夢想少女ノ魔女裁判   作:タイホくん

23 / 23
日常パート その20

 

 

 

 

 

 

 

 

(次回投稿予定日:6月9日(火) 21:05)

 

 

─同日 21時20分 牢屋敷内 シャワールーム─

 

(推奨BGM「ボクとワタシの」♪10)

 

 「いーやーだー、お風呂めんどくさいぃぃぃ!」

 

リナ

 「こらー。女の子なら1日1回はお風呂入らなきゃ駄目っしょ!」

 

 「うおおお、差別だ! お風呂に入らない女の子がいたっていいじゃないかあ!」

 

 シャワールームに来て早々暴れるチサさんをセリナさんが抑え込みます。

 

 「‥‥抑え込むのが随分と板についている」

 

ヅハ

 「彼女の性格を考えると、入浴を拒否するのはこれが初めてではないようですね‥‥」

 

 チサさんを抑え込むセリナさんの手つきは嫌にこなれていました。妹さんがいると話していましたし、この手のある種の《荒事》には慣れているのかもしれません。

 

 牢屋敷のシャワールームは全部でブースが3つ。13人いるため、複数人で訪れると順番待ちが発生してしまいます。チサさんが脱走する前にシャワーを済ませたいと、セリナさんがチサさんと一緒のシャワーブースを使い始めました。

 

 残る2つは先にシヅハさんとミトさんに譲り、私は1人シャワールーム内のロッカールームをうろつきます。

 

 ロッカーには監房と同じようにそれぞれ囚人番号が振られており、毎日朝に新しい服が支給されているようです。

 その代わり、使い終わった服はシャワーブース横のダストシュートから捨てなければならないというのがルールになっているようですが‥‥。

 

コト

 (‥‥新しい服は毎回どこから現れるのでしょう)

 

 自分の囚人番号‥‥27番のロッカーを開けます。中には新しい服。きれいに畳んで置いてあります。

 もしかして看守さんかゴクチョーさんが毎日せっせと作り直しているのでしょうか。その光景を想像すると‥‥ほんの少しだけ微笑ましいです。

 

ヅハ

 「篠宮さん、お先です」

 

コト

 「シヅハさん、早いですね」

 

 バスタオルを巻いたシヅハさんがロッカールームに現れました。1人先んじて浴び終わったようです。湯気の中、髪先から滴る水がロッカー室の床を濡らしていました。

 

コト

 「後の2人はまだですか?」

 

ヅハ

 「白川さんは髪が長いからまだ時間がかかっているようです。星谷さんたちは‥‥」

 

 「うぎゃあああッ! 目がッ‥‥目がァ‥‥!」

 

リナ

 「だーかーらー、目ェ開けちゃ駄目って言ってるっしょ! どんだけベタなんよ!」

 

ヅハ

 「‥‥あの調子ですから、まだかかりそうです」

 

 断末魔にも似たチサさんの大声が隣のシャワールームから響いてきます。随分と大変そうです。

 

コト

 「そ、そのようですね」

 

 

───────

 

 

 私とシヅハさんは、先んじて廊下に出て3人を待つことにしました。湿気に満ちたシャワールームから一歩外に出ると、スッと爽やかな心地になります。中庭から流れ込んできた空気で、1階部分には常に新鮮な空気が満ちているようです。

 

 ふと隣を見ると、シヅハさんは珍しくフードを脱いでいました。この牢屋敷にはドライヤーがありませんから、タオルである程度の水気を取ったあとは自然乾燥に頼らざるをえません。

 

ヅハ

 「‥‥あの、篠宮さん。何か私の顔についていますか?」

 

 ジッと見つめられていたのが気になったのか、シヅハさんがややモジモジしながら私に問いかけます。

 

コト

 「あ、いえ。その‥‥フードを被っていないのが珍しいなーと思いまして」

 

 シャワーを浴び終えたばかりのシヅハさんは、フードを被っていないのに加えて、髪の毛がいつもと違って片側に寄っていないので、目元がしっかりと見えます。

 出会ってまだ数日ではありますが、彼女の顔をこうしてちゃんと見るのはこれが初めてかもしれません。

 

 じっくり見てみると、シヅハさんは端正で整った顔立ちです。ボブカットの綺麗な黒髪も相まって、和の美人といった言葉が似合う姿です。私の視線に恥じらう表情にも、どことなく美しさを感じて‥‥

 

ヅハ

 「‥‥そのへんで品評するのは辞めにしてくれませんか? ‥‥恥ずかしいです」

 

コト

 「な、何も言っていませんよ!?」

 

ヅハ

 「顔に書いてあります‥‥!」

 

 顔を真っ赤に染めたシヅハさんは、フードが被れない代わりに髪の毛をパッパと片目にかけ直すと、そっぽを向いてしまいました。‥‥怒らせてしまったでしょうか。シヅハさんは軽く頬を膨らませています。

 

コト

 「‥‥そういえば、やけに静かですね。さっきまでチサさんたち、あんなに騒いでいたのに」

 

 気まずい空気が流れる前に話題を変えようと、私は頭の片隅で気になっていた事を口に出します。さっきシャワールームにいたときには、嫌と言うほど騒がしかったセリナさんとチサさんの騒ぎ声がまったく聞こえません。

 

ヅハ

 「‥‥言われてみればそうですね」

 

 廊下は静寂に包まれています。シヅハさんの呼吸や、私に文句を告げる小さな独り言もハッキリと聞こえます。チサさんたちの騒音は、文字通り鳴りを潜めています。

 

コト

 「もう浴び終わったのでしょうか」

 

 そう言って私がシャワールームの扉に手をかけると、ちょうどミトさんが出てきました。そして、続けざまに聞こえてきたのが‥‥

 

リナ

 「だーっ! 逃げるな! 風呂上がりのネコじゃねーんだから!」

 

 「タオルで拭かなくても勝手に乾くもん! セリねえの助けなんかいらないッ!」

 

 相変わらず2人はギャーギャーとじゃれ合っているようです。シャワールームから出てきたミトさんは軽く耳を抑えながら、迷惑気な表情です。

 

 「‥‥元気すぎるのも、考えもの」

 

 軽く文句をたれながら、ミトさんは扉を閉じました。すると‥‥

 

コト

 「‥‥あれ。音が聞こえなくなりましたね」

 

 「‥‥ほんとだ。何でだろ」

 

 不思議に思ったミトさんが扉を開けると‥‥

 

リナ

 「だーかーらー走り回るなって言ってんの! いわんこっちゃない!」

 

 「頭が‥‥割れるッ! ぬおおおおおおおおおッ!」

 

 ‥‥どうやら走り回ったチサさんがずっこけたようです。セリナさんの反応を聞くに、大事に至っていないようで一安心です。

 

ヅハ

 「‥‥このシャワールーム、防音性が高いようですね」

 

 シヅハさんは扉を開けては閉じ、開けては閉じを繰り返します。その度に、2人の喧騒が消えては聞こえ、消えては聞こえを繰り返します。

 

コト

 「本当ですね。でも、なんで‥‥」

 

ヅハ

 「‥‥プライバシー保護のため、とかでしょうか。一応、それぞれのブースにシャワーカーテンも取り付けられていましたし」

 

 「‥‥本当に妙なところで囚人に甘いよね、この牢屋敷」

 

 シヅハさんの推理が当たっているかはともかく、このシャワールームが防音だということが判明しました。

 ‥‥いや、判明したところで何か利益があったわけではありませんが。

 

 それから約5分後。セリナさんに首根っこを掴まれたチサさんが出てきたので、私たちは一緒に監房へ帰ることになりました。

 

 

(次回投稿予定日:6月9日(火) 21:05)

 




以下、作者後書き




















何となく風呂キャンキャラを用意したほうがいいと思ったので、チサさんは風呂キャンの民に仕立て上げました。
まあ、もとよりチサさんは風呂キャンの民ですがね‥‥。

チサとセリナのドタバタキャラは書いてて楽しいですし、勝手に動いてくれるので非常に楽です。賑やかし要員に頼りすぎるのも考えものですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

従順少女ノ魔女裁判(作者:夏目)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

【感覚操作】の魔法を持つ少女・尾形(おがた)トウカは、目を覚ますと見知らぬ牢屋敷に拉致されていた。▼ トウカをはじめとした14人の少女に、不気味なフクロウ・ゴクチョーが淡々と告げる。「面倒なことに、そのうち囚人間で【殺人事件】が起こる」と──。▼ 魔法のせいで嫌でも感じ取る凄惨な事件の気配。冷え切った関係。嫌疑の視線。秘めた怒り。潜めた息遣い……。トウカは直…


総合評価:2051/評価:9.29/連載:21話/更新日時:2026年04月10日(金) 19:01 小説情報

二階堂ヒロの事件簿(作者:赤葉忍)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

牢屋敷での凄惨な事件から、約1年。▼それぞれの場所で日常を過ごしていた少女たちは、とある事故をきっかけに再び魔法の力を手に入れることになる。▼再び牢屋敷へと集められた少女たちは、政府から殺処分を逃れるためのとある条件を突き付けられる。▼それは、政府の独自の研究で変質した『魔女因子』が漏れ出したことにより『魔女因子』に感染し、新たに魔法を使えるようになった人物…


総合評価:138/評価:8.25/連載:13話/更新日時:2026年06月02日(火) 21:55 小説情報

ヒロ!みんなは任せた!俺はユキとメルルを!!(作者:guruukulu)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

原作知識を持った男がTS転生して、少女たち(主にユキとメルル)を救うお話。▼なお、彼は良家出身の京都弁糸目お姉さんとする。


総合評価:746/評価:8.62/連載:6話/更新日時:2026年03月28日(土) 22:55 小説情報

牢屋敷の看守長(作者:野良のなれはて)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

初投稿です。原作にオリ主を生やしました。▼拙い文章ですがそれでも良い方のみ読んでください。▼※ネタバレ注意!※既プレイ推奨!▼少しでもまのさばに興味があるのなら、今すぐブラウザバックしてゲームを買おう!▼https://store.steampowered.com/app/3101040/_/▼まのさば小説増えろ…増えろ…


総合評価:1141/評価:8.54/連載:12話/更新日時:2025年11月05日(水) 22:53 小説情報

百八十度ノ魔女裁判(作者:ミズハ)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

致命的な間違いを犯してしまった二階堂ヒロは、それでも百八十度回った世界で歩み続ける。▼己が正しいと思う道を。▼愛が止まらずまのさばの再構成をイメージして執筆しました。▼原作プレイ済みを推奨します。▼見切り発車ですがどうぞ。


総合評価:276/評価:8.27/連載:20話/更新日時:2026年06月05日(金) 19:29 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>