掃除を切り上げた私たちは、農地決め班たちを探して玄関から外に出ました。今日は文字通り雲1つない快晴で、陽の光がサンサンと降り注ぎます。
グルリと牢屋敷の周りを歩いていると、遠くの方から人の話す声が聞こえました。
それに沿って牢屋敷の裏手に回ると、建物の陰になっている開けた場所がありました。サンルームにほど近い場所です。
そこには、リクアさんに加え、アキラさんがいました。他の人達はおそらく別の場所を探して回っているのでしょう。
石畳が途切れ、土の地肌がむき出しになっている一角です。中庭のように整えられてはいませんが、陽の光が意外とよく差し込みます。昼下がりには屋根の隙間から斜めに光が射す環境でしょう。今の時間帯もわずかながらに光が注いでおり、乾いた土を淡く照らしていました。
その端には、古びた石積みの井戸があります。蔦がからまり、井戸の縁は少し崩れかけていて、覗き込むと底は暗くて見えません。時折、風が吹き抜けるたびに中から涼しい空気が上がってくるのがわかります。
リクアさんたちが農具を手に軽く打ち合わせをしていました。ここを農地にするかどうか相談しているのでしょう。
リクアさんはこの場所をしばらく観察した後、「ここが一番条件がいい」と短く言いました。
井戸が近いから水やりがしやすく、牢屋敷の壁に囲まれているから風も弱く、雨のときは屋根の端から落ちる水を利用できる。その理屈を聞けば、確かにここが畑にうってつけの場所に思えてきます。
土はところどころ石混じりで硬く、足で踏むとカチリと音がします。軽く足で表面の土を掘ってみると、乾いた表層の下から湿った黒土が顔を出しました。ほんのりと土の匂いが漂い、長く閉ざされていた空気が少しずつ動き始めるような気がしました。
【真壁 リクア】
「まずはこのあたりを整地しよう。今は‥‥もうすぐ10時か。次の自由行動のタイミングで本格的にこの土地を耕していくとしよう」
リクアさんはスマホを取り出すと、軽く画面を叩いています。直後、通知が届いたのでポケットから取り出して確認すると、この場所を農地に決める旨を伝える内容でした。
2人は農具を牢屋敷の外壁に立てかけるといったん牢屋敷の方へと戻っていきます。
私たちもそれに倣って一度、自分たちの監房へと戻るのでした。