我輩は寄生虫である   作:ナスの森

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我輩は寄生虫である

 

 我輩は寄生虫である。

 もっと正確に言うならばあのリサ・トレヴァーに寄生予定であった「Ne-α」プロトタイプに生まれ変わった元人間である。

 

 ・・・・・・さらにもっと正確に言うならば、リサ・トレヴァーに寄生して取り込まれた後、リサから分離した変異Ne-αがプロトタイラントに寄生し、追加投与された変異型t-ウイルスとリサの血漿の作用により、ウイルスにより形成した脳に“我輩”という人格が転写され再び蘇った寄生虫である。

 

 ・・・・・・いやもう意味分からんわ!

 

 なんで我輩、プロトタイラントの体で蘇っているんですかねぇ!?

 しかも分離された変異Ne-αとしての本能が、親元を宿しているリサを女王と認識したのか、まるで刷り込みの如く目覚め際にリサのことを『Queen』と呼んでしまう始末だし。

 

 変異型t-ウイルスの追加投与に加えて複数の人間の血漿を投与されてるせいか、断片的にだけどこの館の人間の記憶らしきものがあるし、リサの血漿の影響が強くでて《我輩》の人格が蘇ったのってほぼ奇跡みたいなものじゃない!?

 いや起こらんでいいわそんな奇跡。誰が望んでプロトタイラント素体のネメシス-t型として蘇りたいだなんて思う訳よ!?

 しかもただのプロトタイラントじゃなくて、変異型t-ウイルスの重複感染実験による魔改造プロトタイラントなんかに。そして何の因果かリサの血漿と変異型t-ウイルスの記憶転移能力が奇跡的に作用して我輩の自我が蘇ってしまうという珍事よ。

 

 なんかパワフルなボディと引き換えに我輩の尊厳、ちょっと踏みにじられすぎじゃないっすかねぇ・・・・・・あぁ、でも、そうか。

 

 

 

 

 リサちゃん、ウイルス研究に手を出してしまったんだな。

 

 

 

 

 結局の所、1つのその重い事実だけが我輩の背中にのし掛かった。

 こうして我輩の意識が蘇ったのは、変異型t-ウイルスの作用とリサちゃんの血漿によるもの。

 それはつまり、今の我輩には、今の我輩の本体である変異Ne-αがリサちゃんの体から分離するまでの、リサ・トレヴァーとしての記憶も宿っていることを意味する。

 我輩としての記憶と、リサ・トレヴァーとしての記憶。どちらの人格が転写されてもおかしくない条件であったが、元の我輩が寄生したリサちゃんの方は、結果としてリサちゃんがその特異な体質で寄生体を逆に取り込んだがために人格がリサ・トレヴァーに寄った。

 今の我輩はあくまで元の我輩と同じように寄生体が宿主を支配している状況であるため、こうして我輩の人格が優先して表面化されたのだろう。

 

 つまり、我輩は我輩のまま、これまでのリサちゃんの軌跡をリサちゃんから説明されるまでもなく知ってしまっているわけだ。

 この洋館で、我輩の知識を取り込んだリサ・トレヴァーが行ったウイルス実験の数々。

 実際に実験に手を染めるまでに叩き込むべき知識は一朝一夕でどうにかなるものではないだろうに、一夜の内に館中の資料や教材を読みあさってそれをモノにしたリサちゃんの執念は、同じ記憶を持つ我輩から見ても頭が下がる他なかった。

 特に知りたくなかった事実が、この洋館中のゾンビへの、変異型t-ウイルスの重複感染実験だった。

 これやってることが28年後のコネクションと同じやんけ!?

 しかもこれらのデータが元になった結果的に我輩という変異ネメシス-t型が生まれたとか複雑にも程があるよ!?

 

 どうすんだよこれ、洋館の難易度がこれだけで鰻登りに上がってんじゃねえか。

 只でさえバイオ1の時代ではゾンビ1体1体でさえ脅威だっていうのに、変異型t-ウイルスの追加投与で強化されちまってるじゃないか。

 今までは噛みついたり至近距離で胃酸かけるぐらいしか脳がなかった連中が、斧やナイフなんかの武器を手に持ち、距離が空いていたら時に走るくらいには強化されてしまっている。

 それだけならまだいいけどさあ・・・・・・なんでゾンビ化したU.S.S.の隊員たちもその中に混じってるのかなぁ。しかも一部の個体はステアーTMPやMP5なんか銃器を片手に持って彷徨いてやがるし、お前等原作やリメイクの洋館事件にはいなかっただろ!? やだよ1の操作性のままでマシンガンの弾をばらまくゾンビを相手にするとか・・・・・・レクイエムのBSAAゾンビじゃねえんだぞ!?

 しかも極めつけは原作やリメイクに比べての、ゾンビの個体数自体の異常な多さだよ!

 

 アンブレラクロニクルズ並にゾンビ共が館を彷徨いてやがんの、原作やリメイクの数の比じゃないったらありゃあしない。

 ・・・・・・これ、おそらくあれだね。

 リサが変異型t-ウイルスの重複感染実験と共に《Ne-δ》を彼奴らに植え付けたおかげで、早期の段階で共食いが止んだのが原因だね。

 《Ne-δ》を植え付けた者同士は敵対行為を取らないから、ゾンビたちも共食いしないし、餌は定期的にリサちゃんが与えていたし、初代やリメイクと比べて相当数のゾンビが生き残ってしまってるんだわ。

 そいつらの一体一体が原作よりも強化されてるときたもんだ。

 しかも一回倒した後も、クリムゾン・ヘッドとしてではなくブリスターヘッドとして蘇る危険性があるという始末。

 あかん、このままじゃあ蘇る死体についてのメモを見たS.T.A.R.S.の面々が蘇る死体をクリムゾン・ヘッドの事ではなくブリスターヘッドの事だと勘違いしちまうよ。まあ再び起き上がらせない為の対処方は結局同じだし、頭部破壊するか焼却すればいいし、メモ書きに書いてある事と矛盾はないからあまり気にすることではないかもしれんが、それにしたって登場が28年早いんだよお前等!

 

 そしてリサちゃん!

 なんで君《バイオゲラス》なんて作っちゃってるのよ!? 出る作品間違えてんだろ!

 何? アークレイ山中で捕まえたカメレオンにt-ウイルス投与して色々遺伝子弄くっちゃったらなんか造れちゃったって? いい加減にもほどがあるだろそれ!

 どうすんだよ、リチャードの死亡フラグが2つから3つに増えてんじゃないか。いや、どっちみち死ぬのなら変わらないかもしれないが、余ったフラグがクリスやジル達に向かった場合どう責任取れば良いんじゃ!?

 誰か安雄呼んでこい安雄!

 

 それとバイオゲラスの因子を応用した実験でリッカー2種が強化されちゃってるし。

 というかそもそも原作の洋館にリッカーなんていないだろ!

 なんでリッカーが三種類も生まれてやがんだ!

 しかも! しかもだ!

 変異始祖ウイルス『TYPE-A』を投与されて中指の爪が馬上槍の如く巨大化した《リッカーγ》は、バイオゲラスの遺伝子が組み込まれた事でバイオゲラスの毒を継承しちまったおかげで、分泌する毒で体色が青緑色に変色して、さながらオリジナルバイオ2のリッカー改みたいな見た目になってるし!

 『TYPE-B』を投与された《リッカーγ2》は、バイオゲラスの透明化能力を受け継ぎやがって、さながらガンサバイバー2に出てくる透明リッカーみたいな存在に進化しやがってるし。

 リサちゃんの言葉によれば、本当はハンターαに《バイオゲラス》の遺伝子を組み込んでT-Abbys抜きの《ファルファレロ》を作りたかったらしいが、あまり変化はなく、ならばとリッカー達に試してみたところこうなったらしい。同じ爬虫類の遺伝子を持つ者同士よりも、同じように伸びる舌を武器にするリッカー達の方が相性がいいかもしれないとかなんとか。

 極めつけは原種のリッカーの方だよ! なんかプラント42といい感じに共生関係築きやがって・・・・・・自分から“実”になる事を受け入れて、リッカー版イビーみたいな見た目に進化しやがった。その影響か森林地帯なら容易に擬態可能だし、イビーみたいに植物細胞で全身を覆われているお陰か耐久性も上がってそうだし・・・・・・お前もうイビリッカーって呼ぶわ。

 

 あとウェブスピナーの数が半端ねえよ!

 主にゾンビ用の餌として蜘蛛に手当たり次第にt-ウイルス感染させた奴らだから、B.O.W.としての呼び名で呼ぶのは不適格なのかもしれないけどさぁ・・・・・・そのおかげでブラックタイガーが一体どころか、十何体もいんじゃねえか。その甲斐もあってか、リサちゃんはウェブスピナーからブラックタイガーへの突然変異の誘発因子を特定できたとか喜んでたけど笑えねえよ! 

 この誘発因子をうまく利用すれば《タイタン・スピナー》を人工的に生み出せるかもとか言ってたけど洒落にならねえって! そもそも知能も何もあったもんじゃないクリーチャーだし、《Ne-δ》の寄生による制御が前提だしあんま高く売れることはないと思うんですがそこらへんあの子どう考えてるんですかねぇ・・・・・・記憶を受け継いだ後の出来事だからリサちゃんの考えが読めねえ。

 ・・・・・・本当はリサちゃん、ゾンビからリッカーへの変異の誘発因子も特定したかったみたいだが、コネクションが28年かけてようやく発見した産物をそんな数ヶ月ちょっとで見つけようだなんて困難極めると思うんだよね。リッカーを作る際、リサちゃんは最初、最終的に《リッカーβ2》を作りたかったみたいだった。レクイエムで破血アンプルが効いたことから、リサちゃんはその知識から《リッカーβ2》は変異型t-ウイルスで生まれたゾンビが変異した姿なのではないかと推測を立てていたみたいだ。

 でもいくら食糧を与えても、通常のt-ウイルスのゾンビのようにリッカーにはならかったため、まだ見ぬ誘発因子が活性化する条件が通常のt-ウイルスゾンビと異なるかもしれないと推測したらしい。

 

 ・・・・・・正直、変異型t-ウイルスゾンビにこれ以上餌を与えたらリッカーよりも先に《チャンク》に変異しそうだと危惧して断念したらしいね。

 さすがにあんな暴食野郎が生まれたら面倒見切れないと判断したんだろう。

 その他にも色んなウイルス実験に手を染めていたリサちゃんの事を知ってしまった我輩はもうどうしていいのか分からなかった。

 幸いと言っていいのか、リサちゃんなりに一線は越えないようにしているみたいだ。

 この洋館のゾンビたちはあくまでウイルスの漏洩によってt-ウイルスに感染した者たち。つまり、生物としてはともかく人としてはとっくに死んでいる状態。リサちゃんは新たに自分の手で犠牲者を出すことだけは避けるようにしているみたいだし、《Ne-δ》を生み出したのもその一貫のようだ。

 ・・・・・・とはいえ、今その一線を越えないでいられるのは、今はまだその一線が超えようのない環境に我輩たちがいるからなのが大きい。そこはリサちゃんも理解しているようだが。

 

 そして、その一線もかなりギリギリだ。

 リサちゃんはあろうことか、母ジェシカ・トレヴァーの遺骨から変異始祖ウイルス《Type-A》を採取するという行為に及んでいた。母の遺骨を見つけたならば、まず1番に弔うべきであろうに、最初にやったことが、ウイルス実験のために新たなウイルスを採取するという暴挙だった。

 リサちゃん自身も、これが本格的に2人の娘として越えてはならない一線だと理解していても、スペンサーへの復讐の道を邁進する度にその一線を越える選択をした。・・・・・・当然、その時の感情は我輩も当事者視点で理解している。

 人としての己が崩れ去る擬音を、明確に聞き取ったような幻聴を聞き取っていた。

 

 というかスペンサー!!

 お前だよお前、お前が1番の元凶だよ!!

 何クロエを初めとした孤児院のクローンロリたちだけじゃ飽き足らず自分が陥れた一家の娘にまで変異型t-ウイルス秘密裏に投与してんだよ!?

 リサちゃんの体もお前の記憶と人格転写先の候補だったんだとしたら、リサちゃんがぶち切れるのも無理ないからな!?

 お前がリサちゃんの体に変異型t-ウイルスと自分の血漿を投与するなんていう一線さえ越えなければ、リサちゃんもおそらくここまで狂ってはいなかったんだからな!?

 

 あぁ、くそ!! なまじリサちゃんのそこら辺の感情も受け継いじゃってるせいでスペンサーの事を考えると頭に血が昇って何も考えられなくなる!

 せめてリサが自分で定めた人としての一線だけは越えないよう、こうして正体を隠して見守ることを決心したのに、肝心の我輩がこの様ではこの先思いやられるではないか!

 

 現に館に調査に来たU.S.S.チャーリーチームを迎え討つときとか、自分でも思った以上に人を殺す事に躊躇がないことに驚いた。

 予め館を彷徨っていたU.S.S.ブラヴォーチームの隊員ゾンビたちを集めて、彼らを迎え討ったとき、我輩は改めて変異型t-ウイルスの恐ろしさを思い知った。

 同じU.S.S.隊員たちが襲いかかってくるという動揺もさながら、知能がない筈のゾンビが銃を使ってくるという未知の事態に、彼らは混乱を余儀なくされていた。

 その混乱の隙を付いて、ヘリの中から飛び出した一体のグレネード持ちのU.S.S.ゾンビが彼らへと突進した時・・・・・・我輩の中である苛立ちが蘇った。

 グレネード片手にチャーリーチームの方へ駆け寄るU.S.S.ゾンビの姿が、前世で画面越しに見た同じくグレネード持ちのB.S.A.A.ゾンビの姿と重なってしまった。・・・・・・ラクーン廃墟の大通り移動してる最中に我輩の操作するレオンの後ろから突貫してきた爆弾持ちB.S.A.A隊員オメー絶対許さないからな? BGM「indomitable」が不自然に流れ始めてたのに警戒しなかった我輩も我輩だが、後ろからゾンビとは思えないスピードで迫られてグレネード押し込まれた時の苛立ちが忘れられねぇ。

 そんな我輩の感傷を余所に、U.S.S.隊員ゾンビの手に握られていたグレネードが爆発した。我輩が目撃した恐ろしい光景はここからだ。爆破に巻き込まれたU.S.S.チャーリーチームのメンバーが挙ってゾンビ化した起き上がり始めたのだ。

 ・・・・・・あぁ、多分グレネード持ってたゾンビ君の肉片やら骨の欠片やらが体に食い込んで、そこから感染したのか。

 ・・・・・・いや、レクイエムでヴィクターがレンウッド通りの通行人にアンプル打ち込んでいる時も想ったけどやっぱり感染速度はえーよ。ドン引きだわ。

 

 そんな感傷に浸りつつ、屋上から突入しようとしたチャーリーチームの面々を片付けた傍らで、玄関前のチャーリーチーム地上突入班を相手に無双しているリサちゃんを見ちまったけど・・・・・・何あれ・・・・・・こわ。

 何かモーフィアス・D・デュバルみたいな電磁場バリア張って弾幕を防いだかと思いきや、今度は背中のネメシスの触手を出して電撃を全身に纏ってヴィクター・ギデオンみたいな攻撃までし始めている始末だし。

 

 一応、身体スペックというか、ポテンシャル自体は原作のリサちゃんと変わってない筈なんだが、ウイルス研究に手を付け知識を付けたことにより、体内のウイルスのコントロールだとか、作用だとかを理解して、よりその力をより強力かつ効率的に引き出せるようになってやがる。さすがはG-ウイルスの元なだだけはある。

 この体もフィジカルは他のどのB.O.W.にも負けない強靱さだけど、リサちゃんにだけは喧嘩を売らないようにしようと決心した我輩であった。

 

 

 今まで説明した全ての事象。

 それらがなぜ起こってしまったのか・・・・・・その大本を辿れば、原因は全て我輩という存在がいたから・・・・・・に尽きるのだろう。

 

 

 そのおかげで、奇跡的にか、自分の両親の死の真実を知り、仇の存在を明確に知り得たリサちゃんは、復讐という明確な目的意識を手に入れ、ウイルスを投与され狂う前の自我を取り戻すことに成功した。

 だがその代償に、リサちゃんは被害者としての立場を捨て去り、ともすれば加害者としての道を歩もうとしている。

 そんな自分に苦しむリサちゃんを傍で見ているのは・・・・・・さすがに辛かった。

 

 

 館の警備を命じられて見回りをしている時間は、我輩にとってはそんなリサちゃんから目を反らせる逃避の時間でもあった。

 ・・・・・・結局、魔窟度が増した洋館を見せつけられて胃が痛くなるだけで逃避できる時間なんて一瞬たりとも無かったんだけどネ!

 ゲームで見たのとまったく同じ館の構造を見て、「テーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ」みたいなことなんて一ミリも考えられなかったよ。

 

 

 結局は、元の我輩を取り込んだ事によるリサちゃんの変貌による影響を、これでもかと見せつけられるだけだったのだ。

 今の我輩にとってリサちゃんは、目を逸らしたい現実そのものだった。

 

 

 せっかく人としての自我と知能を完全に取り戻した筈なのに、闇の道をあえて選んでしまった。

 そもそも、復讐という強い目的意識が芽生えなければこれほどまでに自我を取り戻せなかったことを考えれば、やはりそれは必然であったのかもしれない。

 

 

 だが、だからといって中途半端な我輩は、今のリサちゃんを放っておくという選択肢も取ることはできなかった。

 リサちゃんが今の我輩・・・・・・変異ネメシス-t型を作ろうとした本当の理由は、変異型t-ウイルスと自身の血漿を用いて我輩の人格と記憶を受け継いだ存在を欲したから・・・・・・つまり、それが烏滸がましい行為と自嘲しながらも、自分の事を理解してくれる仲間が欲しかったのだ。

 ・・・・・・そして、我輩が気まずいあまり一切その素振りを見せなかったことが、リサちゃんにとっては記憶と人格転移は失敗だったと受け取ったそうだ。

 だが、実の所その目論見は大成功していた。

 

 こうして、我輩の人格が蘇ったのだから。

 

 でもリサちゃん、仮に我輩の記憶と人格が蘇ることを狙っていたのなら、プロトタイラントの体で蘇らさせられる我輩の心も少しは予想して欲しかったなぁ。

 目覚め際に流れてきた情報量(自身のやらかし)の多さに頭がパンクしそうになっちゃったよほんとに。

 

 だから、我輩のものっクソ器の小さい心は、それに対する些細な仕返しも兼ねて、こうして我輩が蘇った事を伏せながら、あくまで「リサ・トレヴァーに忠誠を誓うB.O.W」として傍にいたのだが・・・・・・我輩自身、それも限界に近かった。

 

 

 なぜなら・・・・・・孤独に嘆き咽び泣くリサちゃんを、ついにこの目で見てしまったから。

 結局、我輩はヒトリの女の子が孤独に涙を流しているのを知りながら、それでも何も知らないB.O.W.のフリをする畜生でしかなかったのだから。

 ・・・・・・せめてこの知識がこの娘の役に立つことを願いながら、元の我輩は消滅した。

 そのこともリサちゃんは認知しているし、我が事ながら結構格好つけた消滅ではあったと思う。

 

 だが、今の我輩はなんだ?

 孤独に噎び泣く女の子を前に何もせず沈黙を貫くただの畜生ではないか!

 

 だが、そもそもの異物である我輩が、これ以上この世界に介入した所でどうなるというのだ。

 その結果はもう既に出ている。

 だから、我輩はこれから我輩としてではなく、リサ・トレヴァーが生み出したB.O.Wとしての役目に徹するより他ないと・・・・・・そう、思っていた。

 

 でも、これはさすがにあんまりだ。

 だから・・・・・・せめてもの、妥協点を作ることにした。

 

 リサ・トレヴァーに生み出された寄生虫・・・・・・という刷り込みにより、今の我輩の意識はリサ・トレヴァーを「女王」と強く認識している。

 

 その刷り込みを・・・・・・今、この瞬間だけは、ねじ曲げて、我輩は彼女の名前を呼んだ。

 

『・・・・・・・・・・・・Yes・・・・・・・・・Lisa』

 

 ・・・・・・まあ、名前で呼んであげるくらいなら別にバレないでしょ(震え声)。

 

「ありがとう、マッド・・・・・・え?」

 

 すいません、やっぱり無理かもしれないです。

 




クリーチャー紹介
・進化した3種類のリッカーたち

・リッカーγ
 リサの母のジェシカの遺骨から抽出した変異始祖ウイルス『TYPE-A』を投与したリッカー。それにより中指の爪が通常のリッカーよりも発達し巨大化した。
 そこからさらにバイオゲラスの因子を組み込んだことにより、バイオゲラスの毒を受け継ぎ、分泌する毒液により皮膚(というより筋肉)が青緑色に変色。バイオゲラスと同様に、舌に毒を持つように進化。
 結果としてRE世界線には未だ登場していないリッカー改のような見た目になった。
 発達した爪の殺傷力と舌の毒も相まって、三種類の中では尤も攻撃能力に特化したリッカー。

・リッカーγ2
 リサに注入された変異始祖ウイルス『TYPE-B』を投与して生まれたリッカー。リッカーβと同様に原種と比べて見た目や能力に大きな変化は生まれなかった。
 しかしバイオゲラスの因子を注入されたことでバイオゲラスの透明化能力を継承することに成功。ガンサバ2に登場する透明リッカーのような存在に。
 三種類の中では擬態能力最強。

・原種リッカー(→イビリッカー)
 何も弄っていない原種のリッカーちゃん・・・・・・だったもの。
 『Ne-δ』の存在により生まれた仲間意識が作用したのかは不明だが、プラント42と共生関係になり、自ら実となることを受け入れ、リッカー版イビーみたいな見た目に進化した。RE:2のイビーとは異なり、行動の主導権はリッカー側にあり、倒されても実が再生して復活することはない。
 プラント42の感知能力を受け継ぎ、擬似的な視覚を手に入れてるため、感知能力は三種類の中で尤も秀でたリッカーとなる。森林など植物が生い茂っている場所ならば擬態も可能。しかしイビー同様、炎に弱い。あと結局硫酸にも弱い。弱点はむしろ増えてる。
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