夢想少女ノ魔女裁判   作:タイホくん

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日常パート その17

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───同日 9時3分 監獄島 ゲストハウス───

 

(推奨BGM「Sar-gedy-静-」♪50)

 

クア

 「まったく‥‥ひどい目にあったよ」

 

 ナノカさんの《例の料理》を食べてしばらくダウンしていたリクアさんでしたが、10分少々休んで回復したのか、すぐさま次の行動に移りました。ヒナタさんとシヅハさんは別の用事ができた、とのことで離脱しました。

 1人くらいは補助の人間がつくべきだろうと思った私は、料理のせいで前後不覚になったリクアさんの後を追いかけてきたところです。

 

コト

 「それでリクアさん、ここで一体何を‥‥?」

 

 石畳の道に沿って進んだ先には、小さな小屋が3棟並んでいました。いわゆるログハウス風のいで立ちのそれは、入口のすぐ真上に意味深な看板が掲げられています。

 マップを参考にするとそれぞれ、向かって左から、火精(サラマンダー)の間、風精(シルフ)の間、土精(ノーム)の間と呼ばれているそうです。それぞれの部屋に各精霊を模した絵が描かれた看板が吊り下げられています。

 

クア

 「ここには‥‥《寝具》の調達に来た」

 

コト

 「《寝具》‥‥ですか?」

 

 リクアさんは一番手前にある夢の間の扉を開けて中へと進んでいきました。”ゲストハウス”という名前から、私たちは入ってはいけないと思っていたのですが、意外にも入室は許可されているようです。ややためらいながらオズオズと中へと入ります。

 

 建物内部は小綺麗で、誰かが生活していると言うより、宿泊施設である印象でした。ソファに小さな机に、やたらに細かくスペ─スが区切られた細長い棚。そして何よりも‥‥。

 

コト

 「私たちの監獄のよりも、良いベッドが置いてあります‥‥」

 

 何よりも目を引いたのは、部屋の隅に備え付けられたベッド。直方体の木の箱の上にマットレスと枕を置いただけの作りですが、肝心のマットレスの柔らかさが私たちの監房のそれとは段違いで柔らかいです。

 

クア

 「おそらく、ここは要人用に建てられた建物なのだろう」

 

コト

 「要人、ですか?」

 

クア

 「私たちがここに連れてこられたのは、国家による“法律に基づいた検査”が理由だったと、あのフクロウが話していただろう」

 

クア

 「そうであるなら、この島の管理には間違いなく国家が関わっている」

 

クア

 「そうした”国のお偉いさん”‥‥いわば、“要人”たちがこの島を訪れたときの宿泊施設なのだろう」

 

コト

 「まあ、あんな汚れた牢屋敷に偉い人を泊めるわけにはいきませんものね‥‥」

 

クア

 「そのせいか、調度品も良いものを揃えてあるようだ」

 

 リクアさんは枕と毛布を雑に放り投げると私を手招きします。

 

クア

 「さあ篠宮クン、反対側を持ってくれ」

 

コト

 「え‥‥一体何を?」

 

 リクアさんはマットレスに手をかけています。

 

コト

 「まさか‥‥これを盗むつもりですか!?」

 

クア

 「ああ、そうだとも」

 

 リクアさんは涼しい顔で言い切りました。

 

クア

 「昨日、早瀬クンと協力してこのマットレスを試しに持ち出してみたんだ」

 

クア

 「その時は単に使えそうだから、という理由で拝借したのだが‥‥今日もう一度戻ってきたら、こうしてマットレスが補充されていた」

 

クア

 「おそらく管理者側はいつ要人たちが訪れてもいいように、何かがあったらすぐにこのゲストハウスの原状回復を行うのだろう。これを使わない手はない」

 

コト

 「うーん‥‥理屈はわかりましたが、ちょっと躊躇しちゃいますね」

 

クア

 「今のところ懲罰房に呼ばれてもいないし、万が一そうなった場合は私が責任を被る。今は居住環境を整えるほうが優先だ。さあ、手伝ってくれ」

 

コト

 「わ‥‥分かりました。そこまで言うのでしたら」

 

 ためらいが無いわけではありませんが、あの硬いマットレスを使わなくてもいいのであれば多少はいいのではないか、という考えが私の中で優先されました。リクアさんが持っているのと反対側を掴み、2人で持ち上げます。

 やや重たいですが、2人ならなんとか運べなくはないといった重量でした。

 

 私たちはえんやこらえんやこらとマットレスを厨房の前まで運んでは、あらかじめ開けておいた厨房の窓を経由して食堂にマットレスを置き、またゲストハウスに戻るという作業を3回繰り返しました。

 

 リクアさんはやはりこの手の肉体作業が得意でないのか、顔を赤くしたり、あるいは青くしたりしていましたが、苦しみながらも作業をこなしていました。やはり責任感の強い人のようです。

 

 そうして食堂にマットレスが3段積み上げ、作業は終わりました。すっかり疲れ切ったリクアさんは監房へと戻っていきました。1人取り残された私は、誰もいないのを確認して積み上げられたマットレスの上に飛び込みます。

 

 無駄に柔らかいその寝心地は、ほんの一瞬だけこの牢屋敷での生活を忘れさせてくれる‥‥そんな感じがしました。

 

 




以下、作者後書き




















いやぁ‥‥公式様からでちゃいましたねえ、本名。
MV内で出てきた描写や情報を見るに大きなムジュンは発生しなさそうなので、とりあえず一安心と言ったところか‥‥。
多分ナノカ姉改めホノカさんに関する情報は今回のが最大級だと思うんで、しばらくは怯えずにすみそうですね。
もし今後ムジュンが生まれる場面が来るなら、公式様からいよいよ牢屋敷でのホノカの過去が開示される時くらいでしょうか。いつか来そうで怖い~
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