返答までに、一秒以上の間があった。表情を読みにくくする遅延だった。

 

 「同感です」

 

 キルヒアイスはようやく答えた。

 

 「ヤン少将の率直さに、こちらも率直にお応えします。先日の事件について、我が方の現場指揮官は規定通りの対応を取りました。しかし——その対応が、双方の不戦の前提を揺るがしたことは、我が方も認識しています」

 

 帝国側の認識は、ヤンが想定していた通りだった。「規定通りの対応」と「前提が揺らいだ」を同時に認める。撃ったことの正当性は維持しつつ、結果の重さは認める。外交的な答えとしては完璧だった。

 

 「では、合意の条件について話しましょう」

 

 ヤンは紅茶のカップに視線を落としかけて、やめた。この場では落ち着き払った仕草を見せる方が良い——という計算が、無意識に働いた。情けない、とヤンは思った。自分は自然体でいたいのに、自然体でいることが許されない場所にいる。

 

 「まず、合意の対象範囲について確認させてください。今回の合意は、ワームホールを介した軍事行動のみを対象とする。従来のイゼルローン回廊を含む、他の戦線における軍事行動は、この合意の対象外とする。この理解で間違いありませんか」

 

 キルヒアイスの返答までに、わずかな間があった。

 

 「……間違いありません。我が方も、合意の対象はワームホール経由の軍事行動に限定すべきだと考えています」

 

 双方ともに、その確認の意味を理解していた。両陣営とも、従来の戦線——イゼルローン回廊——における軍事行動を放棄するつもりはない。ワームホールという新しい接触面についてのみ、当面の不戦を約束する。それは「平和」ではなく、「新しい戦線における事故の防止」だった。

 

 ヤンは内心で、苦さを感じた。本当はもっと広い合意を結びたかった。しかし広すぎる合意は、両陣営の上層部のいずれからも承認されない。狭い合意でなければ、合意そのものが成立しない。狭い合意は、合意の名に値するのかどうか——その問いは、ヤンの中で答えのないまま留保された。

 

 「ありがとうございます。では、ワームホール出口付近の警戒線について。ご承知の通り、ワームホールは厚さの極薄い円盤状の構造であり、円盤の表側からのみ艦艇が出現します。直径は約一万二千キロメートル。出現位置は円盤の表面のどこかですが、出現後に艦艇が展開する方向は、円盤の表側に広がる円柱状の宙域に限られます」

 

 「その認識は、我が方も同じです」

 

 キルヒアイスの返答は早かった。双方とも偵察を重ねた結果、ワームホールの幾何学的性質については同じ理解に到達していた。このことは交渉の前提として共有できる。

 

 「では、警戒線は球状の半径ではなく、円盤の表側に広がる円柱状の宙域として定義しましょう。具体的には、円盤の中心から円盤面に垂直な方向——つまり相手首都方面——に三十万キロメートル、円盤面に平行な方向には円盤の縁から外側に二十万キロメートル。この円柱状の宙域の内側では、両軍ともワームホール経由の軍事行動を行わないこととする」

 

 「ご提案の方向性には同意し——」

 

 キルヒアイスの返答とヤンの次の言葉が、通信の遅延のせいで一瞬重なった。ヤンは口をつぐんだ。キルヒアイスも同じく止まった。一秒ほどの気まずい沈黙があった。

 

 「失礼。続けてください」

 

 ヤンが先に言った。

 

 「ご提案の方向性には同意します。ただし、垂直方向三十万キロメートルでは、防衛上の最低ラインに近い。我が方は五十万キロメートルを提案します」

 

 通信室の隅から、技術官が小さく口を挟んだ。

 

 「閣下、確認させてください。『円盤面に垂直な方向』というのは、円盤の中心から立てた垂線方向、ということでよろしいですね。円盤の縁から立てた垂線ではなく」

 

 ヤンは技術官に頷いてから、画面のキルヒアイスに向かって言った。

 

 「キルヒアイス少将、念のため用語の確認を。我が方の言う『円盤面に垂直な方向』は、円盤の中心から立てた垂線、つまり円盤の中央から相手首都方面に向かう方向です。この理解で合意できますか」

 

 「同意します。我が方も同じ理解です」

 

 帝国語の専門用語をめぐる確認だった。本来であれば事前に事務レベルで詰めておくべき事項だが、円盤型のワームホールという新奇な対象を扱う以上、用語の擦り合わせはどうしても本番で発生する。ヤンはそれを面倒だとは思わなかった。むしろ、この種の確認を一つずつ積み重ねることが、合意の実体を作っていく作業だった。

 

 「では戻ります。垂直方向三十万キロメートルか、五十万キロメートルか」

 

 ヤンは数秒考えた。距離はワームホールから首都まで八〇万キロメートル。垂直方向五十万キロメートルでは、警戒線が首都圏のかなり近くまで迫る。しかし三十万キロメートルでは、帝国側が同じ懸念を持つ。

 

 ヤンは画面から少しだけ視線を外し、背後の技術官に小声で訊いた。

 

 「四十万なら、ハイネセン側からの偵察ローテーションは現状の体制で回せるか。一日二回の巡回で足りるか、それとも三回必要か」

 

 技術官は手元の端末を一拍だけ操作してから答えた。

 

 「四十万なら二回でぎりぎり、四十五万を超えると三回必要になります」

 

 ヤンは小さく頷いてから、画面のキルヒアイスに向き直った。

 

 「失礼しました。垂直方向四十万キロメートル、平行方向は円盤の縁から三十万キロメートル、ではいかがでしょうか」

 

 「平行方向については、我が方は円盤の縁から二十万キロメートルでよいと考えていますが」

 

 ヤンは一瞬、顔をしかめた。垂直方向の譲歩を引き出すために平行方向を増やしたのだが、キルヒアイスは平行方向の方を削ろうとしている。同じ円柱の宙域でも、二つの数値の組み合わせは無数にあり、双方がどちらを重視するかが見えてくる。

 

 「平行方向の数値について、我が方が三十万を主張する理由をお伝えします。円盤の縁付近に出現した艦艇が、円盤面に沿って滑るように展開することを想定しています。二十万では、その種の展開を捕捉する余裕がない」

 

 キルヒアイスは即答しなかった。一秒、二秒。通信の遅延以上の沈黙だった。

 

 「……三十万という数値について、我が方の懸念を申し上げてもよろしいでしょうか」

 

 キルヒアイスは慎重に切り出した。

 

 「平行方向三十万では、円盤の縁から外側に向かって、我が方の常時哨戒範囲とかなり重なります。重なる宙域では、我が方の哨戒艇が偶発的に同盟側の警戒網に触れる可能性が出てきます。今回のような事件を防ぐための合意なのに、合意の地理そのものが事件を呼び込む形になりかねません」

 

 今度はヤンが沈黙する番だった。キルヒアイスの懸念は、外交的な交渉技術ではなく、実務的な指摘だった。一度撃った側だからこその警戒だった。

 

 「……理解しました。では、平行方向は二十五万キロメートル。お互いの哨戒範囲との重複を最小限にする値として」

 

 「二十五万であれば、合意できます」

 

 また遅延があった。キルヒアイスは即答しなかった。背後で誰かと相談しているのかもしれないとヤンは思った。あるいは、自分の判断を確認するために間を置いただけかもしれない。どちらにせよ、この場のキルヒアイスは「自分の判断」で話しているわけではない。背後にラインハルトの意向がある。ヤンの背後にシトレの意向があるのと同じように。

 

 二人とも、代理人として話していた。

 

 「警戒線の幾何学について、もう一点確認させてください」

 

 ヤンは続けた。

 

 「円盤の裏側——つまり相手首都方面とは反対側——には警戒線を設けない。なぜなら、ワームホールの裏側からは艦艇が出現しないからです。この理解で間違いないですね」

 

 「間違いありません。裏側は、どちらの陣営にとっても通行不能な空間です」

 

 キルヒアイスは少し考えてから付け加えた。

 

 「ただし、ワームホールの裏側に艦艇を配置することについては、合意の対象外としていただきたい。我が方は、ワームホールの裏側を観測拠点として使う可能性があります。同盟側にもその権利を認めます」

 

 ヤンは一拍置いた。キルヒアイスの提案の趣旨は理解できた。しかし、その言い方には一つの穴があった。

 

 「ご提案の趣旨は理解します。ただ、一点確認させてください」

 

 ヤンは紅茶のカップに手を伸ばしかけて、やめた。

 

 「裏側に置く艦艇を『観測目的のもの』に限定する、と明記したいのです。物理的には、裏側半球はそれぞれの自陣営の首都近傍宙域ですから、我が方が我々の裏側に何を置いても、帝国側には物理的に到達する経路がありません。逆もまた同じです。この意味で、裏側半球の艦艇配置は、現時点では相手の直接の脅威にはなりません。その限りで、少将のおっしゃる通り、合意の対象から外しても実害はない」

 

 「しかし——」

 

 ヤンは続けた。

 

 「三つの理由から、『観測目的に限定する』と明文化する方がよいと考えます。一つ目は、将来の技術変化への備えです。私の報告書でも触れましたが、ワームホール内部の物理的制約を克服する技術が、双方どちらかの陣営で、いずれ開発される可能性は否定できません。もしその技術が現れた場合、裏側半球の艦艇配置の意味は、根本的に変わります。その時に条文を楯に引き下げを交渉するには、今のうちに規範を置いておく方が遥かに容易です。後から条項を足す交渉は、ゼロから合意を結び直す交渉に近い」

 

 キルヒアイスの目が、わずかに動いた。続きを待っているのが、画面越しにも分かった。

 

 「二つ目は、諜報経路の可能性です。我が方の裏側半球にも、貴方方の裏側半球にも、それぞれの自陣営の首都近傍とはいえ、諜報経路で正体不明の艦艇が紛れ込む可能性はゼロではありません。合意文面に『観測目的に限定する』と明記されていれば、そうした艦艇が発見された場合、合意違反として外交的に追及できます。規範がなければ、発見しても追及の根拠になりません」

 

 「三つ目は——これは少し感情の問題でもありますが——『相手が裏側に何隻並べているか』という数字は、フェザーン経由で双方に伝わり続けるでしょう。現時点では伝わっていないかもしれませんが、いずれ伝わります。その数字が戦闘艦を含めて積み上がっていけば、両陣営の中に『相手は合意の精神を守る意思があるのか』という疑念が育ちます。疑念は、合意そのものの寿命を縮めます。数字が観測艦だけで構成されていれば、その疑念の育つ速度は、少なくとも遅くなります」

 

 通信に、二秒ほどの遅延があった。遅延以上の沈黙だった。

 

 「……少将のおっしゃる論点のうち、一つ目と二つ目は、純粋に実務的な論点として理解しました。三つ目については——」

 

 キルヒアイスは言葉を選んでいるようだった。

 

 「三つ目は、物理的な論点ではありませんが、合意を維持するための論点としては、最も重いかもしれません。我が方が承認します。裏側半球における艦艇配置は、観測目的に限定する。合意文書にそう明記してください」

 

 ヤンは頷いた。

 

 「同意します。『ワームホール円盤の裏側半球における艦艇配置は、観測目的に限定する』——この一文を合意文書に明記します」

 

 ヤンは、資料にもう一度目を落としてから、続けた。

 

 「無人機と探査機の取り扱いについて、もう一点確認させてください。警戒線の内側——円柱状宙域の内側——に、探査目的の無人機や有人機を投入することは、どう扱いますか」

 

 キルヒアイスは一秒ほど考えてから答えた。

 

 「禁止でよいかと思います。『軍事行動ではなく探査である』という解釈の余地を残せば、今回のような事件が再発する余地を残すことになります。探査目的であっても、警戒線の内側への投入は禁止する——そう明記するのが、双方にとって安全です」

 

 ヤンは頷いた。

 

 「同意します。合意文書の文面には『警戒線の内側への無人・有人探査機の投入は、目的のいかんを問わず禁止する』と明記しましょう。これで、今回のような事件の再発は、文面上も、精神上も、防げます」

 

 「同意します」

 

 キルヒアイスの返答は早かった。

 

 「緊急時通信手順について。今後、現場で予期しない事態が発生した場合、即座にこの回線を通じて連絡する。回線は常時開いておく」

 

 「同意します。我が方も常時開きます」

 

 短い沈黙があった。

 

 「ヤン少将」

 

 キルヒアイスが、ややトーンを変えて言った。

 

 「一つだけ、外交辞令ではないことを申し上げてもよろしいでしょうか」

 

 「どうぞ」

 

 「この合意が守られることを願います」

 

 ヤンは画面の中のキルヒアイスを見た。穏やかな顔だった。しかしその穏やかさの奥に、何か別の感情が見えた——合意を結んでいる人間が、合意の脆さを既に知っている、という顔だった。

 

 ヤンは答えた。

 

 「無人機を撃つだけで済んでいるうちに合意できたのは、幸いですね」

 

 その言葉は、外交辞令ではなかった。半分は安堵で、半分は警告だった。次は無人機では済まないかもしれない。だから、今この瞬間に合意を結ぶ必要があった。

 

 キルヒアイスは頷いた。一瞬だけ、その目に何かが宿った——おそらく同意の何か。しかし二人とも、それを言葉にしなかった。

 

 通信は事務的な事項の確認で締めくくられた。合意文書のドラフトは、両陣営の事務官が翌日までに完成させる。署名は、それぞれの上層部の承認を経て、二日後に。

 

 通信が切れた瞬間、ヤンは椅子の背に深く沈み込んだ。冷めきった紅茶のカップを手に取り、一気に飲み干した。冷たく、苦かった。

 

 背後でクブルスリーが言った。

 

 「よくやった、ヤン少将」

 

 「……ありがとうございます」

 

 ヤンの声は、自分でも疲れていることが分かるほど枯れていた。

 

---

 

四十三

 

 同日、深夜。

 

 オーディン、旗艦《ブリュンヒルト》。

 

 キルヒアイスはラインハルトに報告を行った。

 

 「合意文書のドラフトは、明日までに作成されます。署名は二日後を予定しています」

 

 報告そのものは簡潔だった。ラインハルトは報告書に目を通してから、顔を上げた。

 

 「ヤン・ウェンリーは、どうだった」

 

 キルヒアイスは答えるまでに、いつもより長い間を取った。

 

 「……冷静で、率直で、無駄がない人物でした。背後にあるはずの政治的圧力を、表に出さない訓練ができている。そして——交渉の落としどころを、こちらが提示する前に既に把握していた」

 

 「つまり、有能だ、ということだな」

 

 「はい」

 

 ラインハルトは口元にわずかな笑みを浮かべた。

 

 「アスターテで撤退戦をやってのけ、今回の交渉も乗り越えた。撤退戦だけでなく、交渉もできるらしい。……面白い」

 

 その言葉には、賞賛と警戒の両方が含まれていた。ラインハルトはまだヤンを「対等の宿敵」とは見ていなかった。しかし「有能だが地位の低い敵の一士官」という認識からは、わずかに動いていた。「興味深い人物」へと。

 

 「キルヒアイス、お前は彼をどう見る」

 

 「……分かりません」

 

 キルヒアイスは正直に答えた。声に、わずかな疲れがあった。

 

 「一度の通信で人物を見極めることは、私にはできません。ただ、彼が望んでこの場にいるわけではないことは、感じました」

 

 「望んでいない、か」

 

 「はい。彼は戦争を望んでいない。しかし、戦争を止めるための合意を結ぶ立場に押し上げられている。その境遇は——」

 

 キルヒアイスは言葉を切った。「私と似ている」と続けようとしてやめたのか、あるいは別のことを考えていたのか。ラインハルトには分からなかった。あるいは、分かりたくなかったのかもしれない。

 

 短い沈黙の後、キルヒアイスは付け加えた。

 

 「ラインハルト様。今回の合意は、こちら側にとって有利な内容です。それは交渉の結果ではなく、こちらが先に提案したからです。先に提案した側が、条件を主導できる」

 

 「お前らしいな。自分の手柄を、誰かに譲ろうとしている」

 

 「手柄ではありません。事実を申し上げているだけです」

 

 キルヒアイスは少しだけ、視線を逸らした。報告書の端を、指で一度だけ撫でた。意味のない仕草だった。意味のない仕草が、彼の手から出ていた。

 

 ラインハルトはそれに気付いただろうか。気付いた上で、何も言わないことを選んだのかもしれない。

 

 「面白い男だ」

 

 ラインハルトはもう一度、同じ言葉を呟いた。

 

 窓の外にはオーディンの星空が広がっていた。一万光年離れた場所で、同じ星空ではないが、同じ宇宙の下で、ヤン・ウェンリーもまた今日の交渉について考えているのかもしれない。ラインハルトはふと、そんなことを思った。

 

---

四十四

 

 二日後、宇宙暦七九六年四月十一日。

 

 暫定不交戦合意は、両陣営の上層部の承認を得て、正式に発効した。

 

 合意文書には、ヤン・ウェンリー少将とジークフリード・キルヒアイス少将の名前が、それぞれの陣営の代表として記された。ラインハルト・フォン・ローエングラムの名前も、シトレ元帥の名前も、文書には現れなかった。「現場指揮官同士の実務的連絡」という形式が、最後まで維持された。

 

 合意の対象は、ワームホールを介した軍事行動に限定された。従来のイゼルローン回廊を含む他の戦線は、この合意の外側にあった。有効期間は当面六ヶ月。ワームホール円盤の周辺に設けられた円柱状宙域における不戦が、文書の中央に置かれた。

 

 形式上は「軍事的な事故の再発防止のための実務的取り決め」とされた。しかしその実質は、両陣営が「ワームホールを介した戦争を、当面行わない」ことを明示的に約束する初の文書だった。

 

 ハイネセンの新聞は、合意の成立を「平和への第一歩」と報じた。トリューニヒトは記者会見で「同盟政府の人道的な決断」を強調した。ヤンの名前は、署名者として小さく言及されただけだった。

 

 オーディンでは、合意は公式には報じられなかった。宮廷にも上奏されなかった。門閥貴族はその存在を知らなかった。

 

 二つの首都で、二人の若い軍人が、それぞれ合意文書のコピーを手にしていた。

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